「ただいまぁー」
ドアが開く音と共にシェリルが仕事から帰ってきた。
「シェリルさん、お帰りなさい!」
ランカは声に反応しすぐにシェリルの待つ玄関まで飛び出してきた。
最近仕事でもなかなか一緒にいられずにいた寂しさの反動もありランカは駆け寄り、シェリルに抱きつこうとして固まる。
「シ、シェリルさん…?」
ランカが呼び掛けてもシェリルは全く動かないどころか徐々にランカの身体に寄りかかってきた。
「ええっ!シェリルさん。そんな、嬉しいけどこんな玄関でなんてっ。えーと続きはベッドの上でっ!」
慌て過ぎて一人相撲を取り始めたランカだったが、寄りかかった状態のまま動かないシェリルにようやく気付いて顔を近付ける。
(寝てる…)
勘違いで先ほど口走った自分の言葉を思いだし一人赤面してしまうランカだった。
しかし重い…
女性とはいえ意識がない人を支えるには小柄なランカでは厳しい。
シェリルに押し潰されかけていたランカは、どうにかシェリルを起こさないようにと気を配りつつ下敷きになっていた場所から抜け出した。
「シェリルさん、起きてください!ベッドまででいいですから頑張ってください!」
「う、ん。ランカ、ちゃん…?」
ランカはシェリルに声をかけてみるが、シェリルからはぼんやりしたあやふやな答えが返ってくるだけだ。
仕方ない。
ランカは起こすのを諦め、肩を貸して引きずるようにしてどうにかシェリルをベッドまで運んだ。
「ん~、ランカちゃーん…」寝ぼけつつもランカの名前を呼んでくれるシェリルにランカは鼓動が早くなる。
「むー、そんな無防備な姿してると襲っちゃいますよ?」
シェリルが帰ってきたら何を話そうか何をしようかといったことをずっと指折り数えながら楽しみにしていたランカにとって、ようやく会えたシェリルが全く相手をしてくれない状態なことに落ち込んで寂しく感じていたこともあり、勇気を出して寝ているシェリルに近づいていく。
ふざけた言い方をしていても胸の鼓動の高鳴りは止まらない。
2人の唇が触れ合う直前
「ん、ん…」
寝返りをうつシェリルに慌てて我に返ったランカはシェリルから離れた。
仕事で疲れてたんだなぁ、でもちゃんと私のところに帰ってきてくれて安心して眠ってくれている。
願わくは彼女が落ち着ける場所は今後もずっと私の隣でありますように、とランカは思いつつシェリルの額に唇を落とした。
「明日は2人とも久々のオフだし1日付き合ってもらいますからね!シェリルさん!」
終わり。
最終更新:2009年05月23日 17:50