大樹「えー、それでは最初の種目ー。『投擲』を始めますー。競技参加者とマトになる人は潔く出頭してくださいー」
かなめ「ソースケも出るの?」
宗介「いや。抽選に漏れたので、ターゲット役の人間の捕縛を言い付かっている」
かなめ「……ターゲット役?」
宗介「とりあえず上条当麻の担当だ。魔術的技能では捕縛できんからな」
上条「やっぱりかあああぁぁぁぁ!?」
A「『投擲』ねぇ・・・こいつはまた・・・」
B「シンプルな名前だね」
A「いやそこなのか?ツッコミ所は」
B「あーほらほらあっち、相良が上条の事追っかけてるよ~。あ、避けた・・・おぉっ!?三点倒立!?」
A「いやどんな攻防だよ・・・ん?あいつは・・・川平ー!」
川平啓太「お?A、B。お前ら白組かよ」
A「まぁ、くじだからな。こればっかりは避けられねぇさ。
それより、赤組(そっち、と読むべし)の団長は千鳥さんだろ?こっちで油売ってたら『奴は悪魔に魂を売ったのよ!!』
とか言われかねねぇぞ?」(ニヤニヤ
啓太「うげ、実際に言いそうだからなぁ。かなめちゃん・・・」
B「『あんた達!ここは戦場よ!死ぬなら戦って死になさい!骨は拾ってあげるわ!
進軍せよ!進軍せよ!進軍せよーーーー!!!(アヘッド以下略、と読むべし)』」
A「あぁ、言いそうだ言いそうだ~~」(と嫌味じゃない意味でくすくすと
啓太「ふっふっふ、だが彼女のおかげで我らが赤組は士気高揚天井知らずだ。
勝利の女神がついてる限り他の組に勝ちは無いっ」
B「・・・まぁ、うちは『あの』2年B組が組内で裏切りだの情報の横流しだの破壊工作だのしてるって噂だからねぇ」(汗
A「それは100%事実だろ・・・大変だな、白組(うち)の団長も。」
ようこ「ケイタ、ケイター。そろそろぷろぐらむ始まっちゃうから赤組の陣地に戻らないと」
啓太「ん、そっか。それじゃあなー」
(校舎の壁にかけられている薄型液晶掲示板には『プログラムNo.9 投擲』の文字が燦然と踊っていた)
ミズー「投擲競技のルール……ターゲット役の頭部と両肩に設置した的を刀剣類で射抜いていく勝ち抜き戦。ターゲット役の逃亡もあり、ね……」
シャノン「なんでこんな面倒臭い競技を引き当てちまったのかな……」
“先生”「まあ頑張りなさい、職員代表。……ところであと一人は誰だったかしら? 教職員からは三名出場のはずだけど」
俊也「やってるなぁ・・・・・・」
亜紀「私ら一般人には縁がない世界だね・・・・・・」
俊也「俺障害物競走でなきゃいけないけどな・・・・・・勝てないなあれ」
亜紀「普通にやりゃ1位2位なんだろうけどね・・・・・・あれ?恭の字は?」
俊也「さあ・・・・・・案外サボってるかもな。あいつの運動神経はケタはずれだからな・・・・・・悪いほうで」
魔女「ふふふ、そんなに知りたい?」
俊也「うお、魔女!?」
魔女「そんなに驚かなくてもいいのに・・・・・・」
亜紀「で、何?恭の字の居場所でも知ってるの?」
魔女「そのとおりだよ。私と『影』くん、黄組でしょ?なんでか黄組には運動よりも、妨害工作要員が多かったらしくて―――」
亜紀「・・・・・・」
魔女「使える人たちはみーんなそっちの方面で使う、って黄組の団長さんが言ってたよ。『影』くんも神隠しさんと一緒に連れていかれたみたい」
俊也「・・・・・・」
魔女「多分障害物競走とかで神隠しさんの能力使ってどうにかするんだろうね。あ、そろそろ私もいかなきゃ、じゃあね、シェーファーフントくん、ケモノさん」
俊也「・・・・・・木戸野」
亜紀「何?」
俊也「俺と、あと近藤もか。障害物競走で黄組三人と当たるんだが・・・・・・」
亜紀「・・・・・・がんばりな」
なんでこんなことをやってるんだろうと思いつつ、ミズー・ビアンカは剣を構えた。
視線の先には、三人の標的がいる。
妙に煤けた格好の上条当麻。極彩色の体液を垂れ流す草壁桜。目を血走らせて警戒している坂井悠二。
『さあ! とうとう始まります投擲競技教職員チーム! まずは参加者の紹介から行きましょう!』
スピーカーで拡大された声が、晴れた空に響く。放送部二年中村環の声は良く響いていた。
『普段は学食でウェイトレスなどをやっております、精霊学部のミズー・ビアンカ非常勤講師!』
無責任な歓声が巻き起こる。脱力の度合いを深めながらも、ミズーは剣を構えなおした。
『そして! 刀術部第五顧問、第四顧問の殷雷先生とは茶飲み友達だ! 体育科、シャノン・カスール先生!』
またも中身の無い歓声が巻き起こった。視線を横に向ければ、普段より五割り増しでやる気のなさそうなシャノンが、義理程度に刀の柄に手をかけている。その傍らには、紫髪の少女が重力を無視して浮いている。
『以上の二名です! ちなみに三人目の南雲慶一郎先生は毎度のごとく謎の失踪で棄権しました!』
卑怯だ、という表情をミズーは浮かべた。恐らくシャノンも浮かべていることだろう。
『さて、開始の前にルールの説明をしておきましょう!
ターゲット役の人間が頭と両肩の上につけている的を、手持ちの刀剣類を投げて射抜いてください!
頭は30点、肩は10点です。なお、ターゲット役に当てた場合は-10点になりますので注意してください』
「さっきから思ってたが当たること前提にしてるのは何でだ!?」
上条が叫んで放送席に駆け出そうとした瞬間、彼の足元を銃弾が掠めた。
弾の飛んできた方向を見れば、相良宗介がライフルを構えている。
『草壁君は三塚井さんが蘇生しますし、坂井君は元から生きてませんから問題ナッシング!』
「俺は!?」
『頑張って避けてください。大丈夫、当たっても当校にはドクター・メフィストが居ます!』
上条が頭を抱えて声にならない叫びをあげ――
『――では、競技スタート!』
競技が始まった。
シャノンは気だるそうに刀を引き抜いた。
視線の先では、不幸な標的が競技で定められたフィールド内を――逃げようとすると地雷原が待っている――駆け回っている。
「――すまんな」
その中の一人に狙いを定めて、シャノンは刀を投擲した。
射刀術と呼ばれるその技は、本来ならば外法の博打技である。なにしろ刀使いにとって武器であり、また盾ともなる剣を投げるのだから、隙は大きい。
一直線に飛んだ刃は、草壁桜の耳元を掠めて地面に突き立った。
「やっぱり外れたか……ゼフィ」
「心得た」
傍らで、無表情に静観していたアーフィ・ゼフィリスが手元を動かす。
と、一瞬後にはその手に刀が――先ほどシャノンが投擲したものと相似のものが握られている。
『おおっと! 形相干渉能力です! シャノン選手の愛妾アーフィさん、物質を自在に操るその力を使って刀を生み出しましたー! これでシャノン選手に弾切れは存在しない、と思っていただこう!』
「誰が誰の愛妾だ、おい」
「その通りだ」
面倒くさそうに突っ込んだシャノンに、うむ、とゼフィリスが同意し、
「私が正妻だぞ」
「お前もか!」
身近な裏切りに叫びをあげ、がしがしと頭をかくシャノン。
「一体誰だ、愛妾とか正妻とかわけわからん噂を立ててるのは」
『主に情報屋の折原君とか水原君とかですが』
「……そうか」
情報屋で流通しているということは、かなりの広範囲に渡って噂が広まっているということだろう。
『ちなみに情報源は殷雷先生だそうです』
「ば、馬鹿! ばらす奴があるか!」
「おい」
観客席から上がった狼狽の声に、シャノンはぎぎぃっ、と振り向いた。
「仕方あるまい。戦略的撤退だ、逃げるぞ、和穂!」
「わ、待ってよ殷雷!」
ばたばたと逃げ出した二つの人影を憎憎しげに見送り、呟くシャノン。
「ゼフィ」
「なにか?」
「氷の瞳の方の和穂に、殷雷が恵潤と浮気してると伝えてやれ」
「了解した」
などと、どたばたと痴話喧嘩が繰り広げられていた間に――
「……ははは」
殺さないように細心の注意を払って坂井悠二に投擲していたミズーは、いきなり悠二の動きが停まったのにいぶかしみ、投剣の手を止めた。
悠二が鬼気迫る表情で、観客席のほうへ叫んだ。
「シャナ!」
「な、なに?」
悠二の迫力に、やや引いた感じで応えるシャナ。
「ブルートザオガー!」
「え?」
「ブルートザオガーをくれって言ってるんだ!」
「わ、分かった!」
慌ててシャナは頷き、長剣の形をした宝具――ブルートザオガーを、悠二に向かって投げた。
悠二はそれを掴み、血走った目で正眼に構える。
ミズーはうろんな目でそんな悠二を見て――
「いいの? これは」
『ルールでは禁止されてません。そういうことがないように戦闘力の低い人が標的になっていたのですが』
「……分かったわ。ところで」
と、ミズーはマント留めに彫られた獅子の目――水晶檻へと念糸を紡ぎ、
「精霊の召喚は、ルールで禁止されていなかったわよね?」
『えーと、はい』
「出でよ!」
獣精霊を開放した。
投擲競技・教職員チーム:泥仕合になって終了。得点0。
CAST
リール・大樹
ミズー・ビアンカ
――精霊学科・実技(召喚)をたまに受け持ってる。普段は学食でウェイトレス。隠れファンが多いらしい。
“先生”
川平啓太
ようこ
2年B組
村神俊也
木戸野亜紀
十叶詠子
上条当麻
――物理打撃には滅法弱い。まずはその幻想を持ってくれ。
草壁桜
――なんか色々液体出してます。
坂井悠二
――狂王化まであと二年。
シャナ
――悠二が最上のエネルギータンクだと気付くまであと二年。
シャノン・カスール
アーフィ・ゼフィリス(・カスール)
殷雷刀
和穂
――よく四人一緒に縁側で緑茶とか飲んでる。
氷の瞳の和穂
――甚来旗で呼ばれたまま居座ってる。
恵潤刀
――氷の瞳の和穂とは恋敵である。
相良宗介
――会場警備担当なので競技には参加しないらしい。
千鳥かなめ
中村環
――藤堂鷹王校長は謎の食中毒で寝てます。
メフィスト
――男色の気があるともっぱらの噂。上条的には解剖されそうなので近寄りたくない。
折原臨也
水原勇司
――情報屋として有名であるがどっちも人望はない。
最終更新:2006年10月23日 14:04