授業参観というものをご存知だろうか?
万が一知らないという人物のために説明すると、生徒の保護者が文字通り授業を参観するのだ。
字の意味が分からないなら辞書を引くと良い。
さて、この学園でもそれは当然の如く行われるのだが……生徒に負けず劣らず、参上する保護者もまたどこかずれていのだった。
例えば。
「やっほー。竜ちゃんのためにやっちゃんお仕事そっちのけで来ちゃった!」
てへ……と語尾にハートを付けてVサインするムチムチのお姉さんが良い例だろう。
突如ハイテンション且つ子供っぽい美声を張り上げて現れた高須泰子(33)の姿に教室中の視線が集まり、その声の先の人物へと素早く移る。
「おい高須、あの何だかすっげぇ外見と中身の釣り合いが取れてねぇ人ってもしかして……」
額に汗を垂らしてこっそりと話しかける上条当麻に高須竜児は溜息と共に答えた。
「……俺の母親だ。あれでも三十三の立派な大人なんだが」
「いや、高須の気持ちは良く分かるよ。何せ僕の親もアレだからね」
上条とは別サイドから話しかける声が一つ……坂井悠二だった。
クイッ…と一瞬視線を向けた先では何やらほんわかした雰囲気の女性が手を振っていた。
「あれは……」
「坂井千草……僕の母さんだよ」
「奇遇だな、アレを見ろ」
今度は上条当麻が親指で後方を指し示す。
そこでは周りに構わずピンク色のオーラを発する仲睦まじい夫婦が談笑していた。ちなみに妻の方は恐ろしく若い。
いや……この場合そう見えるだけなのだが。
「あの中年と談笑している女の人は……」
「あぁ、俺の母さんさ。隣にいるのは俺の父さんだ、ちなみに同い年だぞ」
上条当麻が困憊しきったような笑顔を浮かべる。
「「それはありえない」」
「お前等の親と大差無いわ!!」
上条当麻の声がむなしく響き渡った。
その後
寛二「ん? おお、高須の女じゃねぇか。久しぶりだなぁ!」
泰子「あれぇ、美樹原の組長さんじゃないですかぁ。お久しぶりでぇす!」
寛二「おう、相変わらずいい女じゃねぇか。今日はどうしたんだ?」
泰子「息子の竜ちゃんのためにわざわざお仕事休んで来ちゃいました!」
寛二「高須の息子だと? どれ……ほう、あれだな」
泰子「やっぱり分かっちゃいます?」
寛二「おうよ。アイツにそっくりで良い目付きをしてやがる」
泰子「きゃ~ん! やっぱりそう思いますぅ!?」
上条「なぁ、高須……」
竜児「頼む、頼むから何も聞くな。お前も親父さんのお前に勝るとも劣らない旗立てっぷりには困ってるだろ?」
CAST
高須竜児
高須泰子
上条当麻
坂井悠二
美樹原寛二
最終更新:2006年09月19日 13:45