涼宮ハルヒの憂鬱 著者/谷川流 イラスト/いとうのいぢ 角川スニーカー文庫

 


75 :涼宮ハルヒの憂鬱:2010/11/17(水) 18:09:25 ID:wnyP2CdB
ごく一般的な愚痴っぽい男子高校生キョン(仮)は、ふとした事から
変人・涼宮ハルヒと仲良くなり、世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団
略してSOS団の雑用係りにされてしまう。
構成員は、無口な文学少女長門有希、萌え&メイド担当の先輩朝比奈ミクル、二枚目転校生古泉一樹。
なんと彼らの正体は、宇宙人謹製のアンドロイド、未来から来たエージェント、世界を守る超能力者。
彼らの目的は、万能の力を持った涼宮ハルヒを監視し、その力を本人に気づかせない事だという。
勿論キョン(仮)はそんな事を信じていなかったが、宇宙人同士のバトルに巻き込まれ
彼らの言う事が真実だと認めざるを得なくなる。
もしハルヒが能力を自覚したり、異能者の存在を知ったりすれば、世界は彼女の想像通りに滅茶苦茶になってしまう。
しかし、彼女の周りで何も不思議な事が起きなければ、彼女は世界に飽きて全てを作り変えてしまう
だからって一般人の俺にどーしろと・・・と眠りにつくキョン(仮)だが、目覚めると何故か部室にいた。
古泉曰く、ぶっちゃけハルヒが飽きた、んで巻き込まれたと。
いきなり世界の運命背負わされたキョン(仮)は、世界はお前が思ってるよりずっと面白いんだ、あと俺はポニテ萌えだとハルヒを説得し
長門とみくるのアドバイスに従ってキスをぶちかます。
その瞬間、世界の改変は止まり、不思議現象は夢オチとして処理された。
登校したら、なぜかハルヒは髪型をポニテにしていた

76 :イラストに騙された名無しさん:2010/11/17(水) 18:10:33 ID:wnyP2CdB
とりあえず一巻だけ。

77 :イラストに騙された名無しさん:2010/11/17(水) 18:22:29 ID:V71oF2Oh
その(仮)ってなんですか?

78 :イラストに騙された名無しさん:2010/11/17(水) 18:26:07 ID:wnyP2CdB
キョンとキョンの妹は本名不詳
名乗ろうとしてもいつもタイミングを逃してキョンと呼ばれるから


332 :涼宮ハルヒの憂鬱:2011/02/05(土) 21:05:34 ID:8iUiDkd7
俺はごくごく普通の一般人。
何故かみんなから「キョン」などという珍妙なあだ名で呼ばれているが……それはまぁ、今は気にするな。
ガキの頃は宇宙人やら超能力者やら(以下略)が実在したらいいなー、などと妄想していたものだが、
中学生になる頃にはもうそんな夢を見ることもなくなった。
そんな俺は何の感慨も無く、学区内の県立高校へと無難に進学することとなったのだが――。

入学式を終えて自分のクラスに入り、一人一人自己紹介をする。
俺の後ろの席に座っている女子が、後々語り草となる言葉をのたまった。
「東中学出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。
この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
それはギャグでも笑いどころでもなかった。
涼宮ハルヒは常に大マジで心の底から宇宙人や未来人や超能力者といった非日常との邂逅を望んでいたのだ。
のちに身をもってそのことを知った俺が言うんだから間違いはない。
こうして俺たちは出会っちまった。しみじみと思う。偶然だと信じたい、と。

ハルヒはクラスではかなり浮いた存在だった。ポツンと一人で席に座っていつも不満そうな顔をしている。
俺が何度か話しかけて聞き出したところ、ハルヒの不満の原因は毎日が普通で退屈でつまらないから、らしい。
そりゃそうだ。俺も昔夢見ていたような非日常なんて現実にあるわけがない。
ゴールデンウィークを過ぎたある日、ハルヒはいきなり俺の制服のネクタイをひっつかんでこう言った。
「どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのかしら!ないんだったら自分で作ればいいのよ!」

333 :涼宮ハルヒの憂鬱:2011/02/05(土) 21:06:42 ID:8iUiDkd7
かくしてハルヒは俺を強引に巻き込んだ挙句、文芸部の部室を乗っ取り、
「涼宮ハルヒの団」略して「SOS団」という同好会のようなものを立ち上げた。
そして長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹の三人をSOS団に入団させた。
実はこの三人はそれぞれ宇宙人、未来人、超能力者で、その事実は何故か俺だけに知らされることとなった。
三人が口を揃えて言うには、ハルヒには願ったものを何でも実現させてしまう特殊能力があるらしい。
だが、ハルヒ本人は願いが叶ったことに全くもって気付いていない。
今回は、宇宙人(以下略)に会いたいという願いが、ハルヒに気付かれないうちに叶ってしまった形だ。
全く、やれやれだ。面倒なことこの上ない特殊能力だな。
世界の命運を左右するかも知れないほどのハルヒの特殊能力に目をつけた宇宙人、未来人、超能力者たちは、
三人をハルヒに近づけこっそり監視させている、と、こういうわけだ。
ハルヒがこいつらの正体を知ったらさぞかし喜ぶだろうな、とは思う。

ここで一つの疑問が湧き上がる。なぜ、俺なのだ?
なんだって俺はこんなけったいなことに巻き込まれているんだ? 百パーセント純正に普通人だぞ。
普遍的な男子高校生だぞ。これは誰が書いたシナリオなんだ?
俺を踊らせているのはいったい誰だ。お前か? ハルヒ。
なーんてね。知ったこっちゃねえや。
不思議なことなど何も起きない、部室に集まってダラダラすごす、SOS団的活動。
そんな平凡な日常でも俺は充分楽しかった。そうさ、俺はこんな時間がずっと続けばいいと思っていたんだ。
そう思うだろ?普通。だが、思わなかった奴がいた。決まっている。涼宮ハルヒだ。

ある夜のことである。自室のベッドで眠りに就いたと思ったのだが、
何故か学校にてセーラー服のハルヒに起こされた。
俺とハルヒは誰もいない学校に閉じ込められてしまった。
校門から出て行こうとしても不可視の壁に阻まれてしまう。
どうやらこの状況は、ハルヒが望んだことらしい。例の特殊能力が発動したってわけだ。

334 :涼宮ハルヒの憂鬱:2011/02/05(土) 21:08:14 ID:8iUiDkd7
困り果てた俺に、古泉、朝比奈さん、長門から元に戻るためのヒントがもたらされる。
“sleeping beauty”、そして、白雪姫。
両者に共通することと言えば何だ? 俺たちが今置かれている状況と合わせて考えてみたら答えは明快だ。
なんてベタなんだ。ベタすぎるぜ。そんなアホっぽい展開を俺は認めたくはない。絶対にない。
俺の理性がそう主張する。しかし人間は理性のみによって生きる存在にあらず。
俺はハルヒの肩をつかもうとして、まだ手を握りしめたままだったことに気付いた。
ハルヒは、こいつは何か悪いものでも食べたのかと言いたそうな顔をしていた。
俺は必死で考えた。涼宮ハルヒの存在を、俺はどう認識しているのか?
ハルヒはハルヒであってハルヒでしかない、なんてトートロジーでごまかすつもりはない。
ないが、決定的な解答を、俺は持ち合わせてなどいない。そうだろ?
教室の後ろにいるクラスメイトを指して「そいつは俺にとって何なのか」と問われてなんと答えりゃいいんだ?
……いや、すまん。これもごまかしだな。俺にとって、ハルヒはただのクラスメイトじゃない。
俺はハルヒのセーラー服の肩をつかんで振り向かせた。
「なによ……」
「俺、実はポニーテール萌えなんだ」
「なに?」
「いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則なまでに似合ってたぞ」
「バカじゃないの?」
黒い目が俺を拒否するように見える。抗議の声を上げかけたハルヒに、俺は強引に唇を重ねた。
こういうときは目を閉じるのが作法なので俺はそれに則った。ゆえに、ハルヒがどんな顔をしているのかは知らない。
驚きに目を見開いているのか、俺に合わせて目を閉じているのか、今にもぶん殴ろうと手を振りかざしているのか、
俺に知るすべはない。だが俺は殴られてもいいような気分だった。賭けてもいい。
誰がハルヒにこうしたって、今の俺のような気分になるさ。俺は肩にかけた手に力を込める。しばらく離したくないね。

気がつくとそこは俺の部屋。夢か?夢なのか?
見知った女と二人だけの世界に紛れ込んだあげくにキスまでしてしまうという、
フロイト先生が爆笑しそうな、そんな解りやすい夢を俺は見ていたのか。ぐあ、今すぐ首つりてえ!

335 :涼宮ハルヒの憂鬱:2011/02/05(土) 21:09:06 ID:8iUiDkd7
その後結局一睡も出来なかった俺は、足を引きずり引きずり登校し、教室に入って思わず立ち止まった。
窓際、一番後ろの席に、ハルヒはすでに座っていた。何だろうね、あれ。頬杖をつき、外を見ているハルヒの後頭部がよく見える。
後ろでくくった黒髪がちょんまげみたいに突き出していた。ポニーテールには無理がある。それ、ただくくっただけじゃないか。
「よう、元気か」
「元気じゃないわね。昨日、悪夢を見たから」
ハルヒは平坦な口調で応える。それは奇遇なことがあったもんだ。
「おかげで全然寝れやしなかったのよ。今日ほど休もうと思った日もないわね」
「そうかい」
俺はハルヒの顔をうかがった。まあ、あんまり上機嫌ではなさそうだ。少なくとも、顔の面だけは。
窓の外から視線を外さないハルヒに、俺は言ってやった。
「似合ってるぞ」


それは、初夏の日差し眩しい、ある日曜日のことだった。
SOS団による市内の「不思議探索パトロール」、本日は記念すべき第二回目である。
例によってせっかくの休みを一日潰してあてどもなくそこらをウロウロするという企画なのだが、
どういう偶然だろう、朝比奈さんと長門と古泉が直前になって欠席すると言い出し、
俺は今、駅の改札口で一人、ハルヒを待っている。
今日はハルヒに色々なことを話してやりたいと思う。
数々のネタが頭に浮かんだが、まあ、結局のところ、最初に話すことは決まっているのだ。
そう、まず、宇宙人と未来人と超能力者について話してやろうと俺は思っている。



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最終更新:2011年11月20日 22:28