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Cherry Blossom
 
   しゃなり。
 
   花見か。
 
   ウチやったことないぞ?
 
ユィ    わたしも実は始めてw
 
   そうなのか?
 
ユィ    近所に大きな桜の木があるという。今は春。花見にはもってこいの季節だ。
 
   りぃらりぃら。
 
   いつの間にか桜の木が登場だな。
 
ユィ    「というわけで、桜を見に行こう。もうすんごいぶっといらしいから壮観だよ?」
 
   「ん。何でウチを誘う?」
 
   シグムント邸。
 
   別名、陣・シュテルビー邸。
 
   しかし、誰も居ない。
 
ユィ    「ほら漣ちゃん、色々やったことないって言ってたから」
 
ユィ    ようは思いつき。しかも平日なので他は仕事だとか学校とかでいない。こやつはサボりw
 
   士朗は行方知れず、トリッドはバイト兼捜索中。
 
   「しゃなり。桜がなんなのかも良く知らない」
 
   首を傾げて、ニヤニヤ笑う。
 
ユィ    「こういうの」ぽんと映像を出し
 
   映像?
 
ユィ    手元から写真を出す。
 
   「・・・・・・しゃなり」 不思議そうにそれを見ている。
 
   「写真があるのに見に行くのか?」
 
ユィ    「実物のが綺麗だからだよ」
 
   「りぃらりぃらりぃらりぃらりぃら! 綺麗か! りぃら・・・・・・しゃなり」
 
   「わかった、ウチ行くぞ」
 
   こくこくと首を振る漣。
 
   縦に。
 
ユィ    「おお、じゃあいこう♪」
 
ユィ    いつのまにやらご飯やら布やら準備
 
   と言うわけで、ずるずると桜の木のところへ行くか。
 
ユィ    OKw
 
   「しゃなり、しゃなり、しゃな、しゃな、しゃなり。しゃなり、しゃなしゃな、しゃなりぃら・・・・・・♪」
 
   小唄を口ずさみながら、しゃなりと歩く漣。
 
   足跡が、黒く残ってゆく。
 
   いや、しゃわしゃわと、踏みしめた地面が腐っている。
 
ユィ    「あー漣ちゃん、桜は腐らせちゃだめだよ?」
 
   「駄目なのか」
 
   「ウチ残念。綺麗なものは腐ると一層醜くなる」
 
ユィ    「みるだけ。腐らせていいものは色々持ってきてるから」
 
   「りぃらりぃらりぃらりぃら」
 
   「『良い』ものと『悪い』ものがあるだなんて、世界は滑稽だ」
 
   「腐ってる腐ってる。りぃら――しゃなり」
 
   愉快そうに、鈴を鳴らすように、笑う漣。
 
ユィ    「そうかもねえ・・・滑稽かも」
 
   「桜」
 
   ぴたりと笑いを収め、つぶやく。
 
   「ウチ楽しみだぞ」
 
   と、そんな道中。
 
ユィ    「おー見えてきた。ほんとおおきいなあ・・・・」樹齢千年くらい?というのがでーんと。
 
   でかいな。
 
ユィ    ここは魔都。多分見た目どおりではないだろう。突然変異かもしれない。
 
   きっと何かの陰謀だ。りぃらりぃらりぃら。
 
ユィ    そんな道中?
 
   道すがらの会話だったんだ。
 
ユィ    なるほど。
 
   さておき、着いた。
 
   「しゃなり・・・・・・これが桜か」
 
   ぞわっ
 
   圧倒する桜色。
 
ユィ    「うん・・・これ、のはず・・・」あまりの大きさに息を呑む
 
   歴史を感じさせる幹に、一瞬を彩る桜の花。
 
   舞う花びらに、世界は染まる。
 
   切り離されたような、迷うように惑うような、狂うように狂うような、美しい空間。
 
ユィ    「うわあ・・・一面ピンク・・・」
 
   桜の――大木。
 
   「ウチ、少し驚いたぞ」 微笑を浮かべ、周りを見渡す漣。
 
ユィ    まさしく桜吹雪。自分もその中に溶け込むような錯覚すら覚える。
 
ユィ    「いや、わたしも・・・・」呆気に取られて見合げる。
 
   しばし時も忘れて――見入る、二人。
 
   一陣の風が吹き、我に戻る。
 
   「・・・・・・しゃなり。で、見たら終わりなのか?」
 
ユィ    「さて、場所とるか・・・ご飯とか食べるんだよ?歌うたったり」周りにはちらほら花見客も見える
 
   /彼らの瞳は、既に世界を見ていない。
 
   /桜に・・・・・・酔っている。
 
   /いや、ただ単に酔っている?
 
ユィ    /ただ、桜が絡んでいるのは必定。さながらここは桃源郷。
 
   桃じゃん。(素突っ込み
 
ユィ    おううw
 
   「りぃらりぃら。食べたり歌ったりするのか。ウチわからない」
 
   首を傾げて、手伝おうともしない。
 
ユィ    「この前見たく口に入れればいいよ」準備を終えて、お弁当を開く。
 
   しゃなり、と近寄って、すとんと座る。
 
   「しゃなり。そうか」
 
ユィ    「しばしこれ見てたいんだ。こんな綺麗なの、久しぶりだから」いくつか見繕って漣にわたし
 
   「りぃらりぃらりぃらりぃら! 綺麗か!」 さっきと同じせりふを吐く・・・・・・が、さっきとは少し違う言葉のアクセント。
 
   「綺麗と言うより、これはウチ、ちょっと違うと思う」
 
ユィ    「ん?どんなふうに?」
 
   「しゃなり・・・・・・んー」 言葉を選ぶ風に。
 
   元々ボキャブラリが少ないのだろう。
 
   「しゃな、しゃな。これは陶酔だ。これは狂酔だ」
 
ユィ    「陶酔・・・確かにこの桜には溺れちゃうね」どこか異界のような錯覚を覚える。
 
   「りぃらりぃらりぃら! さながら嫌いな物に走った皹みたいな、壊れかけた世界に酔って、狂ってる」
 
   ざわざわ、ぞわわわわっ!   桜が風に揺れ、唸りを上げる。
 
ユィ    桜そのものが生きているような感覚に身震いし。
 
   「そう言えば、ウチ聞いたことがあるぞ」
 
   くるっと、ユィの方を見る。
 
ユィ    「なに?」不思議そうに聞き返し
 
   「『桜の下のは腐乱死体が埋まっている』」
 
   「・・・・・・なんてな。りぃらりぃらりぃらりぃら!」
 
   冗談めいて笑う。
 
ユィ    「腐乱でなくて死体と言うのは聞いたことあるね。人の命を吸って狂い咲く。このさくらもまさか・・」
 
ユィ    ちょっとだけ汗だらだらw
 
   ちょっとで、汗だらだら?
 
ユィ    チョつとだけ汗かきw
 
   「だったとしても、しゃなり。ウチ関係ないな」
 
ユィ    「まあ、綺麗なもんは綺麗だしね・・・」ごまかすようにもぐもぐw
 
   「しゃなり」
 
   「ところでユィ」
 
ユィ    「なに?」
 
   「何でこの町の連中は、こんななんだ?」
 
   しゃなり、と。尋ねる。
 
ユィ    「こんなって?」
 
ユィ    「のんきとか・・・人がいいとか?」ちょっと首かしげ
 
   「りぃらりぃら」
 
   「世界をぶっ壊せるくらいに力があるくせに、ぬるぬると」
 
ユィ    「皆強い力持ってるけど・・・振るうべき場所とその瞬間を知っているから、かな?」
 
   「しゃなり、ぬくぬくと、『日常』とやらを過ごしてる」
 
   「りぃらりぃら、腐っている」
 
ユィ    「わたしは過去が辛い分、今を大事にしたいからだけど、皆の場合は護るために今を大切にしてるからだと思う」
 
   「そんな腐ってるところが、ウチ好きだ」
 
   「どう考えたって不自然だ。りぃらりぃら。力があるのは何でだと思う?」
 
ユィ    「分からないな・・・でも皆何かしら、しなきゃいけないことがあるのかもしれない」
 
ユィ    「そのためにだと思う」
 
ユィ    あごに手を当て、唸りながらもそう答え。
 
ユィ    「わたしはわたしみたいな人を、一人でも減らしたいし・・・」
 
   「しゃなり」
 
   「なんだか、中途半端だと」
 
   「ウチは思う」
 
ユィ    「中途半端か・・・うーん・・・」頭抱え
 
   「りぃらりぃらりぃら! 腐ってるんだ。この町は特に」
 
   「腐りかけなんだ」
 
   「一歩歪めば、全部倒壊するような、力と力の微妙なせめぎ合い」
 
ユィ    「世界が腐っているか・・・」
 
   「何から何まで、全てが全て、弾けて千切れて砕けて終わりそうなだけの理由が、ここには詰まってる」
 
   「こんな狭いところに!」
 
   愉快そうに笑う。鈴を鳴らすように歌う。
 
ユィ    「まるで実験場だね・・・・」過去の光景を思い出し身震い。
 
   りぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃら!
 
   世界に鳴り響く、それは警告のような音。
 
ユィ    「神がダイスを転がす街・・・・か・・・」
 
   「新鮮なわけでもなく、腐り果てたわけでもなく、腐りかけ」
 
ユィ    ふとあの甘ったるい匂いを嗅いだ気がして、少し吐き気を催す。
 
   「腐臭が漂ってくるのに、腐敗の宴はまだ開かれない」
 
   「近いうちに――あるいは遠いいつか。この世界はしゃなりと崩れると思うぞ」
 
ユィ    「そうかもね・・・」桜を見上げて少し緊張したようにつぶやく。
 
   「他のいくつもの世界を巻き込んで・・・・・・しゃなり」
 
   ぞわっ・・・・・・。桜が波打つ。
 
ユィ    「何のために・・・誰が何のためにこんな試練を、場所を、力を用意したんだろう・・・」
 
   「りぃらりぃら」
 
   「ウチが居たところはな・・・・・・戦場だ」
 
ユィ    「戦場・・・」彼女が自分を兵器と言っていたのを思い出す。
 
   「そこでは人間達がな。りぃらりぃら! 愉快な話だ。りぃら。醜くも腐り果てた心で、力に溺れ力に殉じ、思想に溺れ思想に殉じ、殺しあっていた」
 
ユィ    最近行われた戦争を思い出す。数年前のものは雑誌でしか知らないが。
 
   「終わりの見えない戦争。最後の訪れない停滞」
 
   「友は死に、共に死に、敵も死に、敵を殺し、時には友も殺し、何より殺しているのは自分だ」
 
   「腐った心だ。そして、戦う理由なんてそこには無いぞ?」
 
   しゃなり。 微笑んで、ユィに言う。
 
   「力の理由なんて無いぞ」
 
ユィ    「そんなことが・・・」あまりの状況に息が詰まる。地獄にいたのは自分だけではないということも知る。
 
ユィ    「言葉」がでてこない・・・・・・・。
 
ユィ    「理由なく振るわれる暴力もあるんだよね・・・」それが戦争という現実。
 
   「切欠はあるかもしれないが、理由なんて無いな」
 
   「林檎を置いておけば、勝手に腐る」
 
   「それだけの事。存在があれば、それは勝手に崩れる」
 
   「進み始めたら、終わらないのが世界だ」
 
ユィ    「うん・・・」
 
   「だから」
 
   りぃらりぃらりぃらりぃら! と、笑う。
 
   「全部、腐らせた」
 
   「全部腐らせ果てて、終わらせてきてやった。しゃなり」
 
ユィ    光景が目に浮かぶ。何もない結末。自分が覚醒したときの光景とオーバーラップし、むせた。
 
ユィ    「そんな場所に居たんだ・・・・・」
 
   「居たぞ。ウチは腐らせるために作られたんだ」
 
   「腐らせながら、歩いて歩いて歩いて歩いて、気づいたらこの町に居た」
 
   りぃらりぃらりぃらりぃら!
 
ユィ    彼女は呼ばれたのかもしれない、この狂った街に。ふとそんな気がする。
 
   「ウチがこの町に居て、ものを腐らせないのはな。しゃなり」
 
ユィ    「偶然にしてはできすぎている・・・な」力あるものが集まるという違和感。
 
   「保身の為でも、誰かを護るわけでもない」
 
ユィ    「・・・・何故?」
 
   「しゃなり」
 
   「今は腐らせる時じゃないからだ」
 
   「腐らせるべき世界じゃないからだ」
 
   「時間の流れとも、ちょっと違うな・・・・・・。しゃなり」
 
   「運命の、問題だ」
 
   ふぃっと、上を見上げる。
 
ユィ    「振るうべきとき、振るうべき世界、振るうべき運命があるってこと・・・?」
 
ユィ    ちなみに漣に対し、共感と不安を覚えます<ユィ
 
   「そう」
 
   「腐臭の宴が開催される。前代未聞空前絶後、未曾有の規模でな」
 
   「ウチ待ってる」
 
ユィ    「だから皆・・・『今は振るわない』か・・・・」
 
   りぃら、りぃら、りぃら。
 
ユィ    「わたし・・・・も?」体をぎゅっと抱きしめ
 
   「ユィも、そのうち腐る」
 
   深い瞳が、くすんだ瞳が、ユィを見つめ、笑う。
 
ユィ    安穏と『日常』にいたことに不安を覚える。そして直ぐそこに『地獄』口を開いていることに恐怖を覚える。
 
   「桜が綺麗なのは、美しいのは」
 
   「そのせいだろう」
 
ユィ    「わたしはただ『あそこ』から逃げたかった・・・だからこの街に来た、そうじゃないの!?」
 
   「りぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃらりぃら――しゃなり」
 
   「ウチ知らない」
 
ユィ    頭を抱えて誰に言うともなく叫ぶ。
 
   にべにもない。
 
   「ユィがそう思うなら、そうかもな。でもウチは、さっきみたいに思う」
 
ユィ    「ごめん・・・ちょっと取り乱した・・・」
 
ユィ    「そうか&世界は壊れかけだから、美しいのか・・・」改めて桜を見つめ
 
   「謝ることはないぞ。しゃなり」
 
ユィ    「はあ・・・まだあのことも言ってない相手に何取り乱してるんだろうわたし・・・」
 
   「あのこと?」
 
ユィ    「過去のこと教えてくれた教えてあげる。わたしは・・・」屍ーさんに教えた自分の過去をポツリポツリと話す。
 
ユィ    「そのことさえ・・・ひょっとすると、その『宴』の為の準備でしかなかったのかもね・・・」
 
   黙って聞いて・・・・・・
 
   笑う。
 
   「りぃらりぃらりぃらりぃら! 良かったな」
 
ユィ    「ん・・・・」黙ってうなずく。
 
ユィ    「でもそんなことがあって手に入れた力だけど、代償としては大きすぎる・・・」
 
ユィ    「宴・・・か・・・・」
 
   「・・・・・・しゃなり」 と、立ち上がる。
 
   「代償なんかじゃない」
 
ユィ    「え?どういう・・・」思わず見上げ
 
   「しゃなり」
 
   「ユィはユィからユィになり、今でもユィで、いつまでもユィだ」
 
   「林檎が腐っても林檎なみたいにな」
 
   「りぃらりぃら。帰るか?」
 
ユィ    「わたしはわたし、か・・・・・うん、帰ろう・・・」荷物をまとめ
 
   「しゃなり。桜」
 
   「綺麗だったな」
 
   そう言って、歌いながら・・・・・・しゃなりと漣は帰っていった。
 
ユィ    「宴か・・・」もう一度つぶやく
 
ユィ    「世界は残酷だ・・・だからこそ美しいのかもしれない・・・」
 
ユィ    漣を送った帰路で、ポツリとつぶやく。
 
   終わり、か?
 
ユィ    だねえ。
 
   お疲れ様でしたー。
 
ユィ    のほほんとしてたユィにはショック大きいですよw
 
   漣は
 
   ちょっと寸劇に向かないキャラですからね。(笑
 
   あんまりのほほんとしてません。
 
   かといって、きびきびきりきりしているわけでも無いですけれど。
 
ユィ    ふうむ。
 
ユィ    でもなんかいい布石打つにはいい感じの寸劇になった。
 
   どうもありがとうございます。(笑
 
ユィ    楽しかったですよ。
 
ユィ    しかし良く考えると大人だな、漣・・・。
 
最終更新:2020年05月11日 21:13