3-411

411 名前:安価デカかった自分ワロタ[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 17:22:01.91 ID:pBW/GdVA0 [3/8]
12話のとこからの続き

上條君の演奏が終わる。さやかちゃんの好きだった曲、アヴェ・マリア。

まどか「じゃあ、行こっか」
さやか「……うん」

私たちはゆっくりと立ち上がる。
それから私はそっとさやかちゃんの手をとり。

まどか「少しだけ、寄り道してもいいかな?」
さやか「寄り道?」
まどか「うん、少しでいいんだけどな?」
さやか「いいよ。どうせ時間だけはありそうだし」

そういってさやかちゃんはいつもの元気な笑顔を見せてくれた。
まだ少し涙の跡が残ってるけど、今は無視してあげよう。

まどか「じゃ、目つぶって」
さやか「ん」

412 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 17:23:10.49 ID:pBW/GdVA0 [4/8]
一瞬、周りが光に包まれ次の瞬間には周りの風景が一変する。

さやか「ここは?」
まどか「見滝原中学の屋上。私たちがよく一緒に過ごした場所、見滝原市で一番空に近い場所」
さやか「どうしてここに?」
まどか「少しだけお話しようよ」

さやかちゃんは一瞬だけ、不思議そうに小首を傾げるがすぐに笑顔で肯定してくれた。

さやか「よいしょっと!」

そいって屋上のタイルの上に寝転がる。

まどか「汚れるよ」
さやか「いいですよー別にー。それよりほれほれ、まどかもこっちに来る」

自分の隣をポンポン叩くさやかちゃん。
私は嬉しさ半分、困り半分の笑顔を浮かべた後ゆっくり隣に寝転がる。
ちょうどさやかちゃんの腕が私の頭の下に来るように。

さやか「あたしの腕枕は気持ちよいか嫁よ!?」
まどか「うん。気持ちいいよ、あなた」

それから2人していっぺんにクスクスと笑い出す。
懐かしい、この雰囲気も、さやかちゃんの腕の柔らかさも、温もりも、匂いも…
ひとしきり笑った後、そろって空を見上げる。
どこまでも突き抜ける青空。

まどか「ずっとこうしていたいね」
さやか「そいつは腕が疲れそうですな」
まどか「そういう意味じゃなくてさ」
さやか「わかってるよ、まどか」

しばらく黙って、2人で空を見ていたら不意にさやかちゃんが口を開いた。

さやか「でさ、ここってどこなの?」
まどか「え?だから見滝原の」
さやか「そうじゃなくてさ」
まどか「うん?」
さやか「あたしってばたぶん……もう死んじゃってると思う訳ですよ。だからここは天国か何かなのかなぁって」
まどか「ここは…えぇ~と、私の世界?」
さやか「はい?」

ああ。やっぱいさやかちゃん混乱してるよ。でもでもだって私だって難しいことわかんないもん!

まどか「だからね、私は元の世界とは別の世界の住人になったといいますか、私と世界の境界がなくなって世界とひとつになったといいますか。が、概念の説明なんて出来ないよ~」
さやか「あはは、なにそれ。まぁいいや信じましょう」
まどか「ふぇ?信じてくれるの?」
さやか「親友の言葉を信じなくてなにが親友か!」
まどか「……ティヒヒ、ありがと」
さやか「それに、ここがどこだとしもまどかは確かにこの腕の中にいるんだもんね」
まどか「さやかちゃん……」

413 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 17:24:49.96 ID:pBW/GdVA0 [5/8]
私は意を決し問う。

まどか「さやかちゃん。さやかちゃんはこれからどうしたい?」
さやか「え?これからって?」

質問の意図がわからないというようにさやかちゃんは目を丸くする。

まどか「うん、これから。さやかちゃんは確かに元の世界では…死ん…じゃって、今は魂だけの存在。幽霊…みたいな感じなのか」
さやか「あ~やっぱりか~死んじゃってますか~あたし~」
まどか「うん、それでね。さやかちゃんが望むなら輪廻転生って言うのかな?生まれ変わって新しい」
さやか「まどか」
まどか「命に、……え?」
さやか「まどかはどうしたい?」

え………………?
私、私は。

まどか「私はさやかちゃんに生まれ変わって」
さやか「うん」
まどか「また可愛い女の子に生まれて」
さやか「うん」
まどか「たくさんの友達に囲まれて」
さやか「うん」
まどか「好きな人と結ばれて……」
さやか「うん」
まどか「……幸せになって…ほしい」

そう、それが私の想い。私の願い。
私はそれ以外何も望まない。

さやか「そっか。じゃあ生まれ変わるとしますか!親友の頼みじゃしょうがないし」
まどか「あ……うん」

なに、沈んだ声出してるの私の馬鹿!
私たちは起き上がり、一緒にフェンスの方へと歩いていく。気がつけば周りはすっかり夜。空には燦然と輝く星。


414 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 17:26:52.37 ID:pBW/GdVA0 [6/8]
さやか「お別れだね」
まどか「うん」

私はまっすぐにさやかちゃんを見つめる。

まどか「最後に……ひとつだけ」

さやかちゃんも穏やかに見つめ返してくれた。

まどか「今までずっとっずっと、ありがとう」

泣いちゃダメ。

まどか「私にたくさんの笑顔をくれた…大切な人」

泣いちゃダメなのに。

まどか「あなたのことがずっと好きでした」

泣かないって……決めてたのに。

まどか「あなたといた時間が、私の人生で一番の思い出です」ポロポロ

涙が……止まらない…

まどか「書き割りの様にチープで……夢のような世界……けれど、そこであなたと過ごした時間は、間違いなく、私にとって…」グス…ポロポロ

それでも私は満開の笑顔で。

まどか「素晴らしき日々でした」


415 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 17:29:21.11 ID:pBW/GdVA0 [7/8]
突然、温かな温もりに包まれる。
震える私の身体をさやかちゃんがギュッと抱きしめていた。

さやか「……バカ」
まどか「さやか…ちゃん?」
さやか「まどか一人を置いてけぼりに出来るわけ無いでしょ」
まどか「ダメだよ」
さやか「ダメじゃない」
まどか「だって、さやかちゃんを私のわがままの巻き添えになんか出来ない」
さやか「巻き添えとかそんなんじゃないよ」
まどか「だって永遠なんだよ!?未来永劫なんだよ!?そんなの、そんなのって…」

さやかちゃんは私から身を離し、けど手はしっかりとつないだままきっぱりと告げる。

さやか「けど、まどかがずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
まどか「あ…」

頭の中が真っ白になった。そして、さやかちゃんの想いが私の中に流れ込んでくる。
私、一人で何やってたんだろう。私がさやかちゃんといたいんじゃない。さやかちゃんも私とずっと一緒にいたいって。そう思っていてくれたのに。

まどか「さやかちゃん!私、さやかちゃんと一緒にいたい。ずっとずっと一緒にいたいよぅ!」ポロポロ
さやか「うん…うん…、あたしも、ずっとまどか…と一緒にいたい!」ポロポロ

それから私たちは抱き合いながらワンワン泣いた。
散々泣いた後、穏やかに微笑みあう。

まどか「じゃあ今度こそホントに行こっか」
さやか「うん」
まどか「ホントのホントにいいんだよね?」
さやか「当ったり前でしょ!それにまどかとなら永遠だってあっという間だよ。だから、後悔なんてあるわけないよ」

フェンスを乗り越え
星々のカーテンの間を
空へと続く螺旋階段を
大切な人と手を繋いで歩く
私の世界へ
永遠に続く色褪せない明日へ
素晴らしき日々へ
その向こう側へ
いつまでも
どけへでも
この人となら歩いていける

美樹さやかちゃん
私の、最愛の友達


以上です。
なんか参考になるもの無いかなって探してて結局自分の好きなシーンに2人を当てはめるって形になってしまいました。
スレ汚しすまぬ

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最終更新:2011年08月18日 17:41
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