3-196

196 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 10:12:28.69 ID:nbBux2N5O [1/5]
昨日の流れには間に合いませんでしたが、まどさや七話IFSS投下させていただきます!


「でも私、何も出来ない。だって私、もう死んでるもん。ゾンビだもんっ…!」
「…………」

泣いてるさやかちゃんを抱き締めながら、私は自分が情けなくてしょうがなかった…
さやかちゃんが泣いてる…私の大好きなさやかちゃんが泣いてるんだ…なのに私は何も出来ない…
こうしてさやかちゃんの悲しみを受け止めてあげるしか、私には…

「こんな身体で抱き締めてなんて言えないっ…」

やだよっ…私、今までいっぱいさやかちゃんに守られてきたのに、さやかちゃんが苦しんでる時には力になってあげられないなんて…!

「キスしてなんて言えないよぉ…!」

でも魔法少女じゃない私じゃさやかちゃんの苦しみをわかってあげられない。
だったら私が魔法少女に…ダメだよ、そんなことしたらさやかちゃんは自分を責めちゃうに決まってる!

「ひっく…ありがと。ごめんね」

ダメ、ダメ…よくわからないけど、ただの予感だけど…今のさやかちゃんを魔女退治に行かせちゃいけない!
だけどどうすればいいの…私、私は…

『正し過ぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげればいい』

「あ…」

そうか…そうだよ。
また間違えればいいんだ、ううん、私…元々間違ったものをずっと持ってた。
さやかちゃんの弱みにつけこむみたいで嫌だけど…今が、本当に間違える時なんだ、きっと!

197 名前:196続き[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 10:16:55.95 ID:nbBux2N5O [2/5]
「もう大丈夫、スッキリしたから…さぁ、行こ「……出来るよ」えっ?」

もしかしたらまたさやかちゃんを傷つけちゃうのかもしれない、もう戻れないかもしれない…それでも!

「抱き締めてもらう事も…キスしてもらう事も出来るよ!それが出来ないなんて、さやかちゃんがゾンビだなんて…そんなの絶対おかしいよ!!」
「ま、まどか…?」
「見てさやかちゃん、私今さやかちゃんを抱き締めてるよっ?こんなに暖かいさやかちゃんに抱き締めてもらう資格がなんて、そんなの…!」
「まどか…あんたさっきから何を…んうっ!?」

私は…さやかちゃんの口を自分の唇で塞ぐ。
さやかちゃんは何が起きてるのか理解できてないみたいだね…目を丸くして固まっちゃってるや…

「んっ…はぁ…」
「……まど、か…」
「私、私はさやかちゃんが好きっ!」

ずっと前から好きだった…私を助けてくれるさやかちゃん、私とずっと一緒にいてくれたさやかちゃんが私は好きだったんだよ…

「たとえ魂がソウルジェムにあったって、私の目の前にいるのが大好きなさやかちゃんに変わりはないのっ…」
「まどか…」

でも女の子同士なんて間違ってるから…だからこの想いは永遠に伝えられないって思ってた。

「だからゾンビだなんて言わないでよっ…さやかちゃんのバカァ…!」

だけど私は間違えるよ…さやかちゃんが大好きだから。
私の大好きなさやかちゃんに…もう苦しんでほしくないから!


198 名前:197続き[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 10:20:49.56 ID:nbBux2N5O [3/5]
「さやかちゃんが抱き締めてって言えないなら私がさやかちゃんを抱き締める!
キスしてなんて言えないなら…私がさやかちゃんにキスをするからっ…だからお願いっ…もう、自分を傷つけないでよぉ…」

っ…涙が出ちゃう…ダメなのに、私は我慢しなきゃいけないのに…
そうやって必死に涙をこらえる私を黙って見ていたさやかちゃんは…何がおかしいのか笑いだした。

「……はは…」
「っ…?」
「あんたバカだよ…あたしみたいなゾンビを好きだなんて…」
「さやかちゃん…」
「まどかの…バカァ…」

さやかちゃんの目からポロポロまた涙がこぼれてくる…さやかちゃん…やっぱりまだ無理してたんだね。

「うっ、っ…ぁ…あたし、あたしっ…」
「大丈夫だよ、さやかちゃんっ…私はどんな事があってもさやかちゃんの味方だから…」
「まどかっ…まどかぁ…!」

今度こそ全部出してほしい…さやかちゃんを苦しめるものも、悲しませるものも…

「うわぁぁぁぁぁんっ!!」

私がさやかちゃんの悲しみをちゃんと受け止めるから…

200 名前:198続き[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 10:23:55.06 ID:nbBux2N5O [4/5]
††

「…へへ、ありがとうまどか。今度こそ、ほんとにスッキリしたよ」
「さやかちゃん…本当にもう大丈夫?」
「うん。恭介と仁美の事考えたら今でも心がチクッてするけど、それでもさ…この痛みが、あたしがまだ人間なんだって証な気がするよ」
「…よかった」

さやかちゃん、もう大丈夫そうだね…私も間違えて本当によか…っ!?

「ん…」
「ん、うっ!?」

あ、あれ…?私、えっ、さやかちゃんに…キス、されてる…!?

「ふぁ…さ、さやかちゃん…?」
「お礼だよ。まどかのおかげであたし、道踏み外さずにすんだから…んっ」
「んん…あ、ううっ…」

さ、さやかちゃん何か色々と吹っ切れちゃってるよぉ…私としては嬉しいけど、そんなにいっぱいキスされたらおかしくなっちゃうってばぁ…

「んちゅ…ふうっ…」
「んんっ…はぁ…さ、さやかちゃんちょっと激しっ…」
「えっ、あっ…ごめん。さすがにやり過ぎたね…まだまどかの気持ちに答えてもいないのに…」
「い、嫌じゃないよ!こうしてさやかちゃんにキスしてもらうの、夢だったし…」

私はさやかちゃんの手をそっと握りしめる。
さやかちゃんの手、微かに震えてる…心臓もすごくドキドキしてるし…緊張、してるのかな?

「でもね、そんなに焦らないでほしいの。すぐに私とお付き合いしてほしいなんて言わない、さやかちゃんがちゃんと答えてくれるまで私は待つから…」
「…ほんと、あたしまどかに支えられっぱなしだなぁ」

さやかちゃんは苦笑いを浮かべて私を強く抱き締める。
さやかちゃんの身体はさっきよりも暖かくて、心臓の鼓動も確かに聞こえてきて…やっぱりさやかちゃんはゾンビなんかじゃ…

「わけがわからないよ。なんでまどかは子孫を残すことも出来ない同種の存在に恋愛感情を抱くなんて不毛な事をしてるんだい?」


201 名前:200続き[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 10:27:06.02 ID:nbBux2N5O [5/5]
「……」
「あと、今さやかは痛みを感じてるらしいけど、それもちょっと魔法を使えば消え…ギュプッ!?」
「…あんたは空気を読みなさいよ」グリグリ
「そんな風に言うならやっぱりあなたは私の敵だよ、キュゥべぇ…」グリグリ

キュゥべぇがいるのすっかり忘れてた…もう、こんな時に水を差さないでほしいよ…

「ふうっ…さてと、ちょっと遅くなったけど今日も魔女退治に行こうか」
「そうだね…」
「あ…それとさ。1つ誓いを立てていい?」
「誓い…?」

軽く頷いたさやかちゃんは少し身体を離して、私の手を取る。

「あたし、あんなこと考えた以上もう正義の味方じゃいられない…だからさ、これからは『誰かのための魔法少女』じゃなくて…『まどかを守る魔法少女』でいさせてほしい」
「さやかちゃん…」
「もちろん、今まで通りこの街の人を助けるためにも戦うよ。だけどあたしが今、誰よりも守りたいのは…まどかなんだって事を誓わせて」

さやかちゃんは私の手に優しくキスを落とす…まるで王子様とお姫様みたいだね…なんだかとっても嬉しいな…

「じゃあ、行きますか!しっかり見守っててね、あたしの可愛いお姫様?」
「うん!」

さやかちゃんは私の手を握って、私はそれに指を絡めて…夜の町に向かって歩いていく。
私は魔女退治の力にはなれないけど、さやかちゃんを見守ってる事しか出来ないけど…

(さやかちゃん…)

それでも私はさやかちゃんについていくよ…さやかちゃんが好きだから…さやかちゃんを独りになんかさせないから…

(大好き…)


以上です!
本当はこの後のエルザマリア戦も考えてたんですが、キリのいい所で終わった方がいいかなと考え、ここまでとさせていただきました。
それでは失礼いたしました!

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最終更新:2011年08月17日 15:06
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