41-650

650 名前:647 1/3[sage] 投稿日:2012/10/13(土) 20:08:25.80 ID:IdKtbVk/0 [2/6]
「大事なお話があるの」

そういってまどかは私をいつものハンバーガーショップに連れ出した。
いつもと違うのはさやかと仁美がいないこと。
予定が合わない訳ではないにわざわざ二人で、というのは初めてだった。

「まどか、話っていうのは?」
「……」

私が話題を先に振っても、まどかは俯いたままカフェオレをかき混ぜていた。
今更だけど、どうも様子がおかしい。
ループを繰り返した中でもこんなまどかは見たことがない。

「……まぁ、その様子だと言いにくいことなんでしょうけど」
「……うん」
「そこはすぐに言ってくれるのね」
「隠しても仕方ないからね」

そう言ってまどかは散々かき混ぜていたカフェオレを一口飲んだ。
そしてゆっくりと、大きく息を吐く。
それから私をまっすぐに見て言葉を繋いだ。

「ほむらちゃんは、仁美ちゃんのこと好き?」
「……?まどか、なにを言っているの?」
「いいからお願い、ヘンな詮索とか質問とかしないで
 ……私の質問にだけ答えて」
「……それは、クラスメートだし、いつも4人でいるんだから好きよ。
 勉強でもお世話になってるし」

まどかの質問の意図がわからないまま、素直に質問に答える。
普通の中学生である私の数少ない友達だと言っていい。

「じゃあ、マミさんは?」
「私が始めて魔法少女になったときの師匠だもの。
 それに今でも頼りになる先輩。もちろん好きよ」
「杏子ちゃんは?」
「普段はアレだけど、不器用なだけで本当は優しい子。好きに決まってるわ」
「じゃあ、私は?」
「大好きよ」

仁美、マミ、杏子と続いてからの……まどか。
いまさら考えるまでもない。
いまさら言葉を繋ぐまでもない。
私の最高の友達。

「……一応、なにか装飾していったほうがいいかしら?」
「ううん、いい。答えの速さでよくわかったし。ここまでは前フリみたいなものだから」
「……前フリ?」

そう言ってまどかは私から視線を外して俯いた。
そして最初と同じように、カフェオレを一口飲んで、
大きく息を吐いてから、もう一度私を真っ直ぐ見つめて、訊いた。


651 名前:647 2/3[sage] 投稿日:2012/10/13(土) 20:09:28.15 ID:IdKtbVk/0 [3/6]
「さやかちゃんは?」
「さやか……か」

軽く目を瞑ってさやかのことを思い浮かべる。
直情型で、思い込みが激しくて、扱いの難しい、やっかいな子。
けれど
だれよりも優しくて、他人のために自分を傷つけて、
それでもみんなを心配させないように笑っている子。
私みたいなダメな転校生をクラスに馴染ませるために頑張る、バカな子。

「…………良いところもあるけど、悪いところも結構あるから、嫌いじゃないって感じかしらね」
「……」

本当は大好きで、感謝してもしきれないけど、
さやかに素直に感謝するのはなんだかシャクなので言葉を濁して答える。
その答えを聞いて、まどかは黙ったままカフェオレを飲み干した。

「ほむらちゃん」
「なに?まどか」

まどかは震えながら

「こんなこというと、気持ち悪いって思われるかもしれないけど」
「私はいつでもまどかの味方よ」

泣きそうな声で

「変だって、分かってる。普通じゃないって、分かってるでもね」
「…………うん」

目に涙を浮かべて

「さやかちゃんがすきなの」
「…………」

私に自分の思いを教えてくれた。



別にショックを受けるようなことでもない。
まどかとさやかの馴れ初めは何度も聞いたし、
まどかのさやかに対する思いは、
同姓の友達のソレだけではないような気はしていた。
なのに……

「……ぁ……ぅ……」
「………ほむら……ちゃん」

私は言葉を発することが出来なかった。

652 名前:647 3/3[sage] 投稿日:2012/10/13(土) 20:10:06.62 ID:IdKtbVk/0 [4/6]
なぜ?
前の学校でもあったことだ。同姓だからと特別驚くほどでもない。
まどかの思いは薄々感ずいていた。
まどかがさやかにばかり懐くのが悔しく思うことはあった。
積み重ねた時間の差を思い知ることはあった。
それでも……
なぜ自分がこんなに動揺している理由が分からなかった。

「ほむらちゃん」
「……な……なに?」
「ほむらちゃん、自分がなんでそんなにびっくりしてるか、わかってないんでしょ?」
「……な、なんで」

まどかに自分の心の中を見透かされて、さらに動揺する。
逆にまどかは落ち着きを取り戻しているように見えた。
それがさらに私を動揺させる。

「ほむらちゃん、私が女の子を好きだっていったこと、気持ち悪いって思った?」
「……いいえ」

まどかは私がうまくしゃべれないことを察したのか、
それとも予想していたのか、さっきと同じように質問をする形で話を進めた。

「それじゃあ、私がほむらちゃんの一番じゃなかったことがショックだった?」
「……いいえ、正直さやかの方が付き合いが長いし、まどかが私の友達であることに変わりはないもの」

まどか質問をしていながら、まるで返ってくる答えが分かっていたかのように微笑んでいる。
そして

「私が、さやかちゃを好きだったのが……イヤだった?」
「それ……は……」

私の最後の防衛線を易々と越えてきた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年10月22日 07:44
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。