魔術士オーフェンはぐれ旅 我が胸で眠れ亡霊 著者/秋田禎信 イラスト/草河遊也 富士見ファンタジア文庫、TOブックス

 

841 :魔術士オーフェンはぐれ旅 我が胸で眠れ亡霊:2012/06/23(土) 15:15:48.44 ID:onf/jj/A
トトカンタ周辺を支配する金貸しの元締め、オストワルドはモグリ金貸しのオーフェンを始末するため
魔術師殺し専門の暗殺者ヒリエッタを差向けた。
が、ヒリエッタは多少の小手調べの後に、逆にオーフェンに仕事の依頼をして来た。
別に引き受けてもらえなくても、オストワルドの依頼を完遂すればいいだけだという脅しを残して。

ヒリエッタに指定されて向かった辺境の村は、非人道的な研究にのめりこみ
魔術士同盟から追放された狂魔術士フォノゴロスが研究所を構えていた事で知られていた村だった。
とりあえず宿を取ったオーフェンは、クリーオウにせがまれてマジクと共にちょっとした魔術講座をする事になる。
要約すると、人間の扱う音声魔術は魔術の中で中堅どころに位置する事、にも関わらず人間がドラゴン種族に手も足も出ないのは
根本的に彼らが生物として桁違いの力を持つためだという事、魔術士は天人との混血で生まれた人間の近似種であり
純血の人間にはどう足掻いても魔術は使えない、という事・・・。
授業を終えて眠りについた一行だが、そこに謎の怪物達と「亡霊」が襲いかかる。
怪物を退けたオーフェンの前に、今回の依頼の詳細を伝えるためにヒリエッタが現れた。
彼らはフォノゴロスの被害者である改造人間であり、既に理性を失い魔術士=フォノゴロスと判断して
復讐のために見境無く襲いかかるようになったという。
ヒリエッタが魔術士殺しに身を窶していたのは、かつて彼女の恋人であった亡霊ことサミィを殺せる魔術士を探すためだった。



842 :魔術士オーフェンはぐれ旅 我が胸で眠れ亡霊:2012/06/23(土) 15:16:21.31 ID:onf/jj/A
フォノゴロスの研究所に案内されたオーフェンは、父に魚にされたというフォノゴロスの息子と対面する。
彼が言うには、父はキムラック教会の最奥で「何か」を見た事で発狂し、ドラゴン種族を超える究極の生物を造り出そうと
クリーチャーと名づけた生物兵器を作り続けていたという。
オーフェンが、あんな物はドラゴン種族の足元にも及ばないと嘲笑すると、彼もそれに同意した。
あんな失敗作よりも、戦闘芸術品と呼ばれたキリランシェロの方がドラゴンに匹敵すると。
それを聞いたオーフェンは激昂し、人間嫌いのフォノゴロスに子供が居るはずがない、自分を魚に改造したのはサミィから逃げるためだろうと問い詰める。
が、答えを聞く前に突如マジクが部屋に飛び込んできた、クリーオウがクリーチャーに殺されたと。

怒りのままに次々とクリーチャーを撃破するオーフェンに対し、サミィは
クリーオウの体を操って襲い掛かる。
クリーオウは死んだのではなく、呼吸をしていないだけだと気づくと
容赦なく鳩尾に攻撃を加え、彼女の肺からサミィを叩き出す。
これにより、サミィは酸素に近い性質を持つことに気づいたオーフェンは
物理的な攻撃が通じなくても、燃焼させれば消し去る事が出来るのではないかと館に火を放つ。
フォノゴロスの館は全焼したが、サミィはまだ僅かに残っていた。
ヒリエッタは焼けた鉄と共にサミィの欠片を自らの胸に押し付け、亡霊を眠らせたのだった。

オーフェン陸に打ち上げられたフォノゴロスを発見し、彼と当たり障りの無い会話をする。
そしてオーフェンの最後の問い・・・「発声装置が壊れてるのにお前どこで喋ってるの?」
その瞬間、フォノゴロスは全く動かなくなった。

843 :魔術士オーフェンはぐれ旅 我が胸で眠れ亡霊 補足:2012/06/23(土) 15:41:49.17 ID:onf/jj/A
・オーフェンの魔術講座
ストーリーの鍵を握るドラゴン種族と魔術についてのちょっとした説明。
昔々文明の栄華を極めた6体のドラゴンは神々の操る万能の力、魔法から力の一部を盗みだして自らの魔術とした。
これにより万能でなくなった神々は、自らの力を取り戻すためにドラゴン種族を皆殺しにしようとした。
神々の追撃を何とかかわしたドラゴン種族は、魔術バリアを張ってキエサルヒマ大陸に引きこもり今も神様に怯えているらしい。
ウォードラゴン=スレイプニル:鋼鉄の軍馬。一切出番が無い。ドラゴンの王と言われ、意思を媒介とする破壊魔術は破壊においては最強の威力を誇るらしい。
ディープドラゴン=フェンリル:深淵の森狼。大陸最強の戦士で視線を媒介に精神を支配する暗黒魔術を操る。一切の生命活動を行っておらず、族長の魔術で種族を維持している。
ウィールドドラゴン=ノルニル:天なる人類。名前の割には住居は基本地下。魔術文字を媒介にする沈黙魔術は、限りなく万能に近い代わりに必ず何かしらの欠点があるという。
フェアリードラゴン=ヴァルキリー:小型の獅子。契約を媒介に結界を張る精霊魔術を操る。魔術効果の出番はあるが彼ら自身の出番は無い。
ミストドラゴン=トロール:全てを手にした者とまで呼ばれる無敵生物。大陸にこの犀型戦車を傷つけられる物は存在しない。天候を操る大気魔術を使えるが、動物的な知能しかないのでにわか雨を降らすくらいしかしない。
レッドドラゴン=バーサーカー:密林の果て無き放浪者。戸愚呂(兄)。それは擬態だ。
人間の操る黒魔術は、音声を媒介に物理現象を操り、声を保存できない以上魔術効果も長続きしない。
極稀に時や精神を操る白魔術を得る者も居るが、黒魔術が石を遠くに投げる事だとしたら
白魔術は無から宝石を作り出す事ほどの実力差があるらしい。

キムラック教会
過去・現在・未来を司る運命の三女神を信仰する大陸最大の宗教。
魔術の成り立ちから、魔術士を敵視しており、魔術士抹殺が信徒の義務と思っている物も存在する。

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最終更新:2012年07月07日 06:24