688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/11/13(火) 16:30:00.21 ID:3uic2xLgP
ま「さやかちゃん、まだ寝ないの? 一緒に寝よーよー」
さ「あー、ごめん。もうちょっと。この番組面白くってさー」
ま「もー、さやかちゃんはわたしよりテレビの方が好きなんだ! もう知らない!」バタン
ま「んぅ……あれ、朝……? ベッドにさやかちゃんいない……」
トントントン
さ「あっ、おはよ。まどか」
ま「さやかちゃん、もう朝ごはんの支度してるの? まだ六時前なのに……」
さ「あーうん。なんか目が覚めちゃってさ。やることもないし。まどかはまだ寝てなよ」
ま「……さやかちゃん、このごろちゃんと寝てる? 顔色良くないよ……」
さ「えっ、そう? そんなことないって!」
ま「でも、毎晩夜更かししてるし、朝もわたしより早く起きてるじゃない。わたし、最近さやかちゃんが寝てるところ見たことないよ」
さ「へーきへーき! あたし体だけは丈夫だしさ。むしろまどかがお勤め行ってる間にたっぷりお昼寝させてもらってるし!」
ま「そう……。でも、夜はなるべく寝ようよ。わたし、さやかちゃんの体が心配だよ……」
さ「おっ、あたしの体が心配だなんて、まどかもやらしいね? 安心して、あたしの体はまどかだけのものだよーん」
ま「もう、わたしは真剣に話してるの! 真面目に聞いて!」プンスカ
ま「冗談めかしてたけど、やっぱりさやかちゃんどこか悪いんじゃないかな……。まだお昼だけど、おうち帰ってみよう」
キィィ……
ま「物音立てないように……」コソコソ
さ「すー……すー……」
ま「あれ、さやかちゃんったら、居間のテーブルに突っ伏して寝ちゃってる……もう、ちゃんとベッドで寝ればいいのに」クスッ
さ「すー……すー……」
ま「さやかちゃんの寝顔見るの、久しぶりだな……。ふふっ、さやかちゃんまつ毛長くっていいなあ……」
さ「うぅ……」
ま「わっ、起こしちゃったかな?」
さ「……さい」
ま「え?」
さ「……めんなさい……」
ま「さやかちゃん、今寝言で『ごめんなさい』って言った……?」
さ「だめ……違うの……」
ま「さやかちゃん、どんな夢見てるの……?」
さ「まどかぁ……」
ま「!」
さ「ごめんなさい……まどか……あたし、そんな……」
ま「わたしの夢……? 一体どんな……」
さ「まどか……苦しかったよね……痛かったよね……許して……」
ま「もしかして……」
さ「いやだ……まどか……逃げて……このままじゃ……あたしまどかを……」
ま「さやかちゃんが、魔女になっちゃった時の夢見てるんだ……」
さ「やだ……やめて……まどか……まどかぁ……っ!」
ま「さやかちゃん、さやかちゃん!」ユサユサ
689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/11/13(火) 16:31:08.94 ID:3uic2xLgP
さ「……あっ、う……。……まどか……?」
ま「そうだよまどかだよ! さやかちゃんしっかりして!」
さ「あっ、ああ……。ごめん、変な夢見てたみたい……」
ま「大丈夫? 気分悪かったりしない?」
さ「うん、大丈夫。まどかこそ、なんでもう帰ってきてるの? そんなにあたしの顔が見たくて待ちきれなかった? なーんて……」
ま「さやかちゃん、誤魔化さないで答えて。もしかして、いつもこの夢見てるの?」
さ「!」ビクッ
ま「ねえ、そうなんだね? 魔女になってわたしを殺しちゃいそうになった時のこと、眠るといつも夢に見ちゃうんだね?」
さ「……」
ま「だからさやかちゃん、なるべく寝ないようにしてたんだね……。でも、そんなことしてたらいつか体壊しちゃうよ……」
さ「……ごめん」
ま「さやかちゃんが謝ることじゃないよ! それに、あの時のことならわたし全然気にしてないし、さやかちゃんが気に病まなくていいんだよ!」
さ「うん……それはわかってる。けど、そうじゃないんだ……」
ま「え?」
さ「なんだろうね……頭ではわかってるんだよ、あれはあたしじゃないあたしがやったことだって。まどかもあたしを恨んだりなんかしてないって」
ま「だったら……」
さ「でも、いつの頃からか、あたしの中の誰かが、夢の中であたしを責めるようになったんだよ。『お前はまどかを傷付けた』って」
ま「さやかちゃん……」
さ「『まどかを殺しそうになったお前が、のうのうとまどかの隣にいる資格があると思ってるのか』って……」
ま「そんな! そんなの関係ないよ! さやかちゃんがわたしに優しくしてくれて、わたしはそれが嬉しいから……」
さ「うん。それもわかってる。けど、あたしの中の何かが、あたしがまどかを傷つけたことをいまだに許せないんだと思う」
ま「でも、わたしは許してるのに……」
さ「そう。だから、これは完全にあたしの問題。あたしが、あたしの中の何かとうまく折り合いをつけられるかどうかのね」
ま「うん……」
さ「だから、まどかにも何も言わなかったの。時間が必要だと思うし、まどかには何もできないことだし、
おかしくなったと思われてまどかに嫌われるのも怖かったし、まどかに八つ当たりしちゃうかもしれないのも怖かった」
ま「うん……」
さ「ほんと、面倒臭いねあたし……我ながらあきれるよ。ああ、このセリフも自己憐憫臭くて面倒臭くて鬱陶しくて自分がいやになる」
ま「……っ! さやかちゃんっ!」
さ「な、なに?」
ま「わたしは、ずっとそばにいるからね!」
さ「え?」
ま「さやかちゃんが自分と折り合いをつけられるまで、わたしはずっとさやかちゃんのそばにいるから!」
さ「……まどか」
ま「さやかちゃんに何もできなくても、さやかちゃんが自分を嫌いになっても、さやかちゃんがわたしに八つ当たりしても、わたしはさやかちゃんから離れない!
さやかちゃんが元通りになれるまで、わたしはずっとさやかちゃんのそばにいるから!」
さ「……それ、あたしが元通りになれたらバイバイってこと?」
ま「えっ、違うよぉ! まぜっかえしちゃやだよ。さやかちゃん、わかってて聞いてるでしょ!?」
さ「あははっ、ごめんごめん。……ふふっ」
ま「さやかちゃん?」
さ「いや、つくづくあたしはいい嫁を持ったなぁってさ……」
ま「……それはね、さやかちゃんがいい旦那さんだからだよ?」
さ「うん……ありがとう、まどか……」
ま「だいすきだよ、さやかちゃん……」
さ「うん……」
最終更新:2012年12月15日 14:05