「なんかさ。アナタのお連れ、ずいぶんケイタと仲いいよね」
とある日の昼休み。
もむもむとチョコレートケーキを頬張りながら、いぬかみようこは呟いた。
同じ学生机の向かいに座るルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはそんなようこに首をひねり、
「それがどうかしたの?」
と、別段これといった仲というわけでもないのに昼食を共にしようと誘ってきたようこに問う。
ちなみに彼女は学生にしてはえらく豪勢な銀食器に盛られた、これまた豪勢な料理に手をつけていた。
色んな生徒がいるこの学校でも、貴族のプライドにこだわる者はどこからかこのような豪華メニューを調達しているとのこと。
「いやさー……」
そんなルイズに嫉妬するでもなく――そもそも彼女にとってはチョコレートケーキこそが最高のメニューである――、
ようこは少々ひくついた笑みを浮かべ、少し離れたところで談笑する己が主こと川平啓太と、ルイズの使い魔こと平賀才人を見る。
「噂で聞いたんだけど、アナタってサイトのこと犬扱いしてるのよね?」
「まあね。あんな使い魔犬よ犬」
ご主人さまを差し置いてとあるメイドといちゃついたり、なにかと胸の大きな女の子の谷間を覗き見たり、
あまつさえ何故か同じ学校に在学中のお姫さまとキキキ、キスしたり(しかも舌入れた!)
「あのー、ルイズー?」
「え、あ、な、なに?」
「話戻していい?」
「う、うん」
真っ赤になって怒りと悔しさを滲み出していたルイズに苦笑するもすぐに表情を真剣なものに切り替え、ようこは告げた。
「あのね。ケイタって犬に好かれやすいの」
「…………、は?」
ようこの言っていることがわからずしばし唖然。しばし経ってもわからないのでさらに唖然。ナニガイイタインダロウコノコハ?
「だからね、ケイタは川平家のいぬかみ使いとして、色々鍛錬を積んでるの。
で、その賜物の一つが『犬に好かれる立ち振る舞い』なの」
「え? は? え?」
「それでね、あの……もしルイズの犬扱いがサイトの心にまで影響を及ぼしてるとしたら、あの懐きようって……」
ええと、それは、なんだろう。つまりこのいぬかみとかいうタイプの使い魔はこう言いたいんだろうか?
『カワヒラケイタの魅力にサイトめろめろ~』
「~~~~~~~~っっ!!」
10秒後、談笑中の啓太と才人の間にものすごい形相で割って入ったルイズが
「サ、ササササイトはあんたの使い魔じゃないんだからあっ!」
と謎の言葉を残し才人の襟首を引っつかんで走り去り、
以後、サイトのことを犬扱いすることがなくなったというのは一部女子の間でちょっとしたカオス空間を生み出したと言う。
CAST
・いぬかみっ!
ようこ
川平啓太
・ゼロの使い魔
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
平賀才人
最終更新:2006年08月10日 11:40