ロレンス「うーん。さて次は草刈りか」
一仕事終え、ぐっと背を伸ばしたロレンスに声がかかる。
モレク 「ああ、ロレンス殿。こちらにおられたのですか」
ロレンス「おや、モレク教頭。どうしたんですか。こんなところまで?」
モレク 「何というほどのことではないのですが……」
紅世の王にして、ライトノベル学園の教頭。モレク。
見た目はまるっきり牛の骨が礼服を着て歩いているようにしか見えず、
牛頭先生などとからかわれる事もあるが、誠実な人柄と采配の的確さは
他の職員たちからも強い信頼を得ている。
最初は驚いたロレンスも、話してみると非常に好感のもてる人物(?)だと判った。
ロレンス (しかしなあ……)
頼りにされるぶん、なにかと苦労も多く、ガラスケースに引き篭もりっぱなしの理事長や
見た目幼女の声デカ理事長の対応ももっぱら彼の仕事ではある。
我の強い理事長たちに粘り強く説得が出来るのが、彼、他数人だけということもあるが
なかなかに大変だとは思う。
ロレンス (芯はしっかりした人なのに)
モレク 「ロレンス殿?」
そんな、モレク自身は皆に頼りにされていることを、どうにも信じ切れないらしく、
いつもどこかオドオドして、どうにも腰が低い。
いまも、不安そうに辺りを見回して、まるで何かを探しているようだ。
ロレンス「なにか、気になることでも」
モレク 「はあ、気になるというか、今日は賢狼殿はいらっしゃらないので?」
ロレンス「賢……あぁ、ホロのことですか。それならついさっき何処かへ行ってしまったんですが
あいつに何か?」
モレク 「あ、用というわけではないのですが。実は、その……
どうもあの方が苦手なものですから、ついですね」
教頭の言葉に思わず苦笑するロレンス。
ロレンス「わかりますよ。あいつは口が減りませんからね。私もよくやり込めらています」
モレク 「いえ、そういうわけではなくてですね。ええ、なんというか、お気を悪くされないでください。
どうも、賢狼殿の私を見る目が剣呑な気がして……」
ロレンス「剣呑……?」
はて、と首を傾げたロレンスの脳裏にホロが初めて教頭を見た時の一言がよみがえった。
(……齧りたいのぅ……)
ロレンス「す、すみません。あの馬鹿にはよく言っておきますので」
モレク 「と、とんでもない! 私のような異形に警戒するのは当然のことですから、
気にならないで下さい。仲間思いのよい方なのでしょう。羨ましいことです」
互いに頭を下げ続ける二人であった。
CAST
・灼眼のシャナ
“大擁炉”モレク
・狼と香辛料
ロレンス
最終更新:2006年08月10日 11:54