朝。凄く憂鬱。
私、何でこの車両にいるんだろ?
他にもあるんだから、そっちに移れば良かった。
でももう手遅れ。この人混み、動こうにも動けない。
今はただ耐えるしかない。気持ち悪い手の感触、這う様に私のお尻を撫でている。
撫で回していると思ったら、今度は鷲掴み。更にはめくり上げて…ちょ…な、中へ。
直に…パンツ触られてる…
汗ばんだ掌の感触…ねちょねちょしてて気持ち悪い…。
息まで荒げて、やだよ、気持ち悪いよ、誰か助けてよ?
何で誰も助けてくれないの?後ろでハァハァ言ってるじゃん、気づいてないの?
それともこれが俗に言う放置プレイってヤツ?
都会の人は冷たいって言うけど、埼玉の人も案外冷たいね…。
何だかむかっぱらが立ってきた。
いっつもいっつも私に痴漢するこの人、もう限界!
私は今まさにパンツの中に忍び込もうとする手を掴んで、そして声大きく叫んだ!
「この人痴漢です!!!」
一斉に向かれる目、目、目。
正直怖い。お店とかでみんなに見られてるけど、こういうイベントは別。
誰だろ、誰かが車掌を呼びに行ったみたい。
後ろの痴漢、かがみは「何?何があったの?」って顔して、全然悪びてない。
どうせ
「違います、この子が誘ったんです」
っとか言うんだろうな…。
「違います、こなたが誘ったんです」
ほらね?しかも名指しときたよ。
今、私達は駅長室にいる。
「本当ですよ?それにこなたも凄く喜んでました」
「なっ!?」
「こなたも、『気持ち良い…もっと、もっと触ってよ、かがみん(はぁと)』ってせがんでたんです!」
うわ…何この周りからの蔑んだ視線。もしかしてかがみの話、信じちゃってるわけ?
「私達こう見ても彼氏彼女の関係なんです。お互い女ですけど…」
なわけないじゃん!
「かがみ!嘘言うのやめてよ!」
なんとか信じてもらいたくて、私、声を荒げた。
「…ごめんなさい。約束してたんです。電車の中で痴漢ごっこやってみようって。
私は止めたんですけど、でもこなたは…。すいませんでした。私が浅はかでした」
まるで私が悪いみたいな…みんなまた私見てるし。
「こなた、ごめんね?気づいてあげられなくて。私、こなたが喜んでいるものとばかり…
ごめん…ごめんなさい…ごめんなさい」
えっ、ちょ、何で泣いてるの?みんな何か言って上げてよ?つっこみ所満載じゃん!?
駅員さん達何やらこそこそ話してる…。げ!?かがみがこっち睨んでる…テラ三白眼…
拘束される事数十分。私達はそういう関係って事で片付けられて、紛らわしい事するな!
てな事言われて無罪放免。なんか、もしかしたら、かがみに助けられた?
なわけない!私被害者じゃん!
ラッシュの抜けたバスの車内、かがみの命令で、何故か私はかがみの膝の上に座らせられている。
人形を愛でるように、かがみは私の頭や身体を撫でている。
でも何でだろう…何故か今は…そんなに嫌な気がしない。
「こなた~♪(はぁと)」
「かがみん~♪(はぁと)」
気が付いたら私は、すっかりかがみに身を委ねていた。
今停留所を過ぎたみたいだけど、でもそんなの、関係ないよね。
ああ…遠くでチャイムの音が聞こえる。私達を祝福する鐘の音が…
~おわり~
最終更新:2008年07月04日 01:34