ID:qEDASUI0氏:ダウト

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<p>別の人による<a title="ID:lxiw2.AO氏:デュエル? (6d)" href="http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/828.html">ID:lxiw2.AO氏:デュエル?</a>の続き<br /><br /> /<br /><br />  かがみの怒りが静まった後、せっかく説明をしたのだからと、『ダウト』で遊ぶことになった。<br /><br /> 「念のためにもう一度、基本ルールを確認しておこうか」<br /><br /> ・1、2、3、…と数字を言いながら、順番に手札を裏向きで場に出していく<br /> ・一度に出すカードは何枚でも良い<br /> ・相手の言っている数字と出したカードの数字が違うと思ったら「ダウト」を宣言<br /> ・「ダウト」の宣言があった場合、出されたカードを表にする<br />  出すべき数字とカードの内容がすべて一致していたら、ダウトと言ったプレイヤーは場の札を全て回収する<br />  開いた中に正しくないカードが一枚でもあれば、その時カードを出した人は場にある全ての札を回収する<br /> ・手札を全て無くした人が一位で、他の順位はその時点での手札の残り枚数によって決まる<br /><br /> 「ああ、そうだ。諦めてカードを集める人が出ないように、一つだけルールを追加するね」<br /><br /> ・コレクターの登場を防ぐ為に、二十枚以上のカードをもったプレイヤーはゲームから除外される<br />  なお、除外される際に所持手札はゲームから取り除き、全員に公開される<br /><br /> 「順番は名前の順番でいいよね? 苗字じゃなくて、名前のほうで」<br /> 「別にいいわよ」<br />  かがみがそう言うと、残りの四人も頷いた。<br />  六人は円形に座り、配られたカードを真剣に見つめて作戦を立て始めた。<br />  こうしてゲームは開始されたのだった。<br /><br /><br /> 「まずは私からね。1」<br />  あやのはそう宣言して、二枚のカードを場に伏せた。<br /> 「ダウト」<br />  次の瞬間、つかさが楽しげに言った。<br />  開かれたカードに書かれているのは「7とK」だった。<br /> 「うーん残念。最初だから通してもらえると思ったんだけどね」<br />  7とK……。<br />  かがみは頭の中でカードの内容を繰り返したあと、妹について心配した。<br />  おそらく、つかさの手には1が三枚あるのだろう。<br />  『二枚を嘘だと見抜く』のは、三枚以上そのカードを持っている人でなければ難しい。<br />  こんな最序盤で手札を三枚も見破られてしまうのは、かなり不利なことだ。<br />  そんなリスクを犯すのは、出したカードを回収させるだけなのに重過ぎると、かがみは思ったのだ。<br /> 「まあ、いっか。次いくわよ。二」<br />  一枚のカードが場に伏せられた。<br />  かがみは誰かがダウトと言うことを期待したが、誰も反応しなかった。<br /> 「さーん、っと。ねえねえ、勝ったら一つだけ最下位の人に命令できるって事にしない?」<br />  一枚のカードを伏せながら、こなたは言った。<br />  突然の提案にかがみ達は考え込む。<br />  たしかに賭けるものがある方が、ゲームは盛り上がるだろう。<br /> 「いいかもね。ただし、あんまり無理な命令――」<br /> 「ダウト」</p> <p>「えっ?」<br />  かがみの言葉を遮ったのはあやのだった。<br />  こなたは空いているほうの手で頭を掻いた後、カードをめくった。<br /> 「さりげなくやった……つもりだったんだけどね」<br />  カードの表面に印刷されていたのは、ハートのキングだった。<br /> 「だってタイミングが怪しすぎたから。逆に、ダウトと言わせるための罠かと思っちゃったくらい」<br /> 「うーん。意外に手ごわいなあ」<br />  こなたは二枚のカードを回収して、手札が十枚になった。<br /> 「えっと、私の番だね。クラブの4」<br /> 「つかさ。マークは言わなくていいんだよ?」<br /> 「あっ、そうなんだ?」<br />  こなたの説明につかさが驚く素振りを見せたときだった。<br /> 「ふっふっふっ。ミスったみたいだな。ダウト!」<br />  みさおが勢いよく宣言して、つかさの代わりにカードをめくった。<br /> 「……ありゃ?」<br />  みさおが見たのは、つかさの出すべき数字の『4』だった。<br />  宣言と違っているのはマークだけで、ルール上はクラブもダイヤも同じ物として扱われる。<br /> 「あの、ごめんね?」<br />  つかさは首を傾け、身体の前で両手を合わせた。<br /> 「だーっ。余計にむかつくから謝んな。次。次っ。5っ」<br /> 「ダウト」<br />  こなたはノリでそう言ったのだが、調子が悪いときには全てが悪いほうへと行くのだろうか。<br />  みさおが出したのは5ではなく、9だった。<br /> 「くっそー。減らねえ」<br />  みさおの初期手札は八枚だったが、自分の番が終わった今、減るどころか一枚増えてしまっていた。<br /> 「では、私の番ですね。6を四枚出します」<br /> 「「ダウト」」<br />  つかさとみさおが叫んだ。<br /> 「って、同時かよ。この場合は外れたらどうなるんだ?」<br />  みさおの問いに、主催者であるこなたは少し考えてから答えた。<br /> 「二人以上がダウトと言ったけど正しい数だった場合は、自分の番に近いほうが手札を増やすって事で」<br />  つまり、みゆきが正しい札を出していたら、つかさが四枚も拾うことになる。<br />  二人は無根拠でも行動しそうな性格であり、何も言わなかった三人は「もしかしたら」と期待をした。<br /> 「えっと、ですね」<br />  しかし、みゆきは頬を掻きながら残念そうにカードを公開した。<br /> 「残念ながら、見破られてしまいました。Qが三枚と、2が一枚です」<br /> 「あのさあ、みゆきさん。せめて三枚にしておかないと、一枚持ってるだけでも嘘だとわかっちゃうよ?」<br /> 「なるほど。確かにそうですね。参考にさせていただきます」<br /><br />  みゆきの番が終わったことで、また最初の一人目からになった。<br /><br /> 「7を一枚で」<br />  あやのが言った。<br /> 「ダウト」<br />  どうせ四度目の自分の番には出すのだから、回収しても構わない。<br />  そう考えて、かがみが言った。<br />  開かれたカードは宣言どおりの7だった。<br /> 「何やってんだよ、柊。最初に7は見ただろ?」<br /> 「うるさいわね。はい、8を二枚」<br /> 「私は9を三枚」</p> <p> こなたがカードを伏せた瞬間、みさおを除く四人は互いに顔を見合わせた。<br />  残りの一枚はすでに見た。<br />  だから誰かが一枚でも持っていれば、嘘だと判断する事が出来る。<br />  しかし、沈黙が保たれたまま時間が過ぎていった。<br /> 「……誰もダウトと言わないみたいだね。じゃあ、つかさの番だよ」<br /> 「う、うん。十をペアで」<br />  カードの束の中から、つかさは隣り合った二枚を出した。<br /> 「こっちもJを二枚っと」<br />  みさおも同じように二枚を抜き取り、場に出した。<br />  ごく自然な動作だったが、こなたはそれを見逃さなかった。<br /> 「嘘だっ!」<br /> 「な、なんだよ。ちびっこ。ダウトならダウトって言えって」<br /> 「じゃあダウト。みさきちってさ、右から順に数字の大きいカードを並べてるよね?」<br />  その瞬間、部屋の空気が凍った。<br /> 「あんた、そんなところまで観察してたんだ……」<br />  そう言いながら、かがみは慌ててカードを混ぜた。<br />  つかさとあやのも同じように手札をシャッフルしていて、何もしていないのはみゆきだけだった。<br /> 「10とJか。いやーしかし、みんな素直だねえ」<br />  こなたはカードを表にしながら笑った。<br /> 「あれ、8が一枚しかない。柊ちゃん、一枚は嘘だったんだ」<br /> 「ふむふむ。嘘というツンと、本物というデレの二面性か。まさしくツンデレの鑑だね」<br /> 「いや、意味不明だから。ツンデレは関係ないでしょ」<br /><br />  再び場がリセットされた。<br />  次はみゆきの番だった。<br /><br /> 「では、いきます。クイーンの四枚です」<br /> 「えっ。さすがに嘘だろ……?」<br />  戸惑いを隠しきれずにみさおは言ったが、当然のことながら返事は無かった。<br /> 「それはダウトという発言と受け取ってよろしいですか?」<br /> 「ん……えっと。あー、ちょっとタイム」<br />  一巡目にみゆきが見せたカードの中には、クイーンは三枚含まれていた。<br />  それでも、残る一枚を持っている人間ならば迷わずダウトと叫ぶだろう。<br />  よほど安全にカードを出し続けられるのでない限り、このタイミングで黙っているはずがなかった。<br />  みゆきが嘘をついているのか、四人の内の誰かが偽っているのか。<br />  みさおがそこまで考えることが出来たのかは定かでないが、リスクの大きさだけは理解していた。<br />  彼女の手札は十六枚。<br />  ここで四枚も拾ってしまえば、その時点でコレクター防止ルールによる敗北が決まってしまう。<br /> 「私は通すよ?」<br />  最後の揺さぶりをかけるように、こなたが言った。<br />  みさおは手札を床に置き、頭を抱えて唸った。<br />  リスクは承知の上で、賭けに出るべきなのか。<br />  それとも、安全確実にゲームを続けるべきなのか。<br />  迷った末に、みさおは床を叩いて叫んだ。<br /> 「くそ。どうせ、このままなら負けるに決まってるんだ。ダウトだ! ダウト!」<br />  みさおのダウト宣言が終わった後、部屋が静まり返った。<br />  この結果によっては一人がゲームから外れる。<br />  公開される二十枚もの手札は、戦略に大きく影響するだろう。<br /> 「では、開きますね」</p> <dl><dd> これで最下位が決定するかもしれない。<br />  何人もの真剣な眼差しがカードに集まった。<br />  だが、みゆきの指がカードに触れるとほぼ同時に、かがみが言った。<br /><br /> 「――ダウト」<br /><br /><br /> /<br /><br /><br /> 「はい。クイーンの四枚であがり!」<br /><br />  かがみが明るい声で言った。<br />  ダウトと叫ぶ者は誰もいなかった。<br />  四枚出しされた物を『横から奪い去った』ことは、全員の印象に残っていたからだ。<br /> 「うーん。かがみが勝つとは……予想外だったな」<br />  こなたは独り言を呟きながら、手札を床に落とした。<br />  長い緊張から開放された全員は、互いに残った手札を見せ合って騒いだ。<br />  今まで口にする事が出来なかった様々な感想を、すべて吐き出そうとして。<br /> 「みゆきさんの、わざと手札を増やす作戦には驚いたよ。まあ、一番びっくりしたのはかがみの行動だけど」<br /> 「え? ゆきちゃんのあれって、わざとだったんだ?」<br />  何も理解していないといった様子のつかさに、こなたは苦笑いを浮かべた。<br />  そんな中で、騒ぎに加わっていない人間が一人いた。<br />  いつもの元気が無い親友を心配して、あやのが声をかけた。<br /> 「ねえ、みさちゃん。ゲーム中も何度かぼーっとしてたけど、どうかしたの?」<br /> 「っと、そうそう。そのせいで考えが読めなくて、やり辛かったんだよね」<br />  こなたを加えた二人の視線が、みさおに向かった。<br /> 「あたし、そんな風になってたのか。たぶん……柊が助けてくれたことに感動してたんだろうな」<br /> 「へええ~?」<br />  こなたはニヤけ顔でかがみに擦り寄った。<br /> 「感動されちゃってるみたいだよ。かがみ。この女殺し」<br /> 「なっ。違うわよ。日下部がいなくなったら、順調に出していけるはずの予定が狂うから助けただけで……」<br /> 「ゲームだけじゃなく、フラグを立てるのも計算尽くだったんじゃないの?」<br /> 「だから、勝手に私をレズ扱いするな!」<br />  かがみは真っ赤になって否定の言葉を叫んだ。<br /><br /> 「ところで、結局誰が最下位になったの?」<br />  つかさが思い出したように言った。<br /> 「えーっと、混ぜちゃったから、ワカラナイヨ」<br />  後ろ手にカードを混ぜながら、こなたが答えた。<br />  最下位に命令をする権利があるかがみは、眉をひそめて詰め寄った。<br /> 「わからない?」<br /> 「うん」<br /> 「あんた、まさか……」<br /> 「か、かがみ。顔が怖いよ」<br /><br /><br />  その後、こなたはアホ毛が萎れるまで、かがみの説教を受けたという。<br /><br /> ~完~</dd> </dl>

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