世界の中心、針山さん 著者/成田良悟 イラスト/ヤスダスズヒト&エナミカツミ 電撃文庫

 

180 :イラストに騙された名無しさん:2010/12/02(木) 02:18:34 ID:L6o3L9o0
針山さんは成田良悟のオムニバス短編集なのでそれ自体に明確なストーリーはない
一応それぞれの短編が干渉しあったりしてるけどそれぞれの話が複雑に交わりすぎて説明は難しい


1巻に収録されてるのは

としれじぇ
魔法少女893号
拝啓、光の勇者様
奇跡の中心、針山さん

の4つで
上から都市伝説、魔女っ子、伝説の勇者をテーマに書かれている
4つ目の奇跡の中心、針山さんだけ特別で
それまで独立した話だった他の3つの短編のキャラクターが入り乱れ一つに収束する話になってる

182 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 06:51:41 ID:GAT7QvQz
短編形式の作品なのでエピソードごとに書きます
一話が短い分情報が凝縮されてるので長めになります


183 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 06:54:02 ID:GAT7QvQz
(一巻)
埼玉県所沢市では日常的に奇妙な事件が起きる。
猫耳地底人襲撃事件、年間三百人連続結婚詐欺事件、ドラゴン目撃etc…
そこにはいつも一人の男の姿がある。
針山真吉、37歳。職業はグラフィックデザイナー。特殊能力はなし。
しかし、彼はあらゆる事件に何らかの形で脇役として関わってくる。
一つ一つの事件では脇役だが、針山さんの視点からすると彼の回りに事件が広がっていってるように見える。
まるで、針山さんが世界の中心であるかのように。



184 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 06:57:48 ID:GAT7QvQz
とれじぇ ジャンル≪都市伝説≫

Aサイド『斧男の悲劇』
高校生のルル(赤神瑠流)はクラスメイトの青年ムー(一ニ三夢羽)と友達以上恋人未満の関係を続けていた。
ある日、ムーのアパートへ遊びに行ったルルはベッドの下に斧を持った男がいることに気付く。
斧男に気付かないムーをあの手この手で外に連れ出そうとするが、どれも理由をつけられかわされてしまう。

ムーが自分を部屋から出さないようにしていることに気づいたルルは
実はムーが殺人鬼で、ベッドの下にあるのは死体と隠した斧なのではないかと勘繰る。
次の獲物は自分なのではないのかと考えたルルは、ムーにさっきから態度がおかしい理由と
今まで仲良く付き合ってきたことはずっと嘘だったか問い詰めようとする。
それでもはぐらかそうとするムーだが、恐慌状態が続いて精神的に限界になったルルは
ベッドの上に放火して外に出ざるを得ない状況を作る。

それでもルルを外へ出そうとしないムーを問い詰めると、ムーはルルを守りたいんだと叫ぶ。
その言葉の意味が分からず呆然としていると火だるまとなった斧男が二人に襲いかかる。
とっさに消火器をぶつけると斧男は二人を諦めて部屋の外へと走り去っていった。
すると、外から斧男の凄まじい悲鳴が響いてくる。二人が外に出ると血溜まりが広がっていた。
それをみたムーはずっと外に日本刀を持った血まみれの男がいたのだと呟く。


185 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 06:59:27 ID:GAT7QvQz
Bサイド『斧男の喜劇』
今まで挫折を味わったことのなかった主人公は、ルルに「恋人未満の友達がいるから」
という煮え切らない理由で振られたせいでヤケを起こし、大勢の人間を道連れにして死のうと考える。

手始めにルルとムーを狙ってアパートに侵入、斧を携えてベッドの下に潜り込んだ。
しかし部屋に入ってきたのは二人ではなくヤクザ達だった。
アパートが二軒並んでいたために主人公は建物を間違えてしまっていた。
どうすることもできずに潜んでいる主人公の足元にはダイナマイトの入った箱が置かれていた。
そこにまだ火の燻っているタバコの吸い殻が転がってくる。
火傷を覚悟で火種を消そうとする主人公を尻目に、ハウスダストに引火した火はダンボールへ燃え移る。

絶体絶命の状況で死にたくないと思い始めた主人公は、自分の足を切りつけて血液で火を消す。
しかし、火が消える音を聞いたヤクザにベッドの下に何かあることを気付かれてしまう。
生き延びる覚悟を決めた主人公はベッドの下をのぞいたヤクザの顔を斧で切りつけて逃走する。
主人公に顔を切りつけられたヤクザは日本刀を持って追いかける。
そこへ、ちょうどルルとムーの部屋から出てきた斧男が襲いかかっきたためヤクザは返り討ちにする。

斧男をベッドの下に潜んでいた奴だと認識し、男をどこかへ連れていくヤクザを隠れて見送った主人公は
一連の出来事からはっきりお互いへの思いを自覚して告白し合うルルとムーの姿を見つける。
二人がちゃんと恋人になったことで自分の振られた理由に折り合いをつけることができた主人公は
今日の挫折をなかったことにして、明日から人生をやり直そうと前向きに考え始める。


186 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:13:29 ID:GAT7QvQz
魔法少女893号 ジャンル≪魔女っ娘≫
魔法世界で囚人893号は重罪人として『地獄』へ送られようとしていた。
罪状は人間界で行われた数々の破壊行為と魔法管理官への公務執行妨害、そして過去7回に渡る脱走行為。
893号は人間界から持ってきた日本の漫画やアニメの影響を受けて
自分は「人間界で修行中の魔法界のお姫様」だと思い込んでいた。
しかし、本人は人助けのつもりでも魔力が強すぎるせいで些細なことで大損害を引き起こしてしまう。
自分が他人に迷惑をかけたということを全く理解していない893号はまたしても脱獄。
相棒のカマキリ(ヌイグルミみたい)、ティスと共に人助けのために人間界へ向かう。

893号が空から屋根を突き破って着地した家はヤクザのアジトだった。
彼らを敵と認識した893号は攻撃を仕掛けるが、若頭である銀島の圧倒的実力の前に敗北。
しかしお人好し揃いなヤクザたちは彼女がなにやら訳ありだと認識し
組の拠点となっている家に居候させてくれる。(なんかこの娘魔法使ってたけどこまけえこたあry)

名前のなかった893号はサマーと名付けられる。(奥様は魔女のサマンサから)
1ヶ月ほど過ごすうちに一般常識を身につけたサマーは、自分がお姫様でないことも
なぜ罪状が与えられたかも理解し、ティスに対して魔法界に連れ戻される恐怖をこぼす。
サマーに帰る場所がないことを知った銀島は結婚を控えてるので養子にならないかと提案。
そんな話をしていたら突然ニット帽子をかぶった二人組に襲撃される。
サマーは銀島を庇って魔法を使おうと前に出るが、そのサマーをさらに庇った銀島は負傷してしまう。
人通りのない場所で重症を負った銀島だったが、ちょうどそこへ以前サマーが居候していた
一家の家主である針山さんが通りかかり、銀島は病院へ運ばれる。


187 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:15:38 ID:GAT7QvQz
安堵するサマーの前に魔法界の法務官が現れる。
大人しく『地獄』行きを受け入れるので誰にも危害を加えないように頼み込むサマーに法務官は
サマーは人ではなく魔法使いが人のように作り上げた魔法そのものだと告げ、研究所送りにしようとする。
サマーが自分をお姫様だと思い込んでいたのも、その考えをあっさり覆したのも
人ではない故の周囲の影響を受けやすいという性質が原因だった。

そこへ病院から抜け出してきた銀島が現れ、魔法使いたちを撃退する。
自分は人ではないと告げるサマーだが銀島はそんなことは関係ないと言い放ち、受け入れる。
その夜、サマーは銀島を襲撃した男を雇った組のビルに乱入、死なない程度に魔法で吹っ飛ばすのだった。

188 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:18:49 ID:GAT7QvQz
拝啓、光の勇者様 ジャンル≪デンセツノユウシャ≫
主人公の将馬は、ある日突然幼馴染みのマヤから自分は勇者なのだと告白される。
意味が分からず聞き返す将馬にマヤは自分が光の勇者の生まれ変わりで前世の記憶を取り戻したと語る。
将馬のことが好きだから伝えておきたかったとマヤは告げ、世界を守るために旅立ってしまう。
マヤがいなくなって落ち込んでいると、今度は友人の池本が自分は宇宙人と人間のハーフで
鵜頭瑠(うずる)の禍津神(まがつかみ)を倒す使命があるのだと言ってどこかへ旅立ってしまう。

家に帰ると父親から自分は裏徳川家に代々使える忍の末裔なのだと打ち明けられる。
さらに母親は自分が天界から遣わされた天使なのだと告げる。
すると、いきなり母を偽者だと言って父が名刀(包丁)で斬りかかろうとする。
それを見た母は、父が悪魔に乗っ取られていると言い出して聖剣(包丁)で応戦する。
本気で殺し合う両親に恐怖を覚えて家を飛び出すと、町中で選ばれし者を自称する人間同士が争っていた。

189 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:20:20 ID:GAT7QvQz
せめてマヤが変わってしまった手がかりだけでも探そうと、将馬はマヤの家を訪ねる。
代々この島を守る役割を与えられた神主であるマヤの父は、将馬が正気であることに気付くと
この出来事の原因となった将馬たちの住む光島の成り立ちについて語り始める。
江戸時代にある呪い師が『神呼び』という儀式を行い、36人の人間を供物として沈めた。
しかし神は呼ばれず、海上に岩が一つ出現しただけだった。
落胆して呪い師はその場を去るが、どうしても岩が気になって数ヶ月後に訪れると
岩のあった場所には島ができており、死んだはずの36人が暮らしていた。
ほとんどがその36人の末裔である光島の住人はおそらく人間でない上に、島の魂と密接に結び付いている。
情報社会となり世界の広さを知った島は今になって召喚された時の
『闇を祓え』という契約を履行をするために、住人が理想とするそれぞれの勇者を
自分がそういう存在だと思い込ませ、勇者の役割=闇を祓う役割を果たさせようとした。
(マヤの父が正気でいられるのは自分の勇者像である神主にすでになっているため)
しかし、勇者ごとに闇の定義が違うので混乱に陥ってしまった。

皆を正気に戻せるか尋ねる将馬に、マヤの父は突然ナイフで斬りかかってくる。
必死で抵抗する将馬は無意識のうちにナイフを奪って相手の胸を刺してしまう。
我に返って動揺する将馬にマヤの父はこれが解決法だということ、将馬が実は捨て子だったことを告げる。
部外者である将馬が島の住人を殺したことで、ベクトルのバラバラだった勇者にとっての
祓うべき『闇』が将馬であると明確に定められた。
そして将馬を勇者の誰かが殺せば、島は役目を終えて住人は正気に戻るという。

将馬は勇者たちと戦い続ければいずれマヤと再開できると確信する。
マヤが自分を殺しに来るまでは死ぬわけにはいかないから、他の勇者を殺める決意をする。
自分は正気で、ただマヤを愛しているだけなのだと言い聞かせながら。

島と似た異質な気配に引き寄せられて将馬は所沢市へ引っ越して来る。
近所となった針山さんに、自分は勇者と魔王の兼業だと自己紹介する。

190 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:31:35 ID:GAT7QvQz
奇跡の中心、針山さん ジャンル≪メドレー≫
魔法界の法務官たちは組の倉庫に侵入して銀島に取り上げられた杖を取り戻す。
倉庫の中で拷問されボロボロになった斧男を偶然見つけたため、銀島に真っ二つに斬られてしまった杖が
どの程度使えるかを試すために男に回復魔法をかける。
しかし斬れた杖の歪な魔法は回復だけでなく肉体強化までもしてしまい
狂気に支配されていた斧男はさらなる化物へと変貌して倉庫から逃げ出す。

勇者を殺している最中だった将馬と邪悪な気配を追ってきたマヤは再開を果たす。
将馬はマヤに殺されるなら本望とばかりに再開を喜ぶが
マヤは目の前にいるのは将馬のふりをした邪悪な存在なんだと必死で思い込もうとする。
ナイフを持って自分に向かってくるマヤを受け入れようとした将馬だが
突然背後に現れた斧男に横へ弾き飛ばされる。
突然将馬の姿が変わったと勘違いしたマヤは、邪悪が将馬ではなかったと思い安心するが
そのまま男の持つ斧に向かって突っ込んでいってしまう。

銀島は部下から斧男が逃げ出したということと魔法界の人間を見かけたこと
斧男を追っていったら傷を負った少女と男を追いかけていった少年がいたという話を聞き
少女を病院へ送っていくよう指示し、何が起こっているのかを考える。
病院へ行くのを拒んだため、しかたなく部下はマヤを銀島の元へ連れてくる。
マヤの要望により将馬が殺した勇者の死体も車に乗せてくるが
突然死体は全員の目の前で光の粒子となって消えてしまう。
一同が驚いていると、サマーが針山さんに送ってもらい帰宅してくる。
警察沙汰になりかねない一連の騒動にまだ戸籍のないサマーを巻き込むことを危惧した銀島は
針山さんにサマーをしばらく預かってくれるよう頼み込む。
快諾した針山さんの家にサマーとついでにマヤも送られていく。
マヤを見たサマーは、彼女から地球の人とは違う自分と似たような力を感じたとティスに告げる。


191 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:37:39 ID:GAT7QvQz
銀島負傷の一件を機に治癒魔法を覚えたサマーはそれでマヤの傷を直す。
傷の癒えたマヤは車から降りて使命を果たしに行こうとするが
無策で突っ込んでいくのはよくないと言って引き留める。
他の一般人と違って自分の話を真摯に聞いてくれる針山さんにマヤは将馬のことを語る。
斧男に襲われた時のことをはっきり思い出したマヤは、やっぱり将馬は敵で
自分はどうするべきなのかのか思い悩んでいることを打ち明ける。

道路の真ん中に人がいることに気づいた針山さんは車を止める。そこにいたのは将馬だった。
真実を聞こうとしたマヤに将馬は、今までの話さえ聞こうとしなかった勇者とは違って
光島の呪縛が弱くなっている可能性を指摘し、島で起こった出来事を語る。
目の前で勇者が光となって消えるのを見たマヤは、将馬の話と相まって自分の存在意義に疑問を持ち始める。

マヤを『勇者』から解放するために死を選ぼうとする将馬だが
針山さんは島が使命を終えれば必要のなくなった住人は消えてしまう可能性を指摘する。
落胆する将馬をなだめて取り敢えず帰ろうとするが、そこへニット帽をかぶった二人の男と彼らを雇った組のチンピラたちが現れる。


192 :世界の中心、針山さん:2010/12/03(金) 07:39:25 ID:GAT7QvQz
二人は以前銀島を襲撃した殺し屋で、今度こそ銀島の息の根を止めるために
とりあえずサマーの誘拐をしようと目論んでいた。
しかし、そこへ斧男が乱入してくる。
魔法感知能力まで身に付けた男は、特別な力を持つ者を餌とみなして襲いかかってきた。
色々と邪魔が入ってブチキレた赤ニットは全員ぶっ殺すと宣言する。
青ニットが斧男と交戦する間に赤ニットは将馬たちにに襲いかかる。
さらに青ニットを振り切った斧男が襲いかかる。
万事休すとなった将馬だが、サマーの魔法が襲撃者二人を弾き飛ばしたために助かる。
自分を守ってくれる将馬の姿を見たマヤは、使命を与える神(島)の声を完全に切り捨てる。
そこへ、針山さんが呼んだ銀島が駆けつけてくる。

銀島は圧倒的な実力でチンピラたちと赤ニットを叩きのめし、ニット帽の二人は退却する。
銀島が来たことにより勇気づけられたサマーは、残った斧男を『地獄』へと転送する。
『地獄』について聞く針山さんに、ティスは魔力と気力を吸い取る土地だと説明する。
話によると300年ほど前に岩山が一つ人間界に召喚されて、吸収力がますます上がったらしい。(後の光島)
サマーの強大な力を目にした将馬は、自分をこの町に引き寄せたのは彼女の力だったことに気付く。

全てが終わり、針山宅に着いた一行。
マヤは将馬に作られた存在である自分の不安を打ち明けるが
それを聞いたサマーが自分も同じ作られた存在だけど元気に生きてるんだと言って励ます。
サマーに勇気づけられたマヤは、自分も島と戦う決意を固める。

就寝前、針山さんは日記をつける。【今日も、いつも通りの一日だった】


222 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:50:31 ID:/ifqKnZL
(二巻)
とあるワイドショー番組にて
ビラを配る全長100m超の巨大なクマの着ぐるみを取材中のリポーター。
最初にクマを目撃、通報した人間にインタビューを試みるとそこに現れたのは針山さん。
ちなみに針山さんは以前宝くじで七億を当てた人の友人としてこのリポーターの取材を受けていた。
しかもその翌日、翌々日に起こった事件にも関係者として取材を受けた矢先に今回の事件。
驚愕したリポーターに裏で糸を引いているんじゃないかと言われて困る針山さんだった。


223 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:52:13 ID:/ifqKnZL
とれじぇ2 ジャンル≪都市伝説2≫
とあるタクシードライバーの車に高校生二人が乗り込んでくる。
その二人、ルルとムーはひとしきり怪談話をして下車する。
次にジョン=デルタという三人組のアーティストが乗り込んでくる。
日本人少女と白人黒人男性から成るこのアーティストは、一部で霊感があるとの噂があった。
しばらく車を走らせていると突然少女が何かに気付き、白人男性が車からおろしてくれと騒ぎ出す。
そして三人はお釣も受け取らず行ってしまう。

その後も車を走らせていると、乗車合図を出している小学生の少女を見かける。
少女の方に近づくと、いつの間にか後部座席に乗り込まれていた。
運転手は驚くが自分が寝ぼけているのだと思い、少女の指示した場所へ向かう。
運転手と少女が先ほど乗っていたジョン=デルタの話題で盛り上がっていると
少女は運転手に日本人少女と黒人男性には自分が視えていたようだと告げる。
その発言に運転手は不気味なものを感じるが、気のせいだと言い聞かせて車を走らせる。
そして目的地に到着した時、少女はここで自分は殺されたのだと言い出す。

タクシーから下車したジョン=デルタの三人は、CDのデザインを担当している針山さんの元へ訪れる。
針山さんが資料を取りに行っている間、日本人少女コダマと黒人ストレーガは先ほど視た霊が
悪霊だったら30分で人を殺せるくらい強い存在だと話す。

必死で車を走らせる運転手を正体を表した少女は取り殺そうとする。
タクシードライバーに殺された少女は、その復讐をするために何人もの運転手を手にかけてきていた。
もう駄目だと思った瞬間、運転手は少女が驚愕する声を聞く。


224 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:53:38 ID:/ifqKnZL
コダマとストレーガは白人クラリタスが下車を要求した理由が少女の霊にあると思っていたが
霊感のないクラリタスはそれを否定、あのタクシーに少女が乗り込んだと聞いて同情する。
いくつもの異次元に自分が存在すると主張するクラリタスは
霊感こそないが、それ以外の異質を感じ取ることができた。

少女は自分の知らない単位や国の書かれた新聞、さらには左右反転せずに映る鏡に恐怖する。
運転手は当たり前のことに怯える少女を不思議に思い、鏡が左右反転に映る訳がないと告げると
少女は泣き叫び、助けを求めて消滅してしまう。

運転手が呆然としていると昼間にのせた高校によく似た二人、ムムとルーが乗り込んでくる。
タクシーに乗った二人はひとつの都市伝説について語り合う。
この近辺を走るタクシーはある特定の順路を走ると平行世界に飛ばされる。
飛ばされるのはほんの1時間程度なのことで大抵は気付かないのだが
自分の世界と違うことに気付き過ぎると戻ってこれなくなるらしい。

225 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:54:55 ID:/ifqKnZL
37564人目の悲劇 ジャンル≪雑魚戦闘員≫
小学生の乗ったバスが悪の秘密結社『クロック』によってジャックされる。
先行したレッドが狭いバスの中一人で怪人たちとの戦闘を開始するが
彼の攻撃は一人の雑魚戦闘員によってあっさりと受け止められてしまう。
「ガキを…殺す気か?」そう雑魚戦闘員に言われてレッドが動揺していると
隙を突こうとした怪人たちがレッドに向けてマシンガンを発射してくる。
すると、レッドの攻撃を受け止めた雑魚戦闘員が今度は銃弾を全て受け止める。
あくまでも人質である子供達に危害を加えようとしたことを怪人たちに問い詰める雑魚戦闘員と
雑魚戦闘員に敬語で申し開きをする怪人たちの様子に呆然としているレッドだったが
その隙を突かれてバスの外へ放り出されてしまう。


秘密結社『クロック』の総統であるワン・デイ・タイラント(本名・時平祐紀。小学6年生)は
雑魚戦闘員No.37564が自分を改造したドクターを殴り飛ばして以来彼を抹消しようとしてきたが
力も刃も火も酸も毒も通用しない上に一酸化炭素の満ちた部屋でも平然としている
さらには総統お得意の洗脳も効かないため、野放しにせざるを得なかった。
目的を持たないNo.37564には出世欲がなく、雑魚戦闘員のままひたすら強くなり続け
一人の女性を除いて組織のメンバーたちは彼を恐れていた。


226 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:56:52 ID:/ifqKnZL
目的もなくただひたすらに強くなり続ける自分に鬱屈した感情を抱えていたNo.37564は
苛立ちまぎれに一人でヒーローたちの巨大ロボットをバラバラにしてしまう。
元々ヒーローに憧れて強くなろうとした彼だったが、目の前で怯えるヒーローたちは理想とは程遠く
最後まで希望を信じて立ち向かってくれという言葉も虚しく響くだけだった。
けれどもその日を境にNo.37564を慕うメンバーが増え始める。
周囲と打ち解けてきた彼を総統は呼び出し
自分の目的はいつか現れる本物のヒーローに倒されることだと語る。
そんなボスにNo.37564は本物が現れるまで自分が偽物を倒し続けると約束する。
せっかく呼び出されたので組織の紋章を気に入っていたNo.37564はずっと気になっていた
誰がデザインしたのかということを聞いてみると、クラスメイトの父親の針山さんだと返ってくる。

ある日、No.37564は以前から自分を慕ってくれていたハナカマキリ怪人シルク・シックルと
志願してくれた雑魚戦闘員たちと共に拠点に奇襲をかけ、関係者たちを捕えるという任務に赴く。
しかし、拠点はもぬけの殻だった。とりあえず本部に連絡をつけようとするが繋がらない。
慌てて帰るとアジトは以前捉えていたヒーローたちによって壊滅状態にされていた。
どうやら裏切り者がヒーローを逃がしたらしい。
何もかも失った自分を殺せと言う総統たが
No.37564は自分に護れという命令を与えてくれと言って反発する。
自分も組織の一部として動いてきた総統だったがそこで初めて
まだあのかっこいい紋章を消したくないという個人の我が儘を口にする。

数日後、20人ほどにまで減った組織は針山家の隣のアパートに引っ越してくる。
今までNo.37564にとって守らなければならない仲間の存在は弱点だったが
守ることが目的となった今の彼にとって確かな強さとなった。

227 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:57:59 ID:/ifqKnZL
THE DON'T OF THE DEAD ジャンル≪ゾンビ≫
白帽子を被った殺し屋の女性の前に、ゴーグルをした少年が協力を仰ぎにくる。
話によると、オランダから来たその少年は
死体に魂を宿らせてゾンビとして蘇らせる死霊呪術師に追われている。
呪学士の少年はウィルスを使って肉体的に蘇らせたゾンビで迎え撃とうとしたが
日本が火葬文化であることを知らなくて困ってしまったので死体処理場まで連れていってほしいとのこと。
面倒くさがる女性だが、いきなり敵のゾンビが襲いかかってきたので
仕方なく自分がいつも死体を埋めているプレハブ小屋へ少年と向かう。

山奥の小屋についた二人はゾンビを作りだし、敵のゾンビを迎撃する。
いくら倒しても湧き出してきてキリがない状態でだったが
少年は女性に敵が指輪でゾンビをコントロールしており、それを奪えば指揮権を奪取できる可能性を語る。突然地中から現れたゾンビに少年が引きずりこまれてしまったので、女性は一人で戦うことになる。

一旦小屋に入って武器を整えた女性は森の中にいるゾンビを操っている者の元へ向かう。
ゾンビを操っていたのは一人の少女だった。
次々とゾンビを薙ぎ倒す女性に少女は樹に死霊を宿らせて枝で攻撃を仕掛ける。
しかし、女性はまるで痛みを感じていないかのようにお構い無しで突っ込んでくる。
焦る少女だが、地中に引きずりこまれたはずの少年が姿を表し、女性を襲撃して少女を助ける。



228 :世界の中心、針山さん:2010/12/07(火) 23:59:49 ID:/ifqKnZL
実は少年と少女は最初からグルで、女性のことを優秀な素体として狙っていた。
死霊呪術師も呪学士も役を演じていただけで、二人とも同じ反魂術師だった。
動けない女性に種明かしをして談笑していると、突然現れたもうひとりの女性に指輪を奪われる。
指輪を奪ったのがターゲットに定めたはずの女性だったので
驚いて地面にふせっている女性を見ると、そこに倒れているのは別人だった。
最初から少年のことを疑っていた殺し屋の女性は
小屋に閉じ込めておいた今回のターゲットである麻薬中毒の女性と入れ替わり
自分の白帽子を被せて、麻薬が欲しければ森にいる奴から指輪を奪ってこいと言っておいたのだった。

結局女性は子供だからと言う理由で二人を見逃してしまう。
生温いことが嫌いな女性は自分の行動に苛立ちつつも
せめて体温だけでもなくそうとして自分の体を二人にゾンビ化してもらう。
後日、女性のマンションを訪ねてきたニット帽を被った二人の弟は
彼女の持つ指輪と人に興味のない姉が二人の子供と一緒にいることを珍しがるのだった。

229 :世界の中心、針山さん:2010/12/08(水) 00:03:01 ID:/ifqKnZL
間章1
ある幽霊の男が独白する。タクシー運転手になりたかった男は偽物のタクシーを作った。
上手くいっていたのに小学生の少女にバレてしまったと。生意気だっったから殺したと。

間章2
No.37564が庭で近頃の物騒な事件に思いを巡らせていると
通りすがりのクラリタスにとんでもないことを告げられる。
曰く、死・消滅・無といったものの反動なるのがNo.37564という人間で
ブラックホールに放り込まれようが、次元そのものを構築し直そうが決して滅びることのない存在だと。
死にそうになってもご都合主義としか思えない偶然で助かり、さらなる力を手に入れてしまうと。
とりあえず負けてみたければ命に関わらない状況でじゃんけんでもしてみればいいと。

間章3
白帽子の女性、真白は少年にグレイ、少女にレインと名付ける。
実は中国出身の二人はいわゆるキョンシーのようなものらしい。
互いに死体を闘わせていた二人の主人は偶然同時に相手の主を殺せという
命令を下したために、主を失った二人は自由になった。
新たな主人となった真白は前の主人たちと違って優しいので二人は幸せだった。
真白は二人が死体遊びをするのは止めないが、精神的に大人になるまでは
殺しだけは絶対にさせないと決意し、相変わらず生温い自分に苛立ちを覚えるのだった。

230 :世界の中心、針山さん:2010/12/08(水) 00:05:54 ID:/ifqKnZL
柏木クロスの真っ赤な死 ジャンル≪戦隊ヒーロー≫
撃滅戦隊ジェノサイダーレッドの柏木十字架(クロス)はバスジャック事件で
No.37564に返り討ちにあって以来何週間も昏睡状態だった。
クロスは他の仲間との間に妙な疎外感を感じており、認めてもらおうと一人で先走ってしまったらしい。
目を覚まして本部に向かうが、壊滅状態になっていた。
不用意に車内で暴れたときにNo.37564に言われた言葉を思い出してヒーロー失格だと落ち込むが
それでも自分は正義の味方なのだと言い聞かせ、とりあえず落下した時に壊してしまった
車の持ち主である針山さんの家へ謝罪するために向かう。

針山さんは壊れた車は魔法で直してもらったので問題ないと言う。
日常的に奇怪な事件に巻き込まれている針山さんはクロスが
ヒーローであるということを妄言とせず、真剣に取り合ってくれる。
そんな針山さんと話しているうちに、クロスはいつ何故ジェノサイダーになったのか
そして何故そんな基本的なことを今まで疑問に思わなかったのかと考え始める。
そんなクロスの苦悩をよそに、針山さんは遊園地のチケットが余っているので行かないかと提案。
針山さんと彼の息子である神夜、彼のクラスメイトであるワン・デイ・タイラントこと時平有紀
そして銀島家の養子となり、学校に通う魔法少女サマーの4人と出かけることになる。
針山家から出ていくクロスを見た将馬とマヤは、彼がサマーの持つ杖と同じような感じがすると語り合う。

展望施設で湖を眺めていたクロスはジェノサイダーとクロックが交戦しているのを目撃。
しかしジェノサイダーは5人揃っていた。
慌てて新たな本部へ向かったクロスは博士から攻撃を受け、変身腕輪を奪われる。
身動きの取れないクロスに博士は真実を語り始める。


231 :世界の中心、針山さん:2010/12/08(水) 00:07:15 ID:b/bBbIc2
博士はクロックの幹部の一人で、サマーを追ってきた魔法使いたちと出会ったことで
その力を自分を殴り飛ばしたNo.37564へ復讐するために利用する研究をしてきた。
そこへちょうど光島から使命を受けた4人が現れ、彼らを利用する。
しかし、レッドが欠けていたため補欠として雑魚戦闘員だったクロスを洗脳してレッドに仕立て上げた。
光島出身のレッドが現れたため用済みとなったクロスは
博士に利用されているジェノサイダーによって殺される。

人体をバラバラにされて捨てられたたクロスは、グレイとレインによってゾンビとして蘇らされる。
二人は、強力だが大部分の欠けているというを奇妙な魂を持った
新鮮な死体を掘り起こすために大人手を必要としていた。
真実を知って自棄になり、感情も何もかも捨て去って二人の道具として生きようと考えるクロスだが
ランドセルを背負った少女の遺体を見つけ、怒りを燃やす。
洗脳ではない自分自身の正義を見つけたクロスは、二人に少しの間の自由を願い出て
遊園地のヒーローショー用のスーツを奪って再び本部へ向かう。
遊園地からの去り際に、まるで部下のような挨拶をしていった
クロスのことが気になった有紀はシルクに彼を追いかけさせる。
本部に強い魂を感じたグレイとレインはクロスについていくことにする。

本部の奥にたどり着いた一行は、博士が実験に使った大量の人間の死体を見つける。
侵入に気付いたジェノサイダーたちに二人がゾンビとして蘇らせた死体が襲いかかる
ジェノサイダーはゾンビを操る二人にビームサーベルで攻撃を仕掛けようとするが
子供を守るという自分の正義を見つけ出したクロスはそれにキレ、猛攻を仕掛ける。
そこへシルクや他の雑魚戦闘員と共にNo.34564が現れる。
子供たちを人質にしようとする『偽物の』ヒーローたちをNo.37564は一人で薙ぎ倒す。

232 :世界の中心、針山さん:2010/12/08(水) 00:08:19 ID:b/bBbIc2
No.37564から逃げた博士はタクシーに乗り込むが、それは幽霊の男がいる偽タクシーだった。
博士は男にあっさりと殺されてしまう。
男は続いて博士を追ってきたクロスを殺そうとするが、クロスについてきた少女の霊に
大部分が平行世界へ行って消えてしまった自分の魂を補うためにに取り込まれてしまう。

クロスは少女を掘り起こしたときに、助けられなかったことを謝罪した。
接点のない人間を助けられなかったと悔いるクロスを少女は偽善者と見なすが
自分が殺された時いなかったことを恨むべきか、自分を掘り起こしてくれたことを感謝すべきか
判断しかねたため、それが分かるまでクロスに憑くことに決めた。

夜、一同は針山家でバーベキューをする。
身体中がツギハギだらけのクロスはそれを隠すために、取り戻したジェノサイダーの服で参加する。
(戦いでボロボロだったが、サマーに魔法で直してもらった)
クロックのメンバーやゾンビ二人の日常的なやり取りを見ているクロスに
コダマが近づいてきて少女の考えていることを代弁してくれる。
それを聞いたクロスは、子供たちの笑顔を守り続けることを誓う。
ヒーローとしてではなく柏木十字架個人として。



233 :世界の中心、針山さん:2010/12/08(水) 00:09:15 ID:b/bBbIc2
余章
博士に死に逃げされることに納得のいかなかった戦闘員たちは、痛みを残したままゾンビとして蘇らせる。
そして自分たちを裏切り、死んだ多くの仲間に非道な実験をした人間を痛めつけ続けた。

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最終更新:2011年11月20日 22:55