ムービー(2-471氏)

日差しも穏やかな昼下がり。
久々にランカちゃんとオフが重なって、二人でお昼ご飯を食べてまったりしていた。
今日はオズマさんもブレラもいないからという理由でほいほいランカちゃんの部屋へ遊びに来たんだけど……。

「これはシェリルさんが初めて出版した写真集の初回限定版です。今では絶対手に入らないプレミアものなんですよ!」
「へぇ、そう」
「初回限定版は特典でポスターがついてきて、あ、壁に貼ってあるのがそうなんですけど、すっごく綺麗で色っぽくて、初めて見たときは思わず叫んじゃいました」
「……ふぅん」

ふっくらとした頬を紅潮させて、赤い瞳をきらきらと輝かせるランカちゃんは、私ではない、写真の中の私について熱く語り続けている。
うん。その様子はまるで子供のように無邪気で可愛らしいんだけどね?

「あとあと、シェリルさんの初出演のラジオも録音してあるんです。『夢を掴むのは自分次第。受け身ではダメ』っていうシェリルさんの言葉……すごく胸に突き刺さって、私ももっと自分から行動しなきゃって思ったんです」

「…………」

まったく、語りが止まらない。

最初は喋りまくるランカちゃんが面白くて黙って話を聞いてたけど、こうも本物より写真集だのラジオなどに夢中になっているのを見て、なんだか複雑な気分になってくる。
私がランカちゃんとただの「友達」なら、いくらでもお喋りに付き合うけど、ね?
せっかくのデートを、銀河の妖精の素晴らしさについて語って終わらせるのはもったいないじゃない。

「それから……あ、シェリルさんが出演した番組もたくさん……」
「ねえ、ランカちゃん」

ニッコリと満面の笑顔。
彼女はやっと私をちゃんと見遣る。

「『銀河の妖精シェリル・ノーム』が大好きなのね」
「? はい、大好きです」
「……じゃあそんなランカちゃんのために、特別にサービスしちゃおうかしら」

鞄の中に入れておいた携帯電話を取り出して、ムービー撮影を起動させた。
きょとんと目を丸くするランカちゃんの細い肩を抱き寄せて、携帯電話をこちらへと向ける。

「『銀河の妖精シェリル・ノーム』とツーショットのスナップムービーなんて、滅多に撮れないわよ?」
「はい! あ、あとで私の携帯電話へ転送してくださいお願いしますっ」

まあまあ無防備に笑っちゃって。
あとでもう一度「転送して」って、お願いできるか見物だわ。


携帯電話をテーブルの上に固定してスタンバイ。バッチリ私たちが写りこんでいるのを確認すると、すぐに行動に移した。
胸に抱き込むようにして体を密着させて、ランカちゃんのぽてっとした唇を塞いだ。

「んンっ?」

彼女の緑の髪の毛が驚きに跳ね上がる。
うっすらと開かれたそこへ舌を忍ばせ、優しく絡ませた。小さな濡れた音。ふぁ、と、あくびに似た甘い吐息。
まだ事態を理解できてないくせに、条件反射なのか彼女も舌をたどたどしく絡ませてきた。私の教育の賜物かしら。いい子で、危ない子。私以外にそんな反応をしちゃいけないんだから。

「んぁ……は、…しぇ……り……ッ」

抵抗か、それとも縋りつきたいのか、服の裾を弱々しく引っ張られる。その手は仔犬のようにふるふると震えていて。
頭を撫でて宥めてあげると、ランカちゃんの喉がひくっと痙攣した。

「……はぁ……あっ……」

思う存分味わって、唇を解放してあげる。透明の細い糸が私とランカちゃんを繋ぐ。
キスだけでぐったりと私の肩におでこを預けて喘いだ。休憩も挟まず、そうっと服の中へ手を潜らせた。

「ひゃっ……、えっ、しぇりるさ……ッ!?」

白いフリルがついた薄いTシャツはたいした防壁にならず、簡単にブラのホックを外せてしまう。ブラをずり上げた途端に、ランカちゃんの乳首がTシャツ越しにぷっくりと膨らんだ。彼女は恥ずかしさのあまり、耳まで真っ赤になる。

「やだっ…やだ、しぇりるさん…」
「いいじゃない。とっても可愛いわ」

乳房の輪郭を確かめるように手の平で包み込み、その粒を摘みあげた。敏感なこの子は、それだけで鳴き声を漏らした。


やだやだ、って首を振るくせに、ますます固く尖る。あんまり可愛いから、もう片方も服の上から吸いついちゃった。

「あンっ……ぃや、だめ、です、しぇりるさぁん……」

嘘つき。やめてほしいなんて、本気で思っちゃいないくせに。
たっぷり唾液を含ませて上唇と下唇で食めば、簡単に陥落する。気持ちよさそうに目を閉じて、行き場のない手をおずおずと私の頭に添えた。
素直な子は大好き。心の中でほくそ笑み、胸を揉む力に強弱をつけて、もっと激しくしゃぶりついた。

「ふぁあ…ぁ……ッあ……」

くしゃくしゃに髪の毛を乱されるのが気持ちいい。彼女の泣き出す寸前の嬌声も、溶け合う体温も。
私の下腹部も切なく疼いた。
我慢しきれなくなって、胸からミニのフレアスカートの中へと滑らせる。触りやすい格好をしていたのが幸いして、難無くランカちゃんの中心に指先が到達した。

「そ、そこは……だめ……だめです……っ」
「ふふ。分かっちゃうものね、……濡れているのが」

耳元でわざと意地悪く囁き、柔らかな筋をなぞってみせた。
しっとりと湿っている。
ランカちゃんもそれが分かって、目尻に涙をにじませた。恥ずかしさに耐え切れずに顔を伏せようとした。
でも、顎を掴んで持ち上げる。

「ダーメ」
「え……」
「せっかくイイ顔してるのに、写らないでしょう」

そのとき、ランカちゃんはやっと携帯電話の存在を思い出して勢いよく振り向いた。
ランプを点滅させながら、私たちの行為を映し出した携帯電話の画面。
彼女は声にならない悲鳴をあげた。

「しぇ、シェリルさん! 今すぐ止めてください!」
「あら。あんなに喜んでたじゃない。『銀河の妖精シェリル・ノーム』とツーショットなんて、それこそプレミアものよ」

とびきりの笑顔で頬にくちづける。なのに、ランカちゃんはひどく慌てて髪の毛を揺らした。
抗議を唇で遮って、割れ目に添って、緩やかに指先を上下させた。上から下から同時に攻められて、快楽に弱いこの子には一たまりもないだろう。

どんどん湿り気を帯び、もう下着はただの快感を煽る道具へと成り果てる。
短い喘ぎをこぼして膝を震わせるランカちゃんの瞳は恍惚に潤んだ。思考から携帯電話のことが消えかかっているのだろう、自分から私の唇を追いかけて舌を伸ばしてくる。
本当に、素直だわ。あんまり素直すぎて、イジワルしたくなっちゃう。

「はしたないわね。撮られてるのに、体びくびくさせてくねらせて……もしかして、ランカちゃんってそういう趣味あるの?」
「んぁ…っ、ちが……ぁ……あぁ……!」

唐突に理性を呼び戻されて、表情に恥じらいが浮かんだ。足を閉じようとしても、今更力も入るわけがない。
大丈夫。最後は何も考えられなくしてあげるから。

「でも、膨らんでるわよ、ここ?」
「ひあぁっ!」

薄い繁みを掻き分けて、いやらしい歌声を奏でさせるスイッチに触れた。
軽くノックしただけで、甲高いソプラノが部屋に響き渡る。

「だめぇ…しぇりるさん……そこ、はっ……あああ!」

中指と薬指で挟んで、扱いてあげると、もう凄かった。
彼女の叫び声と粘ついた水音が合奏し、耳の鼓膜を心地よく打ち鳴らす。
これに勝る歌は、きっとない。
私も思わず身をよじって、床にお尻を擦りつける。ランカちゃんに負けないくらい、濡れていた。

「ランカちゃん…」

しがみついているランカちゃんの手を取って、私の秘所へと導く。
それまで喘ぐだけだった彼女も、蕩けているそこを感じとって目を瞬かせた。生唾を飲み込んで、私の顔を食い入るように見つめる。

「……一緒に気持ちよく、ね?」

この子が触れているだけで、蜜が湧き出て止まらなかった。体の芯が痺れて、逆らえない陶酔感に溺れていく。
ランカちゃんは苦しそうに呼吸を荒げたかと思うと、自分から下着の中へ手を差し込んだ。私の突起も痛いほど張り詰めていて、指先が掠めただけで肩が跳ねた。

「んっ……ふ、ぁ…ぁ……!」

彼女の歌に私の歌声も重なり、淫らな協奏曲はクライマックスへ向けて走り出した。
互いに夢中で唇をついばんで、舌を絡めて、指を動かす。
携帯電話で撮られていることさえ、興奮の材料になって。

「しぇりるさん、しぇりるさぁん……!」
「あぁ…あ……っら……んか……!」

空いた片手と片手が、自然と繋がって強く握り合う。

終わりが近づくにつれて、激しさを増して切羽詰まっていく。
私がきゅうっと突起をひねった瞬間、それは訪れた。

「っやああぁ……!」

一際大きく彼女の体が震え、背中を丸まる。緑の髪の毛が猫のように逆立って、両目をきつくつむる。
その表情と、弾みで私の突起も押し潰された刺激で、絶頂へと駆け登った。

「あっ! ああぁ…ぁ……ッ!」

視界が白く染め上がる。足場を失う浮遊感。
ランカちゃんと繋がった手が、現実へ留めてくれる。

――後はただ、ふたりの息遣いが部屋を満たす。

「……ひどい、です」

数分の沈黙を経て、ランカちゃんが鼻声でぽつりとつぶやいた。
もしかして泣いちゃったかな、と顔を覗き込もうとしたら、胸元に額を押し付けられる。

「……いじわる……」

ちょっと拗ねてみせる仕種に、欲望をくすぐられてしまう。押し倒したい。今すぐもう一度めちゃめちゃにしたい。
だけどそうすると、さすがに口を聞いてもらえなくなりそうね。

「だって、ランカちゃんったら構ってくれないんだもの」
「え?」
「本物が、目の前にいるのに」

さっさと気づいてくれれば、私だって、こんな子供じみたことしようと思わなかったのに。
つんとそっぽを向くと、ランカちゃんは弾かれたように頭を上げた。
何度か瞬きを繰り返して、彼女はバツが悪そうに眉尻を下げる。

「淋しかったんですか?」
「知ーらない」
「もう……だからってあんな……恥ずかしい……」

さっきの行為を思い返して頬を染めるのを見て、少しだけ胸がスッとした。

「バッチリ撮れたわね。……どうする?」
「どうする、って……」
「あのムービー、欲しい?」

最後のイジワル。
にんまりと笑って見下ろすと、口を引き結んで俯いた。耳までタコのように真っ赤にして。
本当に、なんとか聞き取れるくらいの小声で返事をする。



その後、私とランカちゃんの携帯電話には誰にも見せられないムービーデータが、ひとつ増えた。




おしまい

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最終更新:2009年10月05日 02:18
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