36-720

720 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/08/14(火) 22:06:25.03 ID:bq1ptjgs0 [2/4]
転校で今咄嗟に思い付いたネタです(転校するのはまどっち側ですが)
最初の方はある曲の一部をイメージしたのですが理解る方いらっしゃるかな…?

「一目見た時に思ったの、好きになりそうって。女の子同士なのになんでかな…理解んないけど…。
 さやかちゃんに出会ってからの毎日はとっても楽しくって、でも同じくらいに辛かったの。」
「…まどか……?」
「ごめんね、上手く言えないけど…えっと…その…何て言うんだろ…。
 今のままさよならしたくないの!友達のままじゃもう嫌なの!
 …わたし、わたしね、さやかちゃんの事ずっとずっと前から好きでした!!」
まどかは想いと伝える共にラブレターと思わしき手紙を手渡す。
教室には真っ赤になったまま呆然とするさやかだけが取り残された。
「(ああ…やっと言えたよぉ…。)」
まどかは胸に手を当てて校門を潜る。これが見滝原での最後の下校。
しかし不思議とその顔に一切の悔いは無く晴れやかな表情だった。

………………………………………………♭♭♭………………………………………………

―見滝原駅―
「特急電車が来たね。発車まで2~3分くらいしか無いから早めに乗っておこうか。」
「まどか、お友達に挨拶は良かったのかい?」
「うん…いいの…。ちゃんと伝えなきゃいけない事は伝えて来たから。」
「そうか…。けど、まどかは良くてもあちらさんは良くないみたいだぞ?」
「えっ…!?」
詢子が向けた視線の随分先からは幽かに駆ける足音がこちらへ向かって響く。
『待ってぇ~~~~!! まーどかあぁ~~~~!!』
「あれっ…さ、さやかちゃん!?」
何と、電車に乗り込もうとした直前にさやかがバッグ片手に全力疾走で現れたのだ。
「ぜえっ…ぜえっ…ま、間に合った…! まどか!あたしまだ返事してないよ!」
「ふぇっ!?」
入場券でここへ現れたさやかはバッグから手紙を取り出した。
昨日まどかが手渡したのとは別の物…ラブレターのお返しに相当する手紙だろう。
「あたしもまどかが好きだっ!! 勿論…昨日まどかがくれた気持ちと同じので!」
「さやかちゃん…!」
名残惜しさばかりが募るからお別れの挨拶も控えておこうと心に決めていたのに…。
それなのにまどかは無意識にさやかに思いっきり抱き付いていた。
「ズルいよまどか…告白だけして何も言わずに行くなんてさ…。」
「だってぇ…さやかちゃんにさよなら言ったら…きっとわたし我侭ばっかり言ってみんなに迷惑かけちゃうから…!」ポロポロ
その通りに今、さやかが最後の挨拶に現れた事で、まどかは涙を堪えられないでいた。
「ごめんなさやかちゃん。親のあたしがもうちっとしっかりしてりゃ、あんたらを引き離したりせずに済んだんだが…。」
「そんな!詢子さんは悪くなんて…。」
「まどかが高校入る時には下宿でも何でもさせて一緒にいさせてやりたいもんだよ。」
「さやかちゃん、僕からはお礼を言わせて貰うよ。いつもまどかの傍に居てくれてありがとうね。」
「知久さん…こっちこそしょっちゅう家でご飯ご馳走になったりしてありがとうございました。」
まどかの両親としても本当は娘とその親友を一緒にいさせてやりたかった。その思いは同じだ。
「あっ、そうだまどか!これ渡しとかないと!」
さやかは先程手に持っていた手紙、そして鞄から取り出したプレゼント箱をまどかに手渡した。
「これ…貰ってもいいの…?」
「うん!一日しか無かったけどプレゼントと…あとあたし成りに自分の気持ちをちゃんと言葉で書いてみたんだ!」
(プルルルル…)
しかし無常にも駅内の発車音は別れの時間を告げる。
「ああっ! あと何か…えーっとあーっと…そうだ!まどかこれ!!」
「えっ…でもこれって大事なヘアピン…!」
「いいからあげる!!」
さやかは少しでも思いでになる様にと、自分のヘアピンを外してこれもまどかに手渡す。
「そ、それじゃ…わたしはリボンお返し!」シュルシュル
「まどか!ドア閉まるよ!!」
(プシュー…)

721 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/08/14(火) 22:09:29.65 ID:bq1ptjgs0 [3/4]
慌てて電車に飛び乗ったまどかの手の平にはさやかのヘアピンがあった。
『まーどかー!毎日メールするからねー!』
車外からの声にまどかは急いで窓を開けると、そこには精一杯の笑顔で手を振るさやかの姿。
「さやかちゃん!わたしもちゃんと返すから!絶対また一緒に遊ぼうねー!」
まどかは身を乗り出して駅の音に負けないくらい懸命に叫んだ。
やがて電車はゆっくりと動き出し、さやかは足場の許す限りそれに合わせて追い掛ける。
足が止まっても電車の姿が見えなくなるまでさやかはずっと手を振り続けていた。
「…まどか……行っちゃった……。…っ…ぅぅっ…ぐすっ…。」ポロポロ
まどかを笑顔で見送る為にぐっと堪えていたものが溢れ出してしまう。
「(あたし…ちゃんとこのリボンが似合うくらい女らしくなるからね…。)」
袖で涙を拭うさやかの手にもまどかが咄嗟に外した一組のリボンがしっかりと握られていた。

それから1年半後、鹿目夫妻の計らいにより二人は無事同じ高校へと進学するのだが…それはまた別の話だったり。

おしまい。二人はきっときっと幸せになれるはず。

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最終更新:2012年08月17日 04:19
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