WORLD WAR Z 著者/マックス・ブルックス

105 :イラストに騙された名無しさん:2013/03/23(土) 14:17:28.41 ID:8BqtY2Y6
>>104 
最終戦争。 
それは国家対国家による戦争ではなく、 
人類とゾンビによる「ワールド・ウォー・Z」だった。 

終戦後、国連で事後報告書の作成を行なっていた著者が、 
各地の人々の直接的なインタビューがまったく反映されなかったことを受けて、 
生存者たちの声を書籍としてまとめて出版したのが本書である。 

中国奥地で謎の疫病が発生。当初は狂犬病とされたそれは、死者をゾンビとして蘇らせるものだった。 
過去の経験から「ゾンビ」の存在を軽視せず、迅速に対応を開始したイスラエル諜報部であったが、 
だが、そういった徴候を他国は軽視した為、徐々に世界はゾンビたちによって追い詰められていく。 
そんな中でさえ、感染者を密入国させたり、まったく効果のないワクチンでもって一財産を築く詐欺師達。 
特殊部隊アルファ・チームを投入するもゾンビ禍を抑え切ることができず、 
ついに全面対決に踏み切った最新鋭アメリカ軍でさえ、その「対人用」装備が仇となって壊滅。 
とうとう本土を脱出し、海によって隔絶されたハワイへと政府を避難せざるをえなくなる。 

海上とて「水中を歩くゾンビ」や「船内で発生したゾンビ」がいる為に例外はなく、 
ゾンビが凍結して行動不能になる寒冷地では、過酷な環境故に避難民達はサバイバルを強いられ、 
地球への帰還の道が絶たれた国際宇宙ステーションの乗組員たちは、放射線に晒されながらも地球への支援を開始。 

絶望的な状況下でも、徐々に人類は抵抗をはじめていく。 

106 :イラストに騙された名無しさん:2013/03/23(土) 14:23:38.82 ID:8BqtY2Y6
やがて非情なる人種差別主義者ポール・レデカーが、 
最初期にゾンビに襲われた南アフリカを救うべく、 
悪魔の計画ともいわれる「レデカー・プラン」を考案。 
これが人類生存の転換点となっていく。 

ゾンビの活動が鈍る寒冷地、北米ロッキー山脈を中心に防衛線を構築した米軍。 
ありもので対ゾンビ戦装備を作り、生活を維持し続ける困窮省の活躍や、 
避難したは良いものの無気力状態に陥った人々を勇気づけようと映画を撮る監督。 

しかし世界はまだ絶望の淵にあり、日本では小松博士によって、 
「過密国家で、人口が一部都市に集中し、警官が軽武装の日本はゾンビ渦には無力。 
ゆえに直ちに日本脱出せねばならない」という小松計画が指導。 
逃げ遅れたオタク少年は必死のサバイバルを行い、 
山奥で一人ゾンビと戦い続ける老人と共に、決死の反撃を開始する。 

やがて徐々に人類は反撃を行い、ついには勝利を手にするが――――果たしてそれを勝利と呼んで良いのだろうか。 
春になると凍りついたゾンビたちが溶け出して動き出し、水中ゾンビとは未だに海底で激戦が繰り広げられ、 
地下下水道に入り込んだゾンビ相手の掃討戦はまだ終わっていない。 

だがそれでも人類は生き延びたのだ。 

107 :イラストに騙された名無しさん:2013/03/23(土) 14:29:32.73 ID:8BqtY2Y6
大筋をバーっと書くとこんな感じだけど、決してストーリーになってるわけではない。 
これは全部「戦後に聞いた生存者からのインタビュー」なのだ。 

ただ逃げ惑うだけだった主婦(現在は対ゾンビ都市の初代市長) 
当時の大統領補佐官(現在は糞を回収するリサイクル業者) 
ゾンビ大戦最初期から戦い続けたアメリカ軍の一兵士…… 
彼らはただの「一市民」「一個人」でしかない為、自分たちが見たことしか知らない。 

たとえば「アルファ・チーム」は極秘部隊の為、名前は出るがどんな活躍をしたのかはわからない。 
北朝鮮で突如として国民全員が消失する不気味な事件はあったが、それが何なのかは不明。 
台湾挟事変やら何やら、単語だけ出てきても読者にはわからないことも多い。 

ただ必死に生き延びてきた彼らのインタビューを通して、 
断片的だった話がつながり、ゾンビ大戦の全体が何となく把握できる。 
そういう50本以上の短編連作小説……みたいな感じだと思って欲しい。 

太鼓判を押してオススメする。 
個人的なお気に入りは、ゾンビに対抗する為に結成された犬部隊のお話。 
映画化するつってるけど原作通りにやるなら三部作ぐらいにしないと無理だろこれ。 

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最終更新:2013年08月02日 07:56