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予選第三試合(改)

読子「先生、次は私の試合なんです。応援して下さいね?」
ねねね「おうよ。負けたら承知しないからね!!」
読子「ハイ! 先生……私、この試合が終わったら新刊を買うんです。だから………」
ねねね「おーい、死亡フラグ立ちそうな台詞はやめな。とりあえず行って勝ってこい、な?」
読子「……はい!! それじゃあ」


上条「あ~不幸だ不幸です不幸でござる三段活用……あれ? 何か違うな」
禁書「とうまとうま、怪我しないように気をつけてね?“ザ・ペーパー”といったら大英図書館のエージェントの中でも能力の汎用性じゃ群を抜いてた要注意人物なんだよ?」
上条「あ~知ってるよ。前に一度青髪ピアスと騒いで酷い目にあったからな」
禁書「とうまも図書室に行くの?」
上条「何ですかその世にも珍しい物を見た顔は!? いや、確かに上条さんは図書館でお勉強するキャラじゃないですし図書室に赴いた理由もどっちかというと俺のストライクゾーンに入る読子先生の姿に癒されるため………あの、インデックスさん? 何で歯ぎしりしていらっしゃるんでせう?」

律子「さぁ、いよいよ第三試合の始まりです。まずは東より“幻想殺し”上条当麻!!……何故か妙にボロボロです。
   続いて西より“ザ・ペーパー”読子=リードマン!!」
「「「「■■■■■■■■■■-----!!!」」」」

 一つ一つが聞き取れない程の大歓声が巻き起こる。何故か男子の声で所々から「殺せ、殺せ、殺せ!!」と聞こえてくるが恐らく気のせいであろう。
 名を呼ばれた両者がリング中央付近で審判を挟んで対峙する。

読子「お手柔らかに……あの、大丈夫ですか?」
上条「へいきで~す(棒読み)」
読子「あの、どう見ても血が出てますよ? 保健室に」
上条「保健室だけはもうヤダァァァァァ!!!」

 上条当麻が錯乱したかの如く……というよりは保健室という言葉に錯乱してそこら辺の地面をのたうち回った。端から見ると何とも情けなく、その姿に彼を知る者が尽くため息をついた。主に憐れみとかの意味合いで。
 その中にはこの二人も含まれていたりする。

宗介「閣下。この試合、勝負有りと見ました。例えあの幻想殺しをもってしても彼女の能力の前には防戦を強いられることは間違いなく、フラグ能力も役には立ちません。さらには上条自身もあの様子です、結果は明らかと思われますが……?」
林水「そうとも言えないな。開き直る事にかけては彼は一流だ。何せ心の中で「不幸だ」と言えば次のページでは大抵の場合順応している。
   そら、見たまえ……早速起きあがったぞ。アレは保健室で実験されるくらいなら目の前の可能性を潰すことで逃げ延びようとする野獣の如き目だ。実に素晴らしい目をしている、我が校の生徒たる者、あぁでなくてはな」
宗介「感服いたしました、閣下。自分もまだまだ未熟であります」
林水「うむ、なお一層の精進を心懸けたまえ。所で先程君は上条君の明らかな敗北を予想したな?」

 林水の問に相良宗介は首肯した。リングでは丁度、試合開始の合図が出されようとしている。

林水「彼の能力はその右手と尋常成らざるフラグ乱立能力のみではない。確かに彼にとってその右手は命綱であろうが、何もそれだけが彼の武器ではないのだ。彼は君とある種同等のモノを持っているからね」
宗介「……それは一体何でしょうか? 上条はASの操縦技術も戦場での生存技術も保持していないと記憶しています」
林水「直ぐに解る」

律子「それではラノベファイトォォォ! Ready………GO!!」



上条「うぉぉぉぉぉぉ!! このお姉さん今までに無いくらい質悪ぃぃぃぃぃ!!!」

 上条当麻が走る。逸る。奔る。右へ左へ立ち止まることなく駆け抜け、時に飛び退り、時には転がり、時には敢えて動かないことで上条当麻は無数に打ち込まれるそれらから必死に身を守っていた。

上条「ぬぉ!?」

 右足、左足を交互に上げ足下に飛来したソレを避ける。コンクリートで出来ているはずのリング床に数枚の紙切れが突き刺さっていた。
 「ヤ」「バ」「イ」の三文字が上条の脳裏を過ぎる。今回の相手は神裂と同じ何らかの物質を用いた異能の使い手であり、当麻にとっては苦手極まりない相手であった。
 読子=リードマンの武器は紙である、それを異能の力により動かしているのだろう。実際に飛来してきた紙に触れると何もせずとも風に流されていったので能力自体のキャンセルは問題無かった。
 が……上条当麻が打ち消せるのはあくまで“異能の力”のみである。物理法則に基づく運動エネルギーや自然界の純正エネルギーに対しては全く効果がない。
 しかも、触れられさえしなければ問題はないのだ。故にこれには大きな弱点があり、彼女にはその弱点をつく戦法があった。

上条「不幸か!? 不幸なのか!? でっかい紙飛行機に乗っかったお姉さんに上空からバカスカ紙の弾丸を撃ち込まれるのは果たして不幸なのか!? 先生、此所は公平を期すために地上戦を提案します!!」
読子「却下します」
上条「あらかじめ予想はしてたけど即答!? あんたも教師の端くれなら生徒の自主性に基づく意見は尊重しようよ!!」

 そう、当然のことであるが手が届かない範囲の敵には全く効果がなかったのである。しかも読子の能力によって硬化され、風に流されることなく打ち出された“紙”は万有引力の法則に基づき落下することで物理法則に則ったエネルギーを得ることになるのだ。
 名詞で割り箸を割る人物がいるというのを聞いたことはないだろうか? 今イチピンと来ないなら笹の葉で指を切った幼少の頃の記憶を掘り起こしてくれても構わない。速度さえあれば例え薄っぺらい紙や葉っぱですら人を傷つけることは出来るのだ。しかもこの攻撃の場合速度がその比ではない、コンクリートに突き刺さるなど、ここまでくるともは
や立派な凶器と言えよう。
 その上、上条にとってはとてつもなく嫌な予感が当たっていたりする。

 ドドドドドドドドドドドドドドドド!!! ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
 ドドドドドドドドドドドドドドドド!!! ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

上条「あぁもう! コピーアンドペーストがこんなに怖く感じたのは初めてだぜ畜生!! ていうかあれか? この場合右手で触っても落下エネルギーまでは打ち消せないから結果的に細切れってオチなのか!?」

宗介「閣下、先程閣下が申し上げた事が自分には理解できません。この状況を見る限り上条当麻の敗北は揺るぎないと思えますが?」
林水「結果は確かに彼の敗北に終わるかも知れないが、一方的に終わるなど有り得ないと私は睨んでいる。彼とてその拳で数多の実力者を倒してきた強者だ………む、とうとう来たか」

 言葉と共に、一陣の強風が通り過ぎる。

宗介「……読子=リードマンが何やら焦っているようですが?」
林水「今の風でただの紙に戻った彼女の武器が大量に飛ばされていってしまったのだ。紙飛行機の構成に大量の紙を使っていたうえに先程からの攻撃で紙を湯水のように消費していたからな、これは本人にとっても苦い結果だ。
   見た前、とうとう手持ちが尽きたらしい……紙飛行機の構成分を使い出したぞ」
宗介「成る程。しかし閣下、読子=リードマンはケースの中が埋まる程の紙を持ち歩いていたはずです。そうそう弾薬が尽きるなどという事態には陥らぬはずですが……上条は一体どのような方法であそこまでの数を回避したのでしょうか?」
林水「相良君、いくつもの修羅場を潜り抜けてきた君なら解ると思うのが……?」
宗介「!! 成る程、能力を使ってくる路地裏の喧嘩から始まり数々の魔術、超能力と戦ってきた上条には敵の攻撃に対する独特の“勘”が存在するという事か!!」
林水「うむ。その通りだ……変幻自在とはいえ未だ真っ直ぐにしか飛んでこない攻撃など彼にとってはそこまでの脅威とは成り得ないのだよ。まぁ、やはり命中することに変わりはないのだが」

読子「いい加減当たってくださーい!」
上条「じょう、だんじゃねぇ!!」

 盛大な“空元気”の声が響く。
 限界が近い……と上条当麻は感じていた。戦闘開始直後、紙飛行機に乗って上空に逃げられてから動きっぱなしの上に無茶な回避行動をとり続けてきたので息は上がり、足はガクガクと笑っている。このままいけば恐らくは手も足も出ないままあと数分もしないうちに決着は付くだろう。
 だが、まだ勝機はあると睨んでいるのもまた事実だ。先程までは全く手が届かない位置にあった紙飛行機も、先程からそれが構築されている分が攻撃に充てられているため自重で高度を徐々に下げてきている。

上条「(もう一度…もう一度だ。もう一度だけ風が吹けば………)」
読子「……また強風!? 何でこんな時に」
上条「(……来た!)」

 度重なる紙の消費により安定性が落ちていた紙飛行機が再び吹いた強風によりバランスを崩す。そしてその風を肌で感じるのと同時に、上条当麻は疲労する全身に鞭を打ち、全力で相手へと駆け出した。

上条「まずはその幻想を……」
読子「……!!」

 突進して来る上条の姿を確認した瞬間、読子の頭に二つの選択肢と二つの懸念が同時に浮かぶ。
 迎撃するか? 全力で上空に逃げるか? 迎撃しても打ち消されるかも知れない。逃げようとしても間に合わないかも知れない。
 その一瞬の躊躇いこそが、彼女の最大の失敗だった。

上条「ぶち殺す……!!」

 走り抜けた勢いそのまま、全身のバネを使い大きく跳躍した上条の指先が飛び上がろうとしたその尖端を捉える。
 接触部を基点として紙飛行機は崩れ、結果、読子の体が宙に投げ出された。

読子「----っ!」

 体制を立て直しながら着地した読子に、上条がすかさず殴りかかる。読子はとっさに辺りの紙を集束させ、防壁として展開するが、上条の右拳の一撃により敢え無く砕け散った。
 そして、続く左拳による二撃目。相手の右頬を打ち抜かんとする繰り出されたフックは、しかし手応えもなく宙を薙ぐ。読子が左腕に右手を添えるようにして、独楽のように体を回転させる事で攻撃を受け流したのだ。

上条「……っな!?」

 体を回す勢いそのまま、左手を掴んだ読子は空いた左手で上条の襟を掴み、まるで柔術の技を繰り出すように上条を投げ飛ばした。
 視界に映る全てが上下逆さまに転じる。そう思った次の瞬間には背中が地面と衝突して、仰向けのまま無防備な姿を相手にさらす形になった。
 不思議と痛みはなかった……が、そのようなことは問題ではないのは上条も経験上理解している。路地裏の喧嘩ならばこのままマウントポジションを取られて滅多打ちにされているだろう。
 「逃げなければ」理屈ではなく本能でそう感じ取った上条はほぼ反射的に起きあがろうと、体を動かそうとした時に気付いた。
 右腕が動かない……いや、それどころか足も、首も動かない。辛うじて左腕の自由が効くだけだ。

上条「なん……だこりゃ?」

 見ると、幾つもの紙が折り合い、重なり合って出来た多数の良く分からないものが体の各部を電気椅子の止め金具みたいに地面に打ち付けていた。ご丁寧にも右腕は手首より肩に向かって寸断無くソレが打ち込まれていて、全く動かない上に手首を曲げて触ることも出来ない。

 上条の体は、完全に封じ込まれていた。

読子「降参して下さい」
上条「……うぇ!?」

 読子=リードマンがこちらを見下ろすような形で紙で出来た剣を突きつける。体は完全な死に体をさらし、動くことも出来ず、胸には皮膚を易々と貫く凶器。
 勝負は既に決していた。

上条「………わかったよ」

 侮っていた。相手は英国が誇るエージェントの一人、白兵技能は土御門には劣るものの、上条に敵うものであるはずがなかった。
 さっき投げ飛ばされたとき痛みを感じなかったのは、恐らく向こうが最後の最後でこちらを気遣ってくれたためだろう。
本来なら試合開始直後にこうなっているはずだったのだ。
 もしかしたら先程までの遠距離戦法も試合とは言え生徒を直接傷つけたくない故に、相手を疲労させきることでこちらのギブアップを誘っていたからなのかも知れない。

上条「降参する……俺の負けだ」

 完全な敗北だ。強さの桁が一つ違う、とてもじゃないが敵う相手ではない。

読子「はい。よくできました」

 にっこりと、輝くような笑顔がそこにあった。

律子「ギブアップ宣言! 勝者、読子=リードマン!!」


林水「理解したかね? これが彼…上条当麻のもつ力だ。先程の勘に加え普段運が悪い分ここぞと言うときに廻ってくる
   ハードラックスキル、数々の能力を相手にすることで培われた直感。まぁ……今回は相手が悪かったと言えよう。
   私もまだまだ甘いな」
宗介「いえ、自分こそ上条を侮っていました。結果はどうあれ、閣下の検眼は正しかった」
林水「ふむ、ならば二人とも今後尚精進を心懸けると言うことで良いだろう……おっと、大事なことを一つ忘れていた」
宗介「何でしょうか?」
林水「彼は大切な何かを守るためならば、決して諦めないと言うことだ。これが彼の強さの源と言えるだろうな。
   もしも大切な誰かの為の戦うならば恐らく彼は今の結果をも覆していただろう。それこそ“敗北”という名の幻想を殺すが如く……な」


CAST

・とある魔術の禁書目録
上条当麻

・R.O.D
読子=リードマン

・フルメタル・パニック
林水会長
相良宗介

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最終更新:2006年08月14日 02:41
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