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アルバイト・クリスマス

チ…チチ…チュン。

鳥の声に目が覚める。
「うーん、あいたた。うわ、何これ」
うっかりわたしはベッドに寄りかかって寝てしまったらしい。体のあちこちが痛い。
いやいや、そんなことより落ち着け、わたし。
なんでサンタの衣装を着てるんだ?
あわてて辺りを見回すと、ベッドの上にはルーミィとシロちゃんが寝ている。
やっぱりルーミィもサンタの衣装を着てるし、シロちゃんは頭に大きなトナカイの角が付いていた。
えっと。まてまて、こんな時は落ち着いて。

わたしはパステル。冒険者。職業はマッパー兼詩人。で、ここは間違いなくわたしの部屋だ。
うん、記憶喪失じゃない。
じゃあ昨日は一体何をしてたんだっけ。


それは25日のクリスマス。
「こら、パステル。それはこっちの袋につめる奴だ」
「ご、ごめんなさい。じゃ、これでこの袋一杯です」
わたしは>>819>http://book4.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1155908941/819?のバイトに募集して、龍華さんの指示で袋におもちゃを詰めていた。
これがもう大変。
全校生徒に配るのはいいけど、この学校ものすごいひとがたくさんいるし、
年齢だってばらばらなもんだから、プレゼントも凄いことになってる。
配る方に回ったクレイたちも「大変だ」ってぼやいてたし、トラップなんか「けー、そっちは楽そう」だな
なんて言ってたけど、こっちだって大変なんだから。
そんなとき。

「ぱーるぅ」
ルーミィがわたしを呼ぶ声がした。
よばれた方を見るとルーミィがバイト責任者のパンプキン先生といっしょに歩いてくる。
「ルーミィ、なんでここに」
「うむ、我がプレゼントを配りにいく時にへまをしてしまってな、ルーミィが起きてぐずりだしたゆえ此方に連れてきたのだ」
「馬鹿か、貴様。へまをしでかした上に連れてきただと。こんな小さな子を夜中に連れ出す奴がいるか」
あわわ、龍華さんおちついて。うーんこれじゃわたしのほうは怒れなくなっちゃたなあ。
「ぱーるぅ、何してるんだぉ」
ルーミィがわたしの服のすそを引っ張ってくる。困ったなあ、まだバイトあるし。
わたしが悩んでると、パンプキン先生と龍華さんの言いあいがだんだん激しくなってくる。
わわ、龍華さん殴ったよ。うわー、パンプキン先生、大丈夫かなあ。
あ、龍華さんこっちくる。ちょっと怖いなあ。

「ルーミィちょっとおいで」
龍華さんはこっちに来ると、さっきまで怒っていたのが嘘みたいに優しい声でルーミィを呼んだ。
「おばちゃん、なんだぉ」
うわわ、ルーミィそんなこといっちゃダメ。
でも龍華さんは怒ることもなく、やってきたルーミィをぎゅっと抱きしめる。
ルーミィも最初はびっくりしてたけど、すぐに嬉しそうに抱き返した。
「ルーミィ、パステルは好きか?」
「だいすきだぉー」
その答えに目を細め、龍華さんはルーミィの頭をなでた。
それからわたしにむかって言ったんだ。
「ではパステル、あとはあの南瓜頭に聞いておけ。私は仕事に戻る」
なんだろう、龍華さんすこし寂しそう

「あ、パンプキン先生。どうしたんですか。龍華さん怒らせたみたいですけど」
「なに、ルーミィは幸せであると言っただけだが」
はて、なぜそれで龍華さんが怒るのだろう。
「つまりだな、ルーミィには生みの母と育ての母、二人がいる。それは素晴らしいことであると言ったのだよ」
ルーミィの育ての親……? え、ええそれって私のこと?
「違いますよ。わたし、母親なんてそんな」
「では、家族といっても良い。なんにせよ長年共にいてくれた人を家族と思わぬ道理はあるまい?」
それは……ほんとにそうだ。わたしはとってルーミィは妹みたいなものだもの。
「ゆえに血がつながらぬからといって母と慕わぬ子はいないであろうよ。とまあ、そう言ったら
へそを曲げられてしまったのだ。気難しい上に照れ屋な仙人殿であるからな」
うーん、それで怒る? よくわかんないけど、龍華さんの照れ隠しってことなのかな。

「それより後のことは先生に聞くように言われたんですが」
「うむ、うっかりルーミィを連れてきてしまったのだが、それではパステルが作業ができぬな?」
そうなんですよ。それで困ってるんですけど
「それゆえそなた達には別の作業をしてもらう。さあ、入ってきたまえ」
パンプキン先生にいわれて入ってきたのは、わたしもよく知っている人物?だった。
「シロちゃん、どうしたの」
そう。シロちゃん。幸せを運ぶホワイトドラゴンの子供でルーミィと同じ、わたし達のパーティの大事な仲間だ。
けどその姿がいつもと違う。
ほんとならシロちゃんは子犬みたいな姿か、10mを超えるおっきなドラゴンのどっちかしかない。
なのに、いまはその中間ぐらい、馬みたいなサイズになっている。
「龍華さんにお薬もらったデシ。今日一日はこのままデシ」
そういって背中の翼をぱたぱた動かすシロちゃん。

ううむ。おもわず見慣れないシロちゃんの周りを回ってみる。
するとシロちゃんの後ろに変なものがあった。背中から皮ひもが伸びてその先に会うのは。
……橇? それにさっきまで仕分けしてたのにそっくりな白い大きな袋。
よくみるとシロちゃんの頭には角飾りがついて……これってトナカイ?

「気づいたようであるな」
首をかしげるわたしの横に、大げさに手を広げたパンプキン先生がいた。
「プレゼント配達も大詰め。仕分けもほとんどすんだゆえ、後は配るための人手が必要なのだよ」
「配るって……そ、そんなの無理です、わたし」
あわてて首を横に振る。なにしろわたしは方向音痴(マッパーなのに!)だ。
クレイたちは配達係になったけど、あたしだけ裏方なのはそういうわけだ。
でもほんと。プレゼントの配達なんてしたら、きっと迷っちゃっていつまでたっても終わらない。
「しかしルーミィは乗り気だが?」
「しゅごーい。ぱーるぅ、空とんでるよぉー」
うわ、ほんとだ。橇にルーミィを乗ったらちょとだけ浮かんでる。あれってやっぱりマジックアイテムなんだ
「なに、心配は要らぬ。橇には自動的に目的地をめざす仕掛が組み込まれてある」
「でも……」
なおもためらってしまうわたしに、パンプキン先生のとどめの一言。
「ちなみにバイト代はきちんと三人分出すが?」
なんて言ってくるんだもん。そこまでいわれちゃ、うなずくしかないよね。
だってバイト代三人分だよ。

「では、これがそなた達の担当リストである。この全員配れば今日はおしまい。よろしいな?」
そういってパンプキン先生が、名前と住所が書かれた紙を渡してきた。うわ……けっこう数あるよこれ。
わたしがリストに載ってる名前の多さにびっくりしてると、パンプキン先生が手元をのぞいてくる。
「ふむ、送り先は多いなパステル……いや……たいした事はないか……今宵はパルテルとルーミィでダブルサンタであるからな」
「僕もいるデシよ」
「おお、そうであった。ますますもって心強いことであるな。故事にも曰く、三人力を合わせれば恐れること無し、
無事やり遂げられるであろうよ」
うん、そうだ、シロちゃんもルーミィも手伝ってくれる。きっと大丈夫。
「はいっ!頑張ります」「はぁーいだぉ」「はいデシ」
「うむうむ、では子供たちに良い夢を」


「そっかぁ」
ようやくわたしの記憶もはっきりしてきた。
結局全部配るのに朝までかかって、へろへろになって帰ってきたんだっけ。
着替える気力もなくてそのまま寝ちゃったんだ。
あーどうしよう。このサンタの衣装返さなきゃ。やだシワになってないかな。
「むー、ぱーるぅ」
そんなことを考えてると、ベッドの上でルーミィが寝返りをうった。
「……うん、いいよね」
そうだね。
ルーミィが起きるのを待ってパンプキン先生のところに行こう。
遅くなって怒られるかもしれないけど。
いっしょにいこう。そうしよう。

「よーし、今日一日も頑張るぞっ!」


CAST

  • フォーチュン・クエスト
パステル
ルーミィ
シロちゃん

  • 空ノ鐘の響く惑星で
パンプキン

  • 封仙娘娘追宝録
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最終更新:2007年12月09日 22:31
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