私の家では母の日にはいつもお墓参りに行く
お母さんは私の小さい頃に死んじゃってあんまり覚えてないけど
そうじろう「おいこなた、着いたぞ」
こなた「うん」
母の日だけは鮮明に覚えてるんだ
そうじろう「かなた、ごめんな本当は毎日でも来てやりたいんだ」
こなた「お母さん・・・」
お父さんだっていつもお母さんの話平気でしてるけど、本当は凄く悲しいんだよね
そうじろう「こなた、花持ってきたか?」
こなた「うん、13本目」
一輪のカーネーションをお墓の前に供える、毎年一輪
そうじろう「覚えてるかお母さんのこと」
こなた「あたりまえだよ」
そうは言ってみるものの、覚えてるのはほんの少し
そうじろう「こなたは"お父さんいやー"とか言ってずっとかなたと一緒にいたもんな」
こなた「そんなこともあったねぇ」
なんだろう、思い出すと、涙が出てきちゃう
そうじろう「こなた、泣いてるのか」
こなた「お父さんだって、さっきからずっと涙流してるじゃん」
― 約束したんだ・・・
そうじろう「ばか、それをいうな・・・ぅぅ」
こなた「お父さん・・・」
初めてお小遣いで買った一輪のカーネーション
お母さんにプレゼントしたんだ
そしたら笑顔で"ありがとう"って言ってくれた
お母さんを思い浮かべる時はいつもその顔が出てくる
そうじろう「ちょっといいか」
こなた「うん」
お父さんがどこに行ったかなんてすぐに分かる
もう少ししたらどこかの陰ですすり泣く声がきこえるはず
そうじろう「・・・」
こなた「やっぱり」
お父さんとも約束したもんね
初めて母の日にお墓参りに行った時
あんまり大きな声で泣くもんだから
"そんなに泣かないでお父さん"って
こなた「お母さん・・・」
お母さんの病院のベッドの枕元にはいつもそのカーネーションがあったっけな
気に入ってくれてたみたい、だから私は
"おかあさんのの日には絶対私がカーネーション買ってきたげるー"
そしたらお母さんニコッと笑って"約束ね"って
けどそれが最初で最後・・・
そうじろう「おいこなた大丈夫か?」
こなた「え?」
私はいつの間にか声を出して泣いちゃってたみたい
お父さんはもういつもの顔に戻ってた
こなた「もう戻ってきたの」
そうじろう「約束だからな」
― 約束だから・・・
こなた「うん」
私はもう一度カーネーションをかるくさわって合掌した
こなた「お母さん・・・お母さんの好きなカーネーション、今年も買ってきたよ」
母の日には毎年一輪のカーネーションを持っていく
これからもずっと、私が死ぬまで一本ずつ
それがお母さんとの約束だから
おわり。
最終更新:2007年08月22日 22:52