東京都港区白金台。
バブル景気により高級住宅街となったこの地は今も富豪たちの住まう地として知られている。
その中のとある邸宅。家宅の大きさに反して住んでいるのはマスター一人だった。
ドイツから留学してきた富豪の末っ子というロールを与えられた者は既に記憶を取り戻し、サーヴァントを召喚していた。
その血塗られた手にふさわしいサーヴァントを。
* * *
書斎の机に現界してルーマニア史を読んでいた槍のサーヴァントの前に札束が積まれる。一束百万だとすれば千五百万もの大金が積まれたことになる。
しかし、サーヴァントは綺麗な机に汚物が積まれたとでもいうように眉を顰め、嫌悪……いや殺意の眼差しをマスターへ向ける。
「なんだマスター? 最初の主従契約以降、一度も声を掛けないばかりかこんな紙切れを積んで、オレを苛つかせるのが趣味か?」
「料金だ。お前の力が欲しい」
言った瞬間、地面から目にも止まらぬ速さで槍が伸び、机を突き割って顎先で止まる。伸びた槍の穂先には血の玉ができていた。
「なんたる無為! なんたる浅ましさよ!
失望したぞ我がマスター、カナエ=フォン・ロゼヴァルト!
サーヴァントとは呼んだマスターに尽くすものである。
それに支払う? それで動かす? なんたる愚かしさと欲深さよ!」
怒り任せに立ち上がり、その結果ランサーが座っていた椅子が後方の壁に激突して砕けた。
「ましてやこのオレを!
この竜の息子ヴラドを!
事もあろうか金で動かそうとするなど…………串刺しにされる覚悟はあろうな?」
鬼気と殺意を向けられる。
スキル『無辜の怪物』により本物の怪物と化しているヴラドの殺気は呪詛すら帯びている。
本と絨毯は腐り、机の残骸も朽ちて砕け、マスター自身も雪原に放られたが如く冷気を感じているだろう。
生気を吸う吸血鬼。後世で創作された彼の逸話が本物となって顕れている。
だが、それでもマスターの態度は変わらない。泰然と構えたままサーヴァントに立ち向かう。
「勘違いをするな」
声にも変調は無い。魔術の行使もなく、痩せ我慢の類でもない。真実、吸血鬼の怒りにも揺るがぬ鋼の意思である。
「これは聖杯戦争後の支度金だ。貴様が聖杯(まえきん)で受肉して習さまに仕えるためのな」
「この小竜公たるオレを従える? 何をもってだ?」
サーヴァントの怒りは納まらない。
当然だ。彼は財貨の光で爛れた者共を粛清し、清貧の信仰に殉じた者。
そんな彼を金で動かそうという不遜な輩、一瞬たりとも生かしておける道理はない。
「金か! 権力か! はたまた力か!
オレがそんなものに屈する不心得者であれば、そも生前に貴族共など串刺しにしたりはせん!」
「忠義だ」
「何?」
「忠義によって貴様は習さまに使えることになる」
「…………」
「習さまは素晴らしい御方だ、お心は広く私のような下々の者にも慈悲を注ぎ、そして習さまの魅力は小動物にすら伝わってしまう。
如何なる者もあの方を知ってしまえば膝を屈し全てを捧げたくなるだろう。
例えそれが貴様のような血に飢えたサーヴァントであっても……どうした?」
殺気と憤怒は霧散し、狂喜と高揚がそこにあった。
数秒前の剣呑な空気はどこへやら、そこにいたのは敬虔なる使徒、もしくは厳格な武人だった。
「…………美しい」
「何?」
今度はカナエが訝る番だった。
習さまを讃えていたはずなのに何故自分が美しいといわれるのだ?
「我がマスター。貴女の信仰は気高く、美しく、そして痛々しい。まるで赤い薔薇の如く。
その虚飾の無い裸の献身、一切を全て捧げ尽しても飽き足らぬという獰猛な忠誠。
一人の王として、一人の男としてその■に感銘を受けずにはいられない
────故に■に狂え。その姿は、美しい。
その■が大輪を咲かせるのが見られる未来ならば、よかろう。
我が槍を預けるのもやぶさかではない」
ランサーがまくし立てるにつれて魔力が周囲へと放出される。
噎せ返るほどの血臭が館中に満ち、館が怪物の拷問魔城(ドラクリヤ)へと変貌させていく。
「我らの真の契約は今! 此処になった!
この世に真の■を証明してくれるのであれば、御心のままに従おう!!
まずは、他のマスターの皆殺しである!!!」
何を言っているのか皆目さっぱり理解できないが、やる気になったのならばいいだろう。
そういって彼の言っていることを流した。彼の言う■が何を指すのか理解せずに。
【サーヴァント】
【クラス】
ランサー@FATE/EXTRA
【真名】
ヴラド三世
【属性】
秩序・善
【パラメーター】
筋力:A 耐久:A 敏捷:E 魔力:A 幸運:D 宝具:C
【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術行使を無効化する。
大魔術、儀礼咒法などの大掛かりな魔術は防げない。
【保有スキル】
信仰の加護:A+++
一つの宗教に殉じた者のみが持つスキル。
加護とは言っても最高神からの恩恵ではなく、信仰による己の心身を絶対的に変えることのみ。
ちなみに高すぎると人格に異常をきたす。
戦闘続行:A
致命傷を受けない限り戦闘から離脱できるスキル。
ヴラド三世の場合は、敗戦しても自陣に戻るスキルと言った方がよい。
無辜の怪物:A
生前の行い、イメージによって過去や在り方を捻じ曲げられた怪物が持つスキル。
能力や姿が変貌する。ヴラド三世の場合は魔力ステータスが上昇し、生贄の呪詛(生気吸収)や浮遊能力の獲得している。
ちなみにこのスキルは解除できない。
【宝具】
『串刺城塞』(カズィクル・ベイ)
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:0~50 最大捕捉:三百人
地面から出現する無数の槍で相手を串刺しにする宝具。
相手が犯してきた不義・堕落の罪(特に『逃走』『暴力』『不道徳』)が多いほど、威力が増える。
また攻撃対象になった者はもれなく呪われる。
【weapon】
魔槍
【人物背景】
国家の腐敗を正すために貴族すらも串刺しの刑に処し、外敵を打ち破るために敵兵を二万人串刺しにした逸話を持つ英霊。
一見して狂信者、バーサーカーと思われがちだが、優れた戦術感と厳格さを持ち、道徳を重んじる武人である。
しかし、その厳格な性格が当時の領主たちを嫌悪させ、キリスト世界を救ったにも関わらず謀殺されてしまう。
サーヴァントとして現界した彼には自らの非業に怒り、神への愛より欲に走った人に嘆く。
月の聖杯では愛する故に拒食し、貪りたくても貪りたくない悲哀の者に、真実の愛を持つ者に出会うことができた。
さて今回は────
【サーヴァントとしての願い】
主への愛を、真実の愛の存在を知る。
406 : カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー ◆Jnb5qDKD06 :2016/02/10(水) 04:29:59 gnc4M..c0
【マスター】
カナエ=フォン・ロゼヴァルト
【マスターとしての願い】
習様の元へ!!
【weapon】
赫子:
血液中にあるRC細胞と呼ばれる細胞を感情と共に皮膚から突き破らせ、硬化と軟化することで武器として使う喰種の武装。
四種類あり、カナエの場合はは腰のあたりから出てくる鱗状の『鱗赫』と呼ばれるもの。
【能力・技能】
鱗赫:
前述の赫子を振るって戦う。
特徴は再生力の高さ、攻撃力の高さ、そして脆さ。
喰種:
喰種は人間の4~7倍の身体能力を発揮する。
子どもでも大人をバラバラにすることは可能。
ちなみにカナエはAレートの喰種をボコボコにするレベルの強さ。喰種の中でも非常に優れている存在である。
また人を捕食し己の糧にする特性上、消化され切っていないの魔力回路を一部無意識的に利用することがある。
【人物背景】
東京喰種:reより。クインクス班襲撃前から。
喰種の一族『月山家』に使える使用人。ドイツのロゼヴァルト家の子であり、喰種捜査官達によって滅ぼされた後に日本の月山家に辿り着く。
従妹である月山習のために尽くす。
【方針】
聖杯戦争など小動物共の小競り合いなどどうでも良いが、サーヴァントの力は習様の役に立つかもしれない。
最終更新:2024年09月28日 09:40