夏に毎日SOS団の集まりがあるわけではなく俺が家では味わえないクーラーの涼しさ
を求め図書館まで自転車をえっちらこっちら漕いでいると俺の決して人外ではない視力を持った
眼は間違えようのないとある人物を捉えた。
それがSOS団の誇る本好き少女長門有紀である。その彼女がまるでかくれていますよという
感じで電柱に隠れながら一点を見つめているのである。そこで、好奇心に駆られた俺は
こいつに話しかけることにする。
「よう長門こんな暑い中何やっているんだ?」
長門は微動だにせず、
「見張り」
と即答された。やはり、こいつの視線の先にはあの団長様がいるのだろうかと思っていると、
「………喫茶店『オルカ』」
と言い双眼鏡を手渡された。とりあえず、あの面をゴルゴ13のような心境で拝んでやろう
と思い覗き込むと、………ハルヒがいない。
「私が見張っているのは涼宮ハルヒではない。三人組の女生徒の一人」
と言われその三人組を探してみると、眼鏡におさげの女と活発そうなショートカットの女と
テーブルに片足を乗り上げてここからでは聞こえないが『うがー』と言う感じで何かを叫んでいる
女がいた。あっ店にいる人に何か謝っている。何だあれ?
「おさげの髪型の人物が河原崎のり、ショートカットの人物が三島晴美、栗色の髪が外側に跳ねている
人物が対象の菫川ねねね。夏休みの課題をしており会話の流れは、
『うがー、全然分からん!あっすみません、うるさくしちゃってゴメンなさいゴメンなさい』
『菫川てばガッコ-のジュギョーあんまでないからバカだよね』
『でも、ホシューはないんだよね。センセのおかげかな?ひょっとしてテストの内容教えてもらった?』
『あー違う違う、あいつ飛び級でイギリスの大学受かってるぐらい頭良いから歴史以外も教えてもらったんよ』」
と長門が言った。俺としては長門が録音テープの真似をするよりもそんなフランクな言葉を
話せることが驚きだ。いつも道理の淡々とした口調だけどさ。
「ところで何で見張っているんだ?」
「菫川ねねねは将来が有望視されている作家であり多数のストーカーに狙われている、ゆえに彼女を
守るためには彼女に危険が及ばないようにしないといけない」
俺としては長門がハルヒやSOS団以外の人物に興味を持つのを喜ぶべきかそれともストーカー予備軍に
なるのを嘆くべきか判断に迷うところだね。
「とりあえず、サインでも貰いにいったらどうだ長門、ストーキングなんざやめて」
「サインなら以前のサイン会の際にもらっている。それに彼女は一部を除いてファンがプライベート
に干渉をするのを好ましく思わない」
「なら、読子先生に身辺警護とかは任せて俺たちは図書館にでも行こうぜ。あの人古泉と似たような胡散臭い組織の
エージェントとかなんだろう?俺は高校生二人が熱中症で死亡なんて新聞に載せられたくないぜ」
長門ならたとえ富士山のマグマの中でも温泉気分で浸かってそうだが。
「………彼女の能力では私に不安が残る。それに、私自身も以前から数件彼女の身柄を狙う人物あるいは
組織から彼女達に知られず身を守ったことがある」
さて、俺は何からつっこめばいいんだろうか?誰か教えてくれ。
「彼女が編集社に行く時間になった。私も行かなければいけない。では、午後からは他の人物に任せるから
それまで図書館にいて」
「まあいいが、誰だよ午後からの担当は」
「禁則事項」
そういいこいつはあっという間に消えた。とりあえず昼まで図書館で涼んでなければいけないらしい。
とりあえず、あの台詞は言わないでおこう。まだそういう状況じゃないからさ。
CAST
キョン
長門有希
菫川ねねね
河原崎のり
三島晴美
最終更新:2006年08月29日 12:10