定義

流体中にある粒子に働く相対的な慣性力を表現する無次元数。
 \begin{eqnarray} {\rm Stk} \end{eqnarray} = \frac{C_{c} \rho_{p} d_{p}^{2} v}{9 \mu D}
Stk : Stokes数。
v : 粒子と,流れ場との相対速度。充填層の中では接近速度(層内速度)を使用し,空塔速度(断面速度,ろ過速度)を使わないことに注意。
D : 代表寸法。流れ場によって定義が異なる。
dp : 粒子径(粒子の直径)。上の式を導く過程(停止距離を参照)の中で,粒子径は流体抵抗(Stokes抵抗)と質量(体積×密度)に使用されており,前提に「粒子は球形」が入っている。粒子が球形でない場合は,流体抵抗と質量を求め,それぞれの相当径の形に変換してStokes数を再構成する必要があるが,実際に完全球形の粒子などないので,ややこしくなるだけで実用的でない。通常は実際の挙動から逆に粒子のStokes数を決め,密度が既知ならばこのdpを逆算してStokes径として定義する。密度が未知の場合は,空気力学径を使う。

Stokes数とは・・・ メモ。

  1. 停止距離Sstを,流れ場の代表寸法Dで割って無次元にしたもの。教科書などではこれで定義を覚える。
  2. 粒子の慣性パラメータ\Psiを2倍にしたもの。(慣性パラメータとStokes数はどちらも定義は停止距離を無次元化したもので,代表寸法のとり方が違うだけ)
  3. 粒子径d_pの2条に比例する。ときどき \sqrt {\begin{eqnarray} {\rm Stk} \end{eqnarray}}  \sqrt {\Psi} を使用したグラフを目にすることがあるのは,粒子径との関連をわかりやすくするため。
  4. 粒子に働く力の比=(慣性力/粘性抵抗)という意味で使用する。Reynolds数も同じく(慣性力/粘性抵抗)の比を表す無次元数だが,Reynolds数は「流れの」,Stokes数は「粒子の」なので,対象が違う。

書き方

  • 日本語ならStokes数と書くことが多く,ストークス数とはあまり書かない。英語ならStokes number。
  • 通常Stkと書く。冒頭は大文字で残りは小文字。斜体にはしない。無次元数なので単位はつけない。
  • グラフに書くときは,Stokes number Stk という風に表記することが多い。
  • エアロゾル・粉体分野の外ではSなどを使うこともある。以前Stに短縮しようとした人がいたが,スタントン数とバッティングすることもあり,普及しなかったという話を聞いたことがある。
最終更新:2012年06月16日 12:44