47-18

18 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/12/02(日) 10:29:44.81 ID:oekAb7Wi0
それは本格的に寒くなってきたある日の事。

パパからお使いを頼まれた帰り道、早く帰らなきゃいけないと小走りになっていたわたしは1人ポツンと立ち尽くしている女の子を見つけました。
たぶんパパやママとはぐれてしまったその子はキョロキョロと泣きそうな顔で辺りを見回しています。
だけどその子が困ってるのは誰でもわかるはずなのに、周りの人達は誰も声をかけたりしません。
そしてとうとう女の子が泣き出してしまっても周りは見向きもしませんでした。

「……よし」

誰もしないというのならわたしがやろう、そう思ってわたしは歩き出します。
昔わたしを助けてくれたさやかちゃんみたいにきっと今度はわたしが誰かを助ける番だから。

「大丈夫?」

「あ」

だけどわたしの決意が実を結ぶ事はありませんでした。
他でもないさやかちゃんがいつの間にかその子に声をかけていたから。

「どうかしたのかな?え、ママに知らない人と喋っちゃダメって言われてる?
あー、それは確かに大事な事だね。じゃあまずは自己紹介、あたしは美樹さやかっていうの。
まどかちゃんって言うんだ、うん、いいお名前だね。
実はあたしのお友達も同じ名前なんだよ、ちょっと気は弱いけどとってもいい子なんだ。
それでまどかちゃんはどうしたの?うんうん、ママとパパがいなくなっちゃった?
きっとそれはママとパパが迷子になっちゃったんだよ、だからまどかちゃんが見つけてあげなきゃいけないね。
大丈夫!あたしも手伝ってあげるから。早く見つけないとママやパパが泣いちゃうかもしれないよ?
うん、うん、よし、じゃあ行こうか!」

さやかちゃんはちょっと女の子とお話した後、手をつないで人ごみの中に消えていきます。
最後にチラッと見えた女の子の顔はもう泣いてはいませんでした。

「……さやかちゃんは変わらないなあ」

さやかちゃんが見せたわたしを助けてくれたあの日から変わらない優しさを嬉しく思いながら、わたしはさやかちゃんを手伝うために後を追いかけます。
あの女の子もさやかちゃんの優しさにふれてそんな子になるのかなあ、なんて思いながら……

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年01月18日 07:52
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。