3 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/05/30(水) 21:47:57.03 ID:r49JZ1s10 [1/2]
前スレ>>1000より。
それは、わたしとさやかちゃんが学校帰りにCDショップに寄った日のこと。
頭の中に響く謎の声に呼ばれて工事中の区画に入り込んだわたしは、傷ついて倒れている白いぬいぐるみのような生き物と、
その日会ったばかりのはずの、見慣れない衣装に身を包んだほむらちゃんに出会いました。ほむらちゃんはその生き物を
さらに痛めつけようとしているようで、それをかばおうとしたわたしはさやかちゃんの機転に助け出されてビルの出口へ
走り出しました。そう、そのときには出口などなくなっていたのに。
気がついたとき、わたしとさやかちゃんはオブジェのような標識のような形容しがたい何かでできた通路を走っており、
まわり中に剪定ばさみを持ち口ひげを生やした化け物がいました。刻一刻と形を変えていく迷路のような道に惑って
立ち止まったときにはすでにわたしたちは完全に囲まれていました。
Das sind mir unbekannte Blumen.
Ja, sie sind mir auch unbekannt.
Schneiden wir sie ab?
Ja, schneiden wir sie ab.
Die Rosen schenken wir unserer K?nigin.
Und die schlechten Blumen steigen auf die Guillotine.
Ja, schneide sie ab!
Ja, schneide sie heraus!
何語かわからない、不気味な歌がどこからか聞こえてきます。さやかちゃんがわたしをかばうように抱きしめました。
「やだ……やだよ……これ、なに?」
「じょ……冗談だよね? あたしたち、悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどかぁ!」
不安に耐えきれなくなったさやかちゃんが叫んだ、そのとき。何かの発射音とともに目もくらむようなまばゆい光が走り、
次に目を開けたときにはわたしたちのまわりは結界のようなもので囲まれ、化け物が近づけないようになっていました。
「な、なに? なにが起きたの?」
「わかんない……」
戸惑ったわたしたちがあたりを見回すと、誰かが階段を下りてくる足音がしました。そっちの方向に振り向くと。
「……あれ?」
「ええっ!?」
階段を下りてくるのは、純白の衣装に身を包みピンク色の長い髪をなびかせたわたしたちと同じくらいの年齢の女の子。
いえ、同じくらいと言うより……。
「まどかぁ!?」
「わ、わたし?」
「危なかったね、でももう大丈夫!」
そう言ってにこっと笑った女の子の顔は、わたしそっくりだったのです。あっけにとられて口もきけないわたしたちを
眺めながら、その子はわたしたちのところまで歩いてきました。
「あー、ちょうどキュゥべえを助けたところだね。懐かしいなぁ。キュゥべえったら、演技派だよねぇ」
「え、ええ? まどかが二人!?」
「なんで? ここここれ、いったいなに?」
「もう、二人ともそんなにあわあわしなくてもいいのに」
全く状況が飲み込めないわたしたちを尻目に、その子は顎に指を当てて何か考えているような仕草をしています。
髪の毛の長さこそ全然違いますが、髪の毛を二カ所リボンでまとめた髪型や顔立ち、背の高さまでその子はわたしと
瓜二つでした。
4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/05/30(水) 21:48:18.12 ID:r49JZ1s10 [2/2]
「えーと、次のセリフなんだっけ? あ、そうそう、『その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。二年生?』」
もうなにがなんだかわかりません。その子がなぜわたしたちが見滝原中学の生徒だと知っているのかもわかりませんし、
「あなたたちも」ということはこの子も見滝原中学の生徒なのでしょうか。でも、わたしと同じ顔をした生徒が居るなんて、
聞いたことがありません。
わたしたちが何も言えないでいると、その子は両手を腰に当ててほっぺたを膨らませました。
「もう! 『あの、あなたは?』って聞いてくれなきゃストーリーが進まないじゃない」
「え? えええ?」
「す、すとーりーって……?」
「んー、まあしょうがないよね。じゃ、ちょっと一仕事片づけちゃうよ!」
その子は苦笑しながらゆっくりと振り返って化け物たちの方を向きました。いつの間にか手にしていた弓を構え、
矢をつがえます。きりきりと弓を引き絞って、そして。
「ハイパーまどかビーム!」
かけ声とともに無数の光の矢が放たれ、唸るような音を立てて次々に化け物に命中して消滅させていきました。
轟音がやんだときには化け物は一匹残らず姿を消し、周囲の風景も元のビルの屋内に戻っていました。
「す、すごい……」
「も……戻った!」
さやかちゃんの弾んだ声がして安心したわたしが、さやかちゃんの方に振り向いたとき。
「さやかちゃーんっ!」
わたしよりも早く、わたしと同じ顔をしたその子が、さやかちゃんに抱きついていました。
「わっ、わっ!?」
「会いたかった! 寂しかったよぉ! さやかちゃーん!」
さやかちゃんに抱きついたその子は満面の笑みで、すこし涙も浮かべながらさやかちゃんをぎゅうっと抱きしめていました。
わたしが呆然としていると、その子がちらっとわたしの方を見て、いたずらっぽく笑ったような気がしました。
「えーと……まどか、なの?」
「そうだよ! さやかちゃんのお嫁さんになるまどかだよ!」
その言葉を聞いた瞬間、わたしは思わず叫んでいました。
「な、何言ってるの!? さ、さやかちゃんのお嫁さんになるのはわ、わたっ……」
「さやかちゃーんっ! もう離れないからね! 大好きだよさやかちゃん!」
「さ、さやかちゃんから離れてー!」
「ど、どういうことなのこれ?」
*
「なんだか出番を誰かに取られたような気がするわ……」
「あら、巴マミ。ここでなにを……っ!? まどかが二人いる!? これは一体!?」
「だれかボクを治療してくれないかなぁ」
続……きたい。
>>1乙。
最終更新:2012年05月31日 13:12