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止<クラッキング>

上条「で、ここはどこなんでせうか?」
美琴「とある軍事施設。ヘタに探ろうとすると色々な意味で危ないわよ?」

 上条当麻と御坂美琴は、とある筋を使ってひとつの軍事施設に侵入していた。
 美琴は自ら上条に話を持ちかけた割に、侵入すべき施設の所在も侵入方法も知らないというドジッ娘っぷりを発揮したが、それについては割愛する。
 そして紆余曲折があり、どうにかとある筋からここに忍び込んだわけである。
 とある筋の人物曰く、
??『あそこは警備の割に侵入は容易ですわよ、お友達(ディアフレンド)。十全な結果を期待してますわ』
 自称どころか自他共に認める大泥棒は過去に侵入した経験でもあるのか、そんな言葉を二人に残していった。

上条「にしても、本当にあっけないな。
   いくらビリビリが警備員を電撃で気絶させてるからって、素人ふたりがここまで侵入できるなんて……」
美琴「そうね。……このダンボール、ステルス機能でもついてるのかしら?」
上条「どうせなら体育祭のときみたく峰島にユニバーサル迷彩借りてきた方が良かったかもな」
美琴「そういうのはもっと早く言いなさいよね。そうすればこれ以外にも、もっと準備ができたんだし」

 そう言って美琴は自分が着ている警備員(アンチスキル)御用達の防弾チョッキを指差す。
 1st-Gの概念で強化されているこれは、もはや並大抵の武装では傷つける事も難しいだろう。
 そもそも、通常兵器でしか武装していない軍事組織相手に、常識を超越した能力者が不思議武装で挑むのだ。
 軍人相手とはいえ、遅れを取るはずがない。唯一懸念すべきは経験であるが、上条はある程度修羅場を経験しているし、美琴も頭は悪くない。
 戦闘になる前に敵を気絶させ、相手に優位に立たれる前に、徐々に徐々にだが施設の中枢に近づいていた。

美琴「さっきの端末からハッキングして分かった事だけど、
   ここの核ミサイルのシステムはネットワークから独立してるみたいね。
   だから、中枢にいって直接システムをクラックするしかない」
上条「中枢の場所なんてわかるのか?」
美琴「抜かりはないわよ。端末から施設の見取り図をプリントアウトしといたから。ほら、これが見取り図」

 上条は見取り図を覗き込むも、あまりの複雑さにぐぅの音もでない。
 そんな上条に呆れながらも、美琴は地図の一点を指差す。

美琴「ここが中枢。で、それがこの目の前ってわけ」
上条「……長くなりそうだから色々端折ってるからって、ご都合主義が過ぎると上条さんは思うわけですが」
美琴「メタなこと言わない。筆者の文をまとめる才能が無さ過ぎるのよ」

 注意しておきながら自分もメタ発言をして、美琴は厳重にロックされている中枢へのドアを見る。
 ドアの横には操作パネルがあり、指紋やら網膜やら声帯認証を通過して扉が開く仕掛けらしい。

上条「なあ流石にこのロックは通れないんじゃな」
美琴「えい」
 バチッ!
美琴「えい。えい。えい」
 バチバチバチッ!!
美琴「ちぇいさー!」
 ビリビリビリビリッ、バゴ!

 電撃を流されトドメとばかりに蹴りを喰らったドアが、奇怪な音を発して半開きになる。
 パネルからはジュール熱によるものか機械のショートか、――おそらく後者だろう――黒煙がしゅうしゅうと立ち上っている。

 開いた口が塞がらない、というのはこのこととばかりに上条はぽかんと口を開けていた。
 同様に、ドアの向こうの部屋にいた研究員その他軍人の皆さんもこの事態には唖然としていた。

美琴「じゃあ、ちょっと眠っててもらうわよ」

 その声に反応して軍人たちが慌てて銃を構える前に、美琴は全方位に向けて電撃を放射する。
 無論、威力は強力なスタンガンほどに抑えてある。
 当たり所が悪くとも、せいぜい麻痺か痙攣が二、三日治まらない程度だろう。『程度』と判断するには、いささか危険極まりないが。
 金属の床を伝い、壁を伝い、宙を飛び、電撃がこの場にいる全ての人間を沈黙させていく。
 学園都市のレベル5、『超電磁砲』の名は伊達ではない。瞬く間に部屋の中に立っているのは上条と美琴の二人だけになった。

上条「危ねえだろうがビリビリ中学生! そんなに上条さんの丸焼きローストを作りたいんですか!?」

 強力故に、少しばかり加減が利かないのが難点だが。

美琴「いいじゃない、無事なんだし。――っと、発射システムに繋がったみたいね。
   『電脳破壊(クラッカー)』美琴様の手にかかれば、この程度はチョチョイのチョイってやつよ」
上条「そんな二つ名があったのかよ。非公式ってやつか? もし自分で付けたんならものすごいネーミングセンスだな……」
美琴「う。の、ノリで言っただけよ。その場のノリで! そんなこと真面目に言うわけないでしょ!」

 バカじゃないのあははー、と誤魔化す様に笑う美琴とジト目で睨む上条という図が瞬く間に出来上がる。

美琴「そ、そんなことより、もう終わったわよ」

 そんなこんなのやりとりをしている内に、クラックは終わったようだ。
 システムが全停止したのか、部屋が真っ暗になる。予備電源にでもなりそうなものだが、その辺りのシステムもぶち壊したらしい。
 いや、もしかしたら予備電源自体に回線を通じて電撃を叩き込んだのかもしれない。
 そんなことを考えていると、闇の中で突然手を引っ張られて上条はよろめいた。
 それが誰か、などと考える意味はない。
 この場には上条と美琴のふたりしかいないのだから。

美琴「じゃあ、脱出するわよ?」

 おそらく笑っているのだろう。
 上条は声の調子でそう判断し、手を引っ張られるままに脱出を開始した。






上条「まあ、結局は上条さんが来た意味はなかったのですが」
美琴「やめてー! 身も蓋もない発言は禁止ー!」


CAST

  • とある魔術の禁書目録
上条当麻
御坂美琴

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最終更新:2006年08月05日 18:59
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