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粉骨砕身

「トリック オア トリート」

可愛らしい声と同時に職員室の扉が開く。
あいも変わらず一人居残って仕事を続けていたモレクがみたのは。
「おや、パンプキン先生。それに…コッペさんとルーミィさんでしたね。こんばんわ」
「ちがうのー。コッペはもーふオバケなの」
「ルーミィはわるいまじょさんなんだよぉ」
そう主張するとおりコッペは頭から毛布をかぶっているし、ルーミィはいつものジャンプスーツに
黒いマントと尖がり帽子をかぶっている。それを引率するのがカボチャ頭のパンプキンとくれば。
「なるほど、ハロウィンですか」
「左様。死者を導く灯火は今宵は休業。今の我は子供を導く守護の聖火といったところであるな
 さて、コッペにルーミィ、教頭殿に何か言うのではなかったかね?」
「あ、うん。きょーとーせんせー、おかしー。おかしちょうだい」
「くれなきゃ、いたずらしちゃうんだぉ」
言われて強請りだす二人を微笑ましく思いながら、モレクは引き出しに手を入れる。
そこには昼間、子萌先生が用意してくれた飴玉が入っているはずである。
「はいはい、今出しますよ…………おや? あれ、確かここに?」
「おやおや、教頭殿。まさか骨だけのお体ゆえ、するりと落としたとか、そう言われるのかな?」
「いえ、落としたとかではなく、確かにこの棚に」
慌てて、他の引き出しも調べてみるモレク。しかし飴玉は出てこない。
「ふうむ、教頭先生はお菓子をくれない様であるな。ではどうするかね、二人とも?」
「いたずらー」
「いたずらだおう」
うれしそうに言うコッペとルーミィの様子に仕方がないかと首をうなだれるモレク。
(まあ、子供のいたずらですし、そうひどくはないでしょう…)

甘かった。

「ヨイタ…キイデン…トゲロヒヲ、サバ……」
ルーミィがフライの呪文を唱え、モレクの体が宙に浮く。
「お、おやあっ!?」
そして南瓜の弾頭を取り付けた大砲、即ち「ワゴンオブパンプキン」を構えるコッペ。
小さい子供の姿でも、元々は戦闘用人造人間として作られたコッペ。
その狙いはあまりに正確で。

――モレクの体が宙に四散した。


「うしさーん、うしさーん」
「きょーとーせんせー、ごめんなさーい」
一瞬、気を失っていたらしい。モレクが気づいたとき、目の前でコッペとルーミィが泣いていた。
慌てて体を再構成して、二人の頭をなでてやる。
「大丈夫、大丈夫ですよ。ちょっと吃驚しただけです」
実際、バラバラになったとはいえモレクにダメージはない。諍いを止めるために自らの体を
投げ打つことは割と日常茶飯事である。今回のは驚きが大きい部分が強かったが。
「どうだねルーミィ、コッペ。いたずらとはいえよく考えなければ人を傷つけるのである」
パンプキンの言葉にグスグスべそをかきながらもしっかりとうなずく二人
「そうかね、よろしい。ではきちんと判った二人には我からお菓子をあげるとしよう」
(!? あの飴玉は…)
二人を諭しながらパンプキンが取り出したのは、確かに用意していたはずの南瓜の飴玉だった

(その、どういうことです?)
(何、二人のいたずらをどうにかして欲しいとシアに頼まれたゆえ、一芝居をうってみたのだが?)
(それは…なら一言ご相談いただければ)
(うむ、しかし汝は演技などできぬ性質と見たゆえ、事前に連絡してはこう上手くいったかどうか
 ともあれ汝をダシに使ったようなことについては謝罪しよう)
まだ不満げなモレクを、コッペとルーミィがしょんぼりとした顔でみあげてくる。
「……ごめんなさい」
「ごめんなさいだぉ」
「もういいのです。さ、他にもお二人が来るのを楽しみにしている人がいますよ。行ってあげて下さい」
言われて二人はパッと笑顔を浮かべ、手を振りながら職員室を出て行く。その顔をみれたなら、
ダシにされたのも悪くはないかとモレクは思った。

「では、我も行くとしよう。そして汝に改めて感謝を。これで二人の悪さも少しは治まる。後の者達は
 助かるであろうよ。しかし、此度といい、今も一人残って人知れず仕事を進めておく。我にはできぬ。
 つくづく汝には感嘆することであるな。牛骨の賢者殿」
「いえ、私にはコレぐらいしかできないのでやっているだけです。むしろ私には威厳がありませんので
 貴方のようにきちんと子供を叱ることができる人を羨ましくおもいますよ。南瓜の道化師殿」
かくして子供達を見守る二つの灯火でハロウィンの夜は更ける。


CAST

  • コッペとBB団
コッペ

  • フォーチュン・クエスト
ルーミィ

  • 空の鐘の響く惑星で
パンプキン

  • 灼眼のシャナ
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最終更新:2007年12月09日 22:25
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