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88 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/26(土) 04:22:07.09 ID:Tp/7u/Mz0 [1/8]
では鹿目さやかさんの方針でお話を書かせていただきます。登場人物三人なので台詞に名前無しですー。


[鹿目家の食卓]

新市街地の住宅街に建てられて間もない、一戸建ての鹿目家新居。
そこに一台の車が近付くと、主を迎え入れる為に自動で玄関横の車庫への門が開いた。

(ピンポーン)
「さやかちゃんただいまー!」
「お邪魔するよ、さやかちゃん。」

玄関のインターフォンと同時に、未だ幼さの残る主の声が響く。
今日彼女は一人ではなく、久々に妻に合わせたい人を連れての帰宅だ。

フレアスカートのスーツに身を包むのが主の鹿目まどか、その隣に居るパンツスーツの女性は母であり社長でもある詢子。
まどかは学生時代の幼い面影を残したまま社会人となっていたが、内面は母に似て立派に成長していた。

「お帰りまどか。こんばんは詢子さん、お久し振りですね。」

二人を出迎えたのはまどかの妻の鹿目さやか。
髪もすっかり伸びて中学生の頃とは見違える様に女性らしく成長しているのが今の彼女だ。

「三人はもう寝ちゃった?」
「うん、さっき寝かし付けた所だよ。」

時刻は夜9時半。まだ幼い娘達はすっかり夢の中だそうで。
娘達を起こさない様に、夫婦とその母は足音控えめにリビングへと向かうのだった。

「晩御飯暖めるからちょっと待っててね。詢子さんも食べて行きます?」
「ああ頼むよ。いやー、しかし立派な家だねぇ。もうここでの暮らしは慣れたかい?」
「はい、もうすっかり大丈夫です。」

まどかとさやかも以前までは子供と共に見滝原の鹿目家でお世話になっていたのだ。
詢子はまどかと共に椅子に座り、まだ出来て間もない新居に目を輝かせている。
洋風でお洒落な内装に学生時代から集めたぬいぐるみが飾られていて可愛らしい。
ペン立てやティッシュカバー等の小物にも少女趣味な物が揃えられていた。

「最近ちょっと忙しくて、家の事さやかちゃんに任せっきりでごめんね。」
「いいのいいの、一応あたし兼業主婦なんだし。」
「さやかちゃんはピアノの先生だったよな。子育てしながらだとキツいんじゃないのかい?」
「まぁ家事はあたしメインですけど、出来る時はまどかと分担してますから。」

まどかは詢子の会社で右腕として働く中、さやかはピアノ教師として主に子供達のレッスンを受け持っており、仕事の殆どは夕方の時間帯になる。
大人の音楽教室として昼間の時間帯に行う事もあるが、フルタイムでないが故に、何とか子育てと併用出来るという訳だ。

「それにしてもさやかちゃんは未だにウエスト細いよな。とても3児の母には見えないぞ?」
「いやいやいや、詢子さんだってまだ全然若くて美人じゃないですかー。」

食器の用意をするさやかを見て詢子はそのスタイルの良さに驚かされる。
現在24歳のさやかは白いフリルブラウスにグレーチェックのベスト&スカートでちょっとしたお嬢様スタイルが似合う。
身長は165cmでまどかより高く、元々優れていたプロポーションを3児の母となった今でも維持していた。

「今だから笑って言えますけど、まやとみかの時なんていきなり双子だったんで、正直産む時は軽く死ぬかと思ってましたよ。」
「もうさやかちゃん、物騒な事言わないでよー。」

何しろさやかは18歳で初出産、しかも双子だったのでいろいろと大変だった。
産児はともかく当時大学生だった訳で、産後もまどか夫妻の手を随分と借りる毎日だったのだ。

89 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/26(土) 04:23:51.77 ID:Tp/7u/Mz0 [2/8]
「詢子さんと知久さんが助けてくれたから、今こうしてやって行けてるんですよ。」
「パパとママには今でも感謝だよ~。それにねママ、わたし達5人だけじゃないんだよ。」
「ん? "まや"と"みか"に"みな"…5人じゃなかったのか? …ってもしかして…。」

双子の「まや」と「みか」は現在5歳、その下に2歳の「みな」が居る。
するとさやかは照れ臭そうに頬を少し染め、まだ変化の殆ど無い自らの胴を撫でて見せた。

「へへへ、実は4人目が3ヶ月目で~す♪ しかも初の男の子らしいんですよ。」
「はっはっは、こりゃ随分とお盛んだねぇ~♪ まどか、さやかちゃんにあんまり無理させるんじゃないよ?」
「だってぇ~、ちょっと生活に余裕が出て来たんだもん。」

24歳で既に4人目の子供がさやかのお腹に宿っていた。まだ3ヶ月なので外見上の膨らみの変化は殆ど無いが。
3ヶ月で容易に性別が判断出来たのは、医療科学が進展したからなのだろう。
このご時勢で子供4人を作れるというのだから、立派な新居が示す通り、裕福な生活を送れているという事だ。

「名前は"まさや"って決めてるんですけど、初めての男の子なんて凄くドキドキしますよね。
 詢子さんはたっくん生まれた時に、まどかの時と何か違う事とかありましたか?」
「そうだねぇ~…どっちかと言うと引越しと時期が被ってた事が大変だったかな…。
 まぁそこで娘がさやかちゃんに出会ったお陰でこっちも助かったんだが。困った時はお互い様だな。」
「えへへ、わたしは御伽噺みたいに王子様に出会ったんだよ♪ 今ではさやかちゃんはお姫様だけど。」
「それは言い過ぎ。むしろあたしはシンデレラみたいにまどかっていう素敵な人に選ばれた訳だし♪」
「おやおや、まーた惚気が始まったよ。」

二人が小さい頃の思い出話をするとだいたい惚気になるのはお約束。
相手を大切に思うが故の自己評価の低さも、人生のパートナーとなってからは良き相互理解の一端である。

「さてっと、そろそろカニクリームシチューがあったまったよ。」
「わーい!いい匂い~♪」
「ほほー、すっかり料理も上手くなったんだねぇ。まどかはクリームシチュー大好きだもんな。」
「うん! さやかちゃんのお料理はいつもわたしの大好きな味にしてくれるから大好き♪」
「一緒に生活してるとまどかの好みは良く理解っちゃうからねー。まどかマイスターと呼んでくれたまえ。」
「あんたら見てると私の若い頃を思い出しちまうねぇ。」

ゲストを招いて少し遅めの食卓にクリームシチューの甘さと暖かさが広がってゆく。
まどかと詢子はさやかの出す料理に舌鼓を打つのだった。


[鹿目家の食卓]

おしまい。

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最終更新:2013年11月06日 08:17
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