「くっ…」
「…終わりだ、池。」
膝をつき、うなだれる池を、二人の主人公が見下ろす。
「ごめん、池」
「経験の差、って奴…かな」
言って、池は悔しそうに薄笑う。
上条当麻も坂井悠二も、学生ながら並大抵でない修羅場の数々を潜って来た猛者だ。二重の意味で。
どちらか一人に騙し討ちを仕掛けたならともかく、二人同時に相手にしては、池に敵うはずがない。
分かっていた。そんな事は重々承知で、けど、それでも。
「まぁ…なんだ。また明日、な」
少し照れ臭そうに呟いた上条と、こちらは真顔の坂井が、池に手を差し延べる。
しかし、池はそれを振り払った。
――まだ終わっていない。まだだ、まだ一つだけ――!
虚を衝かれつつも、池が懐に手を入れるのを見た坂井は池に向かって飛び込む。
それは、銃を抜かれる前に腕を押さえようとしたからなのだが。
「ダメだ、坂井!封絶!!」
上条の言葉にはっとする。池が持ったのでは銃ではなく――
――手榴弾!?
驚愕を顔に貼付けた坂井を見て、池は、今度は嬉しそうに、しかし少し申し訳なさそうに笑い。
アッラーアクバル
「さよならだ」
「まだヘルシングネタかよ?!」
ツッコミの余韻と共に、手榴弾が炸裂…
……しなかった。
「これは…ヤドリギ?」
何処からともなく飛来したヤドリギが、見事に手榴弾を包み込んでいた。
中で炸裂した手榴弾は、立派な音だけを残したが、ヤドリギの強固な壁を破ることは出来なかったようだ。
「…ってことは」
上条が振り向いた先、そこには。
「まいどどーも、<アストラル>です」
「伊庭、高瀬!…助かった」
魔術結社<アストラル>。
様々な分野の一流が揃うこの結社は、今は半年前まで普通の学生だった伊庭いつきが社長に就任している。
ちなみに伊庭、高瀬(あとここにはいないがアディリシア)は上条達の同級生である。さらに主人公とメインヒロインなのでスルー組ではない。
いやよかったよかった、と笑顔で近づくと、突然坂井が上条に体当たりを敢行した。
「なにす――…っ!?」
何すんだ、と上条が抗議の声を上げるより速く、先程まで上条が居た位置にヤドリギの矢が撃ち込まれていた。
その一瞬の隙を衝き、池が高瀬の箒に載せられる。
上条達が気付いたときにはもう、三人の乗った箒は手の届かないところへ飛び去っていた。
「やられたー!ってか別に助けるのはいいけど一般人に殺傷力のあるモン撃ち込むなー!!」
自分で言っててちょっと説得力無いかもしれない、と思ったことが、上条には哀しかった。
「何故…?」
一方、池。何故自分が助けられたのか分からない、そんな表情をしている。
「それが依頼やから」
と、端的に説明したのが高瀬。
「えーっと、スルー組組長って人から手紙が」
そう言ってなにかを取り出したのは伊庭である。
それには一言
『次の出番のために 次の次の出番のために』
と、書いてあったと言う。
「最後までヘルシングか…」
「いや、出だしがアレやったから徹頭徹尾行ってしまおうかと」
「…スレ違い気味だね」
「……正直、すまんかった」
CAST
上条当麻
坂井悠二
池速人
伊庭いつき
穂波・高瀬・アンブラー
アディリシア・レン・メイザース(名前だけ)
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最終更新:2007年12月09日 22:39