797 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/08/29(水) 04:51:49.85 ID:ANtf3O+VP [2/3]
ピンポーン
ほ「はい、今出ます……あら、まどかにさやか」
ま「……こ、こんにちは、ほむらちゃん」
さ「ほ、ほーむらちゃんあーそーぼー……なんつって」
ほ「夏休みも残り数日に差し迫った今日、大量のノートとプリントを抱えてのご来訪の用向きを伺ってもいいかしら?」
ま「そ、その……実は、夏休みの宿題が、まだ……」
さ「あんまり、いや全然終わってなくって、ちょっと危ないかなー、なんて……」
ほ「一学期の終わりごろ『二人で協力して早めにやるから大丈夫!』ってドヤ顔してたのはどこのどちら様だったかしら」
さ「あ、あたしです……」
ま「あの、最初はちゃんとやってたんだけど、そのうち二人で遊ぶ方がメインになっちゃって……」
ほ「全然終わってないから写させてほしい、と」
ま「はいぃ……」
さ「や、やっぱり、だめかな……?」
ほ「そんなことは言っていないわ。さあ、どうぞ上がって」
ま「あ、ありがとうほむらちゃん!」
さ「さっすがほむら様! あたしは才色兼備で友達思いなほむらを信じてたよ!」
ほ「あまり調子に乗らない」ビシッ
さ「はいすいません……」シュン
ま「……で」
さ「宿題見せてもらえることになったのはいいんだけど」
ま「なんでわたしとさやかちゃん別々の部屋なの?」
さ「あっちのテーブル広いんだから、一緒でも大丈夫じゃない?」
ほ「だめよ」
ま「どうして?」
ほ「あなたたち、二人で宿題をやろうとした時も、一緒の部屋で一緒のテーブルだったでしょう?」
さ「そりゃまあ」
ほ「最初は大人しく宿題をやっていただろうけど、だんだん飽きてきたさやかがまどかのほっぺを突っついたりしてちょっかい出したでしょう?」
さ「ぎくっ」
ほ「それに対してまどかは口では『もー、やめてよー』などといいつつ顔はニコニコしていたでしょう?」
ま「どきっ」
ほ「だからさやかが調子に乗って、まどかのそばに寄ってまどかをくすぐって。まどかは抵抗して床に転がって。それをさやかが追いかけて。
ひとしきり息が上がるまで遊んで、『今日はもう遊んじゃおっか』などと言って宿題を放り出して。これを毎日繰り返したわけよね」
さ「ななななんでそこまでわかんの!? 見てたの!?」
ほ「統計よ」キリッ
ま「ほむらちゃんすごーい……」
ほ「感心している場合ではないでしょう。要するに、あなたたちは二人揃うとお互いが気になって何も手につかなくなるのよ」
ま「は、はい……」
さ「その通りでごぜえますだほむら様」
ほ「だから悪いけど二人を隔離させてもらうわ。別々の部屋のテーブルに座って、距離は10メートル以上離して、間のドアも閉めるわ。
防音が結構しっかりしているから、相手の姿も音も気にならないはずよ。もちろんノートは二人分用意してあるわ。この条件でいいなら宿題を見せてあげる」
さ「で、でも……」
ほ「ああ、あと宿題を丸写しできると思わないでね。ノートは見せてあげるけど、答えは隠してあるからちゃんと自分で解くこと。
そうじゃなきゃ身につかないわ。難しい問題は解き方を注釈してあるから、それを見なさい。いい?」
ま「はうう……」
ほ「それでもわからなかったら私に聞きなさい。教えてあげるから」
ま「でも、さやかちゃんと離ればなれは寂しいなぁ……」
さ「あたしも……」
798 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/08/29(水) 04:53:07.71 ID:ANtf3O+VP [3/3]
ほ「……ところで、あなたたちお互い好き合ってるのよね?」
ま「え、ええ!?」
さ「な、なによいきなり!?」
ほ「いーから。それで、将来結婚したいと思っているのでしょう?」
ま「……う、うん///」
さ「そ、そうだよ……///」
ほ「じゃあ、これから大変ね。だって、将来結婚する者同士は、結婚するまでお互いの半径10メートル以内に近づいちゃいけないし、口も聞いちゃいけないのよ?」
ま「ええーっ!?」
さ「う、うそでしょお!?」
ほ「いいえ、本当よ。だって、今週のジャンプでそう言ってたもの」キリッ
ま「そんな……」
さ「無理だよ、そんなこと無理無理! とてもじゃないけど耐えられないよ!」
ほ「でも、そう決まっているのだから仕方ないでしょう? 今はその予行演習だと思えばいいんじゃないかしら?」
ま「でも……」
さ「嫌だよ、まどかと結婚するまで離ればなれなんて……」
ほ「じゃあ、さやかはまどかと結婚できなくてもいいのね?」
さ「それも嫌! ねえほむら、何とかならないの!?」
ま「……決めた。キュゥべえ、わたし、魔法少女になるよ。そんな決まり、壊してみせる! 変えてみせる!」
さ「まどか!? 待って!」
ほ「あら、ちょっと待って。ごめんなさい、私勘違いしていたわ」パラパラ
ま「えっ?」
ほ「近づけないししゃべってもいけないのは、『結婚するまで』じゃなくて『夏休みの宿題が終わるまで』だったわ」
さ「それ本当!?」
ほ「ええ、よく見たらそう書いてあったわ」
ま「やったーっ! じゃあ、すぐに宿題終わらせなきゃ! わたし頑張るよ!」
さ「あたしも! こんなのささっと終わらせて、まどかといっぱい遊ぶんだ!」
*
ほ「あの二人、三日かかると思った宿題を一日で終わらせて帰って行ったわ。これで万事オーライね」
QB「……なんだかダシに使われたような気がするんだけど」
ほ「気のせいじゃない?」
最終更新:2012年09月06日 08:20