4-307

307 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 21:51:01.68 ID:WzhjSHDFO [1/8]
>>272、>>276、>>300にソウルジェムを浄化されながら>>161の続きを書いていた自分ってほんとバカ…
そんなわけでヤンデレまどかちゃんSS後編です!


「まどか…あんたまで魔法少女に…」

まどかの手の中で煌めく桃色のソウルジェムを見つめながら、さやかは脱力するのを抑えられずにいた。
自分自身がゾンビなのはまだしも、よりによって親友まで自分のようになってしまった…たとえもう取り返しのつかない事でもそんなの認められるわけがない。

「なんで…なんで魔法少女になんてなったのよっ!?あんたはこっちに来ちゃいけなかったのに…せっかく人間でいられたんだよっ!?」
「だって…願い事、見つけたんだもん。命懸けで戦うハメになったって構わないって、そう思えるだけの理由…」
「あ…」

激昂するさやかとは対照的なまどかの静かな言葉…それはさやかが契約した直後にまどかに語ったのと全く同じもの。

「さやかちゃんと同じ。私は成るべくして魔法少女になった…そう、さやかちゃんと一緒…えへへ」

まどかはしゃがみこんでさやかの頬をそっと撫でる。
その手の冷たさ、いつもと同じように見えるのにどこかおかしい笑顔にさやかはまどかの中に潜む闇を感じた気がした…

「私ね、ずっと考えてたの」

さやかの中にある恐怖に気付いているのかいないのか、まどかは立ち上がると机の上にあるさやかのソウルジェムの隣に自身のソウルジェムを並べる。
背中を向けているためまどかの表情はさやかにはわからない…それでもまどかの中にある闇を知りたくて、さやかは耳をすませた。

「…どうすればさやかちゃんが幸せになれるのかなって。さやかちゃんの涙はどうすれば止められるのかなって」
「えっ…」

しかしまどかの口から出てきたのはさやかには到底想像出来なかった言葉。
今の発言は…まどかにとって命懸けで戦うハメになったって構わないとそう思えるだけの理由が…
さやかの幸せだという事を意味していた。

308 名前:307続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 21:53:55.95 ID:WzhjSHDFO [2/8]
「さやかちゃんは1人でいっぱい頑張ってきた。中学生の女の子には重すぎる荷物をいっぱい背負ってきた」

自身のソウルジェムを指で弄びながらまどかは淡々と語っていく。
この時なぜかまどかの声が熱を帯びてきていたのだが、まどかの願いの根幹が自分だという事実に衝撃を受けていたさやかがその事に気付く事はなかった。

「だから私は…支えたかった。さやかちゃんの力になりたかった…」
「まどか…」
「だけど私には力がなかった!さやかちゃんを支えたくても何の力もない私はさやかちゃんに守ってもらってばかり…」
「まどか、それは違…」
「だから私はキュゥべぇと契約したの!私はさやかちゃんを守りたい、さやかちゃんを幸せにしたい…私の大好きなさやかちゃんを、この手で!!」

感情的にまくしたてるまどかにさやかは否定の言葉を口にする事ができない。
とてもではないが口を挟める空気ではなかったし、まどかの口から放たれた【大好き】という言葉の意味に気付いてしまったから…

「まどか、あんた…もしかして…?」

さやかが自分の想いを知った事が嬉しいのか振り返ったまどかの顔は…涙でグシャグシャになりながらも…いや、だからこそ綺麗な笑顔だった…

「ふふ…バレちゃったね。ずっと黙ってようと思ってたのに」
「まどか…」
「そうだよ…私はさやかちゃんが好き…ちっちゃい頃から私を助けてくれたさやかちゃんが…私より女の子なのに王子様でいてくれたさやかちゃんが大好き…」

まどかはさやかをギュウッと強く抱き締める。
頬を擦り合わせ、何度もさやかの耳元で大好きと囁きながら、彼女の暖かさを貪るように感じ取る。

(あたし、まどかの気持ちにも気付かずに恭介へのCD買うのに付き合わせてたって事…?)

そうやってまどかが幸せそうに目を細める一方で、さやかは例えようのない罪悪感を感じていた。
好きな人が自分を見てくれない…その辛さは当然さやかも知っている。
だからわかるのだ…まどかがどれだけ辛い思いをしていたのか、自分がどれだけ無神経だったのか。

(っ、なんでこんなにあたしは無神経なんだろう…?こんなんじゃ恭介が怒るのだって…)


「…さやかちゃん、上条君の事を考えるのはやめてくれないかな?」


309 名前:308続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 21:59:17.71 ID:WzhjSHDFO [3/8]
「っ!?」

先ほどまであんなに熱っぽかった耳元の声が底冷えするくらい冷たくなった事に、さやかの背筋をゾクリと冷たいものが走る。
おそるおそるさやかがまどかの顔を見てみれば…彼女は光のない目でさやかをじっと見つめていた…

「ひ…」
「さやかちゃん酷いよ…なんで私と一緒にいるのに上条君の事を考えるの?私の気持ちを知ってまだ上条君しか見てくれないの?」

まどかは抱き締めていた身体を離し、さやかの肩を掴むと光のない目でどうしてどうしてと繰り返しながらさやかの身体を強く揺さぶる。

「さやかちゃん言ったよね、私をお嫁さんにしてくれるって言ったよね?なのになんで上条君を見るの?どうしてあの好きな人に向ける目で私を見てくれないの?ねぇ、なんでなんでなんで?」
「まどかっ、苦しっ…」
「答えて、答えてよ!私に言ってくれた言葉は全部嘘だったのっ!?その気もないくせに私にプロポーズしてたのっ!?」
「ご、ごめんっ…あたしまどかの気持ち知らなかったから…そうだってわかってたらあんな冗談…」
「冗、談?」

呆然と呟くまどかにさやかはしまったと思ったが時既に遅し…
まどかはゆっくりと立ち上がると…狂ったように笑いだした。

「あは、あはは、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!!」
「まど…」
「わかってたけどはっきり言われるとキツいよさやかちゃん!でもいいや、これでちょっとだけあった躊躇いもぜーんぶ消えちゃったから!!」
「なに言って…」
「さやかちゃん、1ついいこと教えてあげる…上条君、仁美ちゃんと付き合い始めたよ」

まどかはケラケラと笑いながら事も無げに、何でもない事のように投げ放った…

さやかへの最も効果的な爆弾を。


310 名前:309続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 22:01:13.00 ID:WzhjSHDFO [4/8]
「えっ…?」
「上条君も酷いよねー…さやかちゃんが休んだのに心配もしてなかったよ。またヴァイオリンが弾けて綺麗な恋人が出来て…それで満足しちゃってる。ずっと支えてきてくれたさやかちゃんの事なんか忘れて…」
「やめてっ!!」

悪意に満ちたまどかの言葉を聞きたくなくてさやかは大きく声を荒げる。
しかしもうさやかは知ってしまった、自分の恋が散った事を、もうこの想いは届かないのだという事を…

「わかったから、わかった、から…もう聞かせないでっ…」
「…辛いよね、悲しいよね、寂しいよねさやかちゃん…わかるよその気持ち」

まどかは再びさやかを抱き締める…それはさっきのような強いものではなく、さやかの心の傷を癒すような優しい抱擁。

「私だけがさやかちゃんの痛みをわかってあげられる、その苦しみを癒してあげられる…」

それは甘い毒…ボロボロになったさやかにとってあまりにも甘美な誘惑…

「だからさやかちゃん、私を受け入れて…」
「…………」
「さやかちゃん!」
「……わかっ…た。あたし、もう恭介の事諦める。まどかの気持ちを、受け入れるよ…」

そして…その毒にとうとう折れたのかまどかの肩にさやかが寄りかかった…まどかの欲しかった言葉と共に。

「さやかちゃん…ほんとにっ!?」

自分でそうなるように仕向けておきながら信じられないのか、まどかは驚きも隠さずさやかを見る。
さやかは小さく頷くと、小さく笑いながらまどかを見返した。

「…ねぇ、この拘束解いてくれないかな?あたしもまどかを抱き締めたい…」
「あっ、そうだね…わかった。今すぐ解いてあげるよ」

まどかはニコニコしながら、さやかの手足を縛るもの(さやかも今気付いたがそれはまどかの髪を結っていたリボンだった)を解いていく。
そして全ての拘束が解けたその時…さやかはまどかを思いっきり突き飛ばした。


311 名前:310続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 22:02:44.83 ID:WzhjSHDFO [5/8]
「きゃっ!?」
「ごめん、まどか…こうでもしなきゃあんたは解放してくれそうになかったから…」

そう、さやかはまどかの甘い毒に侵されてなどいなかった。
全てはまどかに拘束を解かせるための演技だったのだ。

「ううっ…さやかちゃん…」

突き飛ばされた時どこかを打ち付けたのか、まどかはうずくまったまま。
さやかはその姿を悲しげに見やると、部屋の中にあった鉄パイプを取りソウルジェムのある机に向かって歩いていく。

「まどか…あたしがあんたをそこまで追い詰めてたなんて、ほんとに知らなかった……あたしが死ねば元に戻ってくれるよね?」
「さやかちゃっ…!?」
「もうあたし、疲れちゃった。自分が何をしたいのかもわかんなくなっちゃったし…」
「だ、駄目だよさやかちゃん…そんなの…!」

まどかの制止を無視してさやかは鉄パイプを振り上げる。
狙うのは、未だに青く輝き続ける自分の魂。

「さようならまどか…あんたの気持ち、ちょっと嬉しかったよ」
「さやかちゃんっ…だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「うわああああああっ!!」









「なんてね♪」

バキンッ!!


312 名前:311続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 22:05:36.16 ID:WzhjSHDFO [6/8]
「う、そ…でしょ?」

さやかは呆然とするしかなかった…【無傷のソウルジェムとひしゃげた鉄パイプ】という目の前の光景に。
あんなに簡単に壊れそうだったソウルジェムが自分の渾身の一撃にもびくともしなかったのだ…無理もないのかもしれない。

「そんな、なんで…っ!?」
「はぁ…もう危ない事はしないでほしいよさやかちゃん」

呆然としている間に再びさやかをリボンで拘束したまどかはさやかのソウルジェムを手に取り、慈しむように撫でる。

「さやかちゃん、ソウルジェムを壊そうだなんてよく思い付くね…大丈夫だってわかってたはずなのにヒヤヒヤしちゃった」
「まどか…これはあんたの仕業なのっ!?」
「仕業って酷いなぁ…私はキュゥべぇに願っただけだよ?」
「願い…?」
「あっ、さやかちゃんにはまだ教えてなかったね。私が魔法少女になった時の願い」

まどかはとっておきの秘密を明かすように悪戯な笑みを浮かべ、さやかのソウルジェムを胸元に抱き締めた。

「私の願いはね…




【さやかちゃんと私のソウルジェムを濁りも壊れもしないようにしてほしい】だよ」


313 名前:312続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 22:06:51.92 ID:WzhjSHDFO [7/8]
「な、何よ、それ…?」
「ソウルジェムは私達の魂…つまり壊れたら私達は死んじゃうって事。それとさやかちゃん知ってた?ソウルジェムって濁ると魔女になっちゃうんだって」
「魔女…!?」
「うん」

まどかの語った衝撃的事実…さやかはそれを受け止められない。
元々信じられないというのもあるが…語るまどかがあまりにあっけらかんとしてるのが一番の原因。

「だからさやかちゃんを助けたかったらこうするしかなかったの。これならさやかちゃんは死なないし魔女にもならないから…
あ、あとさやかちゃんへの想いが強かったからってさやかちゃんの心が読めるようになったんだ!えへへ、願ったり叶ったりだよ」

しかしそれも当然なのだ…事実まどかは魔法少女が魔女になるなどどうでもいいのだから。
自分とさやかが魔女にならないのなら、まどかはそれでいいのだ。

「一応、聞いとくけど…あたしを人間に戻すって考えはなかったの?」
「ないよ。だってそんなことしたらさやかちゃんは上条君の所に行っちゃう。私のせめて傍にいたいって願いまで叶わなくなっちゃうもん」

まどかは悪びれもせずそう言い切ると、抱き締めていたさやかのソウルジェムを指でスッと擦る。
その瞬間…さやかの身体にある変化が起こった。

314 名前:313続き[sage] 投稿日:2011/08/03(水) 22:13:13.29 ID:WzhjSHDFO [8/8]
「っ…!?(なに、これっ…?身体が、熱くなって…)」
「えへへ、気持ちいいでしょ?ソウルジェムで与えられるのは痛みだけじゃないんだよ…」
「あっ!ううっ…!」

まどかの指の動きに合わせるように押し寄せてくる快感にさやかの身体は何度も小さく震える。
その反応を見る度にまどかの責めは激しくなり、さやかを快楽の渦に引きずり込んでいった。

「ぁ…やめ…まど、か…!」
「素直じゃないなぁ、さやかちゃん。まぁ、いいや…じゃあ今日はこれで終わりだよ」

それでも理性を失わないさやかに苦笑いするとまどかは…舌でソウルジェムを舐めた。

「ーーーーーーーっ!!?ーーーー!ーーーーーー!!」

まどかの舌がソウルジェムに触れた途端、言葉にならない悲鳴をあげてさやかは何回も身体を跳ねさせる。
その反応を楽しむように舌を動かしていたまどかは、一際大きく跳ねた後グッタリと横たわったさやかを見るとソウルジェムから舌を離し、ソウルジェムとさやかの額に口付けを落とした。

「えへへ…やり過ぎちゃった。ごめんね、はしゃいじゃって…明日はもう少し優しくするから」
「はぁ…はぁ…」
「でもいつかは慣れてほしいな…だって私達もう死なないんだし時間はいっぱいあるんだよ?」
「まど、か…」
「えへへ…さやかちゃん大好き…」

神にもなれた少女が望んだのは誰よりも好きな人と永遠に過ごせる世界と時間。
彼女に見初められた少女は死ぬ事も絶望する事すら許されない。
彼女の全ては、もう少女のためにしか存在しないのだから…

「ずっと一緒だよ、永遠に」


以上です!

まどかちゃんが魔女化を知ってるのは契約時にキュゥべぇに聞いているからです。
実際ソウルジェムを濁りも壊れもしないようにしてという願いが叶うのかはわかりませんが…世界を改変できるまどかちゃんなら出来るんじゃないかなと。
ヤンデレ物は初書きなので至らない点もあったと思いますが、そこのところはご容赦をw
それでは失礼いたしました!

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最終更新:2011年08月18日 18:28
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