677 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/01/04(金) 04:53:56.48 ID:5RzjC4H+0 [1/5]
遅くなりましたが元旦のお話です。バイトの年齢は…法律が現代と違うって事で大目に見てください(汗
「ええー!さやかちゃん来れないの~!?」
「うん、ちょっと用事入っちゃってさ…ホンットごめん!!」
それは一週間程前の事。元旦はさやかちゃん達と一緒に初詣に行こうと約束していたのですが、急に予定が入ってしまったそうです。
何でも年末から臨時のアルバイトをお願いされたんだとか…。
結局さやかちゃんとは大晦日前くらいから殆ど合えないままわたしは年を越したのでした。
[サプライズお正月]
「仁美ちゃん、ほむらちゃん、あけましておめでとう。」
今日は元旦。これからクラスメイトの仁美ちゃん、ほむらちゃんと一緒に初詣に行く所です。
いつもならさやかちゃんも含めて四人で行動するのですが今日はこの三人です。
さやかちゃんが居ないとあまり早起きする気にもならず、わたし達が神社に着いたのはお昼過ぎでした。
『あけましておめでとうございます。』
『おめでとうございます。』
『おめでとうございまーす!』
神社の鳥居を潜るとたくさんの若々しい巫女さん達が出迎えてくれます。
赤と白のシンプルで清楚な女性は女の子のわたしでも綺麗だなぁと気を惹かれてしまいます。
その中でも一際元気な声が印象的で、何処かで聴いた事のある様な…。
「あれっ? さやかちゃん…?」
「御守り、御神籤など如何で…―――ってまどかぁ!?」
元気な声の主は何とさやかちゃんでした。
年末からのアルバイトと言うのは神社で巫女さんをやるお仕事だったのです。
「あら? 奇遇ですわねさやかさん。おめでとうございます。」
「ふふっ、思いの他サマになってるわね。あけましておめでとう。」
「ひ…仁美にほむらまでー!?」
いつもは元気でやんちゃなさやかちゃんですが、今日は何だか清楚なお衣装がとても似合っています。
元々スタイルが良くて結構美人さんで可愛いさやかちゃんは大人しくしていればとっても女の子らしいと思うのです。
「さやかちゃん似あってるよー♪ 美人さんだよ~♪」
「いやいやいや!あたし唯のバイトだからぁぁぁ!!」
さっきまでの清楚な巫女みこさやかちゃんは何処へやら。
急に顔を真っ赤にしてあたふたする乙女なさやかちゃんになってしまいました。
それはそれはとっても女の子らしくて可愛らしいのですが。
「美樹さん、そろそろ時間だから上がっていいですよ。」
「えっ?そうでしたっけ?」
「三日連続入ってくれて、昨日夜からはずっと立ちっ放しでしょ。
ピークは過ぎたしせっかくお友達が入らしたんですから一回りして来たら?」
先輩もしくは本職さんらしき巫女さんが大人びた笑顔でさやかちゃんを労います。
巫女さんのアルバイトは言葉遣いとか礼儀とか大変だと聞きますが、さやかちゃんは今まで無難にこなしていたみたいです。
ちょっと頑張り過ぎでおっちょこちょいな所はあるけど、やっぱりさやかちゃんは凄いなって思います。
「ねぇさやかちゃん、その服寒くない?」
「…寒い。巫女さんの服って袖スースーするから下厚着しても全然あったかくならなくてさぁ…。」
「それならさやかちゃん、はい。」
わたしは身体をさやかちゃんに寄せ、自分のマフラーを解いてさやかちゃんの首まで回しました。
ちょっと大きめだったのでこれで丁度良い感じです。
腕も回して身体をぴったりくっつければさやかちゃんの冷え切った身体がちょっと冷たく感じます。
「うわわっ!まどか距離近い…!」
「さやかちゃん身体冷たいよぉ~。しっかりあっためなきゃ風邪ひいちゃうよ。」
「だ、だからって…///」
巫女さやかちゃんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてしまいます。
でもそんなさやかちゃんが可愛くて、わたしは暖かくする口実でぴったりとくっついてみました。
「…どうやらお邪魔虫は退散した方がいいみたいね。」
「その様ですわね。それではまどかさん、さやかさん、ごゆっくり~。」
678 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/01/04(金) 04:54:26.91 ID:5RzjC4H+0 [2/5]
「へ!? あっ、ちょっ…!」
さっきから空気になってしまっていた仁美ちゃんとほむらちゃんは苦笑いを浮かべながらそそくさと立ち去ってしまいました。
さやかちゃんは耳まで真っ赤になって何か言おうとしましたが、巫女さん姿では目立つばかりなので諦めたみたいです。
もし本当に嫌なら振りとっくに解いている筈なのに、さやかちゃんは振り解くどころかわたしの手を握ってくれました。
「それじゃ、あたし等も行こっか…。」
「うん!」
わたし達は手を繋いで身体を寄せ合ったまま境内を周る事にしました。
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「おっしゃー!あたし大吉~! てか正月の御神籤で大吉って初めてだぁ…。」
「わたしも大吉だよー♪ これを木に結べばいいんだよね。」
「あっ、違う違う。良い運勢だったら持って帰ってまた今度結べばいいんだよ。」
「そうなんだぁ。えーっと…"積極的に愛情を捧げよ…???" ねぇねぇ、さやかちゃんは何て書いてあった?」
「へ!? いやあのあたしは…駄目っ!秘密!」
「ええー!?ズルいよぉー!わたし読んだのにー!」
「まどかが勝手に音読したんでしょ!結婚に至る努力を始めよなんて声に出せるかー!」
「け、結婚…!?」
「あっ………うわあああああ!今の無し!今の無しー!!///」
さやかちゃんは勢い余って自分から読んじゃいました。
"結婚に至る努力を"なんてまだちょっと早い様な気がしますが同時に嬉しくもあります。
巫女さやかちゃんは手をばたばたしていますが、言ってしまったものが消える訳ないのにね。
おっちょこちょいなさやかちゃんが可愛くて、わたしはずっと顔がにやけてばかりなのかもしれません。
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(チャリーン)(ガランガラン)(パンパン)
わたしとさやかちゃんは二人並んでお賽銭を投げ鈴を鳴らしました。
「(高校でもさやかちゃんと一緒のクラスになれますように。)」
「(あたしからちゃんとまどかにプロポーズ出来ますように。)」
祈った後さやかちゃんの方をちらっと見ると、さやかちゃんも全く同じ事をしていたみたいです。
わたし達は息ぴったりに目が合ってしまって思わず「ふふっ」と笑いが零れました。
わたしの初詣はまさかの巫女さやかちゃんとのデート(?)でした。
さやかちゃんにお願いすると可愛い服を着てくれる事はありますが、好きな人が巫女さん姿なんて凄くラッキーなのかもしれません。
やっぱりわたしの運勢は大吉で間違いないみたいです。
「帰る前に着替えて来るからちょっと待っててね。」
「ええー、着替えちゃうの?」
「当たり前でしょ!このカッコのまま街歩けるかっつーの!」
「さやかちゃんの巫女さん姿可愛いのになぁ…。」
「ああはいはい。どうせ洗濯して返すから帰ったら着たげるわよ。」
「わあい♪帰ったら巫女みこさやかちゃ~ん♪巫女さやかちゃんだぁ♪」
「(ううっ…またあらぬ約束をしてしまった…。)もう、しょうがないなぁ…。」
さやかちゃんは困った様な、でもちょっと嬉しそうな顔で承諾してくれたのでした。
さやかちゃんのおうちに着いたら写真もたくさん撮らなきゃね!
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「仁美は何をお願いしたの?」
「わたくしは"まどかさん達とずっとお友達でいられますように"ですわ。」
「あら奇遇ね。私も全く同じだわ。」
「うふふふ♪ 元旦から早速レアなコスプレデートシーンが撮れましたわ♪」
「コスプレとは違う気がするけど…。まどかと仲が深まる毎にさやかは女らしくなってゆくのね。」
「それが"恋"というものですのよ。ああ、お二人の未来はきっと薔薇色…いえ、百合色ですわ~♪」
「(そうよ。今度こそ皆が幸せでいられる未来に、私はきっと辿り着いてみせる。)」
[サプライズお正月]
おしまい。
最終更新:2013年02月15日 07:52