404 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/04(水) 02:09:47.01 ID:WjkAKerF0 [1/7]
新たにまどさや同人誌入手してちょっと魔力回復しましたです。
前回スレではやたら救いの無いBADENDでお目を汚してしまい申し訳ございませんでした。
ほのぼの(?)なお花見のお話を投火させていただきますにょ。
(キーンコーンカーンコーン)
今日の授業は午前中で終了。
自由を手に入れた歓喜に踊る生徒達の多くが校門を出た所で立ち止まっていた。
いかにも大富豪という雰囲気の一台の外車が停まっており、傍には一人のメイドさんが立ち主の帰りを待っている。
通りかかる生徒達の奇異な目など気にも留めず、目を合わせられればごく当然の様に笑顔を返す。
暫くするとメイドさんの下へ、主が学友達と共に出迎えられた。
「仁美お嬢様、まどか様、さやか様、お帰りなさいませ。そちらの方はお初にお目に掛かりますね。」
「はわわわわ…メ…メイドさんですかぁぁぁ!? わ、わたっ…あ、ああああのそのぉ…」
「ほらほら落ち着きなって。こっちは暁美ほむら。あたしらの友達&クラスメイトです。」
「そうですか。では以後よろしくお願い致します、ほむら様。私、仁美お嬢様直属のメイドでございます。」
「あはは、ほむらちゃんはメイドさん見るの初めてだもんね。」
今日は学校の終わるお昼から仁美と彼女の学校友達で花見をする事になっていた。
帰りの足に車で迎えに来て貰い、そのまま現地に直行すると言った次第だ。
「今日は彼女が車を出してくださいますのよ。あと揃っていらっしゃらないのは…」
「巴先輩がまだですよね…?」
「マミさんは確か、進路の面談が早めに終われば来るって言ってたけど…」
「みんな待ってぇぇぇぇぇぇ~!!」(ドドドドド…)
遠くからマミが悲鳴と共に胸元を揺らし全力疾走で現れた。
「あ!マミさん来た!こっちです~!」
「マミさんいっそげー!置いてっちゃいますよー!」
[桜色の笑顔]
405 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/04(水) 02:10:59.03 ID:WjkAKerF0 [2/7]
「いやー、無事間に合って良かったですよ。」
「もう!危うくホントに一人ぼっちになる所だったじゃない…。」
メイドさんの運転する車には仁美、まどか、さやか、ほむら、マミの5人が無事乗り込んでいた。
約三十分程揺られると辺りの景色もすっかり変わって来る。
なだらかな山に囲まれた緑溢れる丘には、所狭しと桃色の桜が入り混じっていた。
そして同じ目的で人が集まりつつある山道の麓で車は停まる。
初めてここに降り立った四人は感嘆の余り、早速辺りを見渡し初めている。
「ここを2~3分程登った場所が花見の場所になりますわ。」
「それでは皆様、陽の陰り始める4時にはお迎えに上がります。
もし何かございましたら…特に仁美お嬢様が何か疚しい事を仕出かした場合は早急にお呼びくださいませ。」
「…わたくしそんなに信用なりませんの?」
「仲睦まじい女性同士を見かける度に暴走するのはお嬢様の悪癖ですっ!!」
さっきまで冷静だったメイドさんがマジでキレて4人はかなり驚いた。
「…っと、失礼致しました。ご学友の方々、今日はごゆっくりお楽しみくださいね。それでは後程。」
山を登ると言っても頂上へは歩いて2~3分なのでそんなに重労働ではない。
緩やかな丘の斜面で転びそうになる人なんてそうはいないのだが…。
「はわわわ…!」(グラッ)
「ほむらっ!!」(ガシッ)
俊敏なさやかは体勢を崩したほむらを抱き止めた。下手するとこのまま斜面を転がり落ちてしまう所だった。
「…あ、ありがとうございます…///」
身体全体で受け止められた為にさやかの凹凸を直に感じてほむらは赤面する。
「ほむら、足挫いたりしてない?」
「はい…大丈夫です…///」
ほむらは眼鏡の奥からポーっと嬉しそうにさやかの顔を見詰めるている。
転校早々からやや鈍臭いのが幸いして、最近はこの王子様にフォローされる事が多くなっていた。
406 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/04(水) 02:12:13.63 ID:WjkAKerF0 [3/7]
「うー…さやかちゃん…。」
「あらあら。美樹さんは罪作りな王子様ね。」
「さやかさんは一級フラグ建築士ですから。クラスメイトの女生徒にはモテモテですのよ♪」
「へ?仁美とマミさんは何の話してるの…?」
「あ、あの…美樹さん…。また転ぶのが怖いので…その…」
おずおずと手を差し出すほむら。それを察したのはさやかは迷わず手を取って坂道を歩く事にした。
「ううー…ほむらちゃんずるいよぉー…。」
「ああもう…。ほら、まどかはこっちの手。」
「さやかちゃん…!」
さやかに力強く手を握られてまどかの顔もパァッと明るくなった。
「百合百合なトライアングルラブですの~!素晴らしいですわぁ~♪」
「志筑さん…煽ってどうするの…。」
「はっ!いけませんわ!早くデジカメを起動しなければ!」
「(…さっきのメイドさんに報告すべきかしら…。でも…楽しそうだからいいのかな…。)」
そんな三角関係気味な三人と仁美の様子を見て、マミは微笑ましく微笑ましく思うのだった。
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5人は制服のまま丘の一番大きな桜の木、[志筑様]と書かれた立て札の場所に荷物を広げた。
辺りには他にも花見に来ているグループは多くいるが、勿論仁美の確保した場所は特等席。
桜は穏やかな斜面から川岸まで余す事無く続き、見滝原の街並みまで見渡せる絶景である。
「まぁ…本当に綺麗な桜ね。」
「ソメイヨシノと言いますわ。日本で最も一般的な種類の桜ですのよ。」
「そういやまどかが見滝原に来た時に花見誘ったんだけど、いきなり大ピンチでさぁ…。」
「毛虫が一杯だったよねー♪」
「「!!!!」」
まどか達の悪意無き思い出話にマミとほむらは真っ青になっていた。
「うふふ…ご心配には及びませんわ。管轄されている観光地ですから、この時期は害虫を駆除してありますのよ。」
「「(…良かった…)」」
青くなった二人はホッと胸を撫で下ろす。全員が落ち着いた所で、志筑家お抱えの料理人に作らせたと思われる弁当を広げる事にした。
407 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/04(水) 02:14:16.12 ID:WjkAKerF0 [4/7]
「凄いよ仁美ちゃん!何だかいつものお弁当よりも高そうだね!」
「披露宴のお食事みたいに豪華ね! 所で…これ運んで来たの誰かしら…?」
「あたしそういや自分の鞄と水筒しか持たなかったけど…。」
5人分の大きな弁当箱がここにあるからにはこれを誰かが運んだ筈だ。しかも結構な重量と思われるが…。
「わたくしですが何か?」
「志筑さん…そのぉ…腕とか大丈夫なんですか…?」
「はい?」
みんなの心配を他所に仁美は状況が全く理解らないという顔だった。
このお嬢様は武術の心得まであるらしく、身体能力も人並みではないという事か。
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5人で和気藹々と食べていると穏やかな風が桃色の花を運んで来た。
「あっ。まどか、頭に桜の花弁着いてるよ。」
「え?何処何処?」
「あ、でもそのままでも髪に溶け込んでるみたいで綺麗かなー。まどかは桜色の笑顔、なんちって。」
「ふふっ、美樹さんもロマンチストなのね。」
「あ、あたしは素直にそう思っただけですよ!まどかのピンクの髪も桜みたいに綺麗だし。」
「えへへ♪」
嬉しそうに微笑むまどか。一方その様子を見て黒髪のほむらは暗い影を落としていた。
「(私の髪なんて真っ黒…。鹿目さんに比べたら…。)」
「お、ほむらの黒い髪ってピンクがすっごい映えるなぁ。」
「えっ…?///」
黒髪に落ちたピンクの花弁を見てこちらも素直に感想を述べる。
「なんかほむらって和服とか似合いそうだよね。ピンクの派手な色も綺麗に見えそうじゃん。」
「はわっ…そ、そうですか…///」
「さやかさんのおっしゃる通り、黒地には明るい色を際立たせる役目もありますわね。」
「うー…ピンクはわたしの特権なのにー…。」
「わ、私だって…!」
408 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/04(水) 02:14:56.94 ID:WjkAKerF0 [5/7]
バチバチとまどかとほむらの視線がぶつかり合う。暴力でも罵し合いでもない、女の子同士の静かなる戦いだ。
「ふ、二人共仲良くしましょうね!」
「うふふ…正に両手に花ですわぁ♪」
戦いはお弁当の最中でも繰り広げられていて、さやかの両側にはそれぞれまどかとほむらがお箸を構えている。
「さやかちゃん、あーん♪」
「美樹さん、あーんしてください♪」
「えっ、あのー…両方貰うからさ…」
先にまどかの方を食べようとすると涙目のほむらが、ほむらの方を食べようとすれば上目使いのまどかの視線が痛く突き刺さるのだ。
しかしこの程度などまだ序の口である事をさやかは自覚していなかった。
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お弁当が終わるとお花見用(?)の三色団子が出てきた。上から桃色、白、緑の草団子となっている。
さやかがまずピンクの部分を食べった所でやけに物欲しそうにするまどか。
「さやかちゃん、わたし白いのが二つ食べたいなぁ。」
「え?あたしの食べかけになるけど…そんなんでいいの?」
「か、鹿目さん…それズルいですよぉ…。」
「ど、どしたほむら…?」
とかうろたえてるうちにまどかの先制攻撃! 目を逸らした隙に素早くさやかの白い団子を食べたのだ。
「(うぇひひ、間接キスだよ♪)」
満々の笑顔でしてやったりのまどか。対照的にほむらは目に涙をぶわぁと浮かべて今にも泣きそうだ。
「わ!ちょっとほむらぁ~!?」
「…ぁぅ…ぇぅ…」
まどかより行動力に劣るほむらは、おろおろし始めるとなかなか自分で言い出せない。
だがその様子を察したのは恋敵である筈のまどかだった。
「…さやかちゃんが…ほむらちゃんの白いのを食べればいいんじゃないかなー…。」
「…!!(鹿目さん…)」
「(戦いは正々堂々だよほむらちゃん!)」
「(で、でも私…負けませんから…!)」
「そんじゃほむら、貰っていいのかな?」
「は、はいどうぞ…!」
ほむらはさやかが白い団子を食べると、下の草団子を嬉しそうにちびちびと食べていた。
「何だか複雑な関係ね。お互いを認め合ってライバルと親友の真ん中って所かしら。」
「巴先輩はご理解いただけますのね!?」
急にマミの両手を握って眼をキラキラと輝かせる仁美。思わず目を背けたくなる熱意が伝わって来る。
「え?う、うん…まぁ…人並みには理解出来たつもりだけど…。」
「それでは是非ともキマシを!キマシの世界を共に分かち合いましょう! ささ、お近付きに一杯どうぞ。」
「ありがとう、いただくわ…ってお酒は駄目でしょ!? 私達学生服だからバレちゃうし…。」
「うふふ、冗談ですわ♪ ただの緑茶ですのよ。」
こっちはこっちで新たな絆が芽生え…そうな感じではある。
マミは仁美をお淑やかで価値観を強く共有出来る後輩として、仁美はキマシの同志として…と若干ベクトルがズレてはいるが。
「いつも私は紅茶だけど、緑茶も気品があっていいわね。可愛い後輩達とのどかな時間で過ごせて幸せよ♪」
「ふふっ♪ またわたくしも巴先輩の紅茶とお菓子をご馳走になりたいものですわ。」
マミにとっては仁美もまた違う意味で可愛い後輩である。無邪気に明るく賑わうのも楽しいが、優雅にまったりと過ごせる相手も心が落ち着くというものだ。
「ねぇねぇ、さやかちゃんもいつかお酒飲んだりするの?」
「んー…お酒は大人になったら飲んでみたいかも。タバコは絶っ対吸わないけどね~。」
「私…さやかさんの匂い好きですから、ヤニの匂いで消えてしまうは悲しいです。」
「匂いって…そりゃ嬉しい様な恥ずかしい様な…///」
「むぅ…。さやかちゃんの匂いなら付き合いの長いわたしの方が詳しいよ。」
「ぁぅ…私だって…」
穏やかな花見はこうしてたまーに空気が冷ややかになるが…。
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409 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/04(水) 02:15:36.92 ID:WjkAKerF0 [6/7]
「うーん、長閑(のどか)過ぎてちょっと眠くなって来たなぁ。周りにも人たくさんいるから走り回る訳にもいかないし…。」
「み…さやかさん。あ…あああああのぉっ…! ひ、ひひ…膝枕は…どうですか…?」
「はい…?」
正座した自分の膝をポンポンと叩いて促すほむら。滅茶苦茶キョドったが何とか言葉は伝えられた。
「さやかちゃんの膝枕はわたしだよー! 小学校の頃からよくしてあげてるよね?ね?ね?」
「さやかさん…やっぱり私じゃ…駄目なんですか…?」
「のぁぁぁぁ~!二人してそんな目であたしを見ないでぇ~!」
さやかは本日最大の修羅場に遭遇していた。一瞬で終わるあーんとかと違って両方は無理なのだ。
今度こそ絶体絶命かと思われたその時、助け船を出したのは仁美だった。
「さやかさんが桜の樹にもたれて、それぞれ片腕ずつお二人を抱き枕にするというのは如何でしょうか?」
「(流石志筑さん…仲裁にも手馴れてるわね…。)」
抱き枕と呼ぶべきかは定かではないが、まどかとほむらは早速さやかの腕に抱き付いた。
「右腕は、わたしだよ♪」
「じゃぁ私、左腕♪」
「独り占め、したいけど~」
「「認めてあげーるーよ~♪」」
「そういうあからさまに修羅場になりそうな曲歌うなー!」
何処で知ったのか理解らない程古いギャルゲの歌を口ずさむ二人。対等な勝負は臨む所だが、どちらもあくまで譲る気は一片足りとも無いらしい。
「王子様の美樹さん的にはどっちが本命なのかしら?」
「へ!? うーん…まぁ小さい頃から親友のまど…」
「―――………」ドヨーン
しかし横から突き刺さる只ならぬオーラに思わずさやかの口が止まった。
「あっ…勿論ほむほむも大切に思ってるよ!」
「いいんです…私なんて…地味で鈍臭くて…何の取り得も無いですから…」グスッ
「そんな事ないって!ほむらは真面目だし気が利くし可愛トコあるし…」アセアセ
「さやかちゃん…わたしは可愛くないの…?」ウルウル
「い、いやいやいや!二人共違う可愛さがあるっていうか…」アタフタ
「ふふふ、美樹さんは優し過ぎてどっちも選べないのね。」
「真っ直ぐお一人への純愛を貫くのも素敵ですが、友情と愛情の間で悩むお姿も捨て難いですわ~!」
三人を見ながら談笑する仁美とマミ。何だかんだでマミもすっかりキマシ慣れして来た様だ。
………………………………………………♭♭♭………………………………………………
「三人共ぐっすり眠っちゃったわね。」
「こういう時にはこれですわ。」
仁美は何処からともなく取り出した毛布を三人に掛けてあげた。
「あらあら、準備ががいいのね。」
予めこうなる事を予想していたかの様な手際の良さにマミは関心する。
「…うぇひひ…さやぱいつかめと…とどろぃきさけぶ~…」モミモミ
「…えへ…我が世のぉ…春がぁ…来ましたぁ~…」スリスリ
「ううー…また取り合いがしたいの…あんたたちはぁ~…」ウーンウーン
各々の意味不明な寝言うわ言が交錯する。彼女達は夢のなかでも戦っているのだろうか。
「不思議な子達ね。笑顔も涙も拗ねた顔にも元気付けられてる気がするわ。」
「そうですわね。わたくしも、この中学でさやかさんとまどかさんに話し掛けられたのが切っ掛けで、自分の世界が変わりましたから。」
元々お嬢様育ちで周囲から孤立しがちだった仁美。中学に入って最初に打ち解けた友達が二人だった。
「私…こんなに可愛い後輩達と一緒に過ごせて幸せよ。勿論志筑さんも可愛い後輩だけど。」
「うふふ…わたくしもキマシを共感出来る先輩にお会い出来てとても光栄ですわ~♪」
「あ、あははは…うん、そうね。(今年は最高の一年になりそう…そんな気がする。)」
キマシに関して暴走気味なのが玉に瑕だが、良き仲間が出来たのは間違い無いだろう。
「さて、ではせっかくですし写真を…。リモコンで操作致しますので巴先輩も入ってくださいな。」
桜の樹の下で撮れたのはバッチリ寝顔の三人と見守る二人の写真だ。
「美樹さんの悶える表情が凄くエロいわね…。」
「ふふっ、とっても素敵な寝顔ですわ。三人が起きたら改めてもう一度撮りましょうか。」
寝顔を撮られた三人は、目が覚めた後揃って真っ赤になって蹲っていたそうな。
[桜色の笑顔]
おしまい。
最終更新:2012年04月11日 08:19