56-332

332 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/03/21(木) 22:28:33.97 ID:7xAiLbnP0 [1/3]
映画を見終えて、わたしたちは手を繋ぎながら映画館から出てきました。
さっき見た映画は中世ヨーロッパを舞台にしたラブストーリーものです。
特にラストで身分の違う二人がようやく結ばれてキスする場面は感動のシーンで、
今でも繰り返し頭に浮かんできて思わずぼーっとしてしまいます。

隣を見るとさやかちゃんも余韻に浸っているようで、やはりぼーっとしていました。
「…まどか?」
さやかちゃんが、わたしの視線に気づいてこちらを見ます。
その途端、わたしの心臓のドキドキが止まらなくなりました。

わたしたちも、昔よくキスしたよね。
中学にもなって、さすがに口と口のキスは恥ずかしくなっちゃったけど、
わたしもまたさやかちゃんとキスしたいな…。
映画の二人みたいに。
ふっとそんな事が頭をよぎって、慌てて振り払います。
こんなところで何考えてるんだろう、わたしは…///

なんとか気持ちを落ち着かせてもう一度さやかちゃんを見ますと、
さやかちゃんが未だにじっとわたしを見続けていたものですから、
わたしはより一層ドキドキしてしまいました。

333 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/03/21(木) 22:30:18.68 ID:7xAiLbnP0 [2/3]
「…さやか、…ちゃん?///」
「…は!あ、ごめん、まどか。ついさっきの映画を思い出しちゃって…」
「…わたしもだよ。お姫様と騎士さんが最後にキスできて、本当によかったよー。あぅ///」
「…!///」
わたしたちは黙ってしまいます。

さやかちゃん、わたしはさやかちゃんとまたキスしたいよ。
さやかちゃんがわたしをじっと見つめると、こんなにもドキドキするんだもん。
大好きなさやかちゃんと、またキスしたいよ…///
でも、わたしたちは女の子同士だし、やっぱり変だよね…。
今キスをお願いしたら、変に思われちゃうよね…。

「…まどか」
「…さやかちゃん」
なんとか沈黙を破りたくて口を開くと、さやかちゃんがしゃべるのも同時でした。
特に何かを言おうとしたわけではなかったので、その先に来るべき言葉が思い浮かびません。
さやかちゃんも、もしかしたらそうなのかもしれません。
わたしたちは再び黙ったままずっと見つめ合っていました。

334 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/03/21(木) 22:31:17.12 ID:7xAiLbnP0 [3/3]
「ねーママー!あそこのお姉ちゃんたち、ずっと見つめ合ってるよ!」
大きな声に驚いてそちらを見ますと、
小学校1、2年生くらいの男の子がわたしたちを指差していました。
「キスするのかな?あれってキスだよね!」

はぅ…。
男の子が大きな声で話すので、周りにいた人たちがわたしたちをじっと見てきます。
わたしは、頭がぐるぐるしてきました。
案の定、女の子同士なのに…等、揶揄する声が聞こえてきます。

「まどか…」
「あぅ///」
「…なんか悔しい」
さやかちゃんが意を決したように口を開きます。
「まどか、…キスしてもいい?」
わたしは目を丸くします。
さやかちゃんが小さな声で続けます。
「ううん、違う。本当は、あたしはずっとまどかとキスしたかった…///昔みたいに…」
さやかちゃんが顔を真っ赤にして黙ってしまいます。

わたしは恥ずかしくて、でもとても嬉しくなりました。
さやかちゃんも同じだったなんて。
「わたしもさやかちゃんとキスしたい。だってさやかちゃんが大好きだもん///」

「…でもみんな見てるよ?まどかは恥ずかしくないの?」
「とっても。…でも、いいかなって///…さやかちゃんは?」
「あたしも目茶苦茶恥ずかしいよ///…でも、…それでもまどかとキスしたい!」
お互いそこまで言ってしまうと、後は自然の流れに従って
わたしたちはゆっくりと唇を重ねました。

以上です

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最終更新:2013年04月24日 08:16
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