ブギーポップは笑わない 著者/上遠野浩平 イラスト/緒方剛志 電撃文庫
- 590 :ブギーポップは笑わない:2011/10/16(日) 04:08:36.19 ID:XzSeLq15
- 深陽学園の女子の間だけで流れる噂がある。ブギーポップと呼ばれる死神の話だ。
一番美しいとき、醜く老いさばらえる前に、人を苦痛もなく一瞬で殺してくれるという―。
人間は果たして「善」か「悪」か。
調査のため地球に送り込まれたとある生命体は、人間に変身して世界を調べようとするが
手違いで現代の人間よりもはるかに進化した能力を得てしまう。
「組織」(今作中では名称は登場しないが、「統和機構」であると思われる)に
目をつけられ、捕まってしまった彼は、
話しかけられた言葉を返すことしか出来ないことから「反響体(エコーズ)」と名づけられた。
「組織」はエコーズの能力を研究し、彼の複製体を作ることに成功するが、
その複製体・マンティコアは、人間を捕食する危険な存在だった。
「組織」の研究所の人間を皆殺しにして脱走したマンティコア。
エコーズは彼女を追うがなかなか発見することができず、途方に暮れていた。
そこへ通りがかった黒マントに黒帽子、黒いルージュを引いた少年は、
「泣くのは追い求めているものを見つけてからにしなさい」と彼を励ます。
勇気付けられたエコーズは、街でマンティコアを捜しているところを
深陽学園の三年生・紙木城直子に助けられた。
人間とコミュニケートできないはずのエコーズの考えを読み取る不思議な力を持っていた直子は、
エコーズを学園に匿い、親友の霧間凪に助けを求める。
- 591 :ブギーポップは笑わない:2011/10/16(日) 04:10:00.14 ID:XzSeLq15
- また、逃げ出したマンティコアも、深陽学園の二年生・百合原美奈子を食うところを
美奈子のクラブの後輩、早乙女正美に目撃されてしまう。
殺されることと殺すこと、その異常性に常から魅せられていた正美は、
マンティコアに好意を持ち、協力を申し出た。
マンティコアは美奈子に化け、体内で生成できる麻薬物質を利用して
学園の人間を操り捕食する計画を立てる。
計画は最初こそ順調だったが、麻薬による人間のスレイヴ化が思うように上手くいかず、
また、マンティコアの操るスレイヴのばらまく麻薬に、
凪が探りを入れてきたことに正美は強い警戒感を抱いた。
正美とマンティコアが計画の修正を話し合っているところに、直子が通りがかり
「エコーズそこにいるの?」と声をかける。
エコーズの名を聞いたマンティコアは反射的に直子を殺してしまった。
正美は直子を利用し、凪とエコーズを罠にかけ殺すことを考える。
行方不明となった直子を探す直子の恋人、田中志郎と直子の友人で二年生の新刻敬を
「直子のことなら霧間凪が知っているかもしれない」と誘い出し、二人に凪を呼び出させ
二人の存在に油断した凪を正美が倒し、マンティコアがエコーズを追い詰める。
絶対絶命に陥ったエコーズを、自らも危険に晒されながらも守ろうとする敬。
ついにエコーズは「人間はどっちなのか」決断した。
「我が身を情報に変えて、御許に報告を送る!」
そう叫んだエコーズは光の奔流と変じ、マンティコアを庇った正美の身体を消滅させた。
狂乱するマンティコアを、糸のようにうねりながら飛んできた金属製のワイヤーが拘束する。
ワイヤーを飛ばしてきた黒マントに黒帽子の少年(?)は、
どう見ても敬のクラスメートの女子、宮下藤花の姿で「今はブギーポップだ」と名乗る。
動けなくなったマンティコアの額を、志郎の弓が射抜き、ついにマンティコアは斃れた。
- 592 :ブギーポップは笑わない:2011/10/16(日) 04:10:56.44 ID:XzSeLq15
- 世界の危機が迫ると、宮下藤花の中から浮かび上がってくる人格―不気味な泡(ブギーポップ)。
藤花の恋人でありブギーポップの友人でもある竹田啓司は、
事件の翌日、ブギーポップから別れを告げられる。危機は去った、これでおわかれだ、と。
行くな、と叫ぶ啓司に、ブギーポップは左眼を細め、右の口端を吊り上げた、皮肉っぽい
左右非対称の表情を見せて語った。
「君らは自分で自分たちの世界をつくっていかなくちゃならないんだよ」
うつむいた啓司が顔を上げると、ブギーポップは消え去っていた。風のように。
―泡のように。
最終更新:2011年11月25日 23:41