161 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 08:51:39.54 ID:Aic0lhT5O [1/8]
>>158
直後に自分が投下したのも原因でしょうね…すいません
魔女になってもまどかちゃんを守るさやかちゃんマジ王子様!
この後は愛と勇気が勝ってさやかちゃんが元に戻ったりしたら嬉しいなって思ってしまうのでした
さて、3日前の>>28で言ったヤンデレまどかちゃんSSの前半が完成したので投下させていただきます。
「んっ…」
窓もなく、漆黒の闇に包まれた光1つない暗い暗い部屋…
目を覚ました時美樹さやかがいたのはそんな普通の人間なら数分いるだけで発狂してしまいそうな空間だった。
「あれ…あたし、なんで…?」
最初寝ぼけた頭でさやかが思ったのはなんで自分はこんなところにいるんだろう?という疑問。
徐々に闇に慣れていく目で周りを見渡すが、さやかの記憶の引き出しにはまるで該当する場所はない。
「えっと、あたしはたしか…ダメだ。頭がぼーっとして何にも思い出せない…」
しかし目覚める前の事を思い出そうにも、まるで薬でも盛られたかのように頭には靄がかかり、上手く思考が出来なくて。
それでも時間が経つにつれ少しずつ意識がはっきりしていき…自分の置かれた状況が異常だという事にさやかはようやく気付いた。
163 名前:161続き[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 08:55:56.33 ID:Aic0lhT5O [2/8]
「っ…何、これ…?なんであたし、縛られてるのよっ!?」
さやかは両手を後ろ手に縛られ、部屋の中央にある柱に身体を固定されていた…よくは見えないが脚までしっかりと縄らしき何かで拘束されている。
どうやらさやかをここに閉じ込めた相手はよほど彼女に逃げられたくないようだ。
「…監禁、されたってわけか」
非日常的なその状況…しかしさやかはパニックになることもなくその一言のみを口から溢す。
魔法少女というもっと酷い非日常が日常と化しているさやかが、この程度で恐怖など感じるわけもなかったのだ。
「でも残念だね…あたしがただの人間なら成功しただろうに」
それどころかさやかは笑う…自嘲を半分滲ませながら。
魂を抜き取られ魔法少女という名のゾンビと化したさやかの身体…しかしそれゆえに彼女は自分の身体能力を強化し普通の人間以上の力を出す事が出来る。
変身して自分の拘束を解き脱出する、さやかにとってそれは使い魔を退治するよりも簡単な作業でしかない。
(ソウルジェムの事なんて一般人が知ってるわけないし、変身しちゃえばこっちのもの…っ!?)
しかしさやかの顔は自分の指にはめられているはずの指輪がないことに強ばってしまう。
目をこらして闇の中を見てみれば、さやかの手の届かないギリギリのところに青く輝くソウルジェムが置いてあるのが確認出来た。
(ちっ!ほんとご丁寧にやってくれ……えっ?)
相手が予想以上に用意周到だった事に苛立ちを感じ舌打ちしたさやかだったが、すぐに浮かんだ2つの疑問にその苛立ちはあっさりと塗り潰される。
「なんで…?」
目覚めてから何度も感じてきた疑問だが、今回のはその中でも最上級だった。
164 名前:163続き[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 08:57:49.81 ID:Aic0lhT5O [3/8]
「なんで…あたしのソウルジェムが元に戻ってんの…?」
1つ目の疑問…それは確かに指輪だったはずのソウルジェムが元に戻っている事。
ソウルジェムを元に戻すには魔力による干渉を行わなければならない…つまりそれはさやかを監禁したのが魔法少女だという事になる。
それだけなら答えは簡単だった…しかしもう1つの疑問はその答えをあっさりと否定する。
もう1つの疑問…【半分以上黒く濁っていた自分のソウルジェムから濁りが完全に取り除かれている】という疑問が。
今この見滝原には魔法少女がさやかを除くと2人いる。
さやかの憧れでもあり、数週間前に死亡した巴マミの死を嗅ぎ付けてやって来た佐倉杏子。
その少し前に自分のクラスに転校してきた暁美ほむら。
今までの情報を総合するとさやかを監禁し、ソウルジェムを浄化したのはこの2人のどちらかという事になるのだが…
「……ありえない」
そう、ありえないのだ。
まずほむら…さやかとお世辞にも友好的な関係とは言えない彼女が、貴重なグリーフシードを使ってさやかのソウルジェムを浄化するとはとてもではないが思えない。
さらに監禁なんて事をする理由も全く思い浮かばない…
次に杏子…彼女はさやかを説得してきたし無理矢理ソウルジェムを浄化するのはありえるだろう。
だがほむらと同じく杏子がさやかを監禁する必要があるのか?と聞かれるとさやかはどうしても首をかしげてしまうのだ。
短い期間…それも関わり方が敵であるとはいえ、あの少女はこんな手間がかかるような真似はしないとわかってしまうから。
(じゃあ誰っ?あたしを監禁したのは。この街に新しい魔法少女でも来たっていうの…?)
わからないわからないわからない…ただでさえ鈍っている今のさやかの思考能力では全然この状況への答えが出てこない。
その時だった。
ギイイィィ…と音を鳴らし、さやかの目の前にある扉が開いたのは。
165 名前:164続き[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 09:01:06.55 ID:Aic0lhT5O [4/8]
「っ!?」
さやかがいきなり射し込んできた光に思わず目を閉じてしまうのにも構わず、カツカツ…と靴の音を鳴らし何者か(十中八九さやかを監禁した犯人だろう)はさやかに近づいてくる。
「…………さやかちゃん」
「……えっ?」
何かしてきたら全力で抵抗してやる…そう思っていたさやかは自分の耳を疑った…
だって今聞こえてきた声は…
「…………」
確かめるのが怖い…しかし欲求を抑えきれず、さやかはゆっくり目を開ける。
視界に入ってくるのは開けっ放しの扉から漏れだす光に照らされた…1人の少女。
さやかと同じ見滝原中学校の制服に身を包み、いつもならリボンで結われているはずの桃色の髪をだらんと垂らしながら浮かべるのは、こんな状態でさえなければ誰が見ても可愛らしいと素直に思えるそんな笑顔。
「まど、か?」
そう、さやかの目の前にいたのは鹿目まどか…さやかの親友であり、彼女にとって守るべき象徴とも言える存在だった。
166 名前:165続き[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 09:02:10.96 ID:Aic0lhT5O [5/8]
††
「やだなぁ、さやかちゃん。私が鹿目まどか以外の誰かに見えるの?」
さやかの言葉の何がおかしかったのか、まどかは頬にかかった髪に指を絡ませてクスクスと笑う。
さやかはまどからしくないその仕草や笑みに混乱と微量の恐怖を感じながらも、今の状況を把握するため口を開いた。
「あたしが監禁されてるのを知って助けに来てくれた…ってわけじゃなさそうだね?」
「監禁?…………ぷっ、あはははははは!!」
さやかの言葉に最初きょとんと首を傾げたまどかは、今までの比ではない大きな笑い声をあげる。
そのけたたましい笑いに微量だった恐怖が尋常じゃないくらいに膨れ上がったさやかだったが、ここで弱腰になってはいけないと自分を何とか奮い起たせ再び口を開いた。
「何が、おかしいのよ?」
「だって…さやかちゃんが監禁だなんて面白い事言うんだもん。これはね、さやかちゃんのためなんだよ…いわゆる人助けなの」
「人助け?あたしのため?あたしを縛ってこんな部屋に閉じ込める事の何があたしのためなのよっ!?」
さやかは目の前にいるのが本当に自分の親友なのかさえ疑いを感じ始めていた。
さやかの知る鹿目まどかはこんな事をするような娘じゃないはずだから…
(そうか…きっとまどかは魔女に操られてるんだ…そうに決まって)
「私が魔女に操られているとかそれ見当違いもいいところだよ、さやかちゃん」
167 名前:166続き[sage] 投稿日:2011/08/01(月) 09:06:46.21 ID:Aic0lhT5O [6/8]
「っ!!?」
自分の思考を遮るまどかの言葉にさやかは目を大きく見開き、再び静かな笑みに戻ったまどかの顔を見る。
まどかが自分の意志でこんな事をしているというショックもあるが…それよりも自分の思考を読み取られたという事に衝撃を隠せなかったのだ。
「なんで…?」
「なんであたしの心をまどかが読めるの?って聞きたいのかな?えへへ…簡単だよ、だってこの世には…」
まどかはごそごそとポケットを漁るとゆっくりと【それ】を取り出しさやかの眼前にかざす。
【それ】を見たさやかはあぁ、そうだったのか…という納得と深い悲しみを覚え、見えもしない空を仰いだ。
「奇跡も…」
さやかのソウルジェムを元に戻すには魔力による干渉を行わなければならない…
だからさやかは監禁の犯人を魔法少女に限定していた。
「魔法も…」
そしてまどかがその犯人だということは、彼女がさやかと同じ存在になったという事…
「あるんだから」
神々しいまでに輝く【桃色のソウルジェム】を見せながらまどかは…新しく魔法少女となった少女は愛おしそうにさやかを見つめていた…
―私ね、ずっと考えてたの。
どうすればさやかちゃんが幸せになれるのかなって。
さやかちゃんの涙はどうすれば止められるのかなって。
だから私は…
【ずっと一緒だよ、永遠に】
以上です
まどかちゃんは何と願って魔法少女になったのかなどは鋭意制作中の後編にて明らかにします!
それではお目汚し失礼しました!
最終更新:2011年08月18日 18:25