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...a will
 
GM    さて。
   最後――

   ――の、前に。
   1シーン挟みます。
 
   はーい。
 
   はい。
 
GM    ほとんどマスターシーンのようなものです。
   画面から目を離しませんよう。(笑
   では、参ります。




九月最初の月曜日。
二学期の始まる、始業式の日。
久し振りに会う、友達。
色が黒くなっていたり、逆に何故か白くなっていたりして。
久し振りに会う、クラスメイト。
仲の良い人、悪い人、同じ教室に居ながらもほとんど接触の無い人。
誰であれ、クラスメイトなのだから……
これからまたしばらく、毎日顔を合わせて授業を受ける。
そんな予定。

でも……、一人。
飛び切り目立っていた、女の子が来ていない。


「えー、彼女はご両親の都合で、夏休み中に引っ越したんだ」


先生は言う。
行き先は、外国。詳しいことは、良く知らないらしい。
ざわめく教室。
別れの電話を貰った人さえ、居なかったのに。


「急なことで、言い出せなかったらしい。だが――」


そう、ちょっと変わったものが、残されていた。


「お別れのビデオを、作っておいて行ったらしい。
 今から流したいと思うが、良いか?」


……クラスの中で、異論をあげる人は、居なかった。
DVDディスクを入れて。
テレビを、起動させる。
カーテンを閉めて、電気を消して、薄暗くなった教室の中で……
それは、再生された。




ヴヴぅぅん……
 かた がたがた


 「えーと、これで良いかな」


 かたん。
  ……。


 ……ぴっ……。


 何処か、高い丘からだろうか。
 この町から、引いては枕辺市。
 高く澄んだ空、いくらかの雲。
 勿論、霞衣学園も映っている。


 何もかも透き通りそうな、良い天気――


 麦藁帽子を脇において、パーカー付きノースリーブに、ショートパンツ。
 服の色は白と銀色で、肌はハリもあってとても健康的。
 おめかしをしているのか、唇はやけに赤くって。


 「えっと、えへへ」


 フレームの中へ入って、ちょっとはにかむような仕草を見せて。


 「伊勢千歌です」


 そう、彼女は名乗った。


 「やっほ、クラスメイトの皆、見てるかな?
  このビデオを皆が見ている頃、
  私は既にこの世に居ないでしょう……。


  あ、嘘嘘! 今までみたいにイツでもドコでも
  場違いみたいに元気にやってるよ」


 ぱたぱたと、千歌は画面の中で手を振る。


 「なんだか急な事情で皆と別れることになっちゃって、本当に残念!
  ごめんね、千歌ちゃんファンの人達! って、それは皆かー。なんてね。


  ちゃんとお別れ言って回る時間も無くて……
  ……だから、手元にあったDVDハンディカムで、
  こんなハイテク置手紙を残そうと思ったわけ。あ、ダビング無料だよ。
  お金なんか取ったら働く必要なくなっちゃって、
  私の将来つまらなくなっちゃうからね」


 ひとしきり、笑って見せる。
 しかしやがて、少し顔を翳らせて。


 「こんな事言ってるけれど、実はちょっと不安なんだ。
  ここで離れ離れになって。最後はこんなビデオだけで。
  皆が伊勢千歌の事を忘れちゃったりしないかってね……」


 と、雰囲気を盛り上げておいて――
 そう呟いてから、ぱっとカメラ目線だ。


 「だから、ちょっと恥ずかしいくらい大げさなこと、言ってみようと思います!」


 びしーっ、て、口で言ってるよ。


 「…………。
  皆には、夢って在るかな?
  べらべら、吐き出せるくらいの。
  持ってるって人もいるだろうけど、
  そんなのわからねぇって人が大半だと思うな。


  ま、そーでしょ。
  そんなあやふやなもん、持ってる人の方がおかしいし、
  持ってる人も、あんまり強くその夢を掲げているわけじゃないんじゃない?


  だからってここで、


  『夢を持てーっ!』『ボーイズアンドガールズビーヴィシュヌ神!』


  なんてことは言わないよ。
  言えるわけ無いじゃん、私十六歳乙女だぜ?」


 そう、笑う。
 素敵な、笑顔だ。


 「夢なんて何でも良いと私は、思う。
  意味も無い嘘みたいなもので良いと、思う。
  でも、もしそこで……夢って単語を使えることがあったならさ、
  それを抱いて、それを語って、それだけで、
  何処までも、いけそうな気にならない?


  勘違いだって、間違いだって、場違いだって、気違いだって良い。
  誰はばかる事無く、そんな『嘘っぱち』でも、
  笑顔で語りきれたら、素敵だと思う。


  好きも嫌いも大切も無関心も恋も恨みも強いも弱いも、
  全部そんなの嘘っぱち。
  全部夢物語――だけど。


  それを、そんな事実なんかを、
  偉そうに頬肘ついて掲げたところで、全然楽しくないから」


 だから。


 「だから、私はずっと見ている。嫌だって言われたって――
  このビデオを見た人たちのこの先を、
  ずっとずうっと見つめてる。眺めて、応援している。
  皆の物語を、私はずっと語っていく。はっはー、ホラーでしょ? 


  え?
  そんなの『嘘だ』って?
  あったり前じゃん、そんなの。
  嘘だよ嘘嘘。全部嘘。そんなのできっこないじゃん」


 馬鹿にしたように、阿呆を見るように、間抜けを揶揄するみたいに、
 嘘がばれたみたいに、そう言う。


 「でもね、乙女が吐いたそんな『夢』、信じてみても良いんじゃない?
  へーきへーき。私はさー、


  お花屋さんお肉屋さんお魚屋さん八百屋さんケーキ屋さんに喫茶店のウェイトレス、
  田んぼで畑で酪農家に畜産業、体鍛えてインストラクタースポーツ選手や兵隊さん、
  化学者技術者数学家、工場勤めや労働者、お医者に出来るオフィスレディと女社長、
  タクシーバスの運転手、車掌も私で駅員私ついでにジャックなテロリストも私だし、
  政治家弁護士裁判官、メディア関連カメラウーマン、スチュワーデスだし客船勤め、
  通訳美術家芸術家、小説家漫画家音楽家脚本家、おまけにアイドルプラスAV女優、
  落ち武者リストラフリーター、ニートで難民ホームレス、あるいはそこの野良猫で、
  他にも色々エトセトラ、何より可愛いお嫁さん愉快なお隣さん知らない美人さんに、 
  ――なるのが、夢だから。


  いつだって、そこにいるのが私なんだよ。
  ねぇ、詰まらない事だと思う?
  嘘吐きだって、思う?」


 一端言葉を切って麦藁帽子をその手に取る。


 「そう言われたって、私は平気。
  嘘だらけ、嘘しかない。夢だらけ、夢しかない。
  それでも私は――楽しく生きていけるからさ。
  寂しくなんか、無いんだよ」


 「……さて、と。そろそろディスクもいっぱいかな?」


 んなわけないだろ、一時間は撮れるんだから。
 でも……彼女は、
 いっぱいいっぱいなのかもしれない。


 麦藁帽子を、深く被る。
 赤い赤い唇しか――見えなくなる。
 とっても妖しくて、魅惑的な――微笑。


 人差し指を、カメラへ突きつけて――


 「うふふ」


 「私が皆の代わりに笑ってあげる。思う存分笑ってあげる。
  だから、楽しくて仕方がない。
  死ぬのなんか勿体無い」


 「じゃーね、バイバイ。
  愛してるぜ、お前等――」


  作者にヨロシク♪




 ……ぴっ…………。


 ぷつん。




 
GM    シーンカット。
 
明彦    さて。カーテンコールだ。
 
GM    ええ。
 
   はい。
 
GM    準備が出来たら、仰って下さいな。
 
   準備はいいんですが…
 
GM    どうなさりました?
 
   今の件に関してはノーコメントの方向でいいですか?w
 
GM    少なくとも感想会までは聞かないでおきましょう。(笑
 
   どんな結論も解釈も、出せそうにありませんので…。
 
GM    ぼやきたければ、雑談の方で。
 
   ああ、それから。冥夢はスルー?w>一人の少女がいなくなった
 
GM    そう言えば。どうなったんでしょうね。
 
   欠席扱いなのかな…
 
GM    でも、冥夢は、夏休み前から居ませんでしたしね。
 
   ああ、そういえば…そうか。
   わかりました。
   ED,いいですよ。
   期待に添えないかもしれませんが、頑張ります。
 
GM    はい。
最終更新:2020年05月16日 12:55