足元の才人達を手に乗せ、近くの校舎の屋上に乗せる。
その後に、破壊ロボへと向き直る九郎/デモンベイン。
『ふふん、遂に来たであるなデモンベイン。今日こそ、今日ぉぉぉぉーこそはこの『スーパーウェ(中略)ん~♪〕』で、
スクラップにした挙句に夢の島にでもこっそり不法投棄してその後でバレて問い詰められても知らんぷり♪にしてくれる!!』
「やれるもんならやってみやがれ!このキ○○○科学者!」
『どぅああーーれが○○ガ○であるかーーーっ!!』
『博士ロボ!(堂々と、かつ晴れやかに)』
『エルズォォァアアアアアアッッ!!?!?』
「己の暗部というものは、誰しも直視したくはないものよな」
外部スピーカー全開で流れる(、脱力感溢れる)会話。
『ぬえぇぇぇいっ、ともかくっ!今度こそこの新天地で、我輩は貴様に勝つ!エルザ、やってしまうのであぁぁーーるっ!!』
『イエス、ドクター。ロォォォォボォォォォォッ!!』
「……あれだけ言って結局他人まかせか」
「いつものこったろ?ぼやくなよ、アル。……そんじゃ、やるか!!」
「了解だ、九郎!」
「「征っけーーー!デモンベイン!!」」
――三位一体の魔を断つ剣が、ラノベ学園の校庭を駆ける。
「せいやぁぁぁっ!!」
ドガァァァッ!!
『のぁぎゃああああぁぁぁっ!!』『ロ、ロボォォォォォッ!!?』
デモンベインのハイキックが破壊ロボに決まる。ゴロゴロと転がっていき…しかし、遠心力を利用して起き上がる破壊ロボ。
「ちっ、相変わらずしぶとい…!クトゥグァ!イタクァ!!」
二挺魔銃を召喚するデモンベイン。それと同時に脚部シールドの周囲が帯電する。
巻き上がる足元の土や砂……しかし、それら全てが不規則/出鱈目に、重力落下/上昇/停止/出現/消失を繰り返す。
――断鎖術式による、時空間歪曲現象。
「ティマイオス!クリティアス!開放!!」
轟ッ!!
アルの掛け声と同時に空中を翔けるデモンベイン。破壊ロボをすれすれで飛び越える軌道。
すれ違いざま、二挺魔銃を構え――
「……散華しろ!!」
撃つ/BANG。撃つ/BANG。撃つ/BANG――!!
「!今である、エルザァァァァーー!!」
「ラジャーロボ!!」
カチリ。
ウェストの合図に応え、エルザはそのスイッチを押した。
「ッ!な―――」
「―――何だとっ…!?」
――――突如。
クトゥグァとイタクァが消えた。
魔銃だけではなく、弾丸すらも消えて失せた。さらに――
「っ、断鎖術式がっ!?」
「――――!や、やべぇっ!!」
時空間歪曲現象すらもが消失。正しい慣性の法則へと引き戻されたデモンベインはそのまま破壊ロボを飛び越え、その
向こう側へと受け身も取れずに突っ込む――。
「ううおおおぉぉぉぉっ!?」「にゃ、にゃああああああああっ!!?」
ズズゥ……ン!
轟音を立てて地に落ちるデモンベイン。
それを屋上から見ていたルイズには、あれがなぜ起こったのか理解ってしまった。
「あれって…ディスペルマジック……!?」
「ディスペルって、それって…!まさか!?」
「成る程、それで道具一式ギッていったってわけかい……」
「ぬふふふふはははは……えひゃーーーーーははははははははははっ!!!
どーだ見たかである大十字九郎!これぞ今回の大目玉発明品『マジマジいれいずくん(業務用)』であ~る!
こちらの発明品はまず我輩謹製の解析装置に『水のルビー』を組み込み、それを用いて『始祖の祈祷書』の
文面を解読、その中の『ディスペルマジック』の術式を『ヴァリエール家の杖』を出力装置として『スーパ(略)〕』
周囲にフィールド上に展開するものとなっております。『おかげであの探偵とのTOラブルもきれいさっぱり解決です!』
『これでにっくき彼奴をコテンパンにできました!!』などなど、反響の声も続々と!!」
『二つともてめえの脳内からだろ!!』
頼みもしない発明品解説をやらかすウェストに対し立ち上がりつつツッコミを入れる九郎。
「本当ならエルザの『我、埋葬にあたわず』にもこれのコピーが追加機能として搭載される予定だったロボ。そして
そのだっさいスーツをひん剥いてエルザのマイルームへダーリンをテイクアウトするはずだったロボ……」
『……ほほう、そのようなことを考えておったか機械人形』
がっかりな様子のエルザの声に地の底から響くような声で返すアル。
「…何で『ディスペルマジック』だけなのかしら」
何気なくぼそりと呟いたルイズ。すると。
『ご説明するならば出力制御が不安定で無敵ロボ近辺にしか発動できないからであ~る!』
『近くで『エクスプロージョン』をやればエルザたちも巻き込まれちゃうし、『イリュージョン』を使っても
離れた所に幻影が出ないとあまり意味が無いんだロボ』
『それにほかにも呪文は有るようではあるが我輩の解析装置をもってしてもいまだ解読中なのである(九巻現在)』
“ぼそり”のはずなのにしっかり聞こえていたらしく、律儀に解説する二人。
「…ご親切に」
あまりの展開に疲れているのか、気の抜けた様子で礼などいってしまうルイズ。
「……どうして最初から使わなかったんだ?」
これは才人の疑問。
『ふん、貴様も男(おのこ)ならわかるであろう。
――新兵器はここ一番の苦境で使ってこそ!それこそが男(おのこ)の浪漫にして美学!!
イッツ・ジャパニーズ・クール!!!』
ジャパニーズクール、つまり“粋”。
「……」
わからなかったからかもしくは呆れてか、とにかく何も言わない才人だった。
「チッ……しかしどうする?」
舌打ちをして悩む九郎。破壊ロボシリーズには必殺技と言える『ドリル・トルネード・クラッシャー』がある。
おそらく『旧き印/エルダーサイン』すらも解呪/ディスペルしてしまうだろう『発明品』があるからには迂闊に接近戦は
仕掛けられない。バルカンでは威力が低すぎるし、あの『奥義』に賭けるにしてもそれすらも解かれかねない。
「手詰まりかよ、ド畜生……!」
――だが、その時!
『科学を悪用するものは~~誰が許すとも、我は断じて許すまじ~~~~』
「「「!?」」」
才人たちの後ろから突如聞こえた大音声。二人は驚いて振り返り、
「!?何だぁ!?」九郎も驚き、
「なッ、何者であるか!」「ロボ!?」ウェストとエルザも驚き、
「な、汝は……」アルは
「……ハァ(溜め息)」呆れた。
そこに居たのは――
『我は“科学の騎士”なり~~~~』
……なんか名状し難き人型の何か。
とりあえず才人はこう表現した。
「……潜水服を着たゴリラ?」
『誰が潜水ゴリラですかーーー!!』
(勢いだけ)鋭い反論が返ってきた。
『……オーガスタ・エイダ・ダーレス。否、今はエイダ・覇道か。……汝、何故この学園におる』
アルが潜水ゴリラ――エイダに問う。
『マイアミ市警が購入した新型強化服のオリジナルがこちらの学園にあると聞いたので、それと雌雄を決するためにですわ』
その答えには何の迷いもなかった。ちなみに、それとは言うまでもなく相良宗介軍曹考案の『ボン太くん』の事である。
『そうしたら、あの―――』
ビシ、と電撃槍の先端を破壊ロボに向ける。
『不細工極まりないアーカムシティの汚点が校庭で不遜にもデモンベインと戦っているではないですか』
『なっ、不細工極まりないであるとぉぉぉぉぉっ!!?』
『確かに不細工だけど、そっちも人の事言えないロボ!!』
『…全く、同感だ』
『うむ』
同意見な四人。そして破壊ロボとデモンベインも頷くそぶりを見せる。
ついでに、才人とルイズも頷いていた。デルフリンガーも頷けたら頷いていただろう。
『お黙りなさいっ。ともかく、これ以上あなたの好きにはさせませんよドクターウェストっ』
味方が一人もいなくなったのを誤魔化すように会話を切るエイダ。
『――出番です、リトル・エイダ!!坊ちゃま!!そして皆さん!!!』
『了解した、我が原型(母)』『…まだ坊ちゃまなのか……』『狭いのは嫌だ…狭いのは嫌だ…』『……行くぞ』
この場の誰のものでもない四つの声が響く。
『L・Aだと?それに、この声…エドガーとアズラッド?』
アルが呟いた直後。
ドグォォォォォン
と、爆音。そして――
ズズゥゥゥン
と、轟音を立てて破壊ロボが傾いた。
「な、何が起こったであるかぁぁぁぁ?!!?」
「ちょ、超長距離からの狙撃により脚部関節が破壊されたロボ!」
コックピット内であわてるウェストとエルザ。
「超長距離からの狙撃であると!?」
「今方向を逆算するロボ……見つけたロボ!」
エルザが突き止めた方向、その先には――
「……あの、何ですか、あれ?」
エルザが見つけたものと同じものを指して、エイダに尋ねる才人。
『あれこそは、私が設計した万能自走蒸気機関。その名も“ゴリアテ”と言います』
そこにあったのは、キャタピラの下半身と人間と蒸気船を足して二で割ったような上半身を持った巨大な鉄塊であった。
そのアームには、銃が握られている。
「ちなみに、あの銃もあんたが作ったのかい?」
これはデルフリンガーの質問。
『あら、しゃべる剣ですか!』
興味深そうにデルフリンガーを見つめるエイダ。しかし、すぐ真顔に戻って質問に答える。
『――質問の答えですが、NOです。あれはこの学園の武器庫からゴリアテのアームで
使えそうな物を見繕ったものですわ』
先の狙撃で破壊ロボの脚部を破壊した銃である。
『敵機動力を削ぐことに成功。原型(母)よ、次の指示を』
どこかアル・アジフに似た、しかし感情を感じさせぬ声――L・Aの声が通信機を通してエイダの耳に入る。
『ふむ――L・A、ディスペルフィールドの出力装置の位置の特定はできますか?』
『可能だ』
『よろしい。では、特定でき次第装置を狙撃し、フィールドを――』
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
才人の声が、エイダとL・Aが出そうとした結論に待ったをかける。
『?どうしました?』
「あのドラム缶が使ってる出力装置には、ルイズの杖が組み込まれてるんだ」
『ルイズ……そちらの方の事ですか』
「ああ、けどそれだけじゃない。あの中にはあいつが大事な友達から譲られたものだってあるかもしれないんだ。だから――」
『L・A、狙撃は中止。ゴリアテをこの校舎に寄せてください』
『了解』
才人の懇願を聞き入れ、エイダは新たな指令を下す。
『これより私が直接中へ乗り込んで、装置を停止させます』
校舎へと寄るゴリアテ。エイダたちがいる屋上へとそのアームを伸ばす。
『任せてください。彼女の大切なものは、必ず取り戻して見せますわ!』
そういい残し、アームに乗るエイダ。彼女を内部へと収納し、ゴリアテは発進する。
「……あら?」
不安からか、寄り添おうとして、その対象がどこにもいないことに気付くルイズ。
「……まさか。ご主人様が不安な時にあの犬、また勝手なことを……」
セリフこそ、怒りから口をついて出たようなものに聞こえるが――
その顔は、紛れもなく自身の使い魔の身を案じるものだった。
――彼女の視線は、ゴリアテへと向けられている。
「……で。どーすんだよ、相棒」
「え?」
「あのでっかいドラム缶のまわりにゃディスペルマジックが常にかかりっぱなし。
俺も、相棒のガンダールヴの力もどうなるかわからんぜ」
「……あ」
――エイダとルイズに内緒でゴリアテの甲板に飛びうつった才人は、さっそく途方にくれた。
『来たロボ、博士!』
『ふん、まともに相手をする必要もあるまい。エルザ、頭部ドリル展開!地面にもぐってやり』
『させっかあぁぁぁ!!!』
ガキン!!
『すごほぉ!?大十字九郎!!?』
地中へもぐろうとした破壊ロボをがっしりと捕まえるデモンベイン。引き剥がすべく腕部ドリルでデモンベインを叩く破壊ロボ。
『ええい、この、離すである!!』
『誰が!!』
『ああっ、ダーリン、もっと乱暴に』
『……くっそ、負けるかよっ』
一瞬離したくなるが、こらえる九郎。
『今だ、ダーレス!』アルが叫ぶ。
『了解ですわ!エドガー、準備はよろしいですね!?』
「おおよ――中の二人は思い切りぶっ飛ばしてもいいんだよなあ?」
『許可します。ですが中の機材には傷をつけないよう』
「へいへい」
ゴリアテの甲板に二人の人影。
電動服を着込んだエイダ・覇道とエドガーであった。
電動服を着た二人――エドガーの服は狭所恐怖症であることからヘルメットがない――が打ち合わせをする陰で、
才人とデルフリンガーは甲板横にぶら下がっていた。あくまで乗り込んだのは内緒なのだ。しかし。
『――そこの少年としゃべる剣も、こっちへ来て一緒に行きましょう!』
「「――――――!」」
バレていた。
ひょっこり顔を出す才人。
「えっと…なんでわかったんですか?」
『私が教えたからだ』
「え?」
無機質な、この場の四人の誰のものでもない声。だが、どこかアル・アジフの声に酷似している。
「あの魔道所の娘っ子の声か?けどあいつはあのデカブツに乗ってるはずだが」
『その子がアル・アジフのことなら、答えはNOです。彼女はその写し、『ネクロノミコン機械語写本』の精霊。
その名は、私にあやかって『小さいエイダ/リトル・エイダ』。今はこのゴリアテに宿っているため姿は顕せませんが――』
「ダーレス先生さんよ、そろそろだぜ」
説明の途中でエドガーがさえぎる。
――破壊ロボは、眼前に迫っている。
『――アズラッドさん、坊ちゃま、お願いします!』
『了解だ、ダーレス!』『……既婚なのにダーレス……』
旧姓のほうで呼ばれ、しかもそれに慣れている妻に複雑なものを感じる兼定。
しかし、すぐに気を取り直し、ゴリアテの操縦に集中する。
『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』
がこん!
デモンベインに組み付かれた破壊ロボを、ゴリアテのアームが掴む。
『さて、行きますわよ二人とも!』
「おうよ!」「はい!」
デモンベインだけでなくゴリアテからも掴まれて、ろくに動けなくなった破壊ロボ。
「ロボォ?!なんか登ってくるロボよ博士!?」
「んぬぬぬ……エルザ、こうなれば白兵戦用意!すまんが、我輩の命を預ける!!
さあ、今こそ敗北のメビウスの輪を越えるのであーーる!!」
ギャァァァラギャラギャラギャラギャアァィィィィィッィィイインン!!
(脳内が)盛り上がってきたのか、ギターを今まで以上に激しくかき鳴らすドクターウェスト。
(……心底五月蝿ぇロボ)
と、口には出さぬが顔には出すエルザだった。
ディスペルフィールドは、範囲内の魔法、魔術の効力を区別なく消失させてしまう。
それゆえ、アーム部分はL・Aによる制御ではなくマニュアル操作で掴ませるほか無かったのだが――
だから才人はひとつ、ダーレスに頼みをした。
頼みとは――
「おおおおおおおおおおおお!!」
才人は電撃槍を前に突き出して走る。
――電動服の着用。
ガンダールヴの力は、ある意味意外に電動服にも及び、特に説明を受けずとも才人は使い方を理解した。
その上スーツの中だからか、武器を持った際のあの高揚感もフィールドにかき消されることもなく持続している。
服の性能に頼る気になっていた才人にとって、これはうれしい誤算であった。
そして――
「此処だ…!」
台のようになった頭頂部のハッチ部分へとたどり着いた三人。
ぷしゅっ
「え?」
だが、ハッチがひとりでに開く。
「ロォォォボォォォォォ!!」
「うおああっ!?」
中から才人へ向かって飛び出し、トンファーを振るうエルザ。かろうじてかわす。
「エルザとダーリンの未来のために、ここは通せないロボ!」
『どんな未来を妄想してるかは知らんが、そんな結果にたどり着くことは決して無いッ』
いちいち音声を拾ってツッコむ九郎。もはや執念すら感じる。
「それじゃ、これでさよならロボ!」
「――って!」
ジャキンッ!
エルザはトンファーガンを構える。構えた先はまだ体勢が崩れたままの才人――!
「シュー」「ヒャッハアアアアアアァァァァーーーー!!!!!」「とぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
撃つ瞬間、エドガーがエルザに向かってバルザイの偃月刀――を模した刀――をふるい、飛び掛った。
ガギィン!
刃と砲身がぶつかり合う。そのさなか、エイダが才人に向かって叫んだ。
『ここは私たちに任せて、あなたは中へ!』
「!?で、でも――」
『大事な人の、大事なものがあるのでしょう!?早く!』
「――!……はいっ!!」
開いたままのハッチへ駆ける才人。
「行かせないロボ!」それを止めようとするエルザ。だが。
「よそ見できんのかよ!ああ!?」エドガーがそれを阻む。
ヴォォン!
「ロボ!?」ガキィン!
エドガーの刀をトンファーで防ぐ。だが――!
『えぇーーい!』
「ロボ!??まだ来るロボか!」
エイダの電撃槍もそこに加わった。
――戦況は膠着。
――破壊ロボコックピット内部。
「あ………あが…」
ドクターウェストは二秒でボコられていた。
「っと………あった!」
道具は三つともあっさりと見つかった。
「ダーレスさん、エドガーさん、見つかりました!」
出てきた才人が作戦の成功を告げる。
『作戦は成功ですね。では、引き上げましょう!』
「ああ?もうかよ!……オレはもうちょい――」
『デモンベインの攻撃に巻き込まれたいのでしたらご自由に』
「……チッ」
「ああっ、待つロボ!」
『待てといわれて待つなんて時間の浪費はできません!えいっ!』
破壊ロボ頭頂部から飛び降りるエイダ。ほかの二人も飛び降りる。
『――防護術式、展開』
三人が飛び降りた先に五芒星――エルダーサインが輝く。L・Aが落着の衝撃を和らげるために張ったのだ。
『ディスペルフィールドは無力化しました!後は任せます、アル・アジフ!マスター・オブ・ネクロノミコン!
そして――デモンベイン!!』
「「応っ!!!」」
通信機から聞こえるエイダの声に応える九郎とアル。
「断鎖術式、開放!」
九郎の叫びと共にデモンベインの脚部シールド周囲に再び時空間歪曲現象が起こる。
エルザが急いでコックピットへと乗り込むのを九郎は見たが――
「――遅い!アトランティス・ストライク!!」
グォン!
『ろぼぉぉぉぉ!!?』『………(気絶中)』
近接粉砕呪法、アトランティス・ストライク。
本来ならば、時空間歪曲エネルギーを破壊力として相手へとぶつけるデモンベインの必殺技である。しかし。
そのエネルギーは破壊ではなく、対象物をはるか上へと吹き飛ばした。
「……?九郎、なぜ奴らを仕留めずに上空へとほうったのだ?」
「空なら周りには何も無いからさ……!!アル!シャンタクだ!!」
「あ、ああ!凍てつく荒野より翔び立つ翼を我に――シャンタク!!」
「よっしゃ、征くぜぇ!!」
デモンベイン背部に顕れる黒翼。魔力のフレアがそこから吐き出される。
――空を、翔ける。
すっ飛ばした破壊ロボを追うように翔ぶデモンベイン。その最中、九郎は通信を開いた。
「――――!!」
通信内容を聞いて、ニヤリと笑うアル。
「なるほど、そういうことか……!」
――某所、地下司令室。
オペレーターの一人が叫んだ。
「お嬢…司令、デモンベインから『第一近接昇華呪法』解凍要請来ました!」
それを聞き、頷く少女。
「解かりました…。言霊暗号化、ナアカルコード送信。術式、解凍!」
少女――覇道財閥総帥(の座を父から無理やり押し付けられた)覇道瑠璃――が両手を前へと突き出し、構える。
そして、そこに魔方陣が現れた――。
『おおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォォ!!』
上昇しながら、両手を剣指の形にし、頭上で重ねてから左右へと振り下ろすデモンベイン。
『旧神の紋章/エルダーサイン』がその跡に刻まれる。
『光射す世界に、汝ら暗黒棲まう場所無し!!渇かず、飢えず!無に還れぇぇぇぇぇぇ!!!』
九郎の声が言霊を紡ぐ。そしてデモンベインの右手には必滅の術式が――
『博士、いいかげん起きるロボ!!』
『……おのれ大十字九郎。かくなるうえは我輩が作ったには違いないであるが我輩自身にもよくわかんねえ
代物を用いてでも………我輩の血潮が激しくうねって今がその時と轟き叫ぶ!むにゃ………』
『博士ぇぇぇぇぇ!!!』
『レムリアァァァァァ!インパクトォォォォォォォォォ!!!!』
デモンベインの右手が破壊ロボに触れる。そして――――
『――昇華!!』
――――ラノベ学園の空に、あらゆる物の存在を許さぬ絶対否定空間が顕現した。
そこに巻き込まれずに離脱したデモンベインが旧校舎屋上に着地する。
昇滅の業火を収める結界が消えるまで、デモンベインはそれを見据えていた――
「うぅ…この新天地でも我輩が敗れるだと?そんな…そんなことが許されてなるものかぁぁぁぁーー!…ら?」
「……博士、やっと起きたロボ」
「おお、エルザ。――何故に我輩たちは縛られているのであるか?」
「新兵器用意しても結局負けちゃったからロボ」
――ここはドクターウェストが住んでる建物の前。
いつものことながら、なぜか生き延びたウェストとエルザは九郎のアトラック=ナチャで頭部以外が真っ白に見える程に
ぐるぐる巻きにされている。
彼らの目の前には九郎とアルがいた。ゴリアテの面々は本当にボン太くんとけりをつけに行ったのか、ここにはいなかった。
「よう、やっと起きたか○チ○○」
「ぬ、貴様大十字九郎。よもやこのまま我輩たちをコンクリ詰めにでもして海の底へと沈める腹積もりではあるまいな」
「いや、それは――」「我らの依頼主の意向次第だ」
「……なぬ?」「ロボ?」
そんな会話を交わした後、ちら、と“そっち”を向く九郎とアル。ウェストとエルザもそっちを向いた……否。
もとい。向いてしまった。そこには。
「やっとあんたら目を覚ましたのね。ずずず、随分と待っちゃったわよ」
桃色の髪を逆巻かせ、眼をおもいきり吊り上げた依頼人の主人のほうがいた――
「犬」
脇に控える才人を呼ぶルイズ。
「わん」
声が震えているルイズには何言っても無駄だと理解している才人。犬呼ばわりでもいい返事である。
「今回、私が何してたか言ってみなさい」
「ええっと、せいぜい俺の心配くらいでしょうか」
「ヴァスラ」
「ぎゃわんっ!」
拘束具の電流のショックで叫びを上げる才人。そのままうつぶせに倒れ、その上首根っこを踏んづけられる。
「あああ、あんたの心配ですって?誰がそんなこと。正解は『何もしてない』よ、犬」
「わ、わん…」
「分かればいいの。そそそ、それもこれもみんな――」
あらためて地面に転がるウェストとエルザを見る。すると、より一層の怒りがこみ上げてきた。
「あんたらが――」
その左手には、青いルビーの輝きと全頁白紙の大冊。
その右手には、年季が入った杖。
「こここ、これ全部盗んでいったからよね――――」
恐怖のあまり(常軌を逸すほどに)歪むウェストの顔。エルザの第六感回路もヤバげなものをキャッチした模様。
「ちょ、ちょっと待った。そいつはヤバいのである!」
「ロボ!下手すればエルザたち初登場編にして退場編ロボ!」
「そのほうがこの学園にとっちゃありがたいだろ」「うむ、まったくだ」
ウェストとエルザの抗議。だがこの場に彼らの味方は一人もいない。
そして遂に。
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ・オス・スーヌ……」
「……本気だね、娘っ子」
ルーンを唱えるルイズ。それを聞き、デルフリンガーがポツリ呟く。
「あいわかった。こうなりゃ改造優先券だけではなく試作兵器運用試験参加券に試作日用雑貨運用試験参加券!
さらには無敵ロボ一日操縦券もつけるだけでなくその上なんと!我輩反省しちゃったりしてやるっつーことで、許せ」
「許せるわけ、無いでしょうがーーーーーー!!」
ウェストの長い(上に手前勝手極まる)命乞いが終わると同時、ルーンを最後まで唱え終わったルイズが杖を振り下ろした。
――――エクスプロージョン。
「のぉぉぉぉぉぉぉぉ!
ノォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
のあぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ロォォォォォォォォォボォォォォォォォォォォォォォォォ……」
「おー、飛んでった飛んでった」
アーカムシティ改め、ラノベ学園の恥、宇宙(ソラ)へ。
~~そして○○○イは星になった(殉職)~~
~了~
おまけ。
この騒動がきっかけで、大十字探偵事務所はそれなりに有名になり、時々依頼も来るようになった。
だが。世の中、良い事ばっかりではない。弊害とてあるときゃあるのである。
例えば――
大十字九郎の場合。
ピンポーン
九郎「ZZZ……」
ピンポーン
九郎「……………」
ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピンポンピンポンピポピポピポピポピポン
九郎「……っっだあああああああああああああ!!うるさああああ」
九里浜「たのもーーーーーーーー!!夏月、まかせたぁ!」
八坂井「はああっ!!」
どごあっ!!(ドアをぶち破る音)
九郎「ああああ『だがああぁっっ!!!(ぶち破られたドアが九郎にぶち当たった音)』いぎはぁっ!!?」
九里浜「今日こそ表の看板、あたし達九里浜探偵局(仮)が――ってあら?」
長坂「……あー、こりゃだめだな。なんか今日はもォ動けなさそうだ」
三助「…九里浜。そもそも何故探偵であるはずなのにこんな道場破りじみたことを、というのをおいとくとしても」
八坂井「そこをおくんですか…?」
三助「やっぱり短期を起こすのはよくない」
九里浜「そんな事言ったって、いくら呼び鈴押しても出てこないからしょうがないじゃないのよぅ!!」
九郎「しゅ…修理費がぁ……ガクッ(気絶)」
アル・アジフの場合。
読子・リードマン「アルちゃぁぁぁぁぁぁん!!読ませてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
アル・アジフ「にゃああああああああああああああああああああ!!!???」
(行動描写は、自主規制とさせていただきます)
インデックス「……私も読んでみたいかも。」
……とまあ。
こんな感じであった。
おまけ2。
天使王は何をしていたか。
ライカ「食事の用意ができましたよー。ジョージ、コリン、アリスンちゃん、それにオルソン君にバート君も
いらっしゃい♪」
ジョージ、コリン、オルソン「わーーい!!」
アリスン(にこにこ)
バート「ありがとうございます」
ライカ「あ、ご一緒にどうですか?」
侵父「では、ありがたく…」
ホッケースティック背負った少年「……平和だねぇ」
頬にばんそうこう貼った地味めな少年「……だな」
CAST
大十字九郎
アル・アジフ
ドクターウェスト
エルザ
占い師(ナイア)
覇道瑠璃
ライカ
ジョージ
コリン
アリスン
オーガスタ・エイダ・ダーレス
アズラッド
エドガー
覇道兼定
L・A
オルソン
バート
ルイズ
平賀才人
マルトー親父
シャナ
坂井悠二
アラストール
ダンタリオン
上条当麻
インデックス
相良宗介
林水敦信
薬屋大助
塩原鯱人
侵父
三鶴城大助
八坂井夏月
九里浜純
長坂陵梧
最終更新:2007年12月09日 22:40