870 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/05/29(火) 21:47:02.23 ID:hNZhoz5A0 [2/3]
「いやーしかし、まどかってばひどいよねー?」
「ええっ!? な、なんで? わたし、さやかちゃんに何かしちゃった?」
「だってさ、これ見てよ」
「新しい小説版……? これが、どうかしたの?」
「ほれ、ここよここ」
「わたしがさやかちゃんと初めて会ったシーン? ああ、あのときのさやかちゃん、かっこよかったぁ……」
「てか転校してきたときにクラスで会ってるんだから、初めてじゃないけどね。まどかが覚えてないだけで。それより、よく読んでよ」
「えーっと……ごめん、なにがひどいのか、よくわからないんだけど……」
「そこのまどかのモノローグよ。『その子が男の子か女の子か、咄嗟にわかりませんでした』って、こんな愛くるしいさやかちゃんを捕まえてそれはないんじゃないの?」
「えっ、でも、あのころのさやかちゃんって、髪の毛短くて短パン履いてて……」
「スカート履いて頭にお花の髪飾りまで付けてたのにさ、それを男の子ってのはひどくない?」
「ええっ!?」
「ほれそこの挿し絵見てごらんよ」
「えっと、あれっ!? な、なんで? わたし確かに覚えてるのに! さやかちゃんこんな格好じゃなかったよ!」
「じゃあ何で、その挿し絵のあたしスカート履いてんの? まどかの記憶違いじゃないの?」
「そ、そんなこと……ないはずだよ……(だんだん自信なくなってきちゃった……)」
「あーあ、さやかちゃん悲しいなー。記念すべき出会いの光景を嫁に間違えて覚えられて、その上どっから見ても女の子の格好なのに男に間違えられててさー」
「あの、その……(わわわっ、さやかちゃん怒ってるよぉ! どうしよう、わたしが間違って覚えてたのかな!? でも小学生の時のさやかちゃんスカート履いてた覚えはないし!)」
「(ふふっ、まどか困ってる困ってる! 挿し絵の方が間違ってるのに、自分が悪いのかと悩んじゃってる! あたしにからかわれてるなんて夢にも思ってないんだろうなぁ)」
「あうう……(さやかちゃん黙っちゃった……なんて言ったら機嫌直してもらえるかな……)」
「(いやー、ほんっとにあたしの言うことは疑わないんだからこの子は。お母さんはまどかの将来が心配ですよ)」
「(うーんと、うーんと……)」
「(さーて、そろそろ可哀想になってきたし、ネタばらししてあげるとしますかね)」
871 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/05/29(火) 21:47:23.51 ID:hNZhoz5A0 [3/3]
「あのね、さやかちゃん!」
「わっと、な、なに?」
「その、さやかちゃんが男の子みたいって思ったのは、決して外見が女の子らしくないとかそういうことじゃないの!」
「うん?(おっとぉ? パニックになってなにを言い出すのかなまどかは?)」
「あの、上手く言えないんだけど、さやかちゃんの内面の凛々しさとか、かっこよさがにじみ出てて、それが初対面でもすぐにわかってね?」
「うん(必死になって理屈をこさえてるまどかは可愛いなぁ)」
「だってほら、さやかちゃんは転んで誰にも助けてもらえなかったわたしを助けてくれたでしょ? それだけでもうとってもかっこよくて!」
「ほう(がんばって考え考えしゃべってるのが丸わかりだなぁ)」
「その時ね、わたし『ああ、わたしの王子様が現れてくれたんだ!』って思ったの! もちろん、さやかちゃんは女の子なんだけど、わたしにとっての王子様的な存在って言うか!」
「ふむ(うひゃ、王子様ときましたか! 言われてるあたしの方が面映ゆくなってきたよ)」
「それでね、男の子か女の子かわからなかったっていうのは、区別が付かなかったってことじゃなくて、その、女の子らしい気遣いと男の子らしいかっこよさが両方あって、それがとっても素敵だなって思ったってことなの!」
「う、うん(やば、あたしもだいぶ恥ずかしくなってきた……///)」
「だからね、さやかちゃんは女の子らしいかっこしててもかっこいいんだよ! わたしが困ってたらすぐに気づいてくれるし、誰かを助けるときも決して恩着せがましくなくて、颯爽としてスマートで!」
「あ、あのまどかもうその///」
「だけどかっこよさだけじゃなくて女の子らしい面もちゃんとあって、上条君を見つめる横顔とかわたしがドキドキしちゃうくらい綺麗で!」
「えっ、ちょっ!? まどか!?」
「こーんな可愛いさやかちゃんを放っておくなんて本当に信じられな」
「ストーップ! まどか、もういいから!」
「でもまだ言い足りないよぉ……。ほかにもね、例えば六年生の時に」
「わかったってば! あたしが悪かったから! もう勘弁してよ!///」
「悪かったって?」
「いや、その……てか、恭介の話するあたしを見て、あんたそんなこと考えてたんだね」
「なんで?」
「だって、あんたずっとあたしのこと好きだったんでしょ? だったらそのあたしが別の人のこと考えてたら辛くない?」
「それはあんまり……むしろ幸せだったかなぁ。さやかちゃんの女の子らしい顔が見られたし、何気ないことでも相談してくれて嬉しかったし」
「そ、そっか……(どこまであたしを赤面させれば気が済むんだこの子は///)」
「あ、でも今さやかちゃんにぎゅっとしてもらったら、もっと幸せかなぁ」
「よーし、おいでまどか!」
「えへへっ」ポスッ
「まーどかー……」ギュウ
「さやかちゃん……」
仁美「恐るべきはこれが下校途中の通学路でキマシタワー」
最終更新:2012年05月31日 13:09