686 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/04/11(木) 02:02:53.72 ID:AtQpSbYm0 [2/4]
まどか「うぅ…わたし、ちゃんと丁寧に磨いてたんだよ!」
さやか「うん。だけどなっちゃったものは仕方ないでしょ」
まどか「うぅ…。わたし、…あの、初めてで。怖いよ、さやかちゃん…」
さやか「よしよし。何も心配する必要ないよ。そのサイズならそんなに痛い思いしないですむはずだし…」
まどか「うん…」
さやか「さ、まどか、着いたよ」
まどか「うぅ…」
涙目でドアの前に立ったままのまどかを中へと促す。
さやか「大丈夫だって。あたしもすでに通った道だよ」
ナデナデ。
受付を済ませた後も、まどかは待合室で不安そうに壁を見つめていた。
治療室からドリルの音が聞こえるたび、まどかはビクッと身体を震わせる。
まどか「…さやかちゃん」
まどかがあたしの服の裾をつまんでくる。
さやか「ほら、口開けてあたしに虫歯を見せてみて」
まどか「あーん」
さやか「うん。それだけ小さいのなら、ほんの少し辛抱するだけですぐに終わるって」
まどか「ほんと…?」
さやか「ほんとだってば。あたしがすでに経験済みだよ!」
あたしはまどかの頭にポンと手を置く。
さやか「それに、いつまでも虫歯のままだと、あたしといろんな物食べに行けないぞー」
まどか「…うぅ。わかってる…」
さやか「しょうがないなー。治療が終わったらパフェ食べに行こ!あたしが奢ってあげる」
まどか「いいの?」
さやか「うん」
まどか「えーとね…、あーんもしてくれる?」
さやか「もちろん!まどかを膝の上に乗せて、一口一口まどかの口に運んであげるよ」
まどか「わぁい♪約束だよ!」
さやか「まったく甘えん坊さんめ。…約束!指きりげんまん…」
…良かった。ようやくまどかが笑顔になってくれたよ。
687 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/04/11(木) 02:05:10.53 ID:AtQpSbYm0 [3/4]
看護師「鹿目まどかちゃん。治療するから一番手前の部屋に入ってね」
まどか「ハ、ハイ…」
いよいよ看護師さんに呼ばれて、まどかがガチガチになりながら立ち上がった。
さやか「まどか、大丈夫だから。終わったらあたしとパフェだよ!」
あたしは、まどかの手をぎゅーっと握ってまどかを励ます。
まどか「うん、ありがとう。わたし、頑張ってくるね」
~~
まどかの治療が始まってから、あたしは待合室で本を読もうとしたんだけど…。
…。
……。
うぅ…。
中の様子が気になって本に集中できないよ…。
たまにドリルの音が聞こえてくるけど、まどかは本当に痛い思いしないですんでるだろうか。
見たところ虫歯は小さそうだったけど、もしかしたら内側で広がってるなんてことはないよね。
あぁ、駄目!今まどかがあたしの名前を呼んだ気がする。
…。
あたしは立ち上がって待合室をウロウロする。
どうしよう…。たいしたことないはずなのに、まどかが心配で心配で仕方ないよ。
~~
いつの間にか、あたしは治療室の前に立っていた。
扉にそっと耳をあてて、中の様子を窺おうとする。
ちょうどその時、治療室の扉が内側から開けられたものだから…。
さやか「わわっ…!」
扉に体重を乗せていたあたしは、そのまま中に倒れこんでしまった!
まどか「…さやかちゃん…!?」
さやか「…あは、あはは…///」
言葉を必死で探すあたしの前で、看護師さんがまどかにそっとつぶやく。
看護師「どうやらさやかちゃんは、まどかちゃんの事がすごく心配だったみたいね」
さやか「…///」
688 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/04/11(木) 02:10:45.93 ID:AtQpSbYm0 [4/4]
まどか「さやかちゃん…そうなの?」
さやか「いやー参りましたなぁ。たはは…///」
恥ずかしさで、頬がどんどん熱くなっていくのを感じる。
まどか「心配してくれてありがとうだよ。…とっても嬉しい///」
ほとんど痛くなかったよと、まどかはVサインをしてあたしに笑顔を見せる。
その笑顔を見て―
さやか「…まどか!」
ぎゅー。
あたしは無意識のまま、まどかに駆け寄って抱きついていた。
まどか「わわわ///」
まどかは一瞬驚いたようだったけど、すぐにあたしの背中に手をまわしてくる。
ぎゅー。
まどかの体温を全身から感じ取り、あたしはすっかり安心して手に力をこめる。
ぎゅー。
看護師「あらあらうふふ」
~~
歯医者さんを出て―
まどか「えへへ…」
さやか「何でそんなに嬉しそうなの?治療が始まる前はすごい不安そうにしてたくせに」
まどかのほっぺをつんつんする。
まどか「あぅ…///…でも、さやかちゃんだってすごく心配してくれたよね」
さやか「う…///」
それを言われると返す言葉もない。
まどか「あのね、さやかちゃんがわたしのためにとっても心配してくれたのが嬉しいの///」
まどかがポツリと言う。
まどか「ありがとう、さやかちゃん。だいすき!///」
さやか「…っ///…じゃ、じゃあ約束のパフェ食べに行きますか!」
あたしは真っ赤になった顔をまどかに見られないように、足早に喫茶店へと向かった。
おしまい
最終更新:2013年11月01日 08:00