空間があった。
異常なほどに広い正方形の底面よりも、さらに以上なほど高い天井を持つ円柱状の部屋。
その中ほどを、四機の機竜がまるで獲物を狙う鷹のように旋回していた。
変化は唐突だった。
今まで悠々と飛行していた機竜たちの身に緊張が走ったと思われた瞬間。
底面から機竜たちの位置まで、壁を駆け上がるように一瞬で赤い線が引かれ、同時に一機の機竜が軋みを上げながら地上へと落下していった。
落下した機竜のすぐ後ろを飛んでいた一機が、仲間が撃墜された原因を突き止める。
それは真紅の鷹だった。
特注仕様の赤い装甲服をまとった流線型の優美なフォルム。
乱れる赤髪の間から、同じく赤い輝きを放つ両の目が覗く。
彼はその赤い何かを自らの攻撃対象だと断定、全ての砲筒を対象へとロックする――が、遅い。
先程落とした機体から離脱するときに、途方も無いスピードで自らを次の獲物へ打ち出していた赤い影は、相手が自分を補足するよりも早く、機竜へと肉薄していた。
赤色は両手で握っていた自らの身長よりも長い武神用小剣を頭上高く振り上げ、力任せに機竜へと振り下ろした。
打撃音。
空間中の大気を振るわせる轟音とともに、背を打たれた機竜が海老反りに地へと叩き落とされる。
落下する最中、やっと正確に赤い影を捕らえられた機竜は、端正な顔にシニカルな笑みを張り付かせた長身の美女を見た。
哀川潤は二機目を地へと落とした後、最も近い面である背中側の壁を5th-Gの概念で地面とし、体をひねりながら着地、剣をかざしながら右へと跳躍。
同時、先程まで彼女の居た地点に光弾が容赦なく叩き込まれた。
砲撃をしてきたのは彼女の今の視点からしてほぼ真上、一直線にこちらへと向かってくる機竜。それは、なおも潤へと執拗な砲撃を浴びせかける。
潤はそれらを大剣を持ったまま右へ左へ踊るように回避する。
連射の限界が来たのか、一時的に砲撃が止む。その隙を狙い跳躍しようとした潤へ、来るはずの無い砲撃が再び加えられた。
今まで連射を行っていた機竜の後ろから迫り来るもう一機だ。
潤は「チッ」と舌打ちすると、迫り来る弾丸を避けながら思い切り武神用短剣をブン投げた。
高質量を有するそれは大気を切り裂きながら回転し、一時的に砲撃をやめていた機竜へと迫る。
完全に虚を突かれた機竜に成す術は無い。頭部に直撃した剣は機竜へと突き刺さらず、鈍い金属音を上げ機竜をのけぞらす。
しかしそれで十分だ。それを確認すると、驚きで一瞬止んだ砲撃の隙を突き無傷の機竜へ飛んだ。
弾丸の如く迫る赤に、機竜は反応できない。
赤い弾丸は難なく機竜の体へと取り付くと、組んだ両手を思い切り振りかぶり、叩き付けた。
高速で打ち出される機竜。
叩き付けた先には、のけぞるもう一機。
当然、激突。空間内に今までの比でない激音が響き渡った。
きりもみしながら落ちてゆく二機を追うように、哀川潤も落下して行く。
顔に、シニカルな笑みを浮かべ。
潤 「いいかー、自分より大きい、しかも飛翔する敵はこういう風に――」
いー「いや、いくら肉体強化の概念使ってるからってアンタ以外こんなことできませんから!!」
宗介「なるほど、ためになる」
いー「ならねーよこの戦争バカ! つーかお前にあんなことできんのかよ! やってみろよ!」
潤 「こういうこともあるから、ASで一般歩兵と戦闘するときでも決して油断しないことだな」
宗介「わかりました! 教授」
いー「わかりましたじゃねーよ! ふつう戦場にこんな人居ませんから! 哀川さんだけですから!」
かなめ「いーちゃんさん いーちゃんさん」
いー「何!?」
かなめ「はいこれ」
いー「……ハリセン?」
かなめ「…………コクリ」
いー「………………」
スパーン!!
CAST
哀川潤
いーちゃん
相良宗介
千鳥かなめ
最終更新:2006年09月04日 14:23