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三者懇談

 夏休み……というものを知らない者は恐らく日本国内にほとんどおるまい。
 さて、この夏休みという長期休暇にはその期間に入る前に様々なイベントが存在する。衣替え、プール開き、期末テスト、終業式……その他一夏を迎える前に通過する事は意外と多い。
 そして今日この日、一部の学生によっては非常に悩ましい行事が各教室事に進められていた。

「なぁ式森、これはどういう事態かなるべく簡単に説明してもらえると私は嬉しいんだが」
「はぁ……そう言われましても」

 式森和樹が申し訳なさそうに頭を掻く。その仕草に伊庭かおりはため息を一つついた。

「確かにな、お前の親御さんは何かと都合が悪いらしく毎回毎回会えないのはわかってるんだ。実際一度も会ってないから私としてもそこは気にしない。っていうか気にするのも面倒だし適当にやれば問題ないと思ってた」
「………何かいい加減ですね」
「それぐらいが丁度良いんだ。でだな、問題はそこだ……お前の隣、普通なら保護者が座っているその席だ」

 伊庭かおりがこめかみを押さえながら視線を向ける。その先には………

「何でイザード先生が座ってるんだ? 冗談だとしたら今すぐ頭を差し出せ、撃ち殺してやる」

 この高気温の中白いスーツに身を包みながらも汗一つかかずに胸を張っている緑髪の保険医がいた。

「自然、式森和樹は我が先祖パラケルススの血を分けた遠い親類、ならばこうして保護者代わりに懇談に参加するのも
 当然のことと言えよう」

 そう……教師、生徒、保護者による三者懇談があったのである。

「あ~とりあえずホレ、お前の通知票とテスト結果表だ。せいぜい数字が上がるようにしな」
「あ、どうも……先生、見ます?」
「どれ……何!? 錬金術のテスト中に隣席の生徒を金塊に変えただと? 金に練成して熔解させるのではなく人間をそ
 のまま金塊に変えるとは……我が瞬間錬金に等しい所行を学校の授業で果たしたのか。さすがは世界一の魔力を持ち得し我が血筋だ………何!? 成績5段階評価中3だと? 愕然、伊庭教員、これはどういう事だ!!」
「あたしに聞かないで下さいよ、担当教科は国語なんですから。ていうか落ち着いて欲しいんですけど」
「む……これは失礼した」

 そう言いながらアウレオルスは懐から金色の針を取り出し、それを首筋に刻まれている模様に突き刺した。

「整然、それで……伊庭教員、これはどういうわけだ。対価に見合った結果が得られぬなど等価交換を大原則とする錬金術では有り得ない。それとも式森和樹、お前は何事か講師に疎まれるような行いをしたのか?」
「何かイザード先生が等価交換を語ると物凄く理不尽を感じるんですけど。でも、どうなのかな? そういえばダミー先生、あのテストの後から妙に態度が余所余所しかったような………」
「ふん、奴か。良かろう、後で我が黄金練成にて五体を粉々に砕いてくれるわ」
「テスト内容と全く関係ない結果出して3だったら寧ろ贔屓されていると考えてもいいんじゃないかと私は思うんだけどねぇ」
 とりあえず五分弱に渡る説得の末、アウレオルス=ダミーの生命は保証されたが、抹殺宣言を下した本人はどうにも納得してないようであった。

「それで式森、お前進路とか考えてんの? 面倒だから最初に言っとくけどアンタの成績じゃ時計塔とかに入学するのは難しいよ」
「はぁ……とりあえず実家の神社を継ごうとは思ってるんですけど」
「そうしとくのが賢いかもね……まぁ、危なくなったら親戚の縁で土御門にでも助けてもらいな。この前のミサイル騒動が内申点に加算されたとしたら推薦もらえるかもしれないから諦めろとも言わんが」
「間然……問題無い。私からチューリッヒの方に推薦状を出しておこう、おそらく何の問題も無く通るはずだ。そこで錬金術の粋を極め、先祖に恥じぬ魔術師となるが良い。努力次第では“黄金の夜明け”にも招待しようではないか」
「あぁ……いえ、結構です」

 この後、面談終了時に式森和樹は“次はもっとまともな人に頼もう”という結論に至るのだが、それはまだ少し先の話であった。



CAST

・まぶらほ
式森和樹
伊庭かおり

・とある魔術の禁書目録
アウレオルス=イザード

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最終更新:2006年08月14日 12:57
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