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790 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/10/04(木) 00:56:05.50 ID:DT7UBLjT0 [1/2]
「まどか」
「さやかちゃん!? さやかちゃんなの!?」
「うん、そうだよまどか。久し振り、元気そうだね」
「元気そう!? どの口でそんなこと言うの!? 結婚式の直前に他の子と浮気して駆け落ちして、それから何年も
 わたしのこと放っておいたくせに!」
「ごめんよ、あの子とはもう別れたよ。わがままばっかりでさ、まどかの方がずっといい子だったよ」
「自業自得でしょ!? それでいまさら何の用!? まさかわたしとやり直せるなんて思ってないよね!?」
「そんなこと言わないでさ、まどか。あたしたち昔はあんなに仲良しだったじゃない」
「それをめちゃくちゃにしたのはさやかちゃんでしょ!? いまさら虫が良すぎるよ!」
「……まどか、愛してるよ」
「やめて、そんなこと言ってももう騙されないから! 口ばっかりうまくて、実なんかないさやかちゃんなんて嫌い!」
「あたしがバカだったの。別れてみて、どれだけまどかがあたしにとって大切な存在なのか、本当によくわかった……。
 お願い、もう一度だけ、チャンスをくれないかな?」
「い、いやだよ! そんなこと言っても無駄だからね!?」
「本当に、これっきりだから。まどかがいてくれれば、あたしは生まれ変われるの。助けると思って。大好きなまどかなら、
 絶対あたしを救ってくれるって信じてる」
「……」
「まどかの言うこと、何でも聞いてあげる。浮気なんか絶対しない。あたしには、まどかが必要なの!」
「……本当に? 本当に、二度と浮気したりなんかしないって誓える?」
「誓うよ、神にかけて誓う。……愛してる、まどか……」
「……っ、さやかちゃあん! 会いたかった、会いたかったよぉ!」ガバッ
「ごめんね、今までつらい思いさせて。もう二度と離さないからね!」
「うん、うん! わたしも! 大好きだよさやかちゃん!」

               *


791 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/10/04(木) 00:56:51.18 ID:DT7UBLjT0 [2/2]
「ねえ、まどか。お金貸してくれない? ちょっと入用なの。来月には耳を揃えて返すからさ」
「えっ、いやだよ。このあいだも貸してあげて、まだ返してもらってないじゃない」
「まあまあ、そう言わないで。前のと合わせてちゃんと返すからさ、ね? お願い!」
「何に使うつもりなの? それを聞かなきゃ貸せないよ」
「たいしたことじゃないって! ほんとどうでもいいことだからさ!」
「でも、お金がないといけないんでしょ? たいしたことないわけないじゃない」
「まどかに心配かけたくないあたしの気遣い、わかってもらえない? それに、本当にあたしのためを思うなら、
 黙ってお金貸してくれるのが一番助かるんだけどなあ」
「わ、わかったよ……はい。大事に使ってね。絶対に返してね?」
「オッケーオッケー、サンキュー、まどか! じゃあ、あたしちょっと出かけてくるね!」
「どこ行くの!? まさかまたあの子のところ!? 浮気はやめてって何度言ったらわかってくれるの!?」
「あの子とはそんなんじゃないって! まどかはあたしが信じられないの?」
「そうじゃ、ないけど……でも……」
「じゃあ心配しないの! そんじゃね!」クルッ
「ううっ……さやかちゃん……」メソメソ
「……」
「さやかちゃん?」
「……ねえ、まどか。そろそろこの『浮気症で口先だけのヒモとそいつを信じ続けるけなげな女』ってシチュやめない?
 いくらお芝居でも、最低過ぎてあたし自分で自分に腹が立つんだけど」
「えー? でも、わたしは結構新鮮で楽しいよ? それに、シチュエーションを色々変えてみるのって倦怠期防止になるし」
「でも、あたしにこんなホストみたいな役振らなくても……。どう見たっていつかまたまどかを騙して浮気するよ、この役のあたしは」
「それがいいの! 騙されてるなって薄々気がついてるんだけど、さやかちゃんの言葉に酔わされるのが気持ちいいって言うか!」
「うーん……」
「不幸になるのが分かり切ってるのに、それでも別れられない甘美な陶酔って言うか! いつかまた捨てられるかもしれないって
 おびえながら毎日精一杯尽くすのもいいよね!」
「相変わらず想像力豊かだね、まどかは……」
「他にも色々考えてあるよ? 眉目秀麗で由緒正しい貴族の息子と何の変哲もない町娘の身分の差に隔てられた禁断の恋とか、
 将来を誓い合ってたのに借金のカタに売り飛ばされて生き別れになった恋人同士のお互いを想い続けた末の再会とか、
 実の姉妹で好きになっちゃいけないのに気持ちが抑えられなくなってしまった二人とか!」
「まどかそういうの好きだよねぇ」
「裏切られ続けて人を信じられなくなった青年と真実の愛で青年の心を溶かしてめでたく結ばれた少女とか、
 両親に虐待されてたのを引き取って育ててくれた恩人に恋したけど相手には子供扱いしかしてもらえなくて
 何とか自分に目を振り向かせようと奮闘するけなげな女の子とか、
 もうすぐ子供が生まれるのに妻子を守るために戦場に出て戦うことを強いられて離れ離れになる二人の悲恋とか……」ウンヌンカンヌン
「おーい、まーどかーさーん?」
「あっ、さやかちゃんはどんなのがいい?」
「んー、あたしはまどかと手つないで眠りたい。子供の時の、初めてのお泊まりみたいに」
「えっ、そんなのでいいの……?」
「うん。あの時さ、一緒のベッドに入ってるだけで楽しくって、一晩中おしゃべりしようって言ってて、
 でも結局二人とも寝ちゃったじゃない? だから、今こそそれやりたいなって」
「うん、うん! じゃああの時みたいに、一緒にお風呂で水鉄砲で遊ぼうよ。ふざけて家じゅう走り回って、
 ホットミルク飲んで、それから寝よ? わっ、懐かしくてわくわくしてきた!」
「でしょ? じゃあ、早速お風呂にとつげきー!」バタバタ
「あっ、待ってよ、さやかちゃーん!」キャッキャ

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最終更新:2012年10月13日 09:26
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