389 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 18:42:09.70 ID:wR0IGwtw0 [3/4]
いつか出てたかくれんぼネタ
「さやかちゃん、久しぶりにかくれんぼやろ!」
「おーいいね。昔よくやったね。じゃあまずはあたしが鬼ね」
「もういーかい」
「まーだだよ」
「もういーかい」
「…もういいよ」
あたしはワクワクしてまどかを探し始める。本当に懐かしい。
隠れるのにかかった時間からして、けっこう遠くに隠れたみたいだ。
家の中は押入れの中やカーテンの裏、パソコン机の下、トイレ、外は茂みの中や木の裏、縁の下と探していく。
昔は見つけてくださいとばかりにツインボンボンを隠しきれてなかったり、あたしが呼びかけるとついつい返事をしてしまい見つかってしまうまどかだったが、さすがに成長したものか。
小柄なせいもあって、なかなか見つけられない。
「まどかどこー?」
もしかすると、もっと遠くに隠れたのかもしれない。
そう思い、敷地を出てもっと広範囲を探しまわったが、まどかは見つからなかった。
あたしが再び家に戻って一杯牛乳を頂こうかなと台所に入ったとき、ちょうど足元の床がカタカタと動き出した。
そして、パカっと床が外れて、下からピンク髪の子が出てきた。
「あはは。出てきちゃ駄目じゃん。まどかみーっけ!」
「むー、ひどいよ。さやかちゃん。ぜんぜん見つけてくれないし、中は暗かったし、途中からさやかちゃんの声がぜんぜん聞こえなくなったし…」
さんざん不満を言われる。
「ごめんごめん。貯蔵庫がこんなところにあるなんてまったく知らなかったものだから…」
あーあ、ほっぺ膨らませちゃって…。
「自分から出てくるなんて、可愛い奴め!」
やっぱりまどかは昔とあまり変わってないみたいだ。
なぜかまどかのおでこがあたしの顔の前にあったものだから頭をなでてみたのだけど、まどかはまだ不機嫌そうだった。
390 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 18:43:10.38 ID:wR0IGwtw0 [4/4]
「もういい!…今度はわたしが探す番だね」
よかった。機嫌なおしてくれたみたい…
「このさやかちゃんが見つけられるかなー。あたしはまどかみたいに勝手に見つかるなんて間抜けなことはしませんからね」
「うー、ひどいよさやかちゃん…」
まずい。からかうのはやめにしよう。
「もういーかい」
「もういいよ!」
さっきのまどか捜索で、すでに自分が隠れる場所を決めていた。
「さやかちゃん、どこ?」
まどかと違ってそんな手にひっかかるあたしじゃないよ!
あたしの隠れている場所の目の前で呼びかけるまどかに無言で話しかけた。
ここなら見つかりっこないだろう。
「あぅ、いたっ」
突然目の前でまどかが派手にこけた。
「まどか!…大丈夫!?」
あたしは急いでまどかの元に駆けつける。
「うん、平気。慣れてるから…」
まどかを抱きかかえて起きあがらせると、まどかはにっと笑顔になった。
「えへへ、みーつけた。自分から出てくるなんて、さやかちゃんも人の事言えないんだからね」
「まどか、それはずるいよ!」
心配したんだから…
「でも、心配して出てきてくれてほんとに嬉しい。さやかちゃん、昔からちっとも変わってないよね」
そういえば、確かにそんなこともあった気がする。
「じゃあ、おでこ出して」
素直におでこを差し出すと、まどかがそこに唇を当てる。
「な…///」
咄嗟のことでぽかんとしたあたしに、まどかが少し顔を赤らめて言う。
「昔は鬼に見つけられたら、ご褒美…じゃなかった、罰としておでこにキスされてたんだよ!」
思い出した!
「と言うわけで、わたしも罰が欲しいなって…さっき見つかった分の」
そう言いながら、まどかは頭を近づけてくる。
あたしは、いよいよ自分の顔が真っ赤になっているのを感じた。
「よ、よし、さささやかちゃんからの、おおでこキ、キ…スだよ。」
奥から少しやつれた声が聞こえて気がした。
「あんたら。人の家でイチャつくのはいい加減にしなさい…!というか、なんでよりによってあたしの家で遊んでくれちゃいますか」
最終更新:2012年11月12日 08:33