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【一日目】



『ええ、前年比50%超えです!
 社長のアイディアが大当たりしましたよ、受注数も鰻上りです!』


東京は港区赤坂にそびえ立つ、巨大なオフィスビル。
その社長室において今、彼は受話器越しに部下からの歓声混じりの報告を受けていた。
先日発売した商品が大ヒットし、予想を大幅に上回る黒字額を叩きだしているのだ。
おかげで担当部署は現在、朝から大忙しの様子らしい。


「ふっ……それは何よりだ。
 こちらとしても、発案した甲斐があったというものだ」


この報告に、社長―――海馬瀬人は、大いに満足していた。
彼はまだ17歳という若さでありながらも、この大手玩具・ゲームメーカー『海馬コーポレーション』を率いる敏腕経営者である。
その実力は本物であり、今やこの東京において海馬コーポレーションはその名を知る者は居ない大企業にまで発展している。
それを僅か一代で成し遂げたというのだから、彼が如何に優れた社長であるかは言うまでもないだろう。


「だが、油断はするな。
 そのままの状態を維持できるよう、努力を怠るなよ」
『はい、かしこまりました。
 それと社長、先月打診がありました遊園地とのコラボレーション企画についてですが……』


多忙なれどそれを苦には一切思わず。
今日も今日とて、海馬コーポレーションは充実した営業を続けられている。
つい先月には大型遊園地とのコラボレーション企画も持ち上がり、観覧車のゴンドラに社長お気に入りのモンスターをペイントした特別仕様を用意したり、
また同じくモンスターへのなりきり撮影アトラクションを社長自ら提案するなど、実に精力的だ。


『ですが社長、無理はなさらないでくださいね?
 社長が倒れてしまっては元も子もありませんから』
「言われずとも分かっている。
 適度には休息を挟んでいる、何も問題はない」


そんな社長を心配する声も部下から上がったが、海馬自身もそれは重々分かっている。
だからこそ適度に休息を挟み、仕事から離れ気持ちを落ち着かせる時間を作っている。
つい一週間ほど前にも、休息がてらカードゲーム―――デュエルモンスターズの大会に出て優勝を掻っ攫ってきたところだ。
海馬は若手の敏腕社長としてだけでなく、このデュエルモンスターズにおいても凄腕のトップ決闘者(デュエリスト)として名を馳せている。
今現在、彼に叶うだけの実力を持つものは果たしてどれだけいるだろうか。



(……トップ決闘者、か……)



しかし。
そういった名声を欲しい侭にしているにも関わらず、どこか海馬の心には満たされないものがあった。
会社も上手くいっている、自らの出したアイディアは賞賛を浴びている、デュエルにおいても右に並ぶものはいない。
この見事なまでの結果には、勿論海馬も満足は得られている。

ならば……何故だ。



(……一体、何だと言うんだ?
 この渇望……心の中にあいた穴が空いたような感覚は?)



そんな勝ち続けの人生が……どこか物足りなく感じてしまうのは。

己の心を滾らせてきた、大切な何かを無くしている……そんな感覚にとらわれてしまっているのは。




◆◇◆



「では海馬社長、私どもはお先に失礼させていただきます。
 どうか、お気をつけてお帰り下さいませ」


一日の勤めが終わり、人々が帰路へと当についた頃。
海馬は提供会社との商談を済ませ、分厚い合金製のケースを片手に自社のエントランス前へと丁度戻ってきていた。
勤務時間を少々過ぎてしまった運転手に礼をしてそのまま帰宅させると、彼も今日の仕事を終える事にした。
思ったよりも商談相手とのやり取りに時間をかけてしまった。
と言うのも、相手社長がデュエリストとしての海馬のファンであり、商談ついでに是非一戦デュエルをしてみたいと持ちかけてきたからだ。
海馬としては特に断る理由もないので受けて立ったのだが、これが予想以上に時間のかかる一戦になってしまった。
もっとも、おかげで相手は大いに満足し、商談も円満に終わることが出来たのだが。


(……思ったよりも骨のある相手ではあった。
 久しぶりに楽しめた……が……)


しかし……海馬自身は、どこか物足りなさを感じていた。
確かに先程のデュエルは、ここ最近では一番の手応えがあるものだった。
だが、それでも……完全に満足できたかと言われれば、はっきり肯定することができない。
心の中で、何か燻っているものがあるがために……彼は求めているのだ。



あの■■との様な、死力を尽くした宿命のデュエルを……


(…………!?
 なんだ……今の風景は……?)


―――広大な決闘場の中央に立つ、二人の決闘者。


―――その片方は己であり、対面に立つは赤と金が混じり特徴的な形をした髪の少年。



不意に頭をよぎった謎のビジョンに、海馬は奇妙なデジャブを覚えた。
こんなデュエルの記憶など、己の中にはない。
だが、どういうことか……この風景を、自分は確かに見たことがある。
目の前に立っていたデュエリストを、確かに知っている。
このデュエルが、己にとって何よりも重要な意味を持つものだと分かっているのだ。


(……それに……あのカード……俺の知るものとは、どこか違う……?)


それだけではない。
両者が互いに持ち、場に出し合っていたカードにも違和感があった。
今現在自分達が使っているデュエルモンスターズのそれとは、デザイン等細部がどことなく異なっているのだ。

いや、それどころか……ビジョンの中で、彼等はデュエルモンスターズという単語を一切口にしていなかった。
代わりに出たものが、『マジック&ウィザーズ』という見知らぬ単語……
ビジョンの中の自分達は、どういうことかデュエルモンスターズをそう呼称していたのである。


(何故……どういう事だ?
 俺は……何か、決して忘れてはならない事を忘れてしまっているのか……?)


このビジョンは一体何なのか。
記憶と現実との間にある、この差異はなんなのか。
何か、絶対に無くしてはならないものを無くしているのではないか。
海馬は痛む額を右手で抑え、必死に記憶の中を探ろうとする……



「よう……海馬社長」



その時であった。


「む……?」


背後から声をかけられ、海馬は強制的に思考を中断させられた。
やむを得ず、頭を切り替える……どうやら自分を訪ねての客のようだ。
しかし、こんな時間に訪ねてくる人物などそうはいないだろうに、一体何者が来たというのか。
ましてビジネス関係者というのであれば、こんな砕けた口調で声をかけたりはしないだろう。
確かめるべく、振り向きその者へと視線を向け……


「何っ!?」


大いに驚愕した。
彼の目の前に立っているのは、二人組の男性だ。
片方は黒いロングコートを着て、サングラスとマスクで顔を隠した如何にもという不審な人物。
そして、もう一人が……まるでファンタジー映画の中からそのまま出てきたかのような、重厚な甲冑を身に纏う大男だ。
黒コートの男の方はまだ分かるが、甲冑の男は明らかに異質だ。
海馬が驚き声を上げてしまったのも、無理はないだろう。


(何だ、この男……あの『槍』は、本物なのか……!?)


まして……その手に握られている槍に赤い血がべっとりとついていれば、尚更だ。



「主……どうやらこの男、まだ目覚めてはおらぬようです」
「だろうなぁ……令呪が見えねぇし。
 だが、お前の予知が機能している以上間違いはねぇだろう」


驚愕する海馬を他所に、目の前の二人組は冷静に会話を交わしていた。
彼の様子や仕草をじっくりと見て、まるで品定めをするかの如く互いの意見を述べている。
当然ながら海馬にはその意図が分からず、困惑するしかない。
『令呪』だの『予知』だの、その意味が全く分からない単語が彼等の口からは出ているが……



「……予知……?」




――――――手札にある■■■■■を召喚するために必要な生贄は2体!



――――――そう……神を生贄に捧げる!



「ッ!?」


予知。
その単語を口にした途端に、海馬の頭へと痛みが走った。
同時に脳裏に浮かび上がるのは、またしても謎のビジョンだ。

天高く舞う飛行船上に備わった決闘場。
そこに立つ二人の決闘者…‥片方は、今まさに上級モンスター召喚の為に生贄を捧げようとしている己。
そして相対するは、遠き異国の地より現れた女―――未来を見る力を、『予知』の力を持つと言う女だ。


(まただ……このデュエルの記憶は一体……!!)

「ま、悪く思うなよ?
 令呪が出てからじゃ厄介だからな……ああ、警備員なら全員眠らせてるから期待しても無駄だ。
 目覚めちまう前に、ライバルは蹴落とさせてもらうぜ……ランサー!」


頭を押さえ悩む海馬を他所にして、二人の男達は目的を遂げるべく淡々と動いていた。
男の言葉と共に、甲冑の男は海馬へと血塗られた槍の切っ先を向けた。
そして、その次の瞬間……


――――――ゴウッ!!


「なっ!?」


海馬は男の姿に、眼を見開き驚いた。
頭を走る痛みも謎のビジョンも、瞬時に吹き飛ぶ程の衝撃。
男は例え一流のアスリートであろうとも絶対に出せないであろう爆発的なスピードで、瞬間的に間合いをつめてきたのだ。
明確な殺意を持って、槍を突きたてようと、まっすぐに……!!


「くっ……!」


海馬は咄嗟に、その手のケースを体の前に出した。
考えなど何もない、本当に反射的な行動だった。
そうしなければ命がないと、本能的に直感出来たが故に取れた行動であり……それは正しかった。

猛烈な勢いの刺突を受けたケースは、さながら弾丸の如きスピードで海馬の手から弾き飛ばされた。
五指を走る、指が千切れるのではないかといわんばかりの振動と衝撃だった。
その痛みに海馬も堪らず顔をしかめるが……しかし、同時にそれが正解であるとも理解できた。
分厚い合金製のケースが、ビルの外壁に叩きつけられると共にいとも容易く粉砕されたのだから。


――――――ガッシャァァァンッ!!



破壊されたケースの内部より、厳重に締まってあった海馬の魂の道具―――デッキカードと、
商談に用いた新製品『決闘盤(デュエルディスク)』が飛び出し、地にばら蒔かれた。
その光景を前に、海馬は息を飲んだ。
一度はこうして防げたが、二度目はない……次で確実に殺されると、実感せざるを得なかったからだ。



(……死ぬ……だと?
 こんなところで……終わる……?)



余りにも唐突すぎるこの事態を、海馬は受け入れる事ができなかった。
全てが理不尽すぎる。
自身の『運命』が……『未来』が、このような形で終わるなど容認する事が出来なかった。



(そんな事を……受け入れてたまるか!
 運命も未来も、誰かに定められたものであるはずがない……俺はッ!!)



―――――――俺のプライド! そして、俺の魂! 俺の未来は俺が決めるっ!!! 




「奴との……『遊戯』との決着をつけ、全ての頂点に立つ!
 それこそが、俺の目指すべき未来だ!!
 こんなところで倒れてたまるものかぁっ!!」



栄光ある未来を手にする為、朽ちる訳には断じていかない。



その強く誇り高き魂の雄叫びは、彼に全ての記憶を取り戻させた。



そして……奇跡―――令呪の発現―――は起きる……!!



◆◇◆



「何ッ!?
 まさか……このタイミングで覚醒したのか!!」
「予知を覆したというのか……?
 それ程の強運値を持つサーヴァントとは……!!」


海馬の雄叫びと共に、その現象は起きた。
彼の手の甲へと、聖杯戦争のマスターである資格を得た証拠―――三画の令呪が出現したのだ。
それと同時に、眩い金色の光が彼の胸元へと収束してゆく。
槍兵とそのマスターは、その光の正体をすぐに察知した。
危機的状況において、令呪を発現させると同時に起きる事柄など一つしかない……即ち、サーヴァントの召喚!


「……これは……!!」


そして、金色の光が消え去った時。
海馬の前に現れたのは、光と同じ金の光沢を放つ一つの道具であった。
中央部に瞳の文様を刻まれた、逆三角形のアクセサリー。
古代エジプトの王が代々眠る墓―――ピラミッドを連想させる意匠。
海馬は、それに見覚えがあった……忘れるはずがなかった。


己が宿敵と定めた男が、肌身離さず身につけていた象徴―――千年パズルを……!!


『海馬、デュエルディスクとデッキを取るんだ!!』
「……!!
 その、声は……!!」


次の瞬間。
彼の脳裏へと、声が響いた―――千年パズルより、声が告げられたのだ。
それはこの千年パズルと同じく、絶対に忘れてはならなかった男の声。
そう、パズルの中に眠る偉大なる王の魂。


「遊戯……貴様なのか……!?」


海馬瀬人は、もっとも己と繋がりの深き英霊として彼を召喚したのだ。

イレギュラークラス『デュエリスト』として。

武藤遊戯が持つもう一つの人格にして、神をも従えし伝説のファラオ―――アテムを!




◆◇◆



「仕方ねぇ、こうなった以上やるぞ……ランサーッ!!」


予想外の事態ではあるものの、ここまで来たらやらない訳にはいかない。
男はそう割り切り、ランサーが再び攻撃態勢に入った。
サーヴァントを召喚されてしまったとはいえ、召喚直後の今ならばまだ倒せる。
相手が状況を理解し切る前ならば、勝算はあるのだから。
そして逆に言えば、ここで仕留めなければまずいのだ。
海馬が呼び出したサーヴァントは、明らかに人ではない『道具』だ。
通常ではありえない、得体が知れない謎の存在を彼は呼び出したのだ。
それだけに不気味……何が起こるかわかったものではない。


『海馬ッ!!』


しかし、その槍が突き出されるよりも早く。
デュエリストの声に突き動かされ、海馬が行動を起こしていた。
地面に散らばっていた決闘盤とカードを素早く拾い上げたのだ。


『呼ぶんだ、海馬!!
 お前のデッキに眠るモンスターを!!』


「ふん……言われずとも分かっている!!」


そして次の行動は、デュエリストに指摘されるまでもなく分かっていた。
まだソリッドビジョンというシステムが完成を迎える以前、初めて武藤遊戯とのデュエルに臨んだあの時。
彼は千年パズルが持つ闇の力を使い、カードに描かれたモンスターを『実体化』させるという凄まじい現象を引き起こした。
否、それだけではない。
巷で流行していた携帯ゲームから単純なサイコロ、果てには鉄板焼きの道具といったモノまで。
『ゲーム』と呼ぶ事のできるあらゆるモノに、彼は尋常ならざる力を与え引き起こしてきたのだ。

そう、これこそがデュエリストの最大の力……遊戯と呼べるモノに神秘性を付与し、宝具の領域にまで高める能力だ。


そしてその力が、海馬が持つカードに適用された時……!!



「いでよ……ミノタウルス!!」



カードに秘められたモンスターは、姿を得て現界を果たす!!




◆◇◆



「使い魔を出した……!?」


巨大な戦斧を持つ、屈強な牛人戦士ミノタウルス。
海馬がその絵柄の描かれたカードを決闘盤に設置すると同時に、それが確かな実体を成して出現したのだ。
この思いも寄らぬ敵の出現に、相対する彼等は息を飲んだ。
カードのモンスターを実体化させて使い魔にする能力……それが、海馬のサーヴァントが持つ力なのだ。
こんなとんでもない英霊がいるなど、どうして予想できようか。


「ゆけ、ミノタウルス!
 敵を粉砕せよ!!」
「ちっ……ランサー!!」


襲い来るミノタウルスを迎え撃つべく、男はランサーを動かした。
力任せに振り下ろされる、強烈な戦斧の豪撃。
ランサーはそれを槍の柄で受け止め、力比べの体制に入る。
流石は屈強な牛人、並の使い魔や魔術師と比較してもそのパワーは高い。
腕に伝わる圧力がそれを如実に物語っている。


「だが……サーヴァントを相手に出来るほどではッ!!」


しかし、英霊たるサーヴァントには及ばない。
ランサーは一喝するとともにミノタウルスの戦斧を大きくかち上げ、その無防備な胴体を晒させた。
そして槍を回転させ穂先を向けると共に、一閃。
ミノタウルスの胴体へと槍は容易く吸い込まれ、その身に致命的なダメージを与える。


「ぬぅっ!?」


致命傷を負わせられたミノタウルスの肉体は、現界を保てなくなり砕け霧散する。
それと同時に、使役を行っていた海馬の身へと急な痛みと疲労とが襲い掛かったのだ。
闇のゲームにおいて、モンスターが受けたダメージはそのままプレイヤーへとダイレクトにフィードバックされる。
それはこの聖杯戦争においても同じ事……ミノタウルスを破壊されたダメージが、海馬へとそのまま跳ね返ってきたのである。
そしてミノタウルスのカードは墓地へと送られる……これでこの戦闘中は、蘇生を行わぬ限り二度と使用できなくなった。


(この痛み……そうか、遊戯やマリクどもが挑んでいた闇のゲームと同じ……!)
『海馬、気をつけろ!
 あのランサーは手ごわい、並のモンスターでは駄目だ!!』
「黙れ遊戯!!
 貴様に指図をされるまでもない……ブラッド・ヴォルスとY-ドラゴンヘッドを召還!!
 そしてリバースカードをセット!!」


デュエリストからの指示を聞くまでもなく、即座に海馬は次なるモンスターを召還した。
ミノタウルスと同じ獣戦士族ブラッド・ヴォルスと、全身を機械で構成された機龍Y-ドラゴンヘッドの二体が場に呼び出される。
同時に、それに伴う魔力の消耗が彼の身に起こるも、海馬は平静にそれを受け止めている。
もし、魔術師でもなく素養も持たぬ者が今の彼と同じ事をしたならば、如何にデュエリストのバックアップがあるとしても魔力的に見れば厳しい事になっていたかもしれない。

しかし海馬には、幸運にも魔術師としての素養があった。
モンスターを使役するには問題ないだけの魔力量があったのだ。
前世―――ファラオに仕える神官セトより受け継がれてきた系譜こそが、その源なのだから。


「成る程、複数の使い魔を使役して戦う……キャスターか、或いは類するイレギュラークラスか。
 一体ずつならサーヴァントを相手にできるレベルではないにせよ、複数出されると厄介だが……!」


ならばと、ランサーが地を蹴り疾走する。
海馬のサーヴァントが持つ宝具或いはスキルは、マスターが持つカードを媒介に使い魔を召喚する力と見て間違いない。
呼び出された使い魔のレベルも決して悪くはなく、複数体で襲いかかられては流石に苦戦もしよう。
使い方によってはなかなかに厄介な相手だが……しかし、欠点もある。

彼等の呼び出す使い魔は確かに強いが、しかし使役する彼等自身はどうだ。
あくまで召喚を行い指示を出すだけの司令塔……つまり、直接的な戦闘能力は皆無と言ってもいい。
呼び出されたモンスターを突破し肉薄すれば、戦う手段はない。
それこそが、海馬瀬人の欠点……!!


「ふん、プレイヤーへのダイレクトアタックに切り替えてきたか……!!」


防御に入ろうとするブラッド・ヴォルスとY-ヘッドドラゴンを弾き飛ばし自らへと迫るランサーを前に、海馬もその狙いを察した。
確かにこうしてモンスターの防御を抜けられれば、超常の力を持つ相手に自身が叶う術はない。
戦法としては決して間違ってはいないだろう。


「甘い!
 その程度の事を予測できない俺だとでも思ったか!!」


しかし。
プレイヤーへのダイレクトアタックは、海馬とて今までのデュエルで幾度となく経験してきた。
防御を無視してプレイヤーのライフを削る攻撃は、寧ろ常套手段だ。
故に、対策は出来ている……!!


「リバースカードオープン、破壊輪!!」
「何っ!?」


穂先が海馬を捉えようとした、まさにその瞬間。
ランサーの目前に、一枚のカードがビジョンを持って出現する。
先程、ブラッド・ヴォルスとY-ヘッドドラゴンを召喚した際に伏せておいた罠カード『破壊輪』だ。
ランサーの攻撃を引き金として発動したそのカードは、ランサーの手首へと大きな腕輪―――爆弾付きの破壊輪を強制装着させる。
破壊輪の効果は、自身に攻撃を仕掛けてきたモンスター一体を対象に発動し、そのモンスターを破壊する……!!


「グアアァッ!?」


閃光が走り、ランサーの左手首が爆炎に包まれた。
強烈な痛みと熱が彼を襲い、その動きを強制的に停止させる。


「くっ……!!」


同時に、海馬の肉体にもまた痛みが走った。
破壊輪は攻撃対象を文字通り破壊する強力な罠カードだが、同時に使用者にもダメージを与える効果を持っている。
海馬はランサーの攻撃を防ぎ手傷を負わせる代償として、この痛みを敢えて受け入れたのだ。
しかし、流石に聖杯戦争はデュエルとは勝手が違うという事か。
本来ならば攻撃してきた相手を問答無用に破壊する破壊輪の効力でも、ランサーにはダメージを与えたところで止まっている様だ。


「……成る程。
 この戦いがどういったものかは、まだはっきりとは分からんが……感覚は掴めてきたぞ」


だが、収穫はあった。
撃破までは至らずともダメージを与えられた事に違いはなく、同時にカードの効力がこの戦いの場においてどれ程のものかを確かめられた。
それが分かれば、もう十分だ……後はただ一つ。
全力を持って、勝利を果たすのみ。


「ゆくぞ、槍兵よ……我が栄光の礎となるがいい!!
 俺はブラッド・ヴォルスとY-ヘッドドラゴンを生け贄に捧げ、召喚する!!」


宣言とともに、ブラッド・ヴォルスとY-ヘッドドラゴンの肉体が光の粒子に変わりゆく。
そしてその粒子は収束し、新たな一つの形となる。
上級モンスターを呼び出すための生贄として、彼等下級モンスターは捧げられたのだ。
これより呼び出されるは、海馬瀬人の誇りとも言える存在。
彼が最も信頼を置く、最強のモンスター……!!


「出でよ!!
 我が忠実なる最強の下僕……『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)』!!」


決闘盤にカードが置かれ、光の粒子が消える。
そしてそこには、一体の巨大な龍が出現を果たした。
青き瞳に白く輝く肉体を持つ、伝説のドラゴン―――青眼の白龍である!


「な……なんだと……こいつは!?」


ランサーは青眼の白龍を前にし、圧倒された。
古代に存在した幻想種の中でも、特に最強とされる竜種。
それも……相対するだけで強大な力を持つとはっきり分かる存在が今、目の前に現れたのだ。
先程まで呼び出されていたモンスター達とは、格が違う。
サーヴァントを相手取るには役者不足であった下級モンスターたちと違い、この巨龍は……サーヴァントを相手取るに十分すぎる力を秘めている!!


「我が敵を打ち砕け、ブルーアイズよ!!」


海馬の命令とともに、青眼の白龍は咆哮を上げてランサーへと迫った。
巨大な翼を羽ばたかせての、猛烈な加速による突進。
その勢いに乗せたまま、青眼の白龍はその両の爪を力強く突き出す……!!


「ウオォォォォォォォッ!!??」


ランサーはその一撃を受け止めようとするも、青眼の白龍のパワーは彼を上回っていた。
踏ん張るも耐え切れず、両の踵が線を描きながらアスファルトを砕き散らしてゆく。
そして十数メートルほどランサーを押し続けたところで、青眼の白龍は力強く羽ばたき上昇。
彼を捕らえたまま、夜空へと天高く舞い上がったのだ。


「決着の時だ!
 放て、青眼の白龍!!」


そして。
空中へと爪を振り上げランサーを投げ上げると、青眼の白龍はその顎を大きく開きランサーへと向けた。
そこへ集うは、全てを屠る圧倒的な力の奔流。
あらゆるものを吹き飛ばす、龍の息吹……!!




「『滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)』!!」




闇夜を切り裂き、白き閃光が走った。
青眼の白龍の口から放たれた莫大な熱量を持つその光は、容易くランサーを飲み込んだ。
ランサーとてただでやられる訳にはゆかぬと、全力を込め槍を盾にし懸命に耐え抜こうとしている……しかし。


「く……グアアアアァァァッ!!」


勝敗は決した。
その力の奔流を耐えることは叶わず……ランサーの身は、空中で完全な消滅を遂げたのであった。




◆◇◆




「……聖杯戦争か……ふん。
 非科学的にも程がある話だが、事実として受け入れねばならん様だな」


ランサーとの激闘を終えてから、しばし後。
海馬は魔力消費による疲労――下級モンスターに上級モンスターの合計三体召喚ともなれば、流石に相応の消耗になる―――にため息をつきながらも、
このイマイチ飲み込めぬ状況がどういうものなのかを知るべく、デュエリストから知る限りの情報を聞き出していた。
曰く、この東京は万能の願望器たる聖杯を降臨させる為に作り出された虚偽のゲーム盤。
自身はそのプレイヤーとして招かれたマスターであり、デュエリストはその為のサーヴァントであるとの事だ。
サーヴァントは通常、マスターと何かしらの共通点や縁を持つ者が選ばれるといい、
海馬がデュエリストを召喚したのは半ば必然とも言えることであった。


「……気に入らんな。
 この俺を、デス・ゲームの盤上の駒として扱おうなどと……!」
『海馬、お前はこれからどうするつもりなんだ?』
「決まっている……この聖杯戦争の主催者に近づき、何の目的があってこの様な真似をしたかを問いただすまでだ!
 その為には、勝ち上がり聖杯に近づく必要がある……!!」


海馬は、自身にこの様な仕打ちをしでかしてきた主催者達がとにかく気に入らなかった。
一体何を目的としているのか、何故自分を駒として選び出したのか。
全てを問い詰め問い質した上で、然るべき報いを与えなければならない。
その為には主催者に近づく必要があるが、現時点では主催者に関する手がかりは一切ない。
しかし……聖杯に近づけば確実に主催者との距離が近くなるということだけは、少なくとも間違いないだろう。
また、先程の男達の様に勝ち上がりを狙い襲い来る者達も現れるはずだ。
自身と同じく巻き込まれ、そして戦う意志を見せようとせぬ者ならば兎も角、好んで戦いに乗った者相手ならば躊躇は不要。
今、やるべきことは一つ……他の参加者を蹴散らし、聖杯へと近づく過程で首謀者を掴むのみ。


『海馬……』
「遊戯よ、貴様の生温い言葉を聞くつもりは毛頭ない。
 俺はただ、俺の信じる道をゆくのみだ……その為にも貴様の持つその力、存分に利用させてもらうぞ!」
『……ああ、わかったぜ。
 だが、お前がどうしても許せない行動をとったならばその時は……!』
「ふん、やってみるがいい。
 その様な甘い考え方で生き延びられると言えるのならばな……!!」



如何に主従として選ばれたとはいえ、彼等は決して友とは成り得ない。
絆を信じ絆の力で勝利を得てきた遊戯と、絆を否定し孤高の力で高みへと上り詰めた海馬。
二人の道は、限りなく近かれども交わることは決してなかった。


それは果たして、マスターにサーヴァントという限りなく近き関係に置かれたこの場においても、変わることはないのであろうか……







【サーヴァント】

【クラス】
 デュエリスト

【真名】
 アテム@遊☆戯☆王

【属性】
 秩序・善

【パラメーター】
 筋力:- 耐久:- 敏捷:- 魔力:A 幸運:A+ 宝具:EX

【クラススキル】
エンチャント:EX
 他者や他者の持つ大切な物品に、強力な機能を付与する。
 基本的にはマスターを戦わせるための強化能力。
 デュエリストは『ゲーム』と称することの出来る道具ならば全て、宝具相当の神秘性を付与する事ができる。
 例えばデュエルモンスターズのカードにスキル効果を付与すれば、
 カードに描かれたモンスターや効果を現実のものとして出現させる事すらも可能になる。

戦闘続行:-
 名称通り戦闘を続行する為の能力。
 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
 デュエリストは如何に絶望的な状況であろうとも、最後まで諦めず戦い抜く事で奇跡を起こし、幾度となく勝利を掴んできた。
 ただし、マスターの肉体を寄り代として現界している現状ではこのスキルは失われており、不屈の闘志のみが残されている。

【保有スキル】
カリスマ:A
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
 団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
 ファラオとして一国を治めてきたデュエリストのカリスマは、人が得られる最大のレベル。

神性:B
 神霊適性を持つかどうか。
 デュエリストは伝説のファラオの血を引く王として、かつて邪神の魂と共に封じられていた者として、
 また三幻神と呼ばれる偉大な神の化身すらも操った決闘者として、このスキルを得ている。

直感:B
 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
 デュエリストは窮地においても尚自身に出来る手段を模索し、逆転の一手を引き起こしてきた。

【宝具】
『千年錐(ミレニアム・パズル)』
 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:100人
デュエリストの象徴にして、その魂が封じられている彼そのものともいえる宝具。
 よってこの宝具が破壊されることがあれば、それはデュエリストの消滅をそのまま意味する。
 現在より三千年前の古代エジプトにおいて生み出された七つの『千年アイテム』の一つであり、その中心を成す黄金で出来た逆三角形型のパズル。
 通称は『千年パズル』であり、大抵の者にはこちらの名で呼ばれることが多い。 
 この宝具を所有するものはデュエリストと魂を共有することになり、サーヴァントとしてのスキルが付与される他、
 『闇のゲーム』と呼ばれる罪人を裁く力を手にする事が出来る。
 基本的にはマスターが肉体の所有権を持つが、デュエリストがマスターの意識を奪い肉体を強制的に操ることも可能。
 そして相互の理解と合意があれば、お互いに肉体の所有権を明け渡し合う事もできる。
 千年アイテムは自らの意思で所持者を選ぶとされており、
選ばれなかった者は体の内側から焼かれ、炎を吐き出しながら絶命してしまうとされている。
 その成り立ちは、デュエリストの父である先王アクナムカノンが隣国の軍隊に攻め込まれ絶望の危機に瀕した国を救うため、弟の大神官アクナディンに命じ作らせたアイテム。
 しかしこの時、アクナディンは千年アイテムの力を高めるべく秘密裏にクル・エルナ村の住民を冥府への生贄として捧げ、黄金と一緒に溶かして製作したとされている。
 その為に強い闇の力を持ち、人間の心に宿る魔物や精霊を呼び出し操るための力として使われた。
 そして同時に、千年アイテムは冥界の扉を開くための鍵ともされており、全ての千年アイテムをクル・エルナ村に眠る石版に嵌めた時には封印された闇の力を手にする事が出来る。
 専らこの聖杯戦争においては、海馬の持つデュエルモンスターズのカードを実体化させる形で宝具の力は発揮されている。
 ただし、闇のゲームの力で実体化されたモンスターは所有者の魂と繋がりを持つため、モンスターが破壊されればそのダメージが所有者にもそのままフィードバックされる。
 通常モンスターを召還する事には何ら制約はないが、サーヴァントを相手にするには実力不足。
 サーヴァントを相手にも戦える上級モンスターを召還するには、通常モンスターの魂を生贄に捧げなければならない制約があり、当然ながら相応の魔力消費を要求される。
 また、通常のデュエルと聖杯戦争とでは勝手が異なり、魔法カードや罠カードの効力がデュエルの時よりも低く出ることも多い。
 特に魔法カードはその名称どおり、対魔力スキルをもつサーヴァントに対してはレジスト・無力化される場合すらありえる。
 そして、一度使用されたり破壊されたカードは墓地へと送られる事になり、蘇生カード等を使わぬ限り戦闘終了後まで使用することはできない。
 ちなみに、かつてこの宝具にはデュエリストと共に冥界の神ゾーク・ネクロファデスの魂も封じられていたのだが、
 デュエリストが生前にその魂を完全に消し去った為、この宝具にはゾークの魂は宿っていない。

【weapon】
 海馬が所有するデュエルモンスターズのカードを実体化させる。
 原則として、海馬が原作及びアニメで使用したカードのみを使用する。
 ただし、神のカード『オベリスクの巨神兵』のみは海馬がかつてのデュエルで失った為に使用することができない。

【人物背景】
 三千年前の古代エジプトを統治していたファラオにして、千年パズルに眠る偉大なる魂。
 そして、現代においてゲーム好きの高校生『武藤遊戯』が千年パズルを完成させた事により、
 内部に封じられていた魂が彼の肉体を器として蘇った、言わばもう一人の遊戯『闇遊戯』とも言える存在。
 当初はファラオとしての記憶は失われており、彼自身も己が武藤遊戯に宿った別人格だと思っていた。
 あらゆるゲームのプロフェッショナルであり、圧倒的なプレイングと強運を誇る。
 現代において彼は、己が周囲にはこびる悪人達に『闇のゲーム』を仕掛け、
 敗北した者達へと恐るべき罰ゲームを下して制裁をする『闇の番人』として行動していた。
 当初は遊戯自身も彼の存在に気づかず、彼が目覚めている間は断片的な記憶喪失状態に陥っている事もあった。
 しかし、そうした日々を過ごしていく内に彼はいつしか大切な友たちとの友情を結んでいく様になり、
 それに連れて闇の番人として見せていた冷酷な面も、徐々に薄れていった。
 以降は、悪を許せないという気持ちこそ変わらないものの、仲間を強く思いやり正々堂々とした誇りある性格になる。
 また遊戯自身も、己の中に別の人格が宿っているという事実に気づいていく。
 そして、同じ千年アイテムの持ち主であるバクラとの闇のゲームを通じ、互いの存在を完全に自覚する。
 以降はお互いをかけがえのない『相棒』として認め合い、協力し合いながら数多くの危機を乗り越えてきた。
 そんな彼が特に現世でその名を馳せるようになった切っ掛けは、世界的なカードゲーム『マジック&ウィザーズ』の大会において
 ゲーム創設者のペガサス・J・クロードや宿命のライバルである海馬瀬人といった強豪達を次々に打ち破っていった事。
 そして、同じ千年アイテムの所有者であるマリク・イシュタールを打ち倒し
 三幻神と呼ばれる神のカードを全て揃えた事でデュエルキングの称号を得た事にある。
 この偉業は後年或いは並行世界においても語り継がれており、伝説の決闘者として認知されている。
 その後、彼は己が戦い抜いてきたデュエルを通じ、千年アイテムや三幻神のカードと自身の過去が深く繋がっている事実を知り、
 己の正体を知るべく全ての千年アイテムを揃え、過去の記憶を再現した世界へと乗り込む。
 そして記憶の世界で彼は、自身がファラオの血を引く王である事実と、どうして己の魂が千年パズルに封じられていたかを知った。
 かつて彼は、世界を破滅に導こうと目論む『闇の神官』と化したアクナディンを封じるべく、己の魂と記憶を引き換えに
 アクナディン及びアクナディンに宿る大邪神ゾーク・ネクロファデスの魂を千年パズルに自身諸共封印していたのだった。
 しかし、ゾーク・ネクロファデスはその魂の一部を封印の寸前に千年アイテムの一つである千年リングに移しており、
 現代における所有者バクラの肉体を則り覚醒していた。
 闇遊戯は彼との決着をつけるべく記憶の世界を用いた『闇のRPG』を行い、壮絶な死闘を繰り広げる。
 戦いは苛烈を極めるも、彼を救うべく記憶の世界へと降り立った遊戯や仲間達の助成を受けて覚醒。
 自らの記憶と真名『アテム』を思い出すと共に、三幻神の力を束ね『光の創造神ホルアクティ』を降臨させ、ゾークを無事打ち倒した。
 そうして現代へと戻った時、彼は己の役目を完全に果たした事で冥界へと逝かねばならなくなった。
 その為には『闘いの儀』というデュエルを行い、アテムに勝利することでその魂を安らかにする必要があった。
 デュエルの役目を引き受けたのは他ならぬ遊戯自身であり、そして二人の遊戯は運命のデュエルを開始。
 全力を出しあった末に遊戯はアテムを打ち破り、アテムは大切な絆を築いてきた仲間達に別れを告げて
 安らかに冥界へと旅立っていった。

【サーヴァントとしての願い】
 海馬と共に聖杯戦争の首謀者を討つ。
 ただし、もしも海馬が自身にとって許せぬ行動を取ろうとした場合には、肉体の所有権を奪うことも辞さないつもりでいる。

【運用方法】
 デュエリスト自身に戦う術はなく、マスターである海馬へと戦う力を付与する。
 基本的には下級モンスターを召喚して相手を牽制しつつ、サーヴァントを打倒すべく上級モンスターを召喚する準備を整える。
 必要に応じて魔法カードや罠カードを用い、状況を有利に運ぶ。
 また、呼び出すモンスターや用いる効果カードこそ強力なものが多いものの、それを操る海馬自身は単なる人間でしかない。
 その為、プレイヤーである海馬へのダイレクトアタックこそが最大の弱点であり、その点に注意して戦う必要がある。



【マスター】
海馬瀬人@遊☆戯☆王

【マスターとしての願い】
 聖杯などといった如何わしい代物にかける願いなど何一つない。
 気に入らぬ主催者にこの手で制裁を下す。

【能力・技能】
 天才的なゲームプレイヤーであり、特にマジック&ウィザーズ及びデュエルモンスターズの腕は世界最高峰と言われている。
 状況判断力・決断力に優れており、デュエルキングの称号を持つ遊戯をして「最大の強敵」と認めるほど。
 若くして大企業の社長を務めるエリートだけのことはあり、文武両道。
 ヘリコプターやジェット機の操縦技術も持ち合わせている。

【人物背景】
 高校二年生という若さであるにも関わらず、世界的な玩具・ゲームメーカーである大企業『海馬コーポレーション』を率いる社長。
 そして、世界でも五指に入るとまで言われているトップ決闘者でもある。
 彼がそこまでの大人物へとのし上がったのは、過酷な過去の影響が大きい。
 海馬瀬人は幼少期、両親を早くに亡くした挙句親戚に財産の全てを奪われ弟のモクバと共に施設に預けられていた。
 この時の経験から『良い暮らしをする』『親のいない子供達を楽しませるための遊園地を作る』という夢を抱くようになり、
 十歳の時、養子探しで施設を訪れていた先代海馬コーポレーション社長である海馬剛三郎へと
 「自分がチェスで勝ったら、モクバと共に容姿へ迎え入れろ」という条件を突きつけてチェスの勝負を挑んだ。
 剛三郎は世界チャンピオンに君臨する程の腕の持ち主だったのだが、瀬人は巧みなイカサマを用いて勝利を収めている。
 ただしこの勝利については、剛三郎が子供相手にと手加減をしていた・イカサマを仕掛けてきた瀬戸を逆に気に入ったという諸説もある。
 そうして海馬家への養子入りを果たした彼は、弟と一緒に裕福な暮らしをする事ができると考えていたのだが、
 そこで待ち受けていたのは剛三郎の手による英才教育という名の虐待であった。
 この事で瀬人は剛三郎への憎しみを募らせていき、皮肉にも剛三郎は自身の手で後継者ではなく最大の敵を育ててしまう結果になった。
 そして五年後、瀬戸は多くの社員を味方に付けて会社を掌握する事に成功する。
 この時彼は、剛三郎へと長い時間をかけてそれまでの復讐を実行するつもりでいたのだが、
 逆に剛三郎は自らの敗北を認め、負けた者の末路として彼の目の前で投身自殺をしてしまった。
 憎しみをぶつける相手を失ってしまった事で海馬の精神は大きく歪んでしまい、またこの件で『敗北=死』という暗い意識を持つ様になった。
 以降は軍事産業だった海馬コーポレーションをゲーム・玩具企業へと転換させ、夢であった遊園地『海馬ランド』の建設も始める。
 しかし、いつしか目的の為ならば手段を選ばぬ性格となり、モクバへの愛情も次第に失われていった。
 そんな最中に彼は、一人の決闘者―――武藤遊戯と出会う。
 当初は彼をただのクラスメイトとしてしか見ていなかったが、
 彼の祖父である双六がマジック&ウィザーズにおける最強のレアカード『青眼の白龍』の持ち主である事を知り、深く関わるようになる。
 どうしても青眼の白龍を手に入れたかった彼は強引にカードを奪うも、その所業を許せなかった闇遊戯に闇のゲームを挑まれ、敗北。
 青眼の白龍を奪い返されると共に、自身に敗北を味あわせた遊戯へと執着するようになった。
 それから後、海馬は双六以外の青眼の白龍の持ち主を見つけ出し、彼等から三枚の青眼の白龍を入手に成功する。
 そして遊戯への復讐のために作り上げたデスゲーム『DEATH-T』で彼へと挑むも、仲間達の友情に支えられた遊戯に敗北。
 罰ゲームとして彼が執行するマインドクラッシュを受け、悪に満ちた心を砕かれた。
 DEATH-T終了後はマインドクラッシュの影響で療養生活に入るも、半年後に復活。
 悪心を砕かれた影響から、傲慢でプライドの高い面こそ変わらないものの非常に誇り高き人物へと変化し、モクバへの愛情も取り戻した。
 遊戯のことも憎むべき敵ではなく、生涯をかけて倒すべきライバルとして見ている。
 その後、千年アイテムの所有者であるイシズ・イシュタールとの出会いを経て三幻神と呼ばれる神のカードの存在を知り、
 全ての神を揃えたデュエルキングの称号を得るべく、自らの手で世界最強を決める大会『バトル・シティ』を開催する。
 神の一柱『オベリスクの巨神兵』の力を存分に振るい勝ち上がるが、その最中で自身の中に謎の記憶を見るようになる。
 それは彼の前世である神官セトの記憶であり、自身と『青眼の白龍』との間には前世からの深い縁があった事を知る。
 そしてバトル・シティの準決勝において遊戯と決着をつけるべくデュエルを行うも、死闘の末に敗北。
 彼に神のカードを渡すも、彼が唱える『絆』『友情』の力をあくまでも否定し、孤高のままに強くあるという意志を曲げることはなかった。

【方針】
 聖杯に近づき主催者の正体を知るべく、戦いに勝ち上がる。
 ただし、あくまでもその相手は積極的にこの聖杯戦争に乗る者のみ。
 何も知らずに巻き込まれた者や自ら戦う意志を持たぬ者を手にかけるという
 誇り無き行いは、己がプライドに賭けて絶対にするつもりはない。



候補作投下順



最終更新:2016年03月09日 21:26