無題(3-928氏)

ときどき思うの。
ランカちゃんて、ほんとに私のこと好きなんだなぁって。
私の目の前で、私の歌がどんなに素晴らしいのか。
今でも熱く語り出すと、止まらなくなる。
本人が目の前にいるというのに。
写真や映像に“うつる”私に向ける視線は、恋する女の子そのもので。
それが微笑ましくもあるんだけれど、正直、気にくわないことも確か。
それを表に出すことは、絶対にないけどね。
だって、恥ずかしいじゃない。
シェリル・ノームが、自分で自分に嫉妬してるとか。
意地でもランカちゃんに知られたくないわ。
それでなくても、最近、ランカちゃんたら反抗的だし。
それが嫌だっていうんじゃ、ぜんぜんないんだけど。
ランカちゃんが、楽しそうに嬉しそうに笑ってるのは、大好きだし。
でも、それとこれとは、話が別なの。
一方的っていうのは・・・なんていうか。
負けた気がして、悔しくなるのよね。
あと、あの緩みきったデレデレの顔を見てると、すごくからかいたくなるの。
だから、しかたないのよ。
ランカちゃんが私のことを、思う存分に楽しんだのなら。
その分、ちゃんと私は“おしおき”しないと。
調子にのらせたら、ダメでしょう?
攻められてるわけじゃなくて、攻めさせてあげてるってこと。
ちゃんと、知っておいてもらわないと。
昨日だってそうだったのよ、誘ったのは私だったの。
思い通りにはいかなかったけど、あれはあれで、予想通りな展開だったんだからっ!!!

・・・・・・と、とにかく。
この私、シェリル・ノームが。
一方的に受け身で終わるだなんて、そんなこと。
絶対にありえないし、許せない。
だからね、ランカちゃん。
今夜はとっても素敵な“おしおき”をしてあげる。
感謝しなさい、こんなサービスめったに・・・ランカちゃんだけにしかしないんだから。



「あ、あの、シェリルさん・・・」
「なに?ランカちゃん。」
「私、明日、お、お仕事が・・・」
「知ってるわよ。一緒の現場じゃない。」

ニッコリと笑ってそう返されれば、ランカは何も言えなくなる。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎて、1日の終わりがやって来た。
昼に近い朝に言われたことを忘れていたと言ったら、嘘になるだろうが。
ランカの中でそれは、冗談で言われたことにしてしまいたかったのだ。
けれど、そんなことがありえるわけがないこともランカは知っていた。
シェリルが言ったことをなかったことにするなんてこと、あるはずがないのだ。
だから、この流れも当然のこと。
それが嫌かと聞かれれば、ランカだって嫌であるわけがない。
むしろ、嬉しいことなのだけれど。
それでも、素直に受け入れられないのは、まだ恥ずかしさが勝ってしまうから。
だから、弱いながらも抵抗はしてみせる。
けれど、その抵抗はシェリルにかかれば、いとも容易く崩れ去るもので。

「いい子ね、ランカちゃん。」

ベッドに横座りするランカの隣で、艶やかに微笑むシェリルが、
おとなしくなったランカに、そう言ってソッと口づけ、すぐに唇を離す。
ランカの口から小さく零れた甘い吐息に、笑みを零して。
期待と怯えのまじった感情に、体を震わせるランカの首筋を。
シェリルが人さし指で撫であげれば、その瞳を固く閉じるランカ。

「ダメよ、ランカちゃん。ちゃんと目をあけて。」
「む・・・無理ですよ・・・そんなの・・・」
「どうして?」
「ひゃ・・・」

撫でられた所をなぞるようにして、シェリルの舌がランカの首筋を這う。
びくんと跳ねる体を楽しみながら、かまわずシェリルは舌を這わせれば。
ランカの瞳はさらに固く閉じられた。
思った通りの反応に満足そうに微笑むシェリル。
ランカの首筋から顔を離せば、今度は固く閉ざされた瞼にキスを送る。
「ほら、ちゃんとこっちを見て。ランカちゃん。」
少しだけ甘えた声でそう言って、シェリルの親指がランカの頬を撫でれば。
ランカの瞳が魔法にでもかかったように、すんなりと開かれる。



「シェ・・・リルさん・・・」
名を呼ぶランカの瞳には、艶めいた笑みを浮かべるシェリルが映って。
潤み始めた瞳でボーっと見惚れていると、シェリルがランカの額に軽く口づける。

「ねぇ、ランカちゃん。」

また閉じかけた瞳が、艶めいた声に誘われるように、開かれる。
その目の前に差し出されたのは、シェリルの右手。
すでに働かなくなった頭でその意味を考えるランカに向かって。
シェリルは、子どもみたいに無邪気に笑って言った。

「舐めて。」

言われた言葉の意味が一瞬わからなくて。
でも、理解できると、一気にランカの体が熱くなり、赤く染まっていく。
言われた言葉のせいで、さらに潤んだ瞳でシェリルを見やれば。
ただ、ニッコリと微笑んでランカをジッと見つめるだけ。
助け船を出してくれる気がないことがわかったランカは。
少しおどおどしながらも、両手でシェリルの右手をとれば、その甲にソッと口づける。
それで、許してくれないかと淡い期待を抱いて、ランカはシェリルを窺うけれど。
シェリルは、やっぱり笑顔を浮かべたままで、その先を促していた。
だから、ランカは覚悟を決めて、小さく口を開ける。
脳裏に浮かぶのは、昨日、同じようにシェリルが指を舐めてくれていた、あの光景。
その時のことを思い出したランカは、シェリルのしてくれた通りにしようと。
一生懸命、丹念に、その白くしなやかで長い指を、口に含んで舐めていく。
時折、甘い吐息をわざと零しながら。
ランカがこちらを窺うように見てくると、ニッコリ笑って応えてやるシェリル。
そうすれば、ランカも嬉しそうにして、さらにシェリルの指を口に含み舐めていく。
親指から小指、右手が終われば左手。
10本の指を舐め終わったランカの息は、何もされていないのに情欲を帯びたものへと変化し。
その唇は唾液に濡れて、艶やかに煌めく。



「シェリルさぁん・・・」
甘く艶めいた声に、シェリルは微笑んで。
さっきまで舐めてくれていた左手、人さし指を自らの口に含んで。
ランカに見せつけるように舐めてみせた。
恥ずかしくて、目を逸らしたいはずなのに。
ランカの瞳は食い入るように、シェリルのその姿を見つめる。
その視線を感じながら、小さな水音を鳴らして自分の口から指を出して見せると。
ランカをジッと見つめて、それから耳元に唇を寄せる。

「よくできました、ランカちゃん。」

いつもより低めの声の囁きに、ランカは身を震わせて、嬉しそうに口元を綻ばせる。
唾液に濡れた指を、パジャマの中に滑り込ませて。
シェリルのしなやかな指がランカの背を撫でれば。
突然の快感に、ランカの口から甘く深い息が零れ、その身がシェリルの方へと倒れ込む。
撫でる指の動きを止めないまま、自分の胸に顔を埋める形になったランカの耳元に。
さらにシェリルは囁いた。

「でも、まだあるわよね?」

言われた言葉に、ランカが顔を上げれば、そこには悪戯で意地悪なシェリルの艶やかな微笑み。
その微笑みに、意味を理解して、本気で泣きそうになりながらシェリルを見るランカ。
そんなランカの耳元で、シェリルが天使のような優しい声で、悪魔のように囁いた。

「だって、“おしおき”だもの。がんばって。ランカちゃん。」



ベッドに横座りするシェリルの足元に、跪くような形でランカが座る。
差し出されたシェリルの右足を両手で取り、膝の上に乗せれば。
引き寄せられるように、足の甲に口づけるランカ。
その感触に甘い声を零しながら、シェリルは、先を促すようにランカの頭を優しく撫でた。
それに応えるように、ランカの口がシェリルの足の指をゆっくりと舐め始める。
最初はランカも恐る恐るだったけれど。
零れる甘い吐息と、髪を撫でる手が、だんだんと自分の髪を掴む感触に変わっていくのに。
シェリルが感じてくれていることがわかったランカは。
嬉しくなって、ただ一生懸命にその行為を続けた。
右が終われば、左に。
丹念に舐め終えたランカは、それだけでは足りなくなったのか。
無意識に、シェリルの左足の臑にも舌を這わせ始める。
「ぁん・・・」
予想していなかったものに、思わず大きな喘ぎを零して、シェリルはランカの頭を軽く叩いた。
「こら。ランカちゃん。」
ベッドの上に足を上げれば、それを追うようにランカの瞳がシェリルを見上げる。
必然的に上目遣いになったランカに、少しドキッとしながらも、ニッコリと微笑んで。
シェリルはランカの頭を、まるで犬でも窘めるかのような手つきで撫でた。

「言われたこと以外はしちゃダメよ。」
「ご、ごめんな・・・」

顔を上げ謝ろうとしたランカの顎を掴むと、少し乱暴にシェリルの唇が唇に重なる。
突然のことに大きく目を見開くランカ。
重ねるだけのキスに、唇はすぐに離れていって。
ただ、呆然としているランカに、悪魔のように艶めいた妖しい笑みを浮かべれば。
ランカの耳元に唇を寄せる。
かわいらしく、甘えた声が、今度は天使のように囁く。

「ねぇ、ランカちゃん。舐められるのあきちゃった。」
「ふぇ・・・」
「だから今度は、私の番ね。」

ニッコリと微笑んだシェリルが、今度は深く深く、ランカに口づけた。



「シェ・・・シェリル・・・さ・・・も・・・やぁ・・・」

上は、前をはだけさせられたまま。
下は、膝のあたりまで中途半端にパジャマと一緒に脱がされた下着。
それは、あまり身動きをとらせないようにと。
シェリルがわざとさせている格好で。
いつもの可愛らしいランカのイメージからは、想像もできないほどの扇情的な姿。
それを目の前に、シェリルは至福の笑みを浮かべる。
さっきから、ずっと。
イキそうな所で止めて、落ち着いた所でまた始める。
その行為を繰り返されて、どうしようもないランカ。

「ランカちゃんがどっちがいいか、言ってくれればいいだけよ。」

意地悪な口調でそう言ったシェリルが、ランカの頬に口づけて、涙のあとを舌で拭う。
これも、もう、何度目かのやりとり。
剥き出しの肌が、艶かしく濡れて光るのは。
シェリルが丹念に、ランカの体をかわいがった証拠でしかなくて。
蜜が溢れだすその場所には、シェリルの指が2本挿入されたままで。
ランカは、自分で何とかしようとするけれど。
中途半端に脱がされた衣服が枷になって、どうすることもできない。

「もう、ゆる・・・ひて・・・シェ・・・リル・・・しゃ・・・」
「ランカちゃん次第よ?このまま指がいいか、それとも・・・」

ランカの頬に口づけていた唇が、下へと降りていけば。
今度は、指が沈み濡れるその場所に、口づけるシェリル。

「ひゃんっ!!!」
「こっちがいいか。ランカちゃんが答えてくれるだけでいいのに。」
「んん・・・ああ、ふぇりりゅ・・・しゃ・・・」
「なかなか言ってくれないから。せっかくリクエストに応えてあげようと思ってるのに。」

妖しく艶めいた意地悪過ぎるシェリルの行為と言葉。
ただただ翻弄されるランカは、泣きながらシェリルを睨む。



「言わ・・・なくてもぉ・・・」
「言わないとわからないって、何度も言ってるでしょう?」
「・・・も・・・やらぁ・・・」
「ちゃんと言って。」

これが5度目のやりとり。
答えようとしたランカを攻めて、わざと答えさせなかったのが2回。
わざと“聞こえない”フリをしたのが2回。
けれど、本当にそろそろランカが限界なのをわかっているシェリル。
だから今度こそ、ランカの返事をきちんと待つ。
「ゆ・・・び・・・」
「それじゃ、ダメね、ランカちゃん。」
腕で顔を隠して言ったランカに、シェリルが笑って意地悪くそう言えば。
ランカの腕がゆっくりとどけられ、涙に濡れた瞳がシェリルを真っ直ぐに見た。

「・・・指が・・・いい・・・よぉ・・・シェリル・・・さん・・・」

小さく震えた声だけれども、ちゃんと言えたランカに微笑んで。
シェリルは空いた方の手で頭を撫でると、ランカの唇に唇を重ねる。

「かわいい、ランカちゃん。私まで濡れちゃったわ。」
「シェ・・・リル・・・さ・・・」
「よくできました。ご褒美に“両方”で、イかせてあげるわね。」

言われた意味がわからなくて、きょとんとしてしまうランカ。
そんなランカにニッコリと微笑んだシェリルは、言葉通り。
指と口。
その両方で、ランカを絶頂へと誘った。



「・・・シェリルさんの・・・エッチ・・・」
「ランカちゃんには言われたくないわ。」

笑みを浮かべてそう返せば、ランカちゃんは真っ赤になって布団の中に隠れた。
しばらくすれば、布団の中から目元あたりまでが出てくる。
「・・・ずるいですよ・・・シェリルさん・・・すっごい恥ずかしかったんですから・・・」
くぐもった声に微笑んで。
ランカちゃんの額に唇を落とし、布団から出てくるように促せば。
簡単に言うことをきいて、もぞもぞとその身を起こす。
ベッドの上、枕を背もたれに座る私の脚の間に背を向けるように座らせて。
後ろからぎゅっとランカちゃんを抱きしめた。

「恥ずかしくないと“おしおき”にならないでしょう。」
「・・・ちゃんと言ってるのに、聞こえないとか・・・ちゃんと言ったのに・・・ウソつくし・・・」
「あれはご褒美よ、ランカちゃん。素直ないい子に。」

ちょうど私の胸のあたりに頭を乗せて、見上げるその顔は、かわいらしい膨れっ面で。
思わず声をあげて笑ってしまったら、ますますランカちゃんの頬が膨らんでいく。

「もーっ!!!シェリルさんっ!!!」
「だって、ランカちゃんがあんまりにかわいい顔するから・・・」

かわいいと言われて嬉しかったのか、ランカちゃんの顔が真っ赤に染まるのを見て。
膨れたその頬を優しく撫でれば、すぐにそれは元に戻って。
あの、いつものからかいたくなる笑顔が浮かぶ。

「じゃあ、今度は私がシェリルさんに“おしおき”しちゃいますからね。」

見上げるランカちゃんが、デレデレの笑みを浮かべたままそんなことを言うから。
言葉の意味を、すぐには理解できなくて。
でも、理解できたら急に顔が熱くなって、それから笑みが零れた。

「それこそきっと、返り討ちね。それでもよければ、いつでもどうぞ。ランカちゃん。」

そう言って、ランカちゃんの顔をやんわりと固定して。
ゆっくりと顔を近づけていく。
鼻がぶつかるその位置で、ランカちゃんが嬉しそうに笑って言った。

「その言葉・・・ちゃんと覚えててくださいね・・・シェリルさん・・・」

言われたことに少し驚いたけれど、笑みを浮かべてそれに応えて。
その生意気なランカちゃんの唇を、もう何も言えないように唇で塞いであげた。



おわり

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最終更新:2011年08月28日 11:14
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