「大丈夫?無理せず横になって」
「・・・すみません」

ふらふらとした足取りでマミに肩を借りていたほむらは、崩れ落ちるようにソファーに倒れこんだ

「気にしないで。温かい飲み物でも入れてくるわね」
「さすがに今は甘いものが欲しいわね・・・」
「そうね。ココアで良いかしら?」

マミは肩越しに頷く様子を確認して、キッチンへと向かった



「キミたちともあろうものが随分やられたみたいだね。グリーフシードはどうしたんだい?」

ティータイムらしからぬ重苦しい沈黙を破ったのは、突如現れたキュゥべえだった

「建築中のビルごと吹き飛んだわ。さすがにあの騒ぎの中、回収するのは無理ね・・・」
「しばらくあの辺りは立ち入り禁止になりそうよね。そもそもあれ、焼け残ってるの?みんな吹き飛んだんじゃないかしら」

つい先ほどの、かつてない大物魔獣との死闘を思い出しながら答える二人

「グリーフシードは魔力の塊だからね。物理的にはある程度の耐久力はあるはずだけど。ビル一つ吹き飛ばすほどの魔力の一撃に巻き込まれたとなると、
 たしかに消滅していてもおかしくはないね。なるほど、キミたちがそこまで消耗しているのはそういうわけか」

わずかにココアに口を付けたきり、ソファーに大きくもたれかかっていたほむらが面を上げてキュゥべえに冷めた視線を送る

「で、どうなの?私と巴さんはあとどれくらい持ちそう?このままじっとしてると仮定して」
「・・・っ!」
「そうだね。キミはもってあと三日。マミは一週間ってところかな。グリーフシードの蓄えはないのかい?」
「無いわ。あの一撃を放つために使い切ってしまったもの。巴さんは?」
「・・・私もないわ。普段あれほど暁美さんが忠告してくれていたのに、ごめんなさい」
「杏子に分けてもらうわけには行かないのかい?」
「佐倉さんは・・・数日前からどこかに出かけて居ないのよ。よくあることだけど、戻ってくるのはいつになるか・・・」

悲壮感漂うマミに対して、ほむらはどこか他人事のように冷静だった

「・・・巴さん、ちょっとソウルジェムを貸してもらえないかしら」
「え・・・それは構わないけれど。どうする気?」
「試してみたい事があるの」

そういってくすんだマミのソウルジェムを受け取ったほむらは、より黒ずんだ自分のソウルジェムを取り出して密着させる

「ほむら・・・キミは」

すると黄色の宝石がわずかに輝きを取り戻すと同時に、紫のそれは益々黒ずみ光を失っていく

「暁美さん・・・何をしているの?」
(やっぱり・・・グリーフシードもソウルジェムも本質は同じだもの)
「私の残った魔力を巴さんに移しているの。そうすれば少しでも長く生きられる」
「なっ!?・・・やめて!やめなさい!!」

行為の意味を知ったマミはテーブルを挟んで対面に座るほむらに飛び掛り、押し倒す勢いでその手から宝石を奪い取った

「どうしてそんな馬鹿なことをするのよ!?」
「馬鹿じゃないわ。一人でも生き残れる確率が高い方法を選んだだけ・・・杏子にも言われたしね。『マミの事を頼む』って」
「だからって・・・こんなことされても嬉しくなんてないわ!」
「恩を着せるつもりもない・・・私もちょっと疲れたのかもね。だから気にする事はないわ」

押し倒されて天井を見上げたまま、淡々と語るほむら。その様子に僅かに息を呑み、肩を震わせるマミの両目からは大粒の涙が零れ落ちようとしていた

「何よそれ・・・そんなのただの逃げじゃない!貴女も魔法少女なら諦めないで最後まで戦いなさい!!」

不意に影が覆い、熱い水滴が頬に落ちるのに驚いて、ほむらはようやく目の前のマミを見上げた

「・・・ふふっ。巴さんらしい、のかな。手厳しいですね。でも他に方法がないです。杏子とは連絡の取りようがないし」
「キュゥべえ、何か他に魔力を回復する方法は無いの?この際だから効率は度外視よ」
「う~ん、無いわけじゃないけれど。あまり実用的とは言い難いね」



「本当にそんなことで効果があるの?大人しくじっと待っていた方が・・・」
「だめよ、それこそ死を待つだけの諦めじゃない。今はキュゥべえの言葉を信じましょう」

マミに一喝されてわずかに気力を取り戻したほむらは、どうにも気の進まない様子で眉をひそめていた
その隣に寄り添って座ったマミは、いたって真剣な表情で隣を覗き込むと僅かに頬を染めながら呟いた

「暁美さん・・・綺麗よ。それにとっても凛々しくて・・・私、実は貴女に憧れていたのよ?」
「・・・っ!」

真剣な告白(?)を受けてそっぽを向いたほむらは顔を赤くしてキュゥべえを睨む

「やっぱりお前私達をからかっているでしょう!・・・こ、こんなことで魔力が回復するなら苦労しないわ!」
「そんなことないよ。確かに実用的ではないけど。魔法少女の魔力は精神エネルギーを変換して生みだされるものだからね。幸福を感じれば、極僅かだけど回復するんだ。
 実際今ので、キミの寿命は20分ほど延びたよ」
「本当に?じゃあもっと続けるわね。暁美さん、いつも私の背中を何も言わずに守ってくれてありがとう。感謝してるわ。・・・貴方が居てくれて良かった」
「別に巴さんのためにやってるわけじゃ・・・そうするのが効率が良いからよ」
「やれやれ。そこでそんな返事をしてどうするんだい?キミは自分だけ助かるつもりかい?ちゃんとお礼を言ってマミの事も喜ばせてあげないと」
「うるさい!お前にだけはそんなことを言われたくないわ」
「ふふっ、おかしい」

キュゥべえとほむらの意外なやり取りに、マミは心底嬉しそうな笑みを浮べる

「これがボケと突っ込みと言うやつかい?さすがほむら、やるね。今のでマミの寿命が10分ほど延びたよ」
「・・・本当ね?本当にこれを続ければ巴さんは助かるのね?」
「魔獣を倒してグリーフシードを確保できるまで回復できるかと言われると難しいけれど。続ければ杏子が帰ってくるまでもたせるくらいは出来るかもね」



「巴さん。私は貴女を死なせたくない・・・その為なら何だってします。だから・・・私にしてほしいことがあったら何でも言ってください」
「ありがとう暁美さん・・・その気持ちだけでとっても嬉しいわ」

先ほどまでとは打って変わって、真剣な表情で見つめるほむらにマミは穏やかな笑みを返す

「そんな程度じゃだめなんです。魔力を回復させるにはもっと喜んでもらわないと」

そう言ってほむらは薄いクッションに腰掛けたマミの背中に回り、肩に手を伸ばす

「どうですか?」
「ん・・・ありがとう、気持ちが良いわ」

よく肩がこると言っていたのを思い出し、マッサージを始めたのだった

「ありがとう暁美さん、もう良いわ。よし、今度は私の番ね」

入れ替わりでほむらを座らせて、細い肩に手を伸ばしたマミだったが・・・

「う・・・くすぐったい。私はこってないから・・・揉まなくていいです」
「そう?こんな時に遠慮しなくて良いのよ?」
「・・・私は貴女と違って身軽だもの」

ほむらは肩に乗せられた手を払って、ふぅ、と一息ため息をついた

「う~ん。よくわからないけど、今ので少しほむらの寿命が縮んでしまったよ。どうやら逆効果だったみたいだね」
「そんな・・・」

キュゥべえの言葉にハッとなったマミは、ほむらの正面に回って顔を覗き込みながら真剣な表情で語りかける

「気にすることないわ。胸なんてあったって動きづらいだけだもの。暁美さんは細くて白くて綺麗だし、私なんかよりもずっと素敵よ?」
「・・・そ、そう?」
「そうよ!髪だって真っ直ぐでさらさらで、いつも羨ましいって思ってたもの」

つややかな黒髪に手を伸ばし、指で軽く梳くと頬擦りを始める

「・・・巴さん?」
「ごめんなさい、ずっと前から一度こうしてみたいって思っていたの。嫌だった?」
「嫌じゃないですけど・・・恥ずかしいです。魔獣と戦った後だし、汚れてるし汗だってかいてて・・・」
「そんなことない。綺麗だし良い香りがするわ」

普段とは違った少女らしいほむらの反応に、マミは笑みを浮かべながらキュゥべえに成果を訊ねる

「どうかしら?暁美さんは恥ずかしがってるけど、やっぱり魔力は回復してない?」
「そんなことはないよ。今のやり取りで二人とも40分ほど寿命が延びたよ」
「そう、良かったわ。照れ屋さんなだけで喜んでくれてるのね」
「う~・・・」

赤面したままキュゥべえを睨み付けるほむらだったが、不思議そうに小首を傾げられるだけで効果はなかった

「暁美さん・・・もし嫌だったらすぐに言って?」
「あう・・・」

マミがほむらの顔を両手で抱え込むようにやさしく抱きしめる

(トクントクンって・・・やさしい音がする)

「暁美さん・・・好きよ」
「・・・ありがとう。私も巴さんの事・・・好き」

腕の中の後輩の返事を聞いて思わずその顔を覗き込むと、そこには普段の大人びた雰囲気とは別人の
照れた表情を浮かべる少女がいた

「今の貴女、まるで子供みたいね。可愛いわ」
「・・・うぅ、巴さんの意地悪」
「ふふっ、拗ねないの。私たちだってまだ中学生なんだから。・・・ねぇ、今度は暁美さんが私を抱きしめて?」
「はい・・・」

マミの体全体をやさしく包み込むように抱きしめる

「頭も撫でて欲しいわ」

言われるままに髪を撫でると、まるで猫のように目を細めて気持ちよさそうな笑みを浮かべる

「ありがとう、落ち着くわ。やっぱり私、少し甘えん坊なのかな」
「・・・ふふ、ははは。今更?」

されるがままだったほむらが、ここぞとばかりに可笑しそうに笑う

「もぉ!そんなに笑うことないじゃない。・・・でも、暁美さんのそんな笑顔なんて初めてみたわ。やっぱり貴女、美人ね」
「・・・恥ずかしい台詞、禁止!」
「私が甘えん坊なら貴女は照れ屋さんね、うふふふ!」

身を寄せ合った少女が二人、大輪の花が咲いたように笑いあう

「おめでとう二人とも。今のでまた二時間ほど寿命が延びたよ」
「たったそれだけ・・・まだまだね」
「これだけ幸せな気持ちになれたのに・・・」
「幸福感も慣れてしまえばそれが普通になってしまうからね。実用的じゃないと言ったのはその為さ。これ以上この方法で魔力を回復させるのは難しいだろうね」
「どうにかならないの?せっかく暁美さんと想いが通じ合ったのに・・・」
「他にも方法がないわけじゃないけど」
「もったいぶらずに教えなさい」

二人の真剣な眼差しに、さしものインキュベーターも黙秘を続けることは出来ないのであった



数時間後、シャワーを浴びて身を清めた二人は、部屋に一つしかないベッドに隣り合って座っていた

「暁美さんはすごくもてるけど、やっぱりこういう事は初めてなのかしら。他にちゃんとした好きな人が居るのなら・・・ちょっと気が引けるけど」

マミはそう言いながらもほむらの肩に手を置き、顔を近づける

「・・・経験なんてないわ。好きな人も・・・居ない」

一瞬言いよどみ、今では会うことすら出来なくなってしまった少女の顔が頭をよぎる

「・・・そう。だったら遠慮することはないわね」

二人の距離が一気に縮まり、瑞々しい唇が重なり合う。それと同時に、マミの手がバスローブ越しに慎ましやかな起伏をやさしく撫でる

「ん・・・」

唇を離した後、そのまま首筋にかけて軽くキスのシャワーを降らせていたマミが手を止めて離れる

「もう少し力を抜いて?硬くなりすぎよ」
「だってこんなの・・・」
「やっぱり私が相手じゃ嫌?」
「・・・そうじゃない・・・けど」

どうにも煮え切らないほむらの態度に業を煮やしたマミは、華奢な身体を押し倒して顔を覗き込んだ

「暁美さん。私はね・・・これからも貴女と一緒に生きて、色んなことがしてみたいの。だからその為なら何だってするわ」
「あっ!・・・巴さん」

ほむらの羽織っていたバスローブの帯を解き、そこから顔を覗かせる薄いピンクに染まった肌に吸い付き、太ももに指を這わせる
マミの指が、舌が這い回る度に、黒髪の少女はビクビクとその身を震わせるが、右腕で顔を覆って息を殺して耐えていた

「どうして我慢なんてするの?・・・嫌なら嫌って言って欲しいわね」

寂しげな表情で呟いたその問いかけに答えたのは、眼下の少女ではなく部屋の隅に現れたキュゥべえだった

「何も問題ないよ。今までの愛撫でほむらの寿命は二時間近く回復したからね」
「キュゥべえ・・・居たのね。でも、覗きは駄目よ。今は私と暁美さんの二人だけの時間だもの。デリカシーの無い男の子は嫌われるわよ?しばらくどこかへ行ってて頂戴」
「そうか、わかったよ。でも、くれぐれもほどほどにね」

言葉遣いとは裏腹にするどい目つきで睨まれたキュゥべえは、わずかに首を振ると霞のように消え去ってしまった

気を取り直して再びほむらの顔を覗き込んだマミは、やさしく耳元で囁きかけながら指を這わせて責めを再開する

「回復しているってことは嫌なわけじゃないし、ちゃんと気持ちが良いのよね。なのにどうして我慢なんてするの?」
「・・・だって」
「だって?」

温かいマミの手に比べて、ひんやりと冷たさを感じさせるほむらのなめらかな肌
胸元から下へ下へと手を伸ばし、やがて下腹部へと到達する

(え・・・すごい、もうこんなに)

異様な熱さと湿り気に驚き、手を戻して確認する

「こんなにも感じてくれてたのね。嬉しい」

妖しく光る指先を見せ付けられ、ますます顔を赤くしたほむらはそっぽを向きながら呟いた

「私なんかが・・・こんな、こんなことして・・・巴さんと気持ち良くなったりして・・・良いのかなって」
「良いに決まってるじゃない。何も悪いことなんてしてないわ。誰にだって息抜きは必要よ。・・・それに、貴女にはこの世界を守る使命があるんでしょう?」

愛蜜に濡れていない左手で黒髪をやさしく撫でつつ、マミは少し寂しげに呟いた

(そうよね・・・私はこんなところで死ぬわけにはいかない。これは・・・仕方の無いことよ)

そうしてほむらは我慢をやめ、再開された愛撫に面白いほど四肢を震わせ、嬌声を上げる

「あっ!・・・巴さん!」

マミの首に両腕を回し、甘えるようにキスをねだる

「ん!・・・んんー!?・・・はぁ、と、巴さん!」
「ほら、暁美さんのイクところを見せて?」

黒髪を振り乱して悶える様子に、ほむらの絶頂が近いことを悟ったマミは、ラストスパートと激しく指を動かし責め立てる

「うぅ・・・あ、あぁあああああっ!!」


「はぁ・・・はぁ・・・」
「可愛かったわ、暁美さん」

まるで子供をあやす母親のような目で黒髪を撫でるマミ
しばらくしてようやく呼吸を整え終えたほむらは、先ほどまでとは打って変わっていつもの仏頂面に戻ると、半身を起こして
仕返しとばかりに目の前の大きな二つの果実に手を伸ばす

「きゃっ!?」
「今度は・・・巴さんが気持ち良くなる番よ」
「・・・お手柔らかにお願いするわね?」

口ぶりとは裏腹に、マミが快感の波に呑まれるのは早かった

(あぁ・・・暁美さんの長い綺麗な指が・・・私を責めてるなんて)

毎晩のように思い浮かべていた、ほむらの凛々しい横顔。そして指先

(いつも貴女を想いながら一人でしてた、なんて知られたら・・・軽蔑されるかしら)

そんなことを思いながらシーツの端を強く握り締め、薄目を開けると
そこには真剣な眼差しのほむらの顔があった

「あっ!暁美さん、暁美さんっ!!んんーっ!!」

羞恥に頬を染めながらいつもより深く、そして控えめにマミは達したのだった



半日後。とっくに日が昇り、普段なら学校で授業を受けている時間帯
しかし少女たちは汗だくになりながらも、あれから休むことなく求め合っていた

「うぅ・・・」
「まだまだよ。二人共もっと気持ち良くなって魔力を回復しないと」

ぐったりと息も絶え絶えのほむらとは対照的に、汗を撒き散らしながら生き生きと腰を振るマミ
両者の身体は妖しくもつれ合い、卑猥な音を立てながら陰部を擦り合わせているのだった


そんな状態の二人だったから、気がつくことが出来なかった。待ち望んだ救世主の帰還に

「おい、居るんだろ。まだ寝てんのか?マミ」

気配を頼りに寝室の扉を開いた杏子は、思いもしなかった光景に絶句する

「ん・・・。暁美さん!」

ドアに背を向けていたマミはそれに気づかず、夢中で腰を動かしながらほむらの上半身を抱き上げて唇を貪る
ぐったりと意識を失いかけていたほむらだったが、上下の口からもたらされる快感に強制的に覚醒させられると、
マミの背後の扉が開いている事に気がついた

(杏子!?)
「んんー!」

杏子に気がつき、なんとかマミを引き離そうとするがかなわず、激しい責めと第三者に見られる羞恥により
あっという間に上り詰めてしまうのだった

(あ・・・ぁ)

かつて無い快感に、文字通り昇天したほむらは事切れ、瞳から光を失い崩れ落ちる
部屋の片隅に転がされていた二つの宝石のうち、片方がまぶしい光に包まれて消滅すると
さすがに異常に気がついたマミは、血相を変えてほむらを揺さぶる

「暁美さん、どうしたの?!しっかりして暁美さん!!」

同時に、目を覆うような部屋の惨状から我に返った杏子が、ベッドに近づいてほむらの身体に手を伸ばす

「どういうことだオイ…。コイツ死んでるじゃねぇかよ!」
「嘘よ・・・暁美さん!どうして、どうしてなの!?・・・説明しなさいキュゥべえ!」

マミの必死の呼びかけに応じて、キュゥべえが現れる

「やれやれ・・・だからほどほどにって警告したんだよ」
「どういうことよ!エッチすれば魔力が回復するんじゃなかったの!?」
「そんな訳ないじゃないか。確かに性的快感によってもたらされる満足感は魔力を回復させるけれど。深い絶頂による体力の消耗は、それを遥かに上回るんだ。
 あれだけ何度も絶頂させられたら、消耗したほむらが耐えられるわけないじゃないか」
「そんな・・・それじゃあ、私のしていたことは・・・」
「瀕死の彼女を犯してトドメを刺してしまったことになるね。もっと冷静にソウルジェムの輝きを見張るべきだったんだよ」
「そんな・・・嫌ぁあああ!暁美さん!暁美さん!!」

愛するものを手にかけたことを知ったマミは、大粒の涙を流しながら物言わぬ身体に縋りつく
そしてその悲しみは、消耗していたマミのソウルジェムを容易く絶望で染め上げる

「ごめんなさい暁美さん・・・今、私もそっちへ逝くわ・・・」

ほむらの身体に折り重なって倒れこんだマミは、最後に口付けを交わすと静かに事切れた


「おいキュゥべえ!・・・何がどうなってやがる!どうしてこうなったのさ」
「そんなのこっちが聞きたいよ。・・・全く、わけがわからないよ。だから大人しく杏子の帰りを待つべきだって言ったのに」
「・・・畜生!」

(こんな形で優秀な魔法少女を二人も失うなんて・・・)

感情が無いはずのキュゥべえも、この時ばかりは杏子に痛いほど共感を覚えるのだった


  -fin-

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最終更新:2012年04月14日 10:13