26-434

434 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/15(日) 12:29:29.24 ID:ZfFirrgV0 [2/7]
>>369 でリクエストがあったのでちょっと書いてみた。

鏡の中にひらひらと舞う華の様な白と水色のドレス。
しきりに身体を捻ったり頭を斜めに傾けてポーズと取ってみたり。
同年代の仲間であれば十分に羨望するプロポーションだが、本人にとっては別段興味をそそられるものではない。
「やっぱ…似合わないよね…。」
鏡の前の自分を見ながら、美樹さやかは自嘲的にボソッと呟いた。

[姫毎秘め事]

※だいたいこんな感じのイメージで。
ttp://zexy.net/wedding/c_7770009812/blog/images/%E3%81%86%E3%81%AE%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC.JPG

さやかの眼に映るのは、パーティー用のカラードレスを身の纏った自分の姿。
自身の髪に合わせた青を基調としたそれは母からプレゼントされたものだ。
一年前のものだが今でも然程問題無く着用出来る。その頃は今と違って彼女も希望に満ち溢れていた。

元々は上条恭介のコンサートに赴く際に、母におめかしさせられたのが切っ掛けだった。
しかし現在恭介は親友の志筑仁美と結ばれている。それが彼の選択であり、勿論さやかも受け止めた。
今でも恭介のコンサートには行くが、とてもこのドレスを着て行く気にはなれない。
幾ら着飾った所でお嬢様とは器が違う、恋愛の結果を真に受けたさやかは改めて感じていた。

「さやか、まどかちゃんが遊びに来たわよー。」
「はーい…」
母の声に何となく返事をし、訪問者を部屋に上げていいよと暗黙の了解を伝える。
さやかはすっかり忘れていた。今日は親友のまどかが遊びに来る約束をしていたのだ。
「(………ん?)」
いや、そういう事ではない。さやかはもっと根本的に重要な事を忘れている気がした。
そうこうしている間に階段と扉の音が耳に届き始める。
(トテトテトテ…)(コンコン!)
「さやかちゃーん、入るよー?」
遊びに来る=部屋に上がる=勿論さやかの姿を目の当たりにする訳で。
さやかの思考回路が真面目に働き出したのはドアノブが音を立てた瞬間だった。
「―――わっ…ちょ、ちょっと待…(まどかにこんなカッコ見られたらマズい所じゃないわよ…!)」
(ガチャ)
「あ」
「」
時既に遅く、二人の目がばっちり合った。そして部屋の時間が止まっている。

………

………………………

「さやかちゃん可愛い~!!一瞬誰かと思っちゃったよ♪」
「い"っ…!?///」
「かっこいいさやかちゃんも素敵だけどひらひらのお洋服もすっごく似合ってるよ~♪」
「…あ…あはははは…そりゃどうも…。」
まどかの第一声は驚きと褒め言葉の応酬だった。キラキラと輝く眼は嘘偽りなど一切無い。
大はしゃぎで思わずさやかの両手を取って今にも踊り出してしまいそうだ。
「えへへ…こんなに可愛くて美人さんだなんて羨ましいなっ♪ 急にどうしちゃったの?」
「んー…あはは…まぁ…心境の変化って奴かな…。」
親友の賞賛と少し赤面したさやかの顔、しかしそれとは裏腹にさやかは今一つ浮かない表情だ。
さやかの顔を見たまどかは、すぐにそれが唯の照れ隠しでない事を察していた。
「あれ…? さやかちゃん、どうしたの…?」
沈んださやかの顔を心配そうに覗き込むまどか。
さやかは一呼吸置いた後、褒めてくれたまどかに向けて躊躇いがちに答えた。
「……これホントはさ…お母さんが…恭介のコンサートに着て行けって…買ってくれたんだ…。」
「あっ…。」
恭介との一件を知っているまどかはしまったという表情で自分の口元に手を置いた。
「で、今更着ていく度胸も無い訳ですよ…。それでこっそり家で着てみたりしてさ…。」

435 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/15(日) 12:30:16.21 ID:ZfFirrgV0 [3/7]
「ごめんねさやかちゃん…。わたし何も知らないではしゃいじゃって…。」
「まどかは何も悪くないよ。悪いのは未練がましくこんな似合いもしない服を残してる…」

「―――そんな事ないよっ!!」
悪いのは自分だと言い掛けた所でまどかの一声によって遮られた。
「似合ってるよ!だって、さやかちゃんは女の子だよ!!可愛いのが似合わない筈無いでしょ!!」
「ま、まどか…!?」
胸に手を当てて声を張り上げるまどか。普段大人しい彼女からが突然本気で叫んだのだ。
真っ直ぐに強い意志と言葉を向けられ、逆にさやかの方がまどかに気圧されている。
「…あっ…!…ご、ごめんなさい…。ちょっと…生意気だったよね…。」
「ううん。なんかちょっと…嬉しかったよ…。」
突然の言動にまどか自身も驚いていた。それだけさやかに対して本気だったと言う事だろう。
そして気持ちを向けられたさやかもまどかにお礼をすべく顔を近付けた。
「ありがとね、まどか。」
(チュッ)
頬に親愛の軽いキス。
「わわっ…!?」
「へっへー、さっき褒めまくってくれたお返しだー♪」
「あうー…///」
今度はキスを受けたまどかの方が真っ赤になる番だった。
自分からしたさやかも頬を染めていて、恥ずかしさを道連れにしてやったという所か。
「あ…でもやっぱ学校のみんなにはナイショにしてくれないかな?」
「うーん…。えへへ、わたしのお願いも一つだけ聴いてくれたらいいよ。」
「何よそれー。」
「わたしが遊びに来た時にまた着てくれたら、それはとっても嬉しいなって。」
「ぶっ…! しょーがないな…それで秘密にして貰えるならいいよ。」
結局二人きりの時にさやかがドレスを着て見せる…という形で交渉は成立。
その後まどかは携帯で写メを取らせて貰っていた。
さやかを椅子に座らせて撮ったり、まどかとツーショットで撮ったり。
さやかの方もまどかならこういうのもいいかな…と思っていたから許したのだろう。

………………………………………………♭♭♭………………………………………………

―次の日、さやか宅―
(ピンポーン)
「さやかちゃーん!遊びに来たよー!」
―はーい、今開けるね~―
休日の朝、インターホンの奥から聞こえる声。両親が留守なので出迎えるのはさやかだ。
今日も遊びに来る約束をしていたので、さやかは前もって仕度を済ませていた。
先日まどかに褒められたのとちょっと自信を貰ってのが嬉しくて上機嫌なさやか。
軽くお菓子を作ったり、まどかを出迎えるのにも既に水色のドレスを着て玄関のドアを開ける。
(ガチャ)
「あ」
「「お邪魔しま~…―――!????」」
出迎えてくれた家の主を見て固まる来客達。マジで一瞬誰かと思っていた。
「…え~っと…あの…どなた…?」
「…さやかさん…ですの…???」
そう、ドアを開けたそこにはまどかだけでなく志筑仁美と暁美ほむらが一緒だったのだ。

「―――…う…うわぁぁぁぁぁ~!!??」

ぽかぽかとした陽気の朝、マンション一帯にさやかの羞恥心に染まった悲鳴が轟いた。

………………………………………………♭♭♭………………………………………………

「くぉらぁまどかぁ~っ!!」
「わぁぁっ!ごめんなさーい!うぇひっ…!うぇひひひっ!く、くすぐったいよさやかちゃぁ~ん!うぇひひひひっ!」
自宅ではドレス姿のさやかによるまどかへのくすぐり攻撃が炸裂していた。
周囲には内緒にしてくれと頼んだものの、友達二人には早速バレてしまったのだ。
というかさやかもこの格好で玄関に出たのが迂闊だった訳だが。

436 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/04/15(日) 12:32:07.01 ID:ZfFirrgV0 [4/7]
「さやかさんったらこんなにお似合いですのに、まどかさんの前限定だなんて勿体無いですわ♪」
「うぐっ…だ、だって…。」
仁美達に向き直った途端にさやかは真っ赤な顔でしおらしく俯いていた。
恭介の件すら完全に忘れてしまいそうな程にどうしていいか困っている。
「ふふふ。私達にばれて恥ずかしいのでしょう? ならいい案があるわ。」
「え…???」
「まどかがさやかと同じドレスを着ればいいのよ。さやかが水色ならまどかは差し詰めピンクかしら?」チラッ
「ふぇぇぇ~っ!?」
「まどかさん、親友として責任は取らなければ駄目ですのよ? 資金は友人に免じてわたくしがご配慮致しますわ。」
ほむらの提案はまどかもさやかと同じ可愛いドレスを着れば問題解決というものだった。
「わ、わたしのスタイルじゃそんなの似合わないよぉ~…」
真っ赤になってあたふたするまどかにさやかはにやりと不敵な笑みを向ける。
「ふ~ふ~ふ~…まどかさんや、地獄の底までお付き合い願いましょうか~♪」
「ひゃぁぁぁぁっ!?」
再びまどかへのお仕置きと開始したさやか。仁美とほむらはそんな二人を楽しそうに見守っていた。
「バカップルなのだから天国の間違いでしょう?」クスクス
「それでは皆さん。今日はお休みですし、早速ドレスの仕立てに参りましょうか♪」

そんな訳でまどかは仁美にさやかとお揃いのカラードレス(ピンク)を調達される事になりました。

[姫毎秘め事]

おしまい。全然秘密になってませんが。

>>426 仁美ちゃんが特にかわええ>∇< 普段キマシ顔(?)が多いので新鮮かも。

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最終更新:2012年04月25日 00:13
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