鏡には映らない 著/米澤穂信

92 :鏡には映らない:2013/02/09(土) 22:21:48.90 ID:WuIVVNos
ある日買い物中の摩耶花は中学時代のクラスメイトに偶然会う。同じ部活に奉太郎がいることを知ったクラスメイトは「サイアクじゃん」と 
いう。奉太郎は中学時代のクラスメイト全員から嫌われていた。ひいては、学年全体から嫌われてもおかしくないことをやらかしていたのだ。 

それは中学3年の頃。摩耶花たちの学年は卒業制作として大きな鏡を中学に寄贈することになった。 
その木製の飾り枠の模様をクラスで分担して彫刻で作るのである。奉太郎の担当した部分は植物のツルが曲がりくねっているデザインだったが、 
奉太郎はそれを「面倒だから」といってまっすぐな模様にして提出したのだ。その模様をデザインした生徒、鷹栖亜美は完成した木枠の 
奉太郎の担当部分を見ると「ひどい」と泣き出してしまう。摩耶花と奉太郎のクラスは卒業製作を台無しにしたという噂が広がり、 
奉太郎はクラスメイトからも非難されたが彼はそれら全てを受け流し、そのまま卒業した。 

そんなことがあり、摩耶花も高校で再会した奉太郎のことが嫌いだったのだが、古典部で一年付き合ってきてみると、その印象は変わっていた。 
えるの幼いころの疑問を解き明かしたり、上級生の映画を完成させたり、文集「氷菓」の原稿もちゃんと仕上げた奉太郎は、ただの怠け者ではない。 
もしかすると卒業製作の時には何かやらない理由があったのでは、と思うようになる。奉太郎に卒業製作のことを聞いても忘れた、 
覚えてないと繰り返すだけなので、摩耶花は真相を自分で調べることにした。 

当時奉太郎と同じ班だった芝野という女子に聞き込みをしたところ、奉太郎は自分から手伝ってくれる人がいるので任せろ、と言ったという。 
手伝いとは同じ中学の鳥羽麻美という子だという。芝野によると奉太郎と鳥羽麻美は付き合っていたというのだ。 
鳥羽麻美も神山高校に進学して写真部に入部しているらしい。 
その夜、里志との電話でふと彼女のことを話すと、彼女は同じ中学の同級生を嫌っているため中学時代の話はしない方がいい、と言われる。 

93 :鏡には映らない:2013/02/09(土) 22:26:55.00 ID:WuIVVNos
人を避けるように一人屋上で部活をする鳥羽麻美に会いに行く摩耶花。 
強い拒絶を感じながらもなんとか、「奉太郎は自分にとってヒーロー。そのかたわれ」、あの卒業製作は「解けた呪い」、 
「その秘密をしりたければ逆立ちでもしないとわからない」という情報を聞き出す。 
ちなみに彼女はもう奉太郎には会わないという。会うと嫌いになるから、ヒーローのままにしておきたいのだと。 

摩耶花は中学に赴いて鏡の前で逆立ち、はせずに木枠を携帯で撮った。その画像を逆さにすると、真相は明らかになった。 
当時、鷹栖亜美とその友人たちは鳥羽麻美をいじめていた。その一環として卒業製作のデザインを逆さにすると、模様となっている植物や 
動物などが「We hate Asami T」と読めるようにしていたのだった。それに気づいた奉太郎が里志に相談し、結局「s」の部分を変えることで 
完成した木枠は「We hate A ami T」となり、鷹栖亜美はそれを見て泣き出したのだ。 

古典部の部室にて、摩耶花は卒業製作の真相を解いたことを奉太郎と里志に告げた。恥ずかしそうな奉太郎に間髪入れず 
「こんな理由があったとは知らず軽蔑してた。ごめん」と謝る摩耶花に対し、所在無げな奉太郎。 
鏡があればその顔を映してやれるのに、と摩耶花は思うのだった。 

以上です。奉太郎△ 

94 :イラストに騙された名無しさん:2013/02/10(日) 04:57:57.45 ID:GgXLzZGo
乙です 
鷹栖亜美・・・いじめようとして自分に跳ね返ってきたら 
ひどいと言って泣き出すとか、ド外道やないですか 

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最終更新:2013年08月02日 08:48